ようこそ超能力者のいる教室へ -2年生編-   作:オールF

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最初に言っておく。この話はかーなり、短い
短いけどちゃんと更新するオレ、参上!
君、僕の小説読んでみる?
答えは聞いてない!
お前の感想に俺が泣いた!
更新、満を持して


4巻 無人島サバイバル後編
暗躍する(あやかし)


 七瀬との戦闘を終えたオレは、彼女がオレに戦闘をしかけてきた理由を聞いた。

 端的に言えば尊敬する幼なじみがオレのせいで死んだと月城に聞かされ、復讐のためにこの学校に来たと言う。

 オレを退学させることができれば松雄親子の人生を奪った綾小路篤臣、オレの父親が頭を下げるという条件を呑んで。

 しかし、あいつは七瀬がオレを退学にしてあの部屋に戻すことに成功しても、七瀬の前に姿を現すことはしないだろう。

 その話の後だった。

 大雨で視界と音が悪い中、オレは背後から近づいてくる嫌な気配を感じて、振り返った。

 オレが目を向けると同時に勢いよく立ち止まった生徒、天沢一夏は穏やかに笑った。

 

「大雨になりそうですねー、せんぱい」

 

 テーブルが同じであることは七瀬とグループを組んでいるため既知の事実であるが、ここに現れたのは偶然とは思えない。

 周辺に他の生徒の姿もなく、バックパックやタブレットを持っている様子もない。

 どうやってここまで来たのかも気になるが、今まで見てきた天沢の雰囲気とはどこか異なるのも違和感を覚えた。

 左手に持つ太い木の棒から、オレか七瀬を襲うというプランだったのかもしれないが、この状況では断定材料が無さすぎる。

 天沢が現れた理由を模索していると、体力に不安の残る七瀬がオレを庇うようにして前に回る。

 

「綾小路先輩、私の後ろに下がってください」

「あれ? あたし七瀬ちゃんに歓迎されてない? 同じ小グループなのに?」

「その手に持ってるものはなんですか?」

「コレ?さっき拾ったの。イカすでしょ? まぁいらないんだけどね」

 

 持っていた木の棒を茂みへと放り投げて、手を挙げた天沢は自分が丸腰であることをアピールする。

 だが七瀬が警戒を緩めることは一切なかった。

 

「あなたは……何しにここに来たんですか?」

「1つは綾小路先輩と話に来たから。もう1つは七瀬ちゃんと合流するため」

「……私と?」

 

 予想外だったのか七瀬は僅かに警戒を緩める。

 だが、天沢は別にそれが狙いではなかったのか特に奇襲を仕掛けてくる素振りもない。

 天沢がこの場に現れたことには何らかの意味があるはず。

 

「ここには何をしに来た。いや、どうやってオレたちを見つけたんだ?」

 

 このまま雨に打たれ続けるのは、時間と体力の浪費になる。

 まだ続く特別試験を思えば回避するべきだ。

 

「じゃあ、まあ手短に。綾小路先輩と話がしたいからさ。七瀬ちゃんはちょっとだけ席を外してくれない?」

 

 天沢は少し下った先に雨風を凌げる大樹の木陰があることを七瀬に伝えるが、七瀬は首を振った。

 

「ここで話せばいいじゃないですか」

「それは無理かなぁ。ホワイトルームに関係している話、だからね」

 

 七瀬が驚きつつオレの方へと視線を向けてきた。

 1学期の間、ホワイトルーム生がこの高校に入ってきたことは月城から匂わされていた。

 しかし、正体を掴むことができずにこの無人島試験に臨むことになった。

 それがまさかの自白という形で知ることになるとはオレも思わなかった。

 

「先輩に手荒な真似とかはしないからさ」

「七瀬、すまないが」

 

 七瀬に不安や不満はあるだろうが、オレは天沢が本当にホワイトルームの刺客かどうかを見極める必要がある。

 もし、本当に天沢がホワイトルーム生であれば七瀬には聞かせられない話もあるだろうし、今の七瀬の状態では天沢を相手にすることはできない。

 そう判断して天沢の言う木陰まで後退してもらい、話が終わればオレも行くことを伝える。

 七瀬がいなくなると、天沢はぬかるむ大地を踏み、手を伸ばせばオレへと触れられる位置までやってくる。

 

