場面転換を多用してますが、小説でやるにはちょっとわかりにくいかも?
いろいろ試してみましたが、とりあえず世に出せると思ったので投稿です。
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↑で場面転換
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↑の下が視点変更(ハグキの一人称)
みたいな感じで書いてます。
S市に災害レベル『竜』の脅威二体が来襲していた頃。
ヒーロー協会本部では、突如として出現したムカデ長老の対処に追われていた。
「大怪蟲ムカデ長老・・・2年前に出現した時よりも大きくなっています」
「A級以上のヒーローには応援要請してありますが・・・」
「他の怪人とはスケールが違うな。人数を集めたところで倒せるかどうか・・・」
「金属バットとは通信不能・・・メタルナイトが応戦していますが、戦況は思わしくないですね」
「他のS級はこんな時に何をしている?タツマキやキングならあるいは・・・」
「キングは今も何かと戦っているらしいが・・・」
職員が慌ただしく働く中、突如としてビーッ!ビーッ!と警報音が鳴る。
「今度はなんだ!?」
「今はそれどころでは・・・!」
自分たちが対応している事案こそが最も重大だと考えていた者達は、新たな怪人襲来を知らせる警告に苛立ちを見せた。
確かに、レベル『竜』が二体出現したS市が最も危険で重大な案件で間違いない。
しかし、新たな知らせはヒーロー協会の存続そのものを危ぶむべき・・・否、人類の存続を脅かすような、ヒーロー協会が総力を持って臨むべきものだったのだ。
「な・・・!?これは・・・!?」
「各支部から緊急連絡・・・レベル『鬼』以上の怪人が一斉に出現しただと!?」
人類史上最大の脅威が産声をあげた瞬間だった。
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バギィッ!という鈍い音と共に地面に転がったのは、A級27位『スマイルマン』。
(出てきていきなり殴られた・・・。笑えない)
「カカカカッ、挨拶代わりにこの町はこの拳闘魔人が破壊しつくしてやる」
殴り飛ばしたのは、腕が四本ある元ボクシングチャンピオンの怪人、災害レベル『鬼』の『拳闘魔人』だった。
スマイルマンは決して弱くない。『虎』の怪人なら一人で討伐できるであろう実力派である。
だが、相手は『鬼』。分が悪いと言わざるを得ない状況だった。
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「ぐわぁ!?」
強烈な鞭の一撃により、B級56位『ダークネスブレイド』以下下級ヒーロー数名を吹き飛ばしたのは災害レベル『鬼』の『怪人姫 弩S』。
「ハート♡ハード♡ヒット!哀れなクソ低能ヒーローのガキ達・・・私の恋奴隷として死ぬまで戦いなさい!!」
鞭の一振りで人間を吹き飛ばすパワーもさることながら、その能力が非常に厄介だった。
鞭で打った人間を意のままに操ることができるのだ。
弩Sの攻撃の餌食となったヒーローたちは、残りの正気のままのヒーローに襲い掛かる。
唯一無事なC級ヒーロー『ダイナマイトマン』は仲間を正気に戻そうと声を荒げるが、洗脳されたヒーローは聞く耳を持たない。
「やめろ!仲間割れする気か!?目を覚ませお前たち!」
「無駄無駄ァ~!」
危うくダイナマイトマンが仲間の手にかかるか、というところで、現れた黒スーツの集団が洗脳されたヒーロー達を足蹴にしてその非行を止める。
「あんたらは・・・『フブキ組』!」
そう、現れたのはフブキ組であった。
「鞭程度なら私の念動力で抑えられるし・・・これでレベル『鬼』なら優良物件じゃない。手柄を立てながら他のヒーローに恩を売ることもできて一石二鳥って感じね」
B級1位、『地獄のフブキ』率いるB級の集団。優秀な司令塔であるフブキと、その指示に従い連携をとって戦うフブキ組の戦力は例えB級といえど馬鹿にはできない。
しかし。
「ちょっとあなたたち・・・簡単に敵の手に落ちてるんじゃないわよ!」
フブキ組はあっさりと洗脳されてしまっていたのだ。
唯一無事なフブキも、洗脳された味方と弩Sの相手をすることは困難だった。
なんとか凌ごうとしたフブキだったが、隙を突かれ鞭の一撃を背中に受けてしまう。
