無人島試験が始まってから既に10時間が経った。
1年生のグループは1年Bクラスの八神の提案で4クラスが混在したグループになっている。
BからDクラスの生徒と共に過ごすことは今後の3年間のどこかでもあるとは思っていたが、こんなにも早いとは想定外だった。
想定外と言えば、もう1つある。
「石上くん、少しいいかな?」
「加賀か。構わない」
「試験が始まる前に言ってた斉木先輩と高円寺先輩のことなんだけどさ」
今、1年Dクラスの加賀が口にした斉木先輩こと斉木楠雄。
こいつ……いやこの人が俺にとっての最大の想定外だった。
俺は元々、尊敬する綾小路先生の紹介でこの高度育成高等学校に入った。
綾小路先生としては息子である綾小路清隆の監視の意味でも俺にこの学校を勧めたのだろう。
綾小路清隆の実力がどんなものかは俺には分からないが、それを俺や他の1年に見せるための場としてなのか、綾小路清隆の能力が落ちていないのかを確認するために入学早々に1年生の一部に綾小路清隆退学試験が発表された。
退学させられるのであればその程度と俺は判断を下せるためこの試験は都合が良かったが、俺自身は綾小路清隆に手を出す気はなかった。
はじめに手を出したと思われるのは政界とは無縁の荒くれ者である宝泉和臣。
聞いた話では2年Dクラスと契約をするためにクラスメイトの七瀬翼を引き連れて2年生のフロアを訪れたらしい。
そこで2年Dクラスのリーダーであり生徒会役員でもある堀北鈴音と、クラスメイトの須藤健と遭遇。
更には地元が同じで因縁のあるらしい2年Cクラスのリーダーの龍園翔と部下である石崎大地、伊吹澪とも遭遇。
かつて地元で名を馳せた不良同士、喧嘩を申し込んだが龍園は「やめとけ」と固辞したらしい。
問題が起きたのはここからだ。
宝泉は龍園を挑発するために部下の伊吹の首を掴み、持ち上げ、龍園や他の2年生が介入してくるのを待っていたらしい。
そこに現れたのが斉木楠雄という2年Aクラスにして、現在OAAという生徒の能力値を公開するアプリで最上位のオールA+の数値を持った男だ。
後から気づいたことだが、斉木先輩は俺と僅か3歳差しかないのに高校を飛び級しケンブリッジ大学に入学したあの斉木空助の弟だった。
斉木先輩は宝泉を不意打ちの膝カックンで制圧し、伊吹を助けると、頭に血の上った宝泉の攻撃を全て躱した。
これ以上騒ぎを起こすのなら七瀬が綾小路清隆退学試験のことを公にすると忠告したため、その場は収まったようだ。
これだけを聞いても斉木先輩の底は全く見えなかった。
不意打ちとはいえ宝泉に膝をつかせ、正面からの攻撃も躱し、宝泉のヘイトを全て自身に向けさせた。
既にこれだけの情報でも十分注目に値するというのに、その後行われた2年生と1年生でのペアで臨む学力試験でも大学入試のレベルがあったにも関わらず学力A+の実力に違わず満点をとった……と周囲は思っているだろうが、どうして高校2年生のテスト問題に大学入試レベルの問題があるのか。
いくら学力A+と言えど、未学習の範囲の問題は解きようがないはずだ。
学校側が100点を取らせないために用意した理不尽な出題と揶揄されてもおかしくない問題を斉木先輩と、彼と今グループを組んでいる高円寺六助先輩は全て解いてしまった。
そこから俺の中での斉木先輩への認識は変わっていった。
1年生の間でのみ行われた特別試験において、Cクラスの波多野という生徒が退学になった時、俺は斉木先輩に相談を持ちかけた。
「すみません、また待ち伏せしてしまって」
『そう思うならやめた方がいいんじゃないか?』
「連絡先を知ろうにも、斉木先輩の連絡先を持っている先輩が多くないのと、持っていても勝手に教えたらネチネチ言ってきそうだから……と断られてしまいまして」
全学年に顔の広い2年Dクラスの櫛田桔梗なら知っているんじゃないかと近づき、連絡先を教えて貰えないか聞いたらそんな返しがあったことを伝えると斉木先輩は『やれやれ』とため息をついた。
そして、用件はなんだという目を向けてくるので俺は先日1年生の間で行われた特別試験のことと、波多野が退学したことを伝える。
『それがどうかしたのか?』
「俺は波多野は誰かに嵌められたと踏んでいます。その候補に宝泉があがりますが、アイツらしくない。そう感じます。そして宝泉を大人しくさせた斉木先輩なら何か解決の糸口を持っているのではと思ったんです」
