ノッキングマスターの弟子のアカデミア   作:のんびり者

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 前書き書くこともうねぇ。何か質問あればここで返すわ。感想よろしくね。


USJ襲撃

 雄英高校の校門前には、一年A組の生徒たちが揃っていた。

 

「今日は救助訓練だっけ?」

 

 麗日お茶子が楽しそうに呟く。

 

「入試とは違う訓練だから、少し楽しみだね」

 

 蛙吹梅雨が落ち着いた口調で頷く。

 

 その横で瞬は肩に掛けたリュックを背負い直しながら辺りを見回していた。

 

「救助か……」

 

 人を助ける。

 

 その言葉だけで胸が少し高鳴る。

 

(ジジイなら、どんなこと教えてくれるかな)

 

 そんなことを考えていると、一台の大型バスが静かに停車した。

 

「乗れ」

 

 相澤消太の短い一言。

 

「はーい!」

 

 生徒たちは次々と乗り込んでいく。

 

 瞬も最後尾付近の席へ腰を下ろした。

 

 車内では早速あちこちで会話が始まる。

 

「なぁ針山!」

 

 隣へ腰掛けてきたのは切島だった。

 

「今日の訓練も一位狙うのか?」

 

「いや?」

 

 瞬は苦笑する。

 

「順位より、人を助ける方が大事だから」

 

「ははっ! お前らしいな!」

 

 その会話へ上鳴も加わる。

 

「でもさ、お前本当に何者なんだよ」

 

「無個性であれとか反則だろ」

 

「反則じゃないよ」

 

 瞬は窓の外を眺めながら笑う。

 

「ただ鍛えただけ」

 

「だから鍛えただけじゃならねぇって!」

 

 車内に笑いが起こる。

 

 そんな賑やかな空気の中、緑谷だけはノートへ何かを書き込んでいた。

 

(針山くん……)

 

(筋力だけじゃない)

 

(あのノッキングという技術)

 

(あれは人体への知識が異常なくらい深い)

 

(どういう師匠に育てられたんだろう)

 

 ぶつぶつと呟く緑谷を見て、飯田が肩へ手を置く。

 

「緑谷くん」

 

「分析は後にしたまえ」

 

「は、はい!」

 

 再び笑いが起こった。

 

 穏やかな空気のまま、バスは目的地へ到着する。

 

 巨大なドーム状施設。

 

 入口には大きく三文字。

 

 USJ

 

「おぉ……」

 

「すごっ……」

 

 思わず歓声が漏れる。

 

 瞬も目を丸くした。

 

「遊園地みたいだな」

 

「違うわよ」

 

 芦戸が笑う。

 

「"Unforeseen Simulation Joint"」

 

「様々な災害や事故を想定した訓練施設なんだって!」

 

「へぇ」

 

 感心したように頷く瞬。

 

 入口の前では、宇宙服を思わせるスーツを身に纏った一人のヒーローが待っていた。

 

「皆さん、ようこそ」

 

 穏やかな声が響く。

 

「私は13号」

 

「今日は災害救助訓練を担当します」

 

 生徒たちから自然と拍手が起こる。

 

「13号先生だ!」

 

「テレビで見たことある!」

 

 13号は照れくさそうに手を振った。

 

「ありがとうございます」

 

「ですが、まず最初に一つだけ覚えておいてください」

 

 空気が少し引き締まる。

 

「皆さんの個性は、人を救うための力です」

 

「しかし」

 

「使い方を誤れば、人を簡単に傷付け、命を奪う力にもなります」

 

 瞬は真剣な表情で耳を傾ける。

 

「だからこそ」

 

「自分の力に責任を持ってください」

 

 静かな言葉だった。

 

 だが、その一言一言には重みがあった。

 

 相澤が腕を組みながら付け加える。

 

「現場じゃ教科書通りにはいかない」

 

「想定外なんて毎日起きる」

 

「だから今日学ぶのは、対応力だ」

 

 生徒たちが真剣に頷いた、その時だった。

 

 施設中央。

 

