この超常社会Live2Dのイケメンアバターより『疲れ切った23歳男の地声を持つロリ美少女』の方が需要あるのバグ以外の何物でもないでしょ   作:九咲

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第7話「身バレした底辺バ美肉おじさん」

 

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## 1. 聖なる「おつナビー」の大合令

身バレ配信の翌日。

俺は本気で遺書を書き、胃薬を通常の3倍服用して雄英高校の教壇に立っていた。

いつもならガラガラ声のフリをしてやり過ごすところだが、もう日本全国(主に雄英高校1年A組)に「極上低音イケボのバ美肉おじさん」であることがバレている。普通の声で喋るしかなかった。

 

「……えー、おはよう、諸君。……プロヒーローの、ナビゲイトこと割内だ。昨晩はうちの幼馴染みがネットの海で大変なご迷惑をおかけして本当に申し訳なかった……(※諦めて出した最高にセクシーで疲れ切った低音ボイス)」

俺が声を響かせた瞬間教室の空気が目に見えて跳ね上がった。

 

 

「「「割内先生! 起立! 礼! おつナビー!!!」」」

 

飯田天哉のクソデカ大号令とともに、年A組の全員がガタッと勢いよく起立し完璧な礼を決めてきた。

 

「ちょ、ちょっと待って飯田くん!! 挨拶がネットに侵食されてるから!! あと女子の皆さんなんでそんなキラキラした目で俺を見てるの!? 怖いんだけど!」

 

お茶子と三奈は顔を上気させてノートを握りしめている。

「だって先生! 昨日の配信の最後の『良い夢(現実)を見てね』の吐息女子寮で合計50回ループ再生しました! 今日から生でその声の授業が聴けるなんて、防犯意識高まりまくりです!」

 

「先生、次の配信いつ!? 岳山さん(Mt.レディ)と盾ちゃんさんもゲストで呼んでよー!」

 

「ループ再生するな!! 恥ずかしさで俺の個性が暴走して画面にブルーウインドウ出まくりだから!!」

 

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## 2. 溢れ出るガチ需要

俺が赤面して教壇で頭を抱えていると今度は男子席からドス底のついた声が響いた。

 

「おい、陰キャイケボ教師」

 

爆豪勝己が机に肘をついてギロリと俺を睨みつけていた。掌からはピチピチと小規模な爆発が漏れている。

 

「てめぇ、俺が毎晩『そんなチャチな防犯グッズじゃ俺の爆破で(以下略)』って大真面目に送ってた赤スパ、裏でどんな顔して読んでやがったあぁん!?」

 

「ひ、ひえっ……! 爆豪くん、それに関しては『家賃がめっちゃ助かるな、ありがとう爆殺王(仮)』って五体投地しながら感謝の涙を流してたよ! 嘘じゃないガチで感謝してたから掌の火花を引っ込めて! 教室が爆破される!」

 

「先生」

 

隣で轟焦凍がいつになく真剣なしかしどこかトロンとした目で挙手した。

 

「俺は、裏切られたとは思っていない。割内先生の声が、毎晩の俺の安眠を支えてくれていたのは事実だ。……だから、今日の授業、教壇じゃなくて俺の席の真横で耳元で囁きながら教科書を読んでくれないか。冷奴を奢る」

 

「轟くん、君の要望はシンプルに恐怖だし公私混同がすぎるよ!! あと冷奴じゃなくてせめて蕎麦にしなさい! ……じゃなくて、先生を睡眠導入剤にするのやめて!!」

 

デクにいたっては、もはや会話に入ってくることすらなく、

 

「割内先生=ナビゲイト=ナビちゃん。つまり、 Live2Dのフェイストラッキングを視界の『ウィンドウ』の個性で常時処理しつつ、声帯の周波数をボイスシールドの守宮さんの技術を参考に独学でコントロールしている……? バ美肉という文化は、超常社会における個性の『匿名性と防犯の新しい可能性』を示唆していて……」

 

と、ブツブツ呟きながら『緑谷ノート・VTuber編』を凄まじいスピードで構築していた。

 

「緑谷くん、ノートのタイトルが不穏すぎるから今すぐ閉じようね!?」

 

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## 3. バーチャルの妖精、国家公認へ

カオスを極める教室内。

 

俺が「もうやだ、アパート帰って引きこもりたい……」とガチで涙目になっていると教室の入り口の壁に寄りかかっていた相澤先生が深くため息をついて歩み出てきた。

 

「おい、そこまでにしろ。……割内、生徒の情緒を狂わせるなと言ったはずだが。不合理が極まっているぞ」

 

「相澤先輩!! 俺悪くないですよね!? 10割Mt.レディが悪いですよね!?」

 

すがりつく俺を相澤先生は寝不足のバキバキの三白眼で一瞥しクシャクシャの別のプリントを教壇に叩きつけた。

「……お前の身元が完全に割れた以上、公安と雄英の広報部が黙っていない。これは次回の雄英オープンキャンパスの企画書だ」

 

俺が恐る恐るその紙を見るとそこには大文字でこう書かれていた。

『雄英高校公式コラボ配信:ナビちゃん(CV:割内駆)&プロヒーロー・イレイザーヘッドによる、絶対に生き残るための超実践的ネット防犯生特番!』

 

「……えっ、先輩、これ……」

 

「お前の『可愛いガワ』と『無駄に説得力のある泥臭い戦術』、そしてその『クソイケボ』は、全国の若者の防犯意識を高めるのに最適だと上層部が判断した。……観念して、俺と一緒に公式のバ美肉になれ、割内」

 

「相澤先生まで巻き込まれてるーーー!!!?」

 

教室中が「相澤先生のバ美肉とか最高かよ!」「同接100万人いくわ!」と大歓声に包まれる中、底辺ヒーロー割内駆は、ついに「国家公認のバーチャル美少女」としての道を歩み始めるのだった。

 

もちろん、来週の幼馴染み飲み会で岳山優に限界まで特上カルビ(一番高いやつ)を請求する決意をさらに固く燃え上がらせながら

 

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