宝泉がやったことに関しては情報が少なく、暴力や脅迫を使ってでの退学ではなかった点から俺は早々に容疑者から外していた。
しかし、では誰がそんなことをしたのかという点が残る。
波多野は1年Cクラスでも頭のキレる生徒であり、他クラスとも交流のある男で、試験後には生徒会役員に立候補すると前向きな姿勢を示していた。
そんな波多野を退学させるのは簡単ではないし、波多野である必要性を感じなかった。
『そんなに買い被られても困る』
「……そうですか。斉木先輩はすごく頭の回る名探偵のような人だと椎名ひよりから聞いていたんですが、彼女の勘違いでしたか」
俺はペア試験以降、校内の散策も兼ねて、2年生を中心に斉木先輩のことを聞いて回っていた。
建前はペア試験で世話になったから何かお礼がしたいため、どんなことが好きかを聞いたり、尊敬できる先輩だと判断して参考にしたいと今までどんなことをしてきたか、どんな人かなどを聞いたが斉木先輩に近しい人ほど評価は高いものだった。
『名探偵なんてそんな大層なもんじゃない。それに僕が本当に名探偵ならこの学校は事件まみれになる』
そんなことは無いと思うが……ただ事件が起きなければ名探偵の出番はないのは事実だ。
だとすれば、斉木先輩が椎名からそう思われているのは今まで2年生が1年生に上がるまでの間にあった事件を解決してからとなるが。
『あと、椎名さんには先輩を付けないのは何故だ? 話を聞かせてもらったのなら最低限の敬意は払うべきじゃないのか?』
「……それは、そうですね。すみません」
僅かに見せた怒気に、政界のパーティなどで度胸がついたと思っていた俺はまだまだなのだと気付かされた。
手に汗が滲み、以降の言葉には注意を払わないといけないと思わされたからだ。
『波多野の件には興味がないが、現象には必ず理由がある』
そう言いながら斉木先輩は俺にいくつかのアドバイスを送ってくれた。
波多野を退学にすることで犯人が達成したことは何かを考えること、頭が良く協調性がある波多野が退学になったのなら犯人は波多野と近しい人物である可能性があること。
そこから俺は真犯人として八神拓也の名前が浮上していたが、確証は無い。
グループ決めの途中、答え合わせのため斉木先輩に聞いてみたが明らかにとぼけているという顔をされて、戸惑っている間に逃げられてしまった。
あの反応からすると、多分斉木先輩も同じ結論なのかもしれない。
1年生の情報は櫛田……先輩から得られるだろうし。
八神が真犯人だったとしても証拠がない以上、本人に聞いてもはぐらかされるだけだろう。
退学した波多野の姿がないのだから、証言も得られない。
しかし、斉木先輩への認識を改めるには十分な証拠が集まりつつある中で、宝泉がやや大人しくなっていることと2年生のフロア、特に2年Aクラスとの接触を避けていることに気づき、そして彼がこの1年間でしてきたことを聞いた俺は斉木先輩への評価を終わらせた。
加賀を含めた1年生たちにこれらの事を話したところで意味がないと判断した俺は、聞く耳を持たなかった天沢を除いたAクラスの生徒に斉木先輩は災害のようなものだと伝えた。
それはこのグループにも言った。
「……あれは災害だと言っただろう。こちらの想像を遥かに超えてくる存在だ。気にするだけ徒労に終わる」
「う、うん、本当にそうだったらしいよ。さっき、クラスの奴らに無線で聞いたんだけどさ。今日あった課題のほとんどに顔を見せて1位になって行ったって」
今日行われた課題の数は全部で68。
その全てとは言わないがあの2人が出没したCとDエリアにいた1年生グループは相当な被害を受けたようだ。
辿り着いても辿り着いてもあの2人がいた挙句、どちらかが課題に参加し、1位を掻っ攫っていく。
俺の見立てでは既に獲得した得点は到達報酬も合わせて50を超えているだろう。
俺たちはFエリアなので今日は遭遇しなかったが、明日以降はどうなるか分からない。
「もし会ったとしても敵意を向けたり、先輩の親しい人に危害を加えるようなことをしなければ、あちらも接触はしてこないはずだ」
「け、けど、得点が」
「2位と3位になれば手に入れられるが、あの2人にペースを乱されては最終日までに体力が残らないぞ」