 噴水広場付近の空間が、不自然に歪む。

 

「……?」

 

 黒い霧。

 

 まるで空間そのものが溶け出したかのように、闇が渦を巻く。

 

 次の瞬間。

 

 そこから、次々と人影が現れ始めた。

 

 一人。

 

 二人。

 

 十人。

 

 二十人。

 

 数え切れないほどの人影が、USJを埋め尽くしていく。

 

「……何あれ」

 

 芦戸が小さく呟く。

 

「救助訓練の演出?」

 

 誰かがそう言った。

 

 しかし。

 

 相澤だけは違った。

 

 その眠たげな目が、一瞬で鋭く細められる。

 

「全員、動くな」

 

 低い声が響く。

 

「……本物の敵だ」

 

 その一言で、場の空気が凍り付いた。

 

 13号も咄嗟に生徒たちの前へ立つ。

 

「皆さん、私の後ろへ!」

 

 黒い霧はさらに膨れ上がる。

 

 まるで、生き物のように。

 

 その中心から、ゆっくりと一歩。

 

 また一歩。

 

 異様な気配を纏った影が歩み出してくる。

 

 USJの静寂が、音を立てて崩れ始めた。

 

 ────────

 

 目の前に現れた黒い霧と、その奥から現れる無数のヴィラン。

 

 さっきまで訓練施設だった場所が、一瞬で戦場へと姿を変えていた。

 

「全員、下がれ!」

 

 相澤の怒声が響く。

 

「十三号、生徒の避難を頼む!」

 

「はい!」

 

 十三号が前へ出ようとした、その瞬間だった。

 

 黒い霧が生き物のようにうねり、A組全員を包み込んでいく。

 

「なっ……!」

 

「きゃあっ!」

 

「うおっ!?」

 

 視界が真っ黒に染まる。

 

 上下左右の感覚が消え、身体が宙へ投げ出されたような浮遊感に襲われる。

 

(転移……!?)

 

 瞬は咄嗟に身を丸める。

 

 次の瞬間。

 

 ドサッ。

 

 硬い地面へ着地した。

 

 素早く受け身を取り、すぐさま周囲を見回す。

 

「ここは……」

 

 人気のない一角。

 

 崩れたコンクリート。

 

 割れた街灯。

 

 訓練施設の外周部らしい場所だった。

 

「一人か……」

 

 クラスメイトの姿はない。

 

 相澤も十三号も見当たらない。

 

 耳を澄ませば、遠くから爆発音や悲鳴が聞こえてくる。

 

(まずい)

 

(みんなバラバラにされた)

 

 瞬が一歩踏み出そうとした、その時だった。

 

「おいおい」

 

 低い笑い声。

 

 建物の陰から、一人、また一人と男たちが姿を現す。

 

「ガキじゃねぇか」

 

「制服……雄英だな」

 

 五人。

 

 六人。

 

 さらに後ろから数人。

 

 十人近いヴィランが、ゆっくりと包囲を狭めていく。

 

「運がいい」

 

「先生もいねぇ」

 

「ここで終わりだ」

 

 鉄パイプ。

 

 ナイフ。

 

 鎖。

 

 武器を手にした男たちが笑う。

 

 瞬は静かに息を吐いた。

 

「どいてくれないかな」

 

「あ?」

 

「先生のところへ行かなきゃいけないんだ」

 

 ヴィランたちは顔を見合わせる。

 

 そして──。

 

「ギャハハハハ!」

 

「聞いたか!」

 

「ガキが命令してきたぞ!」

 

 一斉に笑い声が響いた。

 

 その瞬間。

 

 一人の男が鉄パイプを振り上げ、真正面から突っ込んでくる。

 

「死ね!」

 

 瞬は避けない。

 

 ただ、一歩だけ前へ出た。

 

 コツ。

 

 人差し指が男の手首へ触れる。

 

「な……」

 

 男の腕が止まる。

 

 勢いのまま前へ倒れ込む。

 

 そのまま肩へ。

 

 足へ。

 

 地面へ。

 

