フェイトが攫われた翌日。目覚めると身体に伸し掛る重みと温もりが二つある事がわかった。目を開けて左を見ると裸で寝ている俺の左腕を枕にして同じく裸で寝ている金髪幼女、ことフェイトが幸せそうに眠っている。そして、もう片方の方を見ると同じく裸の水色の髪をした幼女が俺に抱きついて眠っている。
「誰だ」
「あら、起きましたの」
こちらを見上げてくる幼女。その姿は非常に見覚えが有る。俺が特典として頼んでおいたユニゾンデバイスのアルフィミィだ。
「目覚めたのか」
「そうですの。お父様がある程度、漏れ出たアインスト達を駆逐してくれたお陰で支配が順調に進みましたの」
「支配? 漏れ出た?」
もしかして封印世界のアインストはアルフィミィが出していたのか?
「はいですの。今まで、支配下に置くためにちょーとザクザクしてましたの」
「こちらにアインストが出て来てたのは……」
「ノイ・レジセイアを支配下おくのが邪魔だったので、ポイ捨てしてましたの」
「おいこら」
「まあまあですの。元はと言えばお父様がペルゼイン・リヒカイトを望んだのをアインスト全部と勘違いした馬鹿のせいなのでアルフィミィには知ったことではありませんの」
神様の勘違いか。まあ、アインストを全て支配下に置いたということはアルフィミィは召喚師のポジションでもあるのか。それはつまり、キャロやルーテシアとガチバトルが出来るな。
「まあ、いい。やっと覚醒したならこれから頼むぞ」
「はいですの。戦闘からお父様の性処理までなんでもござれですの」
「おい……いや、いいか。それよりお父様ってのはなんだ」
「それは……」
「痛っ!? ちょ、何処を握っている!」
股間、男の大事な物から物凄い痛みが伝わってくる。
「アルフィミィではありませんの」
「って事は……」
左側を見ると、涙目のフェイトが息子を握り締めていた。渾身の力で。追加で雷もバチバチとなっている。
「フェイト……?」
「……ソイツハダレカナ?……ダレカナ……?」
虚ろな瞳でこちらを見詰めてくるフェイト。
「こいつは……」
「はじめましてですの、お母様。私はアルフィミィですの」
「おい」
「お母様?」
「そうですの。貴女はお父様の正妻になるのでアルフィミィのお母様ですの」
「お嫁さん……ペルゼの……お嫁さん……」
ぼふんという擬音が聞こえそうなほど一気に真っ赤になったフェイトは顔を俺におしつけてぐりぐりしてくる。
「おい、それは……」
「……ち、違うの……?」
「違いますの? 妻にする為に育てていますのに?」
幼女二人からの上目遣い、涙目の視線攻撃に勝てるはずもない。
「そうだ。フェイト、俺の妻になってくれるか?」
「うん、なる」
抱きついてくるフェイトの頭を撫でるとニヤニヤと笑っているアルフィミィが居た。
「計画通りですの。これからお母様をたっぷりときょ……ごほん。調教しますの」
「いや、普通逆だろ。色んな意味で」
「間違っていませんの。ですよね、お母様」
「うん。でも、アルフィミィも一緒?」
「ええ、娘ですがお父様の女ですの。それともお母様は一人でお父様のお相手をしますの? 高確率で死にますの」
確かにフェイトだけじゃ負担が半端ないだろうな。その点、アルフィミィは人間じゃないし、頑丈だ。
「……やだ、一緒がいい……ずっと一緒がいいから……」
「では決定ですの。それではお母様、娘としてお願いがありますの」
「なに?」
「服を貸して下さいですの」
「ペルゼ、いい?」
「ああ、いいよ。アルフィミィの生活用品も買いに行かないとな。しばらくは二人で共有してくれ」
「うん、わかった」
「構いませんの。アルフィミィの物はお母様と私の物、お母様の物はお母様とアルフィミィの物ですの。これが母親と娘の関係ですの。きっと多分」
「微妙に違う気がするがな」
二人がベッドから抜け出して着替えていく。アルフィミィは黒いワンピースにニーソックスで、フェイトは黒いシャツに白いジャケット、青いスカートにニーソックスという姿になった。
「ペルゼ、着替え」
「ああ、ありがとう」
フェイトが渡してくる着替えを受け取り着替え出す。いつも服はフェイトが用意してくれる。
「お父様、お着替えを手伝いましょうか?」
「手伝いたいけど、私達の身長じゃ邪魔になるから」
「そこは飛べばよろしいですの」
「あ、そうだね」
「いや、いいぞ。それよりも朝食だ」