今、無理して得点を重ねるよりは、得られる得点を着実に得ていく方が賢明と判断した。
1位は取れずともエリア移動と課題を着実にこなしていけば少なくても下位5組に沈む可能性は限りなく薄い。
「わ、わかったよ」
加賀は納得してくれたのかそれ以上斉木先輩のことを気にすることはなかった。
俺たち1年生の目的はあくまで下位5組に沈んで退学にならないこと。
そのための4クラス合同グループだ。
俺と同じグループになったからには退学させる気はないし、他のグループに散ったクラスメイトも同様だ。
ただ独善的に勝手な行動を取る奴らの面倒は見てやれない。
しかし、斉木先輩の話を聞いている中でかなり気がかりな存在を耳にしたことを思い出す。
「プライベートポイントマンか……」
「ん? どうしたんだ?」
ふと、高育2年生の間に伝わる退学のかかった試験にのみ現れる謎のヒーローとやらの話を思い出してその名を呼ぶと、Bクラスのメンバーが首を傾げてくる。
俺は「なんでもない」と首を振ると、明日に備えて早めの睡眠を取ることにした。
まだ試験は始まったばかりだからな。
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無人島サバイバルが始まってから3日が経過した。
オレは午前9時を迎える直前にI8の南東にいた。
昨日は課題で一緒に居合わせた須藤のグループと1夜を過ごし、途中まで同じ方向ということで道を共にしていたがI9の課題へと向かうため別れた。
「とりあえずJ9まで移動する」
「9時の時点で指定エリアになる確率を下げるためですね?」
「ああ」
七瀬が答えたように、ここからなら数分とかからずにエリア移動ができる。
1年Dクラスの七瀬とは学年が違うため、グループを組むことができず、共にするメリットはないのだが、テーブルが同じということ、七瀬のグループメンバーである宝泉と天沢とはぐれてしまったため、七瀬からの頼みでこうして共に行動している。
恵に見られると面倒なことになりそうではあるが、七瀬との指定エリアが被っているのが本当に偶然なのか、あるいは……。
ただ、七瀬から時折不穏な雰囲気や目線を感じることはあれど、昨夜の池への言葉は真剣そのものだった。
会えなくなってしまったら、大好きな人に会えなくなってしまったら、好きだというその想いを伝えることが出来なくなると涙ながらに語った七瀬のおかげで池はいつもの前向きさを取り戻した。
1度だけ斉木に、七瀬をどう思うかと聞いたことがある。
『普通にいい子なんじゃないのか?』
本を読みながら、あっさりと答えた斉木に理由を尋ねるも、あいつはなんとなくとしか言わなかった。
オレより関わった時間が少ないものの、斉木なりに七瀬に何かを感じるものがあったのだろう。
斉木を信じるというわけではないが、罠なら罠でそれはオレが間抜けだったと受け入れてなんとかするしかない。
それに今はこの無人島サバイバル試験を退学せずに終えることに集中するべきだ。
近くでビーチフラッグスの課題が行われているため、オレたちは参加すべくそちらへと向かう。
J6に入り、課題の目の前にまで到達するも参加人数の8人を上回る男子の数が存在しているように見える。
グループからは1人しか参加出来ないためチャンスはあるはずだと受付に近づくと3年生たちが話し込んでいるのが見えた。
その会話の中心には生徒会副会長の桐山の姿が見える。
「おい、どうして高円寺の参加を許した」
「悪い……俺たちが着くよりも先に既にいたんだよ」
「バカ言うな昨日の夕方Gエリアにいたやつらが、なんでもうJにいるんだ? テレポートでもしたって言うのか!? バカバカしい……!」
「桐山くん落ち着きましょうよ……」
どうやら3年生たちは規格外のあの2人の行動力に振り回されているらしく、まだ3日目なのに追跡を担当している3年生の顔には疲労の色が出ていた。
声を荒らげていた桐山はオレの存在に気付くと舌打ちをして、受付前から離れていく。
その不思議な動きを気にしつつももう片方の担当者へと声をかけたが、男子の方は定員がいっぱいになっているようだった。
定員の揃った男子は早々に着替えに入っていき、その中には高円寺の顔も見えた。
ということは……と、斉木の姿を確認する前に女子の方の空きを聞くと、1人空いていた。