 瞬の指先が、コンクリートを軽く叩いた。

 

「──チェーンノッキング」

 

 コン……

 

 小さな音。

 

 それだけだった。

 

 だが。

 

 地面を走るように、見えない衝撃が広がる。

 

 男たちの足元へ。

 

 壁へ手をついた者へ。

 

 倒れた仲間へ触れていた者へ。

 

 ノッキングは連鎖する。

 

「な、なんだ……?」

 

「足が……!」

 

「動か──」

 

 言葉は最後まで続かなかった。

 

 一人。

 

 また一人。

 

 身体が硬直していく。

 

 腕。

 

 脚。

 

 首。

 

 指先。

 

 全身から自由が奪われていく。

 

「う……」

 

「た、助け……」

 

 ドサドサと音を立て、ヴィランたちがその場へ崩れ落ちた。

 

 全員、意識はある。

 

 だが、誰一人として身体を動かせない。

 

 まるで全身が石になったかのようだった。

 

 瞬はゆっくりと周囲を見回す。

 

「……よし」

 

 戦闘時間。

 

 十数秒。

 

 傷一つ負わず、全員を戦闘不能にしていた。

 

「このままなら、しばらく動けないはず」

 

 そう呟くと、瞬は踵を返す。

 

 目指す先は一つ。

 

「先生」

 

 床を蹴る。

 

 鍛え抜かれた脚力が一気に爆発する。

 

 轟ッ!! 

 

 コンクリートが砕け、瞬の身体が弾丸のように射出された。

 

 廊下を駆け抜ける。

 

 瓦礫を飛び越える。

 

 曲がり角を滑るように抜ける。

 

 走りながら耳を澄ませる。

 

 爆発音。

 

 建物の崩れる音。

 

 怒号。

 

 そして。

 

 金属が叩きつけられるような、重い衝撃音。

 

(あっちだ!)

 

 瞬は迷わず進路を変える。

 

 その先で待ち受ける光景が、この戦いの本当の始まりになるとは、まだ知らなかった。

 

 ────────

 

 轟音が響く。

 

 コンクリートが砕け、鉄骨が軋む。

 

 瞬はその音を頼りに、一直線に駆け抜けていた。

 

(先生……!)

 

 曲がり角を抜けた、その瞬間だった。

 

 目の前に広がっていた光景に、思わず息を呑む。

 

「っ……!」

 

 地面は陥没し、周囲には倒れたヴィランたちが転がっている。

 

 その中心には、一人の男。

 

 相澤消太。

 

 全身は裂傷だらけで、包帯は赤く染まり、額から流れた血が頬を伝っていた。

 

 それでもなお、鋭い眼光だけは失われていない。

 

 その相澤へ馬乗りになっているのは、人間とは思えないほど巨大な体躯を持つ異形のヴィランだった。

 

 紫色の皮膚。

 

 異様に発達した筋肉。

 

 口元から覗く脳。

 

 その姿だけで、生理的な嫌悪感を覚える。

 

(……なんだ、あれ)

 

 人間ではない。

 

 そう直感するほどの異様さだった。

 

 そして、その少し離れた場所。

 

 無数の手を全身に貼り付けた男が、ゆっくりと蛙吹梅雨へ歩み寄っていた。

 

 梅雨は動けない。

 

 十三号も拘束されている

 

 ヴィランは楽しむように腕を伸ばした。

 

「さて……次は──」

 

 その指先が、梅雨へ触れようとした。

 

「梅雨ちゃん!!」

 

 誰かの叫びが響く。

 

 その瞬間だった。

 

 ──瞬が消えた。

 

 いや、誰の目にもそうとしか映らなかった。

 

 一瞬前まで十数メートル離れていたはずの少年が、次の瞬間には手だらけのヴィランの真後ろへ立っていたのだ。

 

「──なんッ!?」

 

 ヴィランが振り返る間もない。

 

 瞬は腰を深く落とし、全身の力を右脚へ乗せる。

 

「邪魔だ」

 

 ドゴォォォォォンッ!! 

