来たぜ怪人協会。
薄暗くて陰気臭いところだ。
何層にも重なった空間と、蜘蛛の巣のように張り巡らされた通路。
ギョロギョロ曰く、地底人が根城にしていた空間を奪い取ったらしい。
まあ由来なんてどうでもいいんだが、普通に迷路過ぎて迷うから困る。
ギョロギョロがテレパシーで道を教えてくれるが、自分でも覚えとかないと大変なことになりそうだ。
怪人協会編で迷ってたらサイタマやタツマキとばったり遭遇しましたとかじゃあ話にならんからな。
今は、原作でも怪人たちが集会をしていた大広間にやってきた。
ムカデ長老はでかすぎるので、近場の大空間に体を入れて頭だけの出席だ。
村田版ではたくさんの怪人が勢ぞろいしていたが、今はそこまでいない。
ギョロギョロが言っていた通り、まだ設立されたばかりでメンバー集めの段階なのだろう。
居るのはギョロギョロが直接声をかけた、選りすぐりのメンバーだけ。
まず、『怪人王オロチ』。
以前地下で遭遇したときはその姿を見れなかったが、実際見てみると圧巻の貫禄である。
ムカデ長老ほどじゃないがでかいし、秘めたエネルギーはムカデ長老をも凌駕するだろう。
俺が地下にいたことがバレないか心配だったが、オロチはこちらを一瞥しただけで特に反応はなかった。
そして参謀『ギョロギョロ』。
怪人協会の実質的な支配者。鏡餅みたいな体形で一つ目の超能力者だ。
実はこれは肉人形に過ぎず、サイコスという名前の本体が地下深くにいて超能力で人形を操っているんだったな。
オロチを育てた張本人であり、オロチを従わせてると思い込んでるが実際は面従腹背状態の哀れな奴でもある。
サイコスはもともと地獄のフブキの仲間で、大預言者シワババをまねて第三の目とかいう超能力で未来を予知したらおそらく『カミ』に関する何らかの未来を見てしまい、それで狂ったやつである。
『カミ』関連はよくわかっていないが、あんまお近づきになりたくない女だ。
まあ実力は間違いない。
あと居るのは原作でも出てきた幹部たちだな。
今いるのは、黒い精子、ブサイク大総統、ホームレス帝、ゴウケツに加え俺とムカデ長老の6体。
総勢たった8体しかいないこの空間だが、その実態はヒーロー協会が初めて接触する本物のバケモノの集団。
そう考えるとテンション上がってきたなぁ!
「そいつは?ムカデ長老を勧誘しに行ったんじゃなかったのかよ?」
黒い精子が俺を指しながらギョロギョロに問う。
「彼はムカデ長老と互角に戦っていたから連れてきた。幹部として実力は申し分ないはずさ」
「ハグキ。・・・よろしく」
とりあえず名乗って挨拶だ。
組織の一員として怪人関係を円滑に…なんて考えてないが、何も言わないよりいいだろ。
黒い精子とポチとは仲良くしときたいしな。
「ふーん。俺は黒い精子だ」
黒い精子は普通に挨拶を返してきた。
一見黒い小人だが、この中でも随一の能力とポテンシャルを持つ生粋の怪人だ。
「俺ぁブサイク大総統ってんだ、よろしく頼むぜぇ~?」
ブサイク大総統はちょっと舐めてるな。っていうか、本当にブサイクだこいつ。それ以外感想が湧かない。
「ハグキ、か。まあヒーローどもの殲滅に役に立てばいいがな」
ホームレス帝も見下してる感じだな。ホームレス帝は『カミ』に力を与えられた怪人で、爆発する光球、神通力を使う。『カミ』関連で何か言われるかと思ったが、何も言われなかったな。ちょっと身構えたんだが。
『カミ』は俺を始末しようとかは考えてないのか、それともホームレス帝に俺が『カミ』に喧嘩を売ったことを伝えていないか。
ホームレス帝も大概自信家だから、俺を自分より弱いと思ってるな。
まあお互い様だ。俺もホームレス帝なんぞに負ける気はない。
「ゴウケツだ」
ゴウケツは名乗りだけ。怪人細胞で怪人になった奴ではあるが、実力は高いんだろうか。サイタマにワンパンされたこいつは評価材料が少なくて困る。怪人細胞で怪人になった奴は成長が止まるとかギョロギョロが言ってた所為で、こいつに関しては伸びしろがないの確定してるから、俺的にそんなに評価は高くないな。
「・・・ムカデ長老だ」
こいつに関しては何も言うことはない。
幹部たちも周知であるあたり、こいつは有名な怪人なのだろう。
全体的に、そこそこ好印象か?