それを後ろで聞いていた七瀬が顔を覗かせる。
「綾小路先輩が出来ないなら、私は見送ります。お待たせしては申し訳ないですし」
「いや、少し休憩したいと思っていた。七瀬は参加した方がいい」
「しかし……」
遠慮する七瀬にオレは続けた。
「オレにエリア到達の着順報酬を譲っている以上、得点の開きもできつつある。勝てるかどうかは別問題だが、勝機があると思うなら参加した方がいいだろう」
時間制限まではあと10分で、七瀬がエントリーすれば定員に達してしまう。
時間のロスもなく挑むことができるし、悪くない話だと思う。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて……」
そう言って受付に参加を申し出た七瀬を、見送って直射日光を避けるための待機用のテントへ移動し、斉木の姿を見つける。
「よう」
『ああ』
声をかけると斉木は短く返事をする。
高円寺に付き合わされて疲れているかと思ったがいつも通りらしく、視線の先には海があり、ぼーっと眺めていた。
そんな斉木の隣に座り、オレは口を開いた。
「随分と飛ばしているみたいだな」
『高円寺に任せているからな。僕はただついていっているだけだ』
高円寺のペースがどれ程のものかは分からないが、先程の桐山や他の3年生の話が本当ならかなりのハイペースでの移動なのだろう。
簡易更衣室から出てきて着替えを終えた男子生徒たちを見ると、基本的にオーソドックスなダボッとしたハーフパンツタイプが多い中、高円寺のみブーメランタイプのパンツを履いていた。
男子の参加メンバーは高円寺を除けば3年生のみで、対する女子も七瀬以外の7人は3年生で構成されていた。
グループから参加できる生徒は1人。
男女混合でも1つのグループにつき男女共に1人までのエントリーであるため、最低でも14組の3年生たちが集結していることになるが、桐山と共に離れていった3年生グループを見るに本来は高円寺の枠は桐山のグループが参加する予定だったのだろう。
まさかとは思うが3年生は複数のグループ……団体で動いているのか?
学年を支配しているという南雲であれば可能な芸当なのかもしれないが、指定エリアにせよ課題だけのためにせよ、他学年の姿を見かけないというのは普通では無い。
「斉木、3年生のグループに追いかけ回されたりしていないか?」
尋ねてみると斉木は嫌そうな顔で頷いた。
聞けば野営の際も近くにテントを張られて見張られているようだ。
不愉快ではあるものの無視して過ごし、彼らが目覚める前に早々に離れたらしい。
どうやらというか、やはり南雲は斉木と高円寺ペアをかなり警戒しているのか相当な人員を割いているらしいが、2人にとってはハエのようなもので、鬱陶しくはあるが取るに足らないものなのだろう。
両者ともに3年生に負ける未来が見えないからな。
実際、男子のビーチフラッグスが始まると1対1で戦って勝った生徒が次戦に進んで3回勝てば優勝というシンプルなトーナメント戦で高円寺は当たった3年生を歯牙にもかけずに勝利する。
3年生同士の試合は八百長や忖度などは見られずに普通に進行しており、白熱した試合を見せている中、女子たちも着替えを終えて集まり始めた。
8人中5人の女子がスクール水着を選んでいる中、七瀬の選んだ水着はなかなか大胆で攻めている気がする。
男子の戦いに決着が付くまでは自由に待機して構わないようで、七瀬は斉木といるオレに気づいたのかこちらへやってきた。
「斉木先輩、こんにちは」
七瀬にそう挨拶された斉木はぺこりと頭を下げる。
それで終わった。
なんというか、斉木は話せば話しやすいんだが、こちらから話を繋がないと続かないのがやや難点なところがある。
2人の会話が発生しなかったのでオレは気になったことを尋ねた。
「七瀬、なんというか可愛い水着を選んだんだな。それに理由はあるのか?」
「理由ですか? テレビで見るビーチフラッグスってこういう水着でやってるイメージだったのでスクール水着で参加するのはおかしいのではと……私、間違っていますか?」
シンプルなスクール水着でいいんじゃないかと思っただけで、テレビ等のことを言っているのであればきっと間違っていない。
頷いたオレに対し、不動の斉木に七瀬は不安を覚えたのか首を傾げた。
「あの、斉木先輩はどう思いますか?」