「どこから話そうかな」

 

 どこか落ち着いた様子の天沢は、同じホワイトルームにいたことを証明するかのようにオレが受けたことのあるカリキュラムや構築理論、相対性理論の話を出す。

 さらにはホワイトルームという施設の特徴、どこに何があるか、娯楽のない無機質な空間であること、教官の名前はオレと期が違うため意味無いかなと口にはしなかったが、要点だけを月城に聞かされたという線はとっくに消えていた。

 こいつは間違いなくホワイトルーム生だと、オレは断言できた。

 

「わざわざしおらしく登場して、正体を明かすメリットはなんだ?」

「しおらしく? まぁそう見えるかもね。ここに来たのはあたしが先輩の敵じゃないよってことを言いに来たから」

「それは矛盾してるな。ホワイトルーム生はオレを退学させるために送り込まれた刺客のはずだ。敵じゃないというのは話の辻褄が合わない」

「綾小路先輩の4期生より後の世代は綾小路先輩に強い嫉妬心を抱くように教官たちから洗脳されてたからさ、5期生の私たちを使えばその嫉妬心でなりふり構わず追い込めるって思ったんだろうね」

 

 だけど、上層部は人選を見誤ったと言う。

 天沢一夏は5期生で唯一、オレに嫉妬ではなく、憧れを抱いてるだけの乙女だったと。

 

「だからこうして正体を明かしたと?」

「うん。本当は入学してから言っても良かったけど、いくら憧れを抱いているって言ってもそれは想像の中だけ。直接会って、話して、ああこの人に憧れて良かったって思うのには時間が必要でしょ?」

 

 天沢の中でオレがかつての評価に値しない人間だったなら、排除に回った可能性もあったということか。

 話の流れとしては成立する。

 

「納得してくれました?」

「ああ。ホワイトルーム生についてここまで話せるのは、同じ側の人間だ」

「そういうこと。なんか不思議な感じ、ずっとあそこにいたのに普通の高校生として学校で過ごすのは」

 

 これまでのホワイトルーム生はこうして高校という学び舎で過ごす経験はなく、オレだけが特別な感覚を味わってきた。

 だから、こうして他のホワイトルーム生も同じ追体験をしていることに興味が湧いてくる。

 もしオレと同じ感覚を持っているのなら、この学校の面白さに気づいたのではないかと天沢に尋ねてみる。

 

「言いたいことはわかるよ、先輩。このまま卒業まで面白おかしく学生をエンジョイできたらいいなって考えたことはこの3ヶ月で何回もあったから」

 

 ただ友達を作るというのは苦手で話し相手がいないという天沢に、オレは似た経験をしていたため重なるものがあった。

 堀北や池たちと話すことはあったが、心の距離というものはあった。

 友達かと聞かれると即答しかねる、微妙な空気だったことを思い出す。

 ただ、オレにも友達と呼べる人間はできた。

 ならば、天沢にもと励まそうと思ったところで先に天沢に口を開かれる。

 

「あたしは先輩みたいにコミュニケーション能力が欠如してるわけじゃないからね?」

 

 いや世の中には人をモールス信号で呼び出すコミュ障の極みみたいな奴もいるんだぞと説明してやる前に、天沢が表情豊かな理由が語られる。

 オレより1つ下の5期生だけがホワイトルームで学んできたこととして、最低限のコミュニケーションを取り合うことを命じられたらしい。

 オレの代までは個人主義で潰れるやつが多かったのが原因らしく、失敗作を生み出さないための施策として取り入れたようだ。

 ただ、天沢の言うカリキュラムが本当にあったのなら、感情豊かな表情をいとも容易くできてしまうのは納得だ。

 オレ自身演技で短期的に何者かを演じることはできるが、人生の大半を無感情に生きてきたため、意識的に笑顔を浮かべたりすることは難しい。

 

「信じてくれました?」

「素性の方はな。正体を明かしてきた理由については腑に落ちていない」

「ホワイトルーム生って認めてくれた割には随分と落ち着いてますね。あたしごときじゃ先輩の脅威にはならない?」

 