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W市にて、市民が固唾を飲んで見守る先では・・・。
A級ヒーロー『ヘヴィコング』が血を流して倒れていた。
それを成したのは災害レベル『虎』の『マーシャルゴリラ』。
煙草を吹きながら、マーシャルゴリラは市民に向かって饒舌に語る。
「平和だな。そうは思わないか?お前たち・・・」
「今からお前らに襲い掛かってもいいんだがなぁ・・・今日の仕事はヒーロー狩りだけなんでな」
「お前たちにとってこれほどの平和はないだろう」
「それにしてもA級ヒーローがこんなに簡単に始末できるとは」
「B級やC級はこれより弱いってことだろ?怪人側との戦力差がありすぎて同情してしまいそうだ」
「情報を拡散しておけよぉ~?A級ヒーローヘヴィコングを仕留めたのは、恐るべき怪人マーシャルゴリラ様だとな」
市民は恐れながら、一刻も早く怪人が退治されることを願うしかなかった。
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D市では、A級17位『雷光ゲンジ』が二体の怪人相手に苦戦を強いられていた。
相手は災害レベル『虎』の『電気ナマズ男』と『舞妓プラズマ』。
通電する特殊警棒による打撃によって怪人を退治する雷光ゲンジは、電撃が効かない二体と相性が悪かったのだ。
「く、電撃が効かない怪人・・・運が悪いな・・・」
「運が悪いなんてとんでもない。他の町にはもっと凶悪なのが向かってるんですよ」
雷光ゲンジのぼやきに舞妓プラズマが答える。
(応援要請からしばらくたってるのに応援が来ないってことは、こいつの言う通り他でもこいつらみたいなのが暴れてるってことか?・・・どちらにせよ、一人でやるしかなさそうだ・・・)
雷光ゲンジは応援が来ない理由を怪人の発現から悟り、一人で戦う覚悟を決める。
特殊警棒による戦闘術で攻撃を仕掛ける雷光ゲンジだが、電気ナマズ男のフィジカルを前に全て防がれる。
自前のモーターシューズによる素早い動きで攻撃を躱す雷光ゲンジだが、舞妓プラズマの雷撃によってモーターがショートしてしまう。
それにより動きが鈍った雷光ゲンジは、地中からの電気ナマズ男の一撃を回避できなかった。
「がはっ!」
吹き飛び壁にたたきつけられ、気絶する雷光ゲンジ。
それを横目に、電気ナマズ男は語る。
「もうちょっと手こずるかと思ったんじゃがのう。相性次第ではワシらでもA級ヒーローを倒せるんか。今までこそこそする必要なかったんじゃないか?」
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I市には、巨大生物が現れていた。
『百々目蛸』。ビルほどもある巨体で建造物を食い、さらに巨大化・硬質化していく災害レベル『鬼』にふさわしい怪物である。
全身に目があることで死角もない。
A級8位『デスガトリング』ほか有能なヒーローが複数名集まっているが、接近できずに苦戦を強いられていた。
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Y市には、蛇女のような見た目をした災害レベル『鬼』・『ガンリキ』。
神経毒を用いる怪人に、駆け付けたヒーローが次々と倒れていく。
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V市では、災害レベル『鬼』の『バンパイア』が市民を襲い、吸血していた。
干からびた人間たちを前にバンパイアは言う。
「人間たちも我々も、互いの力量を計り違えていたらしい。思った以上に我々は強く、そして人間は思っていた以上に・・・弱すぎた」
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C市では、複数体の怪人が出現していた。
中でも厄介なのは、災害レベル『鬼』の『カオハギ』と『覚醒ゴキブリ』。
どちらも純粋な戦闘力で『鬼』判定される強い怪人だった。
駆け付けたヒーローたちは一方的に敗北し、市民たちは混乱に陥っていた。
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他にも・・・アマイマスクが歌うライブ会場。総合病院。監獄。様々な場所で怪人が出現していた。