『いや、テレビでビーチフラッグスを見たことがないからわからない』
海に来た人間がやる遊びとして多いものな、昨今のバラエティやスポーツ番組では取り扱っていないのか斉木は覚えがないらしくそう答えた。
男子の試合が佳境に入ったところで準備体操を始めた七瀬を横目に、何事もなく勝利した高円寺が着替えずにやってくる。
「おや、綾小路ボーイに確か4月のペア試験で私と組んだ七瀬ガールだねぇ」
「お久しぶりです、高円寺先輩」
先程の斉木のようにぺこりと一礼した七瀬は、女子の部が始まるため「失礼します」と言って対決の場へと移動していく。
相手は全て3年生という中で七瀬は圧勝し、参加賞の水を片手に戻ってきた。
「お疲れ、七瀬」
「素晴らしい活躍だったねぇ」
「ありがとうございます、なんとか勝てました」
多少肩が上下して息が乱れていたが、全力を懸けたという印象は薄い。
まだ余力を残した上での勝利だと感じた。
1年生と3年生では後輩の方が不利に見えて、女子は比較的早い段階で身体的なピークを迎える傾向にあるし、ビーチフラッグスは競技経験がある生徒の方が少ないため、今回はシンプルに身体能力がものを言ったのだろう。
「綾小路ボーイ」
「ん? なんだ高円寺」
「七瀬ガールの身体がattractiveとは言え、見すぎだよ」
「なっ」
高円寺にそう言われてオレは観察と分析のために七瀬の身体をガン見していたことに気付く。
『ふっ』
「ちが、これは誤解だ、七瀬」
「い、いえ、すみません……その、着替えて来ます……」
鼻で笑った斉木に、少し困った七瀬に言い訳するようになってしまうが決して高円寺が言うような意味では無いと伝えるも、七瀬は逃げるように離れてしまう。
「これからは女性の身体を見る時は、視線に気をつけたまえよ。君は軽井沢ガールと付き合っているのだし」
「あぁ、そう…………っておい、今なんて言った?」
「ん? 私はおかしなことを言ったかね、楠雄」
『いや』
いや、言っただろう。
軽井沢とオレが付き合っていると。
まさか、バレているのか?
斉木にも?
『4月くらいからじゃないのか?』
「君はポーカーフェイスだが、ガールの方が分かりやすすぎるねぇ」
こいつらが友達が少ない……いや、他人に言いふらすようなタイプでなくて良かったな。
オレはバレても構わないし、恵も早く言いたいとは言っていたが不意な形でバレるのは避けたかった。
「悪いがこのことは」
「そんな無粋なことはしないさ」
『言う相手がいないんでな。ところで、高円寺いつまでその格好でいる気だ?』
「このままというのはいけないかね?」
『目立つから着替えてきてくれ』
「仕方ないねぇ」
「どうせレンタルだろうしねぇ」と呟きながら高円寺は更衣室へと向かった。
それに合わせてかは知らないが、他の3年生が撤退を始める中、遠目で見ていた桐山がこちらにやって来ていた。
「斉木……お前、余計なことはするなと言ったよな?」
『グループを組んだ奴がアレなんだから仕方ないだろ』
「くっ……!」
ふむ、説得力しかないな。
桐山が斉木に何を言ったのかは知らないが、大方3年生の邪魔をするなと言ったところか。
邪魔をしているのは3年生の方に見えるが、逆に振り回されている。
そんな状況に苛立っているのだろう。
「……南雲に余計なことは話すな。わかったな?」
圧をかけるように桐山が凄むも斉木は『はいはい』と適当に答えていた。
舌打ちしながら、桐山は視線を遠方の海へと向けた。
それに釣られて見てみれば浅瀬の方で動く人の姿が複数ある。
生徒会長である南雲が、彼とグループを組んでいる女子らと遊んでいる姿が見えた。
南雲もこちらに気付いたようだが、斉木が海ではなくテントの支柱を見つめているのを不服そうに睨み、オレに斉木をこっちに向かせろとジェスチャーを送ってくる。
「斉木、南雲会長が呼んでいるぞ」
『さっき余計なことは話すなと言われたから無理だ』
そう斉木に言った桐山は次の場所に向かうのかグループの仲間を連れて砂浜から森へと向かって行った。
一向に振り向かない斉木に痺れを切らしたのか、南雲は遊んでいた女子たちに一声かけてこちらへと歩いてくる。
「こっちに来てるぞ」
『高円寺がそろそろ着替え終わるだろうから迎えに行ってくるか』