 先程から僅かに見え隠れする卑屈な感情。

 天沢とは七瀬とほぼ同じく、ペア試験の前後から会話を交わしていない。

 最後に喋ったのは恵との時間を邪魔したお詫びだと部屋にやってきた時か。

 その時の天沢は人をからかい、愉しむようなやつだったが、オレとの会話、七瀬との会話ではその様子は見られなかった。

 話したいことは話せたから、七瀬と合流してこれからどうするか話し合おうかなと言う天沢にオレは再び尋ねた。

 

「何を考えているんだ、天沢」

「あたしは綾小路先輩に憧れているだけですよ……だから、あたしの許可なく勝手に潰されないでくださいね」

 

 どこか揺れる瞳が、オレを捉える。

 オレを見ているはずの瞳は、何故かオレの向こう側を見ているようにも見えた。

 

「さぁーて、七瀬ちゃんのところに行きますか」

 

 勝手に潰されるなというのはどういう意味だ。

 月城か、2000万プライベートポイントを狙う1年生たちか、それとも他の……。

 天沢に問いかけても答えてくれるかは分からないため、ここからはオレが考えるしかない話だが、この雨が続くのであれば時間は十分にあるだろう。

 七瀬の待つ木陰へと行くと、七瀬は心配そうな表情を浮かべて駆け寄ってきた。

 

「綾小路先輩、大丈夫でしたか? 何かされませんでしたか?」

「何かって何? 七瀬ちゃん、あたしが綾小路先輩に何かすると思ったの?」

 

 ねぇねぇねぇと質問攻めする天沢は放っておいて、この雨を凌ぐために早くテントを設営すべきと進言する。

 

「はいっ、そうですね」

「忠犬だなぁ〜」

 

 元気な返事をする七瀬に天沢が感嘆するように言うのを無視し、オレはバックパックを下ろしてテントの設営を始める。

 その途中、地面に杭を刺そうとして周りにできた足跡を発見する。

 バックパックを置いてきてテントのない天沢は七瀬のところに避難しようとしているのか、七瀬のテント設営を手伝っていた。

 その天沢にオレは声をかける。

 

「天沢」

「なんですか先輩?」

 

 首を傾げる天沢に、七瀬もどうしたのかと顔を向けてくる。

 天沢と七瀬の足の大きさを見てから、オレはこの場に残った足跡を見る。

 足跡の数は多く、この場を天沢が知っていたことから彼女の足跡があるのは不思議では無い。

 七瀬もここで少しの間待っていたのだから同じだ。

 だが、明らかに今いる3人のものとは異なる足跡が1つ、いや僅かな差だが七瀬と天沢の間くらいの大きさの足跡もある。

 

「ここに誰かと一緒にいなかったか?」

 

 天沢のものよりも僅かに、いやオレの足の大きさに近い。

 

「いましたよ? それがどうかしました?」

 

 天沢らしき足跡はオレたちのいた森林の中へと続いており、他の足跡はどちらも山を下るように続いている。

 さらに注意深く見てみると、何かを引き摺ったようなあとも見受けられた。

 

「……ここで何かあったのか?」

「どうでしょう。それ、あたしが話す義理、あります?」

「オレの敵じゃないと言うのなら話す義理はあると思うが」

 

 オレが言うと、天沢は「仕方ないですね」と言いつつ、オレと七瀬を見る。

 

「ちなみにお2人は口はお堅い方ですかぁ?」

「言うなと言われれば言わないが」

「私もですけど……」

 

 言ってはいけない相手、そんなのがいると博士から聞いたことがあるが、その類いだろうか。

 この山に住む妖怪……なんて非科学的なことを想像していると天沢は「絶対にあたしから聞いたって言っちゃダメですよ?」と念押しをして来るので、オレと七瀬はしっかりと頷く。

 

「斉木先輩と櫛田先輩ですよ」

「あぁ! 噂になってた2人ですね」

 

 校内であればあまり見ないが、七瀬曰く1年生たちの間では登校中によく見かける取り合わせらしい。

 オールA+の男子生徒とオールAに近い女子生徒が仲睦まじく話す姿は恋人のように見えたため、2人は付き合っているのではないかとゴールデンウィーク明けくらいから噂になっていたようだ。