 

 鋭い回し蹴りがヴィランの脇腹へ炸裂した。

 

 身体がくの字に折れ曲がる。

 

 次の瞬間、砲弾のような勢いで吹き飛び、柱を何本もへし折りながら遥か彼方まで叩き飛ばされた。

 

 轟音がUSJへ響き渡る。

 

「な……」

 

 梅雨は目を見開く。

 

 十三号も言葉を失った。

 

 相澤だけが、血を流しながら瞬を見据える。

 

(今の移動……見えなかった)

 

 瞬は振り返らず梅雨の前へ立つ。

 

「大丈夫?」

 

「けろ……助かったわ」

 

「良かった」

 

 それだけ言うと、瞬は静かに前を向いた。

 

 そこには。

 

 巨体のヴィランが立っている。

 

 全身が紫色の筋肉で覆われた、人とは思えない異形。

 

 相澤が苦しそうに声を絞る。

 

「……針山……」

 

「そいつは……普通じゃない……」

 

「分かってます」

 

 瞬はゆっくり拳を握った。

 

 巨体のヴィランもまた、瞬だけを見据えている。

 

 そして。

 

 地面を砕きながら飛び出した。

 

「ッ!」

 

 瞬も同時に踏み込む。

 

 二つの影が、真正面から激突した。

 

 ドゴォォォォン!!! 

 

 拳と拳。

 

 その衝突だけで衝撃波がUSJ中へ広がる。

 

 床がめくれ上がり。

 

 瓦礫が宙へ舞う。

 

「ぐっ……!」

 

 瞬は数歩後退した。

 

(重い……!)

 

 拳が痺れる。

 

 今まで戦ったどんな相手よりも硬い。

 

 それでも。

 

 巨体のヴィランの腕へ、小さな打痕が一つ残っていた。

 

 だが。

 

 その傷は。

 

 みるみる内に塞がっていく。

 

「……再生?」

 

 瞬が呟く。

 

 さらにもう一度拳を打ち込む。

 

 肘。

 

 脇腹。

 

 顎。

 

 どれだけ打撃を加えても。

 

 壊れた肉体が瞬く間に元へ戻る。

 

「……ちっ」

 

(治る)

 

(しかも速い)

 

 そこへ巨体のヴィランの拳が振り下ろされる。

 

 瞬は紙一重で回避。

 

 床へ拳がめり込み、大地が爆ぜた。

 

「なんて馬鹿力だ……!」

 

 距離を取りながら、瞬は呼吸を整える。

 

(力もある)

 

(再生もある)

 

(普通に壊すだけじゃ終わらない)

 

 瞬は巨体のヴィランの猛攻を紙一重でかわし続ける。

 

 拳が頬をかすめる。

 

 蹴りが肩を裂く。

 

 それでも止まらない。

 

 避けるたびに、人差し指、中指、肘、膝、踵。

 

 ありとあらゆる部位で、一撃ずつノッキングを打ち込んでいく。

 

 肩。

 

 肘。

 

 首筋。

 

 脇腹。

 

 膝裏。

 

 目では追えないほどの応酬の中、打撃は確実に同じ系統の神経へ積み重ねられていく。

 

 傍目には、ただ攻防を繰り返しているようにしか見えない。

 

 しかし瞬だけは違った。

 

 指先から返ってくる僅かな感触。

 

 筋肉の張り。

 

 神経の伝わり方。

 

 その全てを感じ取っていた。

 

 そして、一度距離を取る。

 

 巨体のヴィランを静かに見据え、小さく呟く。

 

「……まだレアか」

 

 仕込みは十分に入っている。

 

 だが、全身へ浸透させるにはまだ浅い。

 

 あと少し。

 

 もう一段階、火を通す必要がある。

 

 瞬はゆっくり腰を落とした。

 

「それじゃあ……続きだ」

 

 再び地面を蹴る。

 

 その姿は、獲物を仕留める狩人ではない。

 

 一つの料理を完成させようとする料理人のように、静かで、迷いがなかった。

 

 ────────

 

 巨体のヴィランが地面を砕きながら突進する。

 