よくわからんな。怪人協会の面々って親しいイメージがないんだが、多分それは村田版で内紛しまくってるからなんだよな。
ONE版ではある程度仲間意識はあったように思えるんだがな。
村田版では、ブサイク大総統、ハグキ、黒い精子、ホームレス帝。地上戦で目立つこの四匹、全員幹部の誰かしらを攻撃している。
まあ、ハグキはブサイク大総統に殴られた仕返しをしただけだからノーカンかな。
黒い精子も、ホームレス帝の弱点を見抜きいずれ後ろからスキを突けばやれそうとか考えてたけど、実際にやったのは舐めた真似をしたGブサイク大総統への制裁だけだから、まあいいだろう。アトミック侍の攻撃からホームレス帝を庇ったりしてたし、割と協力関係を自分から反故にするやつじゃないと思う。
ホームレス帝は、黒い精子に地上を一掃させた後黒い精子を始末しようと考えていたな。明確に計画を立ててやろうと考えていた分、腹の探り合いをしていただけの黒い精子よりも仲間として質が悪い。それと、Gブサイク大総統に整列爆撃したくらいか。
あれ?よく考えるとブサイク大総統が嫌われているだけな気がしてきたな。
仲間にまで嫌われているとか、哀れゲロブサ。
いや、まあ嫌われるだけの行動をしているというか、外見が醜すぎて心まで醜くなったせいで怪人化したのがブサモンだっけか。
じゃあ仕方ないか。
ONE版では一緒にシルバーファングに瞬殺された仲。
村田版では殺し合って殺された仲。
ハグキである俺からしたら何とも言い難いやつである。
まあこれは村田版の世界だし、殺された仲だからブサイク大総統とはあんま仲良くしないようにしよう。絶対に丸呑みにもしないからな。
そういえば、ここにいないメンバーもいるな。育ち過ぎたポチにエビル天然水とニャーン。
「幹部はこれで全員なのか?」
とりあえずギョロギョロに聞いてみた。
「いや、あとエビル天然水という幹部がいる。意思疎通は無理だが、敵意に反応して攻撃する怪水だ。制御できないから金庫で封印してある」
ふーん。ポチとニャーンはまだなのかもな。
「何はともあれ、怪人協会の主力を担う幹部が揃った。ここにいる面子でヒーロー協会を潰す。仲良くとは言わないが、邪魔なヒーロー協会を潰すまでは協力しようじゃないか。・・・オロチ様、何か言葉を」
ギョロギョロに促され、オロチが喋りだす。
口を開いただけで空気が震える。この重厚感は流石に怪人王と言うだけはある。
幹部たちも、オロチは強いということだけは認めているんだろう。じゃなきゃ怪人王なんて名乗りを許すはずがないしな。
「ヒーローなど、元から取るに足らんが・・・こうして強者が集まった以上、やるべきは一つ。蹂躙だ。我々で、ヒーロー共を一人残らず殲滅する・・・!!」
ほう、怪人王の名に相応しい演説ではあるな。
重苦しい空気が場を支配する。
「へっ、ずいぶんと偉そうじゃねぇか。ま、同感だけどな」
「キヒヒ・・・ヒーロー共を皆殺しにすんのが楽しみだぜぇ!」
「ふ、すべては弱肉強食という摂理のままだ」
「異論はない」
「ブラストさえ殺せれば何でもよい」
幹部たちは、重い空気も構わず好き勝手に口を開く。
ほんとにこうしてまとまってるのが奇跡みたいな我の強い連中だな。
俺もなんか言ったほうがいいか。黙っていても感じ悪いしな。
「おあずけはごめんだぞ~」
怪人っぽいセリフ、かはわからないが、本音を言っとく。
俺も怪人である以上、ヒーローに対して攻撃することにやぶさかではないのだ。
ギョロギョロはそれらの返事を聞いて満足そうに笑う。
「結構。では、顔合わせも済んだことだし解散としよう。ヒーローに見つからないように気を付けてくれさえすれば、あとは自由に過ごしてもらって構わない」
お、自由行動か。いろいろ調べたいことがあるし、好きに行動させてもらおう。
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