 オレは全く知らなかったが。

 ただ同じグループでもない斉木と櫛田がここに来る理由はないはず。

 この周囲では課題も発生していない。

 こんな険しい道のりの山で密会をするということも考えずらい。

 ましてや目立つことを嫌う斉木と、みんなの櫛田桔梗というイメージを大切にしている櫛田がGPSサーチをされたら見つかるという状況下で会うことはない。

 

「……何かあったんだな?」

「それはオフレコってことになってるんで……気になるならどっちかに聞いてください」

 

 目を向けたオレから逃げるように「ばいび〜」と七瀬が設営し終えたテントの中に入った天沢に、七瀬が「あ!」と声を出す。

 

「えっ!? 本当に一緒に寝るんですか!?」

「もちのろんよ〜。まぁあたしあんまり疲れてないから先に七瀬ちゃんが寝ててもいいよ〜」

「私の寝袋ですから、私が寝るに決まってます! もっと端によってください!」

 

 さっきまで警戒していたとは思えないほど天沢のペースに乗せられている七瀬を見つつ、オレもテントの設営を進めていると大樹の裏で物音が聞こえた。

 この雨だ、もしかすると野生動物が雨宿りしに来たのかもしれない。

 オレ1人なら今日の食料になってもらうが、天沢はともかく、七瀬もいる。

 追い払おうと身を屈めて音の発生先に近づくと……そこに居たのは野生動物などではなく誰かのバックパック。

 どうしてこんな所にと思いつつ、持ち上げてみると中身はしっかり入っている。

 

「あ、あたしのバックパックじゃないですか〜、綾小路先輩が持ってきてくれたんですかぁ?」

「ん? お前がここに置いたんじゃないのか?」

 

 聞くと、天沢は首を振った。

 ここから200mくらい離れたところに置いてきていたと。

 

「熊か何かが持ってきたんですかね?」

「いや、熊や動物の足跡は……」

 

 ないと思って、バックパックが置かれていた周囲を見てみるが動物がいた痕跡はない。

 これでは元からここにあったか、誰かが持ってきてくれたかの2択でしかない。

 ただ、倒れるように置いてあったことから、誰かが持ってきたのが不意に倒れたと考えるのが最も自然かもしれない。

 

「ま、とにかくラッキーってことで……およ?」

「どうかしたのか?」

 

 バックパックの中身を開けてテントを取り出そうとしていた天沢が動きを止める。

 

「いや、見慣れない食料と水が……」

 

 夏にホラーは定番だと池や須藤から聞いたことがあるが、これはホラーと言っていいのだろうか。

 一応、未開封で賞味期限、消費期限も問題なかったため3人で分け合って食べたが……ちょうど3人分だったのは偶然だったのだろうか。

 大雨が続き、学校から今日の試験が中止になることが発表されたが、メールには泣き寝入りしないで済むような補填方法を検討している旨が書かれていた。

 天候の回復が見えるまでは補填内容を確定させられないということだろう。

 オレにとって、今回の中止は恵みの雨とは言えない。

 7日目がほぼ丸1日空いてしまうため他のグループの奴らが休息を取れる。

 試験の前半に体力を使い果たして失速するグループを出し抜いて得点を重ねる予定だったが、こればかりは仕方ないだろう。

 とりあえず、天沢のバックパックに入っていた食料を食べ、栄養補給をして明日から再開するかもしれない試験に備えることにした。




くーちゃんが八神の殺人未遂(木下たちを突き落とす)を止めてるので天沢が七瀬にそこまで警戒されてなかったりする

この無人島の妖怪、事故を未然に防いだり、食べ物を恵んでくれたり親切ですね

天沢ちゃんは綾小路先輩に「斉木先輩とどっちが強いんですか?」って聞きたいけど憧れの綾小路先輩から「斉木」って言われるのが嫌だから聞けないでいるよ。可愛いね。
なお、くーちゃんに聞いたら『綾小路』って言うので脳みそフリーズする模様

今回はここまで
明日は日付変わってからの更新じゃないかも!
プラモデルほちぃ、作りたいよぉ!なので……
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