一之瀬さんの画集? ファンブックにポニテ以外もあることを期待する
あと1年生編でifを何話か投稿しているので興味がある方は是非に
試験が終わってから4日が経った日の昼下がり、私は楠雄くんと待ち合わせをしていた。
「変、じゃないよね……?」
私はガラスに写った自分の髪型を見て呟く。
部屋のみんなには言った覚えがないのに、何故か私が今日楠雄くんと遊ぶということを知っていた。
服装が制服で固定されるからヘアースタイルを変えた方がいいという夢ちゃんの提案で麻子ちゃんと同じポニーテールにされた。
楠雄くんはヘアースタイルとか服装とかそんなに気にしてないと思うんだけど、友達がせっかく言ってくれたししてみたけど……。
チラチラと私を見る目がいつもと違っていてなんだか居心地が悪い。
(みんな普段見慣れない髪型を見て動揺してるだけだ。基本好意的なやつだから気にしなくていい。だが、その髪型を誰のためにしたかがバレると面倒だ。主に僕が)
髪を解こうか悩んでいるとその視線の中に楠雄くんの姿を見つけた。
「あっ、楠雄くん」
私が声をかけると私に向けられていた視線が楠雄くんへと向けられて、女の子たちからの視線は生暖かいものへ、男子からの目線は納得とどこかあまり良く思っていない目になっていた。
嫉妬かな?
なんでなのかよく分からないけど。
(テレパシーとかもないのによく分かるな)
みんなの目線の色の変化は掴めてもその理由まではわからないけど、そんなことはどうでもいい。
楠雄くんはこちらにやってくると『待たせたか?』と聞いてくる。
「ううん、全然」
興奮気味の夢ちゃんとなんだか怖い千尋ちゃんと距離をとった方がいいって麻子ちゃんが言うから15分くらい早く出てきたけど、待ってる時間も意外と悪くなかった。
というか、楠雄くんも約束より7分も早いし。
(君が思ったよりも早く来ていたからな)
「えっと、お昼どうしよっか?」
ここ最近の楠雄くんは誰かとご飯を食べていることが多いと聞く。
カフェエリアでスイーツを食べることが多いのは予想通りなんだけど、その相手が全員1年生の女の子だったと夢ちゃんが言っていた。
初日は南雲会長だったみたいだし、楠雄くんが自分から誰かにスイーツを食べに行こうと声をかけることはない。
だから、無人島試験でのお礼とかなんで食料を配ってたのかを聞くために呼び出されたとかそういう感じかな。
(前々から思っていたが、周りに気を配っているからか洞察力や観察力は凄まじいな)
「楠雄くん?」
『ああ、なんでも構わない』
なんでもかぁ。
昨日龍園くんたちとラーメンを食べてたって噂になってたし、ラーメンは避けた方がよさそう。
けど、男の子は何日でもラーメンが食べられるって柴田くんから聞いたことあるけど本当なのかな?
朝と夜はビュッフェで洋食ばっかりだし和食かなぁ。
楠雄くんと和食ばっかり食べてる気もするけど、この前ハンバーガーは食べたし……。
『寿司とかはどうだ?』
「お寿司?」
そういえばしばらく食べてないかも。
ポイントも入ってきたばかりだから余裕はあるし、お昼だからそんなに食べないからいいかも。
「うん、そうしよっか」
目的地が決まれば、私たちはフードエリアへと歩き出す。
お昼前ということもあってフードエリアに近づくにつれて人集りは増えていくけど、その目線は私たちに集まっているような気がしてならない。
特に3年生と1年生は結構見てるかも。
けど、楠雄くんはさほど気にしてないのか、キョロキョロしたりせずにお寿司さんのある場所を目指している。
(やっぱり一之瀬さんといるのは目立つと思っていたが、1年生と3年生には僕もかなり目立つことをしたみたいだな。食料は手渡しではなくテントの前に置くべきかと思ったが、不審がって捨てられてもフードロスの観点から許されないからな。罪人や捕虜の前であってもそれは同様のはず。多少目立つことは覚悟していたがここまでとはな)
ただ楠雄くんも向けられる視線に対して居心地は悪いのか、少し顔を顰めているような気がした。
「なんか空気って言うのかな、変な感じだね」
『かなり見られているな』
「うん、なんでだろうね」
どうしてこんな風に感じるのかは分からないけど、あまり悪いものでもない気はする。
