この超常社会Live2Dのイケメンアバターより『疲れ切った23歳男の地声を持つロリ美少女』の方が需要あるのバグ以外の何物でもないでしょ   作:九咲

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第13話「タワマン引っ越し後の定例会、成金バ美肉おじさん」

 

## ■

「すごーーーい!!! 何これ駆、めっちゃ夜景綺麗じゃん!! 芸能人じゃん! ナビちゃんねる成金じゃん!!」

 

リビングに入るなり、岳山優はガラス張りの大きな窓にへばりついて大はしゃぎしていた。私服のショートパンツ姿で、ソファにゴロンと寝転がる。トップヒーローとしての優雅さはここには1ミリもない。

 

「成金じゃないよ、警察庁の社宅(国家予算)だよ」

 

俺は(※最高にセクシーで最高に疲れ切った地声の低音で)グラスに氷を入れながら呟いた。

 

「でもさ、本当にセキュリティが凄いわ。オートロックが3重で、エレベーターも認証式。これならあのピンクゴールドの催涙スプレー持った雄英の女子生徒(お茶子たち)がガスメーターボックスをチェックしに来る心配もないね!」

 

「……いや、駆。油断するな」

 

ソファの端に生真面目な顔で座り、高級ワインのラベルをチェックしていた守宮盾(アイギス)が静かにウーロン茶(※マイボトル持参)に口を付けた。

 

「昨日の、お前がタワマンから行った初配信のログを公安のサイバー班が監視していたが、轟焦凍の放った『マイ枕と蕎麦つゆを持って突撃する』という赤スパは単なる脅迫ではない。あいつは今日、雄英のサポート科の発目(ハツメ)に『タワマンの3重オートロックを氷結させずにハッキングで突破するサポートアイテム』の発注書を提出していたぞ」

 

「あの天才(発目さん)に不法侵入アイテムを作らせるなァァァ!!!(ガチの悲鳴)」

 

俺はトング(※居酒屋の癖)を握りしめて叫んだ。

 

「轟くんガチすぎるだろ!! 5万円の赤スパ投げてタワマンに枕持ってこようとするな!! どんだけ俺のイケボで眠りたいんだよ!!」

 

「ギャハハハハ!!! 轟くんウケるー!!」

 

優は大トロの寿司を口に放り込みながらゲラゲラと笑い転げた。

 

「いいじゃん、来たら一緒に蕎麦パーティーでもしなよ。それより駆、聞いたわよ? 次回の公式特番、相澤先生の衣装が『ゴスロリパンク猫耳仕様』に内定したんだって!?」

 

「お前がコメント欄で『猫耳相澤先生カワイイ!』って10万も投げるから、雄英の広報部が完全に味を占めたんだよ!! 昨日も相澤先生が配信のチャット欄に直々にガサ入れ(青スパ1,000円)しにきてさぁ、『お前が新居で浮かれてる裏で俺はゴスロリの監修を迫られてる。不合理だ』ってガチトーンでキレられたわ!!」

 

「あはは! じゃあ次の特番のときはあたしも公式垢から『ゴスロリ相澤先生、地獄の番犬みたいで素敵☆』って20万投げるね!」

 

「(※限界まで声を低く、セクシーに、かつ殺意の塊のような重低音で)」

 

「――岳山。お前が次20万投げたら、俺は本気で個性の『ウィンドウ』を使ってMt.レディ事務所の『過去3年分の領収書の仕分けミス』をすべて裏で警察庁のサイバー班にリークするからな……?」

 

「うわ、ガチのナビの兄貴ボイス!! 脅迫の解像度が高すぎて大トロ喉に詰まりそう!!」

 

優がガタガタと震えるのを見て、盾が静かにワイングラスを回した。

 

「……優、自業自得だ。お前の悪意なき介入のせいで、現在、プロヒーロー業界における『バ美肉(バーチャル広報)』の需要は飽和状態にある。来週、駆が全国の警察署で行う『正しいバ美肉研修会』だが、実はウチの(公安の)上層部からも『ぜひ守宮も講師として同行し、法律面でのバ美肉の規律を正してくれ』と正式に命令が下った」

 

「え、盾ちゃんも研修会来るの!?」

 

俺が驚くと、盾はメガネをクイッと上げて、エリートヒーローの完璧なトーン(※極上イケボ)で言い放った。

 

「当然だ。全国の警察官たちが『可愛いアバター』の裏で、配信規約やストーカー規制法を遵守できるよう、私が1から叩き込んでやる。……ネットの海であれ、規律の乱れは看過できん。法を舐めるな」

 

「盾ちゃんが講師陣に加わったら、防犯研修じゃなくて『ガチのサイバー憲兵隊組織委員会』になっちゃうんだよなぁ……!!」

 

「あははは!! 法律ヤクザとバ美肉おじさんの全国ツアーじゃん!! あたしも巨大化してタワマンの外から配信に映り込んであげよっか?」

 

「ベランダから巨大な顔出すのホラー演出として生々すぎるから絶対にやめて!!!」

 

タワマンの最上階、100万ドルの夜景をバックに、俺の絶望の極上イケボと、幼馴染みたちの騒がしい笑い声が響き渡る。

家賃4万のボロアパートからは大出世したものの、生徒たちの狂暴な推し活、担任の先生のゴスロリパンクへの怒り、そして幼馴染みたちの容赦ない乱入の包囲網は、このタワマンの最新セキュリティをもってしても、1ミリも防ぎきれないようだった。

 

 

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