おれは4.5巻の話を書くか斉木栗子の話を書くか悩んでいると思ったらファンアートを元にした坂柳有栖の話を書いていた……
な……何を言ってるのか、わからねーと思うがおれも何を書いたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……
存在しない記憶だとか鏡花水月だとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ……
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
てことで
【挿絵表示】
を元にしたもしもの話だぜ!
くーちゃんと坂柳有栖が同級生ってことだけでクラスとかは特に考えずに書いたぜ!
3月12日。
世間的には特に何も無い日ではあるが、語呂合わせでサイフの日やサイズの日など調べなければ知ることがないであろう記念日が多い。
記念日を抜けば、誰かの誕生日くらいしか特別な意味を持つことはない。
ホワイトデーの2日前というのがだいたいの人の認知だが、3月12日が誕生日の知り合いがいればその限りでもない。
「お待たせしてしまいましたか、楠雄君」
そう声をかけてきたのはその3月12日が誕生日である坂柳有栖さん、僕とは学年が同じ、つまりは同級生という間柄だ。
生まれつき心臓に疾患を抱えている彼女は運動に制限がかかっている他、普通の人のように歩くことができず、杖をついての生活を余儀無くされている。
そんな坂柳さんとこうして制服姿で待ち合わせをしているのには理由がある。
『5分くらいだな』
「そこは今来たばかりとか言って女の子を立たせるべきなのでは? (……と言っても楠雄くんに普通の男性らしさは求めていませんが)」
『そんなことより、今日は何か用事があると聞いたが?』
ホワイトデーを2日前に控えたこの日、チョコのお返しと誕生日祝い代わりに時間を下さいと頼まれた僕は渋々この場にやって来ていた。
本来なら今日は学校は休みで僕は自由気ままなエンペラータイムだったのだが、そうもいかなくなってしまった。
「はい……その、すみません。楠雄くんの大切な時間をいただいてしまって……」
普段は強気で傲慢で、他人を自分より知能の劣る単細胞生物くらいにしか思っていない坂柳さんではあるが、僕の前ではかなりしおらしい。
その理由は分かってはいる。
天才は生まれながらにして天才であり、努力では到底追いつくことの出来ないものと考えている彼女にとって、僕の知能や身体能力は彼女の理想と合致するようで目をつけられていた。
要するに彼女の目当ては僕の身体……だったのだが、最近はどうにも違うらしい。
『そう思うなら手早く済ませよう』
「は、はい……」
仮にもクラスのリーダーであり、容姿は一之瀬さんや櫛田さんとは異なるベクトルではあるが注目を集めるらしい坂柳さんといるところを見られると僕も目立って仕方がない。
どこへ行くのかはまだ聞いていないが坂柳さんにとっては大切な誕生日の1日だ。
僕といて無駄に浪費しては酷なものだろう。
夜には白石さんや神室さん、山村さんらが誕生日祝いをしてくれるとも聞いている。
それまでには用件を済まさねばならない。
そう思って行き先を尋ねるも坂柳さんは動こうとはしない。
「あの、お願いがあるのですが……」
なんだと首を傾げると坂柳さんはもじもじしながらこう言った。
「その、手を繋いでいただいてもいい……でしょうか……?」
頼んでおいて恥ずかしくなったのか坂柳さんの声はどんどんと小さくなっていく。
僕が超能力者でなければ聞き取れなかったほどだ。
手を繋ぐ、か。
まあ、クラス内投票試験の後の時みたいに腕を絡ませられたり、お姫様抱っこなんてことを言い出されるよりもマシか。
了承の返事の代わりに右手を差し出すと、坂柳さんはポカンと僕の顔と右手に視線を行き交わせる。
「えっと……」
『……杖代わりに使えばいい』
察しの悪い坂柳さんにそう言うと坂柳さんは僕の手ではなく僕の顔だけを見てほんの一瞬固まる。
そして僕の手を取り、指を絡ませてきた。
(冷たい……けれど、心の暖かい人は手が冷たいと言いますし……楠雄くんらしいですね)
日本でもよく聞く話だが、元はイギリスなどの西洋にあることわざだな。
医学的観点から見ると手の冷たさと心の暖かさには何の関連性もないと、帝都大学の准教授のようなことを言うほど僕はKYというわけでもない。
ただこのままケヤキモールなどの人混みに連れていかれるのはごめん被るな。
『それでどこへ行くんだ?』
「はい、まずは私の家へ(というのは冗談ですが……さて、楠雄くんの反応はどうでしょうか?)」
冗談でよかった。
まずはで行くところではない気がするしな。
それに、仮に坂柳さんの部屋に行くのであればわざわざ寮から出る必要もなかった。
『わかった』
「……へぇっ!?」
『なんだ行かないのか?』
「えっ、と、あの、その……(く、楠雄くんが? 私の部屋に? ど、どうしましょう……片付けはしてますが……ゴミ替えを最後にしたのは………… )いえ、その…………すみません、冗談でした…………」
この子は攻めるのは好きな割には受け手に回ると本当に脆いな。
そういうところも含めてクラスメイトは改めて慕い直しているのかもしれないが。
謝罪の後、わざとらしく咳払いをして心を落ち着けた坂柳さんは本当の目的地を口にする。
「学校の屋上に行こうと思うんです」
屋上に?