もちろん、こちらに危害を加える気はないという意味であって、視線を向けられることに関してはいい気はしない。
中学の時とかはこんなこと無かったんだけどな。
でも、万引きのことが噂になってから感じた視線とは違うのは間違いないと思う。
感じた疑問を解消しておきたいと感じていると前から可愛らしい女の子が声をかけてきた。
「おはようございます、斉木先輩」
目が大きくて、芯のありそうな感じの女の子、確か1年Dクラスの七瀬さんだったかな。
七瀬さんは楠雄くんに挨拶すると、楠雄くんも一礼する。
そして、七瀬さんは私の方を見ると首を傾げた。
「えっと、隣の方は……」
「私ははじめましてだね。楠雄くんと同じクラスの一之瀬帆波です。七瀬さんだよね? よろしくね」
「貴方が一之瀬先輩ですか! ずっとお会いしたいと……楠雄くん?」
自己紹介した私に嬉しそうに笑った後、驚いたように楠雄くんを見た。
「もしかして、そのお2人は噂通り……」
『そういうのじゃない』
噂って……あぁ、1年生の間で楠雄くんが私か桔梗ちゃんと付き合ってるってのが流れてるんだったね。
それはキッパリと否定したはずなんだけど。
「うん、残念ながら私は楠雄くんとは付き合ってないよ」
(残念ながらとかナチュラルによく言えるなこの子)
「そ、そうですか。とても……いえ、なんでもありません。では、私はこれで」
何か言いたいことがあったみたいだけど、七瀬さんは言葉を切って、頭を下げると足早に立ち去って行った。
「なんだったんだろう、七瀬さん」
(お似合いですねと言おうとして、付き合ってないと否定した相手に言うのは失礼と思っただけだ。気にしなくていい)
七瀬さんとの遭遇から少しして目的のお寿司さんに着く。
ここはチェーン店だけど、結構高級というか5枚お皿を入れたら景品が貰えるかもしれないお寿司屋さんよりもマグロとかサーモンの値段は一回り高い。
その分、味の保証はされているんだろうけど、この生活に慣れちゃうと卒業してからがちょっと心配だな。
いや、これもこの船での生活の間だけ。
「最近のお店はどこもタッチパネルとかだね」
通された席はテーブル席で、2人で食べるには少し広かった。
そんなテーブルの端にはタブレットが置かれていて、ここから食べたいお寿司を注文する形式だった。
『ラーメン屋もそうだったな』
「そうなんだ」
私の呟きに楠雄くんが答えてくれる。
注文もタブレットで、支払いもタブレットのQRコードを読み取れば終わりらしい。
ただ割り勘とか、会計別々で自分のだけってなるとレジに行く必要はあるみたいだけど。
船の中だから食い逃げしようと思ったら海に飛び込むしかないし、プライベートポイントが支払われた後ならそういうことを考える生徒も少ない。
「今日は私が奢るね」
言うと、楠雄くんは『割り勘でよくないか?』と返してくる。
「でも、楠雄くんには助けてもらったし」
『お礼がして欲しくて助けたわけじゃない』
「けど、今日はお礼のつもりで……」
『(そういえばそうだったな……寿司に浮かれていて忘れていた)気にしなくていい』
楠雄くんはいつも通りそう言うとタブレットを操作して、いくつか注文し始める。
その姿はどこかワクワクしているようで、普段のクールな雰囲気からは想像もつかないだろう。
私が見つめているのが気になったのか楠雄くんは一瞬顔を上げると、すぐさま注文を済ませて私にタブレットを渡してくる。
「うーん、どれがいいかな」
マグロとサーモンとホタテは欲しいかな。
サイドメニューもあるけど、お寿司屋さんに来たからにはお寿司からだよね。
(僕、初手から唐揚げとえび天寿司とかにしたんだがいいのだろうか)
他にもあるけど、一旦はこの辺りでいいかな。
注文した商品はレーンに運ばれてくるようで、この辺りにも人件費を削減している様子が伝わってくる。
なんて考えているうちに最初の数点が運ばれてくる。
頼んだマグロとサーモン。
そして、楠雄くんのえび天寿司と唐揚げ。
「なんか不思議な組み合わせだね」
『……寿司屋の天ぷらは新鮮で唐揚げはその店の個性が出るからな』
生ネタが一切ないと思っていると、楠雄くんは目を逸らしつつ手を合わせる。
私も手を合わせると2人でいただきますと口にする。
「あ、美味しい」