戦力が分散していることで、ヒーローたちが次々と敗北していく。
次々と届くヒーロー敗北の報告に、ヒーロー協会の幹部たちは頭を抱える。
しかし、現場に出るわけでもない彼らがこの状況をどうにかすることはできなかった。
「ええい・・・!最初に出動した金属バットとメタルナイトは何をしている!?」
S級ヒーローならば。
そう考えるのも無理はないことだが、こと今回に限っては・・・特に、『幹部』が出現した場所では、S級ですら不十分だったのだ。
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『メタルナイト』ーボフォイ博士は、秘密の研究所にて、画面の向こうを驚愕と共に見つめていた。普段の感情の読めないポーカーフェイスが少し崩れている。
「驚いたな・・・『メタルキング』と『メタルルーク』がここまで一方的に破壊されるとは」
ボフォイにとって、機械では再現できぬ強さの存在は既知である。
S級ヒーローという、理外の存在。
同じくS級ヒーローに所属し、機械系では頂点に立つであろう『メタルナイト』であっても、彼らの能力に関しては現在は機械で超えることはできない、と結論付けている。
無論、超えようとしないわけではない。
しかし、『人の力』の無限の可能性を信じるボフォイは、血の通わぬ機械には実現できぬ領域の存在を認めていた。
S級ヒーロー達の極まった『肉体』『技』『心』『超能力』・・・etc。
それらは彼らの生まれ持った素質、経験、そして不断の努力によって実現しているものであり、それらを超えるにはボフォイも『努力』をし、そして自らの『頭脳』を極めねばならないのだ。
そうした考えを持つが故に、例えその戦闘力に絶対の自信があった『メタルシリーズ』、そのうち肉弾戦で最強の性能を誇る『メタルキング』が倒れたとしても、驚きはしても取り乱しはしない。
今は超えられない。それは認めよう。しかし、いずれ超えてみせる。
『メタルシリーズ』による戦闘は情報収集に過ぎない。本気で潰すなら、取るべき手段はもっと別にある。安全圏から着実に成果を集め、成長し、自分の信じる正義を成すための力を蓄える。
そう割り切っているからこそ、ボフォイは目の前のモニターに映る光景を見ても冷静でいられた。
しかし、普段は驚きすらしないのだ。
例えボフォイのスタンスがどうであろうと、数値は嘘をつかない。
数秒前まで発生していた一方的な蹂躙としか言えない戦闘を解析した結果、ボフォイのもとに送られてきた戦闘データは、ボフォイがこれまで持っていた『非常識』な力の常識を何段階も超えるようなものだった。
例えば、生物に備わるパワーと硬さという点において、人類が観測してきた値として頂点に位置し、ボフォイが限界を超えるために短期目標として定めていた『超合金クロビカリ』の肉体性能。
今まで限界値であったその数値を、大きく超えるデータが記録された。
ボフォイにとっては『限界』の常識が破壊されたのであり、驚かざるを得なかったのだ。
「『メタルキング』は、計算上は超合金クロビカリの三分の一ほどのパワーを発揮するというのに・・・硬度においては、それこそ計測上は遜色ないものであったはずだが・・・」
『メタルキング』の性能はあくまでカタログスペックであり、実際に運用する際の性能はもっと落ちる。
耐久性などは特に顕著で、硬さを実現するために複雑な機構を用いているため、理想通りの力の加わり方なら計算通りの性能を発揮するが、実際の戦闘ではそんなことはそうそう起こらない。関節部や装甲の接合部など、構造上弱くなってしまう部分があるのだ。
それを加味しても十分な性能だから実戦投入しているわけだし、故に、例え『メタルキング』が破壊されたとしてもそれは同じ破壊力で超合金クロビカリが破壊されるわけではないのだが・・・。
だが、記録された戦闘では、あまりにも理想的な形で性能を発揮し、その上でそれを上回る破壊を受けたというデータが示されていた。
「最初の不意打ちは、準備時間がある分ほぼフルパワーだったが・・・それでも、大したダメージを受けた様子は見られない・・・超高密度の筋繊維・・・硬化だけでなく衝撃吸収もしている?」