あそこは昨今の高校にしては珍しく開放されているが、何かめぼしいものはあっただろうか。
ただ休みの日であれば部活動の生徒と生徒会くらいしかいないだろうと、千里眼で知り合いの有無を確認しておくが、屋上までの道のりに知り合いと出会う可能性は限りなく低そうだ。
『わかった』
特に拒否する理由がなかったため、そのまま了承した。
そして目的地を決めた僕らは、繋がれた手を離すことなく学校へと向かって歩いていった。
『着いたぞ。もう離してもいいな?』
「ダメですよ? デートなんですから」
デートだったのか……知らなかったと口にしたいところだが、学校に来るまで……どころか昨日から寮でずっと(楠雄くんとデート、楠雄くんとデート、楠雄くんとデート)とうるさかったからな。しかも夜の9時とかならわかるが約束を取り付けてからずっとなのはキツかった。
おかげでいつもは7時に家に戻るところを5時半に早めたからな。
「デートなのに楠雄くんは照れた様子もありませんね。やはり恋愛ごとに興味がないんですか?」
なくはないが、僕には到底無理だと思っているからな。
相手の考えていることは丸見えだし、人間が本来異性に大して重要視するであろう大部分の容姿は見えなくは無いが全裸どころか最終的には筋肉繊維や血管の本数、臓器の状態、骨の長さ太さまで見えてしまう。
例えば坂柳さんなら心臓疾患の位置はしっかり見えているし、骨も見た目相応に細いなという目でしか見ていない。
「それとも自分より頭の悪い人間は好意の対象にはなりませんか?」
『君だろそれは』
「そ、そんなことは……(なくはありませんが……)」
すかさずツッコんでしまったが、坂柳さんにも思い当たることはあったらしく、目を逸らす。
『やらなくてもいいことはやらない。それが僕のモットーの1つだからな』
「まぁ、恋愛は確かになくとも生きていけますからね……(楠雄くんらしい考え方ではありますが、楠雄くんを好きになった人にとっては不幸な話ですね)」
だからそんなやつは好きになるべきじゃないと思うがな。
屋上までの道を進みながら坂柳さんの独白に返答はせずにいると、ついには屋上の扉の目の前に到着した。
坂柳さんが閉じられていた扉を開けると、春の訪れを感じさせる日差しが目に差し込んでくる。
『こんなところで何をするんだ?』
「特に何かをするという訳ではありませんよ。ただ、ここからの景色を見ておきたいと思ったんです。楠雄くんと一緒に」
よく分からないな……と思いながら坂柳さんと共に、屋上で一番高い場所から見える景色を見渡す。
体育館近くのグラウンドでは陸上部が走り込みをしているのが見える。
校庭側からはサッカー部がミニゲームをしている様子が見て取れる。
空は雲一つない快晴で、これなら気温もすぐに上がりそうだ。
「桜の蕾も随分と膨らんできましたね」
『4月に入ったらすぐに咲きそうだな』
「桜は入学式といった出会いの季節の節目に欠かせない風物詩になっていますからね、楽しみです」
『そうか』
素っ気ない返事をしてしまったが、その素っ気ない返事が示す通り正直僕は入学式は好きではない。
確かにみんなが一斉に揃うのはイベントとしては良いのかとしれないが、それは知り合いが多かったり、友好関係を広げる気のある人間に限られることだ。
友好関係を広げる気のない僕からすれば、教師たちが延々とありきたりな言葉を並べ立てて、何分も言葉を紡ぎ続けているところを聞いていなければならない退屈な時間でしかない。
「……わかっていたことではありますが、私の身長ではあまり遠くは見られませんね」
疾患のせいもあるのだろうが、坂柳さんの身長は女子高生の平均を下回っており、僕との身長差は20センチもある。
背が低いことはコンプレックスでは無いようだが、自分の身長について自ら言及しているのを聞くとやはり気にしているのではと思わざるを得ない。
だがこういうコンプレックスは自分で言う分にはOKだが、人から言われるのは嫌だという心理的なジレンマが影響しているのだろう。
遠くを見るのもままならないとなれば、ここまで登ってきた目的も失われてしまう。
やれやれと肩をすくめると僕は彼女に一言断りを入れてから、脇下に手を入れて軽い体躯を持ち上げた。
「ちょっ、ちょっと楠雄く……(な、何を……!? って……)あっ」