普通のマグロで300ポイントで、赤身とか大トロになってくると1000ポイント近くなるのもわかる味だった。
サーモンも脂が乗ってて美味しい。
『ここの寿司は値段に見合った価値があるな』
それってお寿司なのかな……。
次に来たのもマヨコーン軍艦だし。
楠雄くんが美味しそうに食べてるから美味しいんだろうけど。
その後、どんどん追加注文したお寿司とサイドメニューがレーンを通じてテーブルにやってきては消えていった。
楠雄くんの胃袋はブラックホールなのか、お寿司もサイドメニューも平らげてしまう勢いだった。
そして、食事を終えた私たちはゆっくりとお茶を啜る。
「楠雄くん、本当に凄い量だね」
『君こそ食べた方だと思うが』
「そ、そうかな?」
確かに結構食べたけど、楠雄くんの量を見ていたら少なかったなって思ってしまう。
でも値段で見たら同じくらい食べているのかもしれない。
「楠雄くんって甘いものとかも結構食べてるのに体型全然変わらないけど、運動とかしてるの?」
『(してないって言うとめんどくさいか? してると言っても何してるか聞かれそうだが)どちらもありうる……』
は、はぐらかされた。
体質とかもあるだろうけど、楠雄くん普通体型でも運動神経あるし、密かに運動とかしてるのかもしれない。
私もしてみようかな。
麻子ちゃんとスポーツジムの話題にもなったし、去年と一緒なら体育祭もあるし。
そう考えていると知らない間に周りに生徒が増えていた。
隣のテーブルには3年生の男子グループ……中には私に声をかけてきた先輩の姿も見えた。
私と楠雄くんの会話に興味なんてないだろうけど、私に気がある人の前で、私が好きな人と話しているところを見せるのはあまり良くないと思った。
私が逆のことをされると、苦しくなると思うし。
けれど、私から変に言い出すと楠雄くんに疑問を抱かれるかもしれない。
隣にいるのを嫌がって移動したことを根に持ってしまう可能性もあると考えているとほうじ茶を飲み干した楠雄くんが口を開いた。
『そろそろ出るか』
「えっ? あ、うん。そうだね」
楠雄くんがタイミングよく声をかけてくれたので、私はそれに乗って会計のために店員さんを呼び出す。
皿数と値段の確認をされて、支払い用のバーコードを受け取ると私たちはレジへ行って会計を終わらせる。
そうして店を出てから私はしまったと固まる。
(どうしたんだ?)
お礼のために誘ったのに結局割り勘にしちゃったから、お礼になっていないことに気づく。
それにこのまま終わらせるっていうのも勿体ないっていうか……よくよく考えたら2人きりで遊ぶのって3月以来だし。
どうしようと悩んでいると楠雄くんは私の言葉を待っているようだった。
そんな楠雄くんに私は勇気をだして言ってみることにした。
「その、まだ時間あるかな? ちょっとショッピングエリアがどんな感じか見てみたいんだけど……」
私がぎこちなくそう提案すると楠雄くんは握った拳の親指をグッと立ててくれる。
「ありがと! じゃ、行こっか!」
(デート続行か。まぁ、ちょうどいいか。この期に一之瀬さんの周りにいる変なのと3年生を一掃しておくか)
私が歩き出すと、楠雄くんもついてきてくれる。
こうして、私は楠雄くんとショッピングエリアを見て回ることになった。
なんだかまるでデートみたいで……。
「デッ!?」
(小橋さんたちに焚き付けられておいてデートのつもり無かったのかこの子……)
なんだかそう意識すると、変に……ダメダメ!
これはデートじゃなくて、仲のいいクラスメイトで好きな男の子とただご飯食べて遊ぶだけだから!
で、デートじゃないから!
一之瀬さんもそこそこ天然だよね
なお今作の一之瀬さんは闇堕ちもヤンデレ化もしないと思いますが、くーちゃんの行動次第ではなります。
怖いね!
ちなみに今の一之瀬さんの覚醒具合は赤サイコフレームのユニコーンみたいな感じ
このまま順当にいけば緑覚醒するけど、不穏なことがあれば「お前もガンダムか!!」って他ヒロインに激昂したり、「鳥になろうよ」とかふわふわした感じに壊れるかも
かもなんでね。
個人的にヤンデレは見てる分には好きです
見てる分にはね。
周りから見られていた視線の正体は次回くーちゃん視点で語らねばなるまい……
ってことでまた次回
明日の投稿は昼間になるかもです