地につけていたお尻を上げて、バックパックを背負った斉木はそそくさとテントから離れていく。
その背中に南雲が「おい! 斉木! クソ! 待て! お、おい! ほら、アイス! アイスやるから! こっち来いよ!」と言われるとピタリと足を止めて『やれやれ』と肩を竦めて南雲の方へと向かって行った。
相変わらずの姿に苦笑していると着替えを終えた七瀬が戻ってきていた。
「お待たせしました……って、斉木先輩と南雲生徒会長ですね。仲がいいんですか? アイスを貰ってるようですけど」
「……まぁ悪くは無いんじゃないか」
アイスだけ受け取って帰ろうとする斉木を南雲と朝比奈が引き止めているのを見るに、上級生に対してもマイペースな態度なのだろう。
南雲雅だからこそできる斉木の惹きつけ方とも言えるアイスだが、先に渡してしまっては意味がない。
なんなら戻ってきた高円寺にもたかられていた。
「いいですね、アイス。私も欲しいです」
「えっ」
七瀬がそう呟くと、斉木がオレたちの方へと手招きする。
「お、おい、これ以上は……」
『生徒会長ともあろうものがケチだな。堀北元会長なら快く渡してくれたぞ』
「それはお前にだけだ! 俺なんてなぁ……!」
「まぁまぁ雅、私の分、あげるからさ」
「ありがとうございます!」
『さぁ食え食え』
「お前のじゃないだろ!」
……まぁ、仲は悪くなさそうだな。
ひとまずオレは無害な存在として少し後ろに立っておくことにしよう。
本番は4日目からだと思っている南雲さん、ギャグ落ちしてしまっている模様
桐山くんだけがシリアス担当の頼りです……最後まで頑張ってください
監視の指示は桐山がしたもので南雲は(したところでだろ……)と思っている。
計画通り得点のコントロールは指示しているが、斉木と高円寺が暴れすぎててペースが乱されている
ただそれに合わせて計画を変えるとまた乱れるため、本番は4日目に据えたままなのでのんびり遊んでる
いちいち報告されてくる高円寺グループの動向には(移動速度速すぎだろ)と思いつつも桐山のお薬になると思って特にアドバイスを送ったりはしていない
お前も斉木楠雄に負けないか? 負けなければ殺す(Aクラス移動券消失)
くーちゃんはビーチフラッグスの課題周りに南雲や3年生がいるのを把握していたので消極的だったが高円寺がやりたいと駄々を捏ねたので仕方なく行った。
斉木は七瀬たちと別れる前に、七瀬の水の残りが少ないのを透視で見ていたので『苦痛に耐えられぬ時これを飲むといい』と水を渡している。
まぁ七瀬たちはこの後競走の課題クリアで水を貰えるんだけどね。
課題クリアしすぎて食料と水に溢れているので七瀬や綾小路以外にも、知り合いだろうが初対面だろうがどっちか不足してたら渡している。
高円寺は「好きにしたまえ」と自分の分は確保して不要なものはくーちゃんに任せてる。
(これが社会貢献性A+かぁ……)(神だ……)と1、2年生には思われている
嫌がらせをしてくる3年生は放置の模様
南雲「斉木を敵に?やめとけやめとけ。あいつは敵には容赦がないんだ」
と、南雲が朝比奈以外にも言っていれば結果はマシだったかもしれない。
石上が話を聞いた生徒は楠雄の知り合いだと櫛田、椎名、柴田、橋本の4人。
クラスが違う方が色んな見方があって情報が得られると思ったため。
くーちゃんには探られていることはもちろんバレているが危害を加えたりする訳じゃないしいいかと放置されている
言った4人はくーちゃんが褒められて自分の事のように嬉しかったから結構ペラペラ話してしまっている
昨日はくーちゃんの誕生日で作中では一之瀬さんの誕生日だったらしいです
2人ともおめでとうございます
試験前という状況的にお祝いは夏休み初日に済ませたか試験後にどこかのタイミングで済ませたとかになるのかなーと予想
まぁ原作一之瀬さんはそれどころじゃなかったのでされなかったのかもしれないが
今作ではしっかり祝え!されています。
今回はここまで
明日はマジで空くと思う
空くことに花京院の魂を賭けよう
南雲は
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まだ強キャラ
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ようこそギャグ落ちへ
-
どちらもありうる