持ち上げられて戸惑っていた坂柳さんも目の前に飛び込んできた景色を見た途端に表情を明るくさせて目を輝かせた。
「……これが、楠雄くんの見ている景色……」
僕の見てる景色より高いぞ。
なんなら高円寺や山田が普段見てる景色より高いはずだ。
「そうかもしれませんけど……楠雄くんと同じものが見られるというのは嬉しいです」
『そういうものか?』
「そういうものです」
不思議と満足げな笑顔を見せる坂柳さんにそう言われても僕にはよくわからない。
ずっと抱っこのような形で持ち上げられるのは嫌がると思い、僕の肩を椅子代わりに貸してやると坂柳さんは落ちないように僕の首に手を回してくる。
「ふふっ、お気遣いありがとうございます」
お礼を言った坂柳さんは普段見ることの出来ない目線の高さから見える景色を堪能していた。
「……来年の桜の頃も楠雄くんと見られたらいいですね」
『また屋上に来るのか?』
「そうではなく……その……私とお付き合いしていただけないかと」
『……ん?』
何故か告白された。
唐突すぎるというか、突然すぎて驚いている自分がいる。
何故にこのタイミングを選んだのか。
まさか僕がこうすることを見越していたのだとしたら坂柳さんは相当な策士と言わざるを得ない。
「(この状況なら楠雄くんは嫌でも聞かざるを得ませんよね。ずるいかもしれませんが、好機を逃すわけにはいきません)私も楠雄くんが恋愛には興味がないことは嫌という程わかりました。けれども、だからと言って……それが私が楠雄くんを好きになる事を辞める理由にはなりません」
僕の肩に乗ったままそう言う坂柳さんに、僕は『何故?』と尋ねる。
「好きだからこそ、誰にもとられたくはないんです。私は病弱な体ですし、楠雄くんと釣り合うほどの美人でもなければ……スタイルも良くありません。取り柄だと思っていた頭も……それでも、私は……私は、貴方のことが好きなんです……!」
その目には決意のようなものが感じられた。
「私は楠雄くんを振り向かせてみせます」
『来年の春までにか?』
「そんなこといつ言いましたか?来年の春がダメなら、再来年でも、10年、20年経ってもです。私、諦めが悪い女なんですよ」
そう言うと彼女は僕に顔を近づけてくる。
「ですので覚悟しておいてくださいね?」
……やれやれ、まったく面倒な女の子に目を付けられたものだな。
『やれるもんならやってみてくれ』
「はい。容赦しませんから」
『とりあえず下ろしていいか?』
「それはダメです。告白とは別に……もう少しここからの景色を楽しみたいので」
さいですかとため息を吐いた。
坂柳さんの気が済むまではここに居座るしかなさそうだと、僕はしばらくそのままの体勢でいた。
残りの1年で僕が坂柳さんを好きになるかは分からないが、3年とか10年も続くなら僕が根負けする可能性は有り得るかもしれない。
僕としては速やかに嫌いになってもらいたいところだが、坂柳さんが嫌がる行為をして嫌いにさせるのは気が引ける。
どうするかは今後の僕に任せつつ、肩に乗っている坂柳さんの体温を少し感じながら、彼女の気が済むまで高育の景色を観るのだった。
なおこの1ヶ月後くーちゃんは超能力を一時的に失う模様
理由は斉木楠雄原作とほぼ同じです
書いてみると書けるもんだなぁ……と思いつつ有栖ちゃんが告白までしてて……こ、これもAIハヤトの仕業なんだ!(罪着せ)
前書き通りこの時空の有栖ちゃんとくーちゃんは同級生なだけで、クラスメイトなのか、本編通りに他クラスなのかもハッキリさせていません
いないよね?(適当)
なので、もしかしたら有り得るかもな……くらいの話となっております。
ふふ……下品なんですがね……ファンアートを貰うのが夢でそれが叶って感極まってしまいました……(勃)
坂柳とのファンアートはクラス内投票の話の後にAIイラストをいただいたりしたんですが、それは書いた作品のイラストだったので、存在しない記憶こと存在しない回のイラストを貰ったので書かねば無作法というもの……になってしまったのかもしれない
4.5巻は来月からと言ったが、他の話を投稿しないとは言ってなかったので許されよ許されよ……
まぁ9/1に投稿できるかわからないけど、9月中にはまた投稿していくのでゆっくり待っていただければ。
ではまたお会いしましょう。see you again.....