「先に装甲部が壊れ、関節部や接合部はその後破壊されている。これは、計算通りの性能を発揮した上で、俺の想定していた『限界』を超える力によって破壊されたとみるべきだな。・・・・・・少なくとも、この怪人『ハグキ』は俺が持つデータの中で最も強力な攻撃力を持つと判断してよいか・・・」
ボフォイはそれを純然たる事実として受け入れたが、それはそれとして驚きを隠せない。
そして、これと対峙することになる協会のヒーローたちの身を案じた。
既にボフォイは、各地の監視カメラや戦闘の情報から、今暴れている集団が『怪人協会』という集団であることを掴み、ムカデ長老とハグキという超戦力二体を使って実行している重役誘拐計画の目的も察していた。人質を取ることでヒーロー協会の行動を制限し、全面戦争を起こす気であるということ、そして、その誘拐がもう阻止できないであろうことも察してしまった。
「ヒーロー協会は総力を挙げて怪人協会の殲滅に臨むだろう。俺はその間に、他の悪・・・『あの男』に対する警戒をせねばならん。・・・だが・・・S級ヒーローどもはこれに勝てるか・・・?」
ボフォイは、自分が不参加になることで、作戦の中心を担うことになるであろう弟子に思いを馳せて、それでも、と決断する。
「いや、勝てる。俺のやることは変わらん」
ボフォイはS級ヒーローを信じ、自分はその留守を預かると決めた。
例え怪人が限界を超えてこようと、S級ヒーロー達もまた、限界を超え得る存在だ。
画面の奥、もはや原形をとどめないほどの徹底的な破壊を受けた自身の作品と、それを成した怪人を見ながら、それでも『メタルナイト』は揺らがなかった。
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『メタルキング』。なかなかに歯ごたえのある相手ではあった。
でも、それだけだ。
最初に不意打ちを受けて、その後何度か様子見で攻撃を受けてみたが、俺にとって致命的なものではなかった。
あとは全力で噛みつき攻撃しただけだ。
今まで噛んできた物の中で、カミのキューブの次くらいには硬かったと思うが、今の俺はあの時よりも成長している。
今ならキューブであっても楽に噛み砕けるだろうし、そんな俺にとって『メタルキング』の装甲はウエハース同然である。
遠方から的確にちまちまと狙撃してくる『メタルルーク』は、『メタルキング』を処理した後に歯ミサイルで撃墜した。
真っ直ぐ飛ぶ攻撃なら弾道予測で避けられただろうけど、俺の歯ミサイルは多少軌道をいじれるんでな。
何でかは知らん。
カミのキューブを噛み砕いた後から、原作のハグキにはないスキルツリーが開拓できるようになった気がするが・・・やっぱりどうでもいいことだ。
心で信じたことを体現しているだけだからな。
きっと誰だってできるよ。
追加の『メタルシリーズ』は来なかったな。よーいドンで戦っても一方的な展開になったわけだし、これ以上追加しても無駄だと判断したのかもしれない。
やっぱり機械は美味しくないという事実と、金属バットとガロウの戦いを逃したかもしれないという苛立ちを、たまたま残った三個の穴があるメタルナイトの象徴のような頭部パーツを歯ぎしりで粉々にして解消しつつ、これからのことを考える。
金属バットを吹き飛ばしてから結構経つ。
原作通りにガロウと金属バットが遭遇したなら、もうそろそろ戦いが終わってる頃じゃないだろうか。俺も一戦終えたところだしな。
まあそれでもいいよ。
確かガロウが勝ってたと思うから、ゆるく勝負を仕掛けて流水岩砕拳を体感させてもらおう。
俺が吹っ飛ばしちゃったからそもそも遭遇してない可能性もあるが、ガロウがヒーロー狩りで金属バットを探してるのでよほど離れたところに吹っ飛ばさない限り遭遇すると思うんだよな。
いったん行ってみるか。
それからのことは行ってから考えよう。
で、パッと移動して今現場に着いたところなんだけど。
やらかしたかもしれん。
ちょうど金属バットが気絶するところが見えた。妹のゼンコだっけか?兄を探して来たんだろうが、その子も一緒だ。つーかその子に頭叩かれてたな。それでギリギリで保ってた意識がぷっつんしちゃったんだろう。
で、それだけなら金属バット無視してガロウと戦えばいいだけなんだが・・・。
なんかヘドロクラゲがガロウに叩き潰されるのも見えちゃったんだよね。ついでにフェニックス男も空飛んでる。
君たちなんでこっちいるのかな。ワガンマはどうしたよ。
いや、原作でも居た気がするな。
どうだっけ?