「うん。アルフィミィ、手伝って」
「お任せくださいですの。現実世界の情報収集は怠っていませんのよ」
二人が仲良く台所で台に乗りながら調理を始める。俺はその間に新聞を取ってくる。戻るとアルフィミィがフェイトに色々と教わっているところだった。
「えっとね、こうやって切るんだよ。決して投げて切っちゃ駄目だよ」
「むぅ、残念ですの」
「食材が無駄になっちゃうからね」
「無駄にならなければいいですの?」
「たぶん」
「なら、大丈夫ですの」
アルフィミィが人参を投げて手に持った包丁を使って空中で切り刻む。空いている手で皿を持って入れていく。
「ちゃんと切れているし、皿で受け止めているけれど皮はどうするの?」
「あっ、忘れてましたの」
「もう、遊んじゃ駄目だよ」
「大丈夫ですの、ええ、きっと大丈夫ですの」
苦労しながら皮を剥いていくアルフィミィ。そんな彼女達を見た後、リビングで座りながらテレビでニュースを流しつつパソコンを開いて仕事を行う。といっても、殆ど終わっているので確認くらいだ。
「ペルゼ、出来たよ」
「コンソメスープとサラダですの」
「サンドイッチと目玉焼きもあるよ」
「ああ」
テーブルの上には焼かれたパンで作られたサンドイッチとサラダ、コンソメスープが置かれる。サンドイッチはかなり大量だ。俺が沢山食べるからだが。
「よいしょ、ですの」
「おい」
「あ、ずるい」
「隣が空いていますの」
アルフィミィが俺の左側の足に跨がるように座ったのを見て、フェイトも反対側に座って来る。
「さあ、お父様。あーんですの」
「あ、あ~ん」
「ああ……」
二人に食べさせて貰いながら、逆に食べさせていく。なんだか幸せな気分になる。
食事を終えた後、フェイトにネクタイを付けて貰ってから二人を連れて出勤する。フェイトを片腕に乗せながらだ。アルフィミィは背中に抱きて付いている。
「今日はどうするの?」
「アルフィミィの登録をしてからだな。このままだと野良デバイスだ」
「野良とは失礼ですの」
「それは困るね」
まずは登録するための場所に移動してさっさと登録してもらう。少将の権限があるので簡単だ。登録が終われば直ぐに執務室で膨大なデータを処理していく。まあ、苦手なのでどうしても時間がかかる。フェイトに手伝って貰うわけにもいかない。彼女は試験勉強があるからな。
「お父様、任せますの」
「できるのか?」
「任せるですの。アルフィミィはお父様のサポート用デバイスですの」
そう言いながら俺の膝の上に座り、掌から触手を出して端末に繋ぐアルフィミィ。すると画面に小さなアルフィミィが表示され、どんどん増殖していく。そして瞬く間に膨大な量のデータが処理されてしまった。
「一応、確認させてくれ」
「どうぞですの」
渡されたデータを見ていくとなんの問題もない。むしろ、間違いとかも修正されて出してきた部署に送り返されている。
「これでデスクワークが楽になるな」
「それはもちろん……あら?」
「ん? フェイト、どうした?」
「……触手怖い……触手怖い……」
部屋の隅で頭を抱えてガタガタと震えているフェイト。誘拐された時の事がトラウマになっているのだろう。
「アルフィミィ」
「はいですの」
直ぐに触手を消したアルフィミィと共にフェイトの下へと移動して、抱き上げて撫でる。私も撫でろというふうに体を預けてくるアルフィミィの頭も撫でてやる。しばらくして落ち着いてくると通信を知らせるウィンドウが開いた。それをアルフィミィが勝手に開きやがった。
『エレミア少将、実は……って、なにしているんですか』
「あー落ち着かせているだけだ。それでどうした?」
『はい。実は第一級ロストロギアが地球という管理外世界で見つかりました』
「地球か」
「お父様、お父様」
「なんだ?」
「性能チェックに行きたいですの」
『えっと、そちらのお嬢さんは?』
「俺のデバイスだ。それより、今はどこが派遣されている」
『リンディ提督のアースラです』
「では俺も向かうとしよう」
『仕事がありますよ?』
「終わっている。アルフィミィ」
「はいですの」
膨大なデータを相手側に送りつける。
『む、確かに。了解しました。ですが、体裁はどうしますか?』
「休暇の観光でいい」
『畏まりました』
これで地球へといける。しかし、鬱陶しい連中もいるが、高町なのはに関しては助けた方がいいだろう。スターライトブレイカーとかシャレにならない。