 瞬は真正面から迎え撃った。

 

 拳と拳がぶつかる。

 

 轟音。

 

 衝撃波が周囲の床石を吹き飛ばす。

 

 だが今度は打ち合うためではない。

 

 瞬の身体は流れるように巨体の懐へ潜り込み、人 差し指、掌底、肘、膝ありとあらゆる部位で神 経の節目へ打撃を刻み続ける。

 

 肩。

 

 鎖骨。

 

 肘。

 

 脇腹。

 

 背筋。

 

 股関節。

 

 膝裏。

 

 足首。

 

 一撃一撃は浅い。

 

 しかし、それらは確実に積み重なっていく。

 

 巨体のヴィランは咆哮を上げ、拳を振るう。

 

 その一撃一撃は山を砕くような威力だった。

 

 瞬は紙一重でかわし続ける。

 

 頬が裂ける。

 

 腕を掠める。

 

 制服が破れる。

 

 それでも止まらない。

 

(あと少し)

 

(あと少し通せばいい)

 

 再生能力は健在。

 

 打撃吸収も健在。

 

 だが、それらとは関係なく、神経への刺激だけは 確実に蓄積されていた。

 

 瞬は一度だけ後ろへ飛び退く。

 

 深く息を吐く。

 

 そして、巨体のヴィランを見据えた。

 

「ミディアム」

 

 その一言に、相澤だけが目を細める。

 

(何を言っている?)

 

 瞬は静かに拳を開いた。

 

「もう少しで完成だ」

 

 その瞬間だった。

 

 巨体のヴィランが大地を砕き、今までで最速の速度で飛び込んでくる。

 

 誰も反応できない。

 

 だが。

 

 瞬だけは笑った。

 

「待ってた」

 

 踏み込む。

 

 すれ違う。

 

 その一瞬。

 

 人差し指が首筋へ。

 

 掌が脇腹へ。

 

 膝が股関節へ。

 

 肘が肩口へ。

 

 最後の仕込みが、一瞬で終わる。

 

 二人は互いにすれ違い、そのまま数歩進む。

 

 瞬は足を止めた。

 

 振り返らない。

 

 背後では巨体のヴィランも立ち止まり、その巨体を微かに震わせている。

 

 静寂。

 

 風だけが吹き抜ける。

 

 そして瞬は、小さく呟いた。

 

「──ウェルダン」

 

 その瞬間。

 

 ドクン。

 

 巨体のヴィランの全身が大きく震えた。

 

 腕が止まる。

 

 脚が止まる。

 

 首が止まる。

 

 筋肉という筋肉が硬直し、神経が完全に沈黙しする。

 

 巨体のヴィランは立ったまま、一切動かなくなった。

 

「……!!」

 

 相澤が目を見開く。

 

 梅雨も13号も言葉を失う。

 

 あれほど暴れていた怪物が、まるで石像になった かのように静止している。

 

 瞬はゆっくりと振り返り、その姿を確認すると、 小さく息を吐いた。

 

「よし」

 

「これで完全にノッキング完了」

 

「しばらくは動けない」

 

 その言葉に、その場にいた全員が息を呑んだ。

 

 "倒したのではない。

 

 "捕らえたのだ。

 

 殺すことなく、完全に無力化した。

 

 それはヒーローとして理想的な制圧だった。

 

 相澤は血を流しながらも、小さく笑う。

 

「見事だ」

 

「ありがとうございます」

 

 瞬は照れくさそうに頭を掻いた。

 

 その時だった。

 

 遠くから複数のサイレンが鳴り響く。

 

 救援だ。

 

 プロヒーローたちがUSJへ到着し始めたのである。

 

 ヴィランたちは一斉に動揺する。

 

「増援だ!」

 

「逃げろ!」

 

 各地で逃走を始めるヴィランたち。

 

 USJの戦いは、大きく終息へ向かい始めていた。

 

 瞬は静かに空を見上げる。

 

「みんな、無事だといいな」

 

 





 読んでくれてサンガツ!
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