まあいいや。
で、ヘドロクラゲがガロウに叩き潰されて、それをフェニックス男が止めた。
フェニックス男がガロウを怪人協会に勧誘して、招待チケットをガロウがびりびりに破いたところでだ。
「あ、ハグキ様じゃねーかぁ。ハグキ様、この野郎招待チケットを破りやがりましたぜ」
ヘドロクラゲが俺に気づいて話しかけやがった。
「あん?ハグキだぁ?テメーらのボスか?」
ガロウが俺を睨みつけてきた。その顔には好戦的な笑みが浮かんでいる。
「いや、幹部」
とりあえず俺が答えると、ヘドロクラゲがいろいろ言い始めた。
「幹部は災害レベル『竜』のやべぇ奴らだ!お前なんか一ひねりだぜ?」
「ほーん?じゃあ、俺がお前を倒せばレベル『竜』ってことでいいな?」
ヘドロクラゲは脅しのつもりで言ったのかもしれないけど、逆にガロウの闘志に火をつけちゃったみたいだな。
「シィッ!!」
流れるような連撃が俺の体に叩き込まれる。
いや、この時点のガロウの攻撃なんて効かないけどさ。
このまま戦えば本来の目的達成なんだけど、俺はある問題に気付いてしまった。
ヘドロクラゲは、金属バットの妹も人質として攫おうとしたみたいだ。なんでかは、まあ怪人だからでいいとして・・・。
なんだかんだ甘ちゃんなガロウがそれを阻止したところで俺が出てきちゃったもんだから、ガロウの意識がこっちに向いてしまった。
つまり、ヘドロクラゲがフリーになる。
金属バットの妹ちゃんが攫われてしまう可能性があるってことだな。
原作では攫われたワガンマとタレオは無事だったが、タレオのほうは奇跡みたいなもんだ。
それに女の子が攫われたらどう考えても無事じゃ済まないよな、いろいろと。
「お前ら、例の人質はどうした?」
とりあえず誘拐作戦に戻ってくれないかなーと思って聞くと、高みの見物を決め込むフェニックス男から返答が来た。
「サイレスラーに任せてある。護衛のヒーローはあれだし、間違いなく問題ないだろう」
「あー・・・そうだな」
正直否定できない。B級とC級だっけか?『鬼』に片足つっこんでるサイレスラーの相手にはならないだろう。弱そうだったしな。
「人質は何人いてもいいよねぇ~金属バットの妹ちゃんも連れてくぞぉ~」
ヘドロクラゲが俺の懸念通りの挙動し始めた。クソが。
どうすっかな。
攫うのに反対する理由がない。かと言って攫っちゃうと原作崩壊の可能性もある。
金属バットの根源的な部分の一つだろうからなぁ・・・。
S級ヒーロー達は、多少雑に扱っても勝手に生き残るだろうからあんまり心配してないが、物語に影響を与えそうな一般人となると話は別だ。
うーん。
いや、決めたぞ。俺が収納用胃袋使って食べたふりして、後で解放しよう。
怪人協会編が終わるまで、あと三日くらいしかないし。
それまでに見逃したことがバレなきゃオッケーよ。
そうと決まれば早速。
「じゃあ俺が確保してやるよ」
倒れている金属バットと、その横で座り込むゼンコのもとに近づく。
「おいテメェ!さっきから無視してんじゃねぇよ!」
さっきからガロウの奴がバカスカ殴ってきて鬱陶しい。
俺とフェニックス男が会話してる時もずっと殴ってたからなこいつ。
「・・・ほいっ」
片手をガロウの肩あたりに振り下ろそうとすると、側面から力を加えて受け流された。
ほう、これが流水岩砕拳か。
腕をブンブンと振ってガロウの体に命中させようとしたが、全部流され、避けられてしまう。
確かにこれは実用的で面白い技だな。
でも先に妹ちゃんの安全確保してからだから。
「ふんっ!」
「はyっ・・・!?」
受け流した俺の片手に込められた威力を感じ取ったのか、冷や汗を流しながらそれでも不敵な笑みを浮かべるガロウにショルダータックルを仕掛けた。
ハグキの肩何処だよとか言ってはいけない。俺がショルダータックルといったらショルダータックルだ。
振り下ろした腕より大分速度を速くしたから、俺の腕の速度に慣れたガロウはいきなり速くなった俺の動きに対応できなかったんだろう。
ガロウはうめき声を上げて吹っ飛んで行った。
体全体よりも大きなものを受け流すなんて芸当は今のガロウには厳しいだろうし、まあ当然だな。
そこまで強く当ててないから生きてると思うが、俺が妹ちゃんを確保するまでは戻ってこれないだろう。
「んじゃ、ちょっとごめんね~」
「へ・・・?いやぁぁぁぁ!」
そばまで近づいて口を開けると、妹ちゃんが悲鳴を上げた。まあ仕方ないけど、安全を確保するためだから許してほしい。
「へぶっ」
バチィィィン!!!
そこで重い打撃音が響く。
下顎に一撃貰った結果、俺の頭は強制的に上を向かされた。
・・・起きたか金属バット。
さっきよりだいぶ高威力だ。気合入ってんな。
妹のピンチで起きるなんて、流石はヒーローだ。
こりゃほっといても良かった。
ってかほっときゃ良かった。
ヘドロクラゲなら今の金属バットでも余裕だろうしな。
「人の妹に手ぇ出そうとしてんじゃねぇよ・・・!!」
「いや違・・・くないけど・・・」
誤解だと言いたいが、いうほど誤解でもない。
やることなすこと全部裏目に出るなぁ、俺。
ため息が出そうだ。とりあえず、第二ラウンドスタートだな。