ようこそ超能力者のいる教室へ -2年生編-   作:オールF

5 / 46
誤字報告いつもありがとうございます
感謝と挨拶遅れましたが今作でもよろしくです


曲者揃いの新入生たち

「はぁー、最悪。ほんとに誰よアイツ。八神拓也なんて私全然知らないんだけど」

 

 宝泉の暴走を鎮めた放課後、僕は櫛田さんに呼び出され、夜ご飯後自宅には留まらずに自分の部屋に戻って来ていた。

 特別試験開始から2日目の昼休みに、綾小路と僕の顔を見るついでに2年Dクラスと同盟……というにはやや高圧的だったが、それを求めてやってきた宝泉は僕の膝カックンで地に落ちた。

 山田アルベルトや須藤といった僕よりも体格の大きい力自慢用に練習していた技だが、役に立って良かった。

 宝泉が僕と綾小路の顔を見に来たのは、僕の方は学校全体でトップの評価を得ている人間がどんなものかを直接見に来たからだ。

 騒ぎを起こせば、社会貢献性A+の人間なら必ず仲裁に入ってくるという思惑もあり、綾小路や教師が動く気配がなかったので仕方なく誘いに乗ってやった。

 綾小路の方は1年生の一部でのみ行われている試験のせいで、宝泉と七瀬をはじめとした一部の1年生たちに目をつけられているが、あいつはあいつでなんとかするだろう。

 

「ねぇ、ちょっと聞いてる?」

 

 僕は僕で自分のペアを探さないといけないし、櫛田さんが抱えている悩みとやらの対処もしなければならない。

 一応、聞いてると持ってきてくれたコーヒーゼリーを食べながら答えると櫛田さんは不満そうだ。

 これ以上ご機嫌斜めになられても面倒なので先程聞いたことをまとめる。

 

『全く知らない1年生の男子にまるで知り合いかのように声をかけられた上に、その八神というのは君の過去も知っているかもしれないと』

「そう。パートナーを組んでくれって言われて、学力がB+以上の生徒は覚えてたから、一応は保留にしてる」

 

 結論から言うと八神拓也は櫛田さんの知り合いでも中学時代までに同じ学校や幼稚園にいたわけでもない。

 綾小路を退学させるために綾小路の父親と月城によって送られてきた刺客というやつだ。

 入学前に月城から綾小路及び2年生全員の詳細なデータが伝えられているようで、櫛田さんのように表面上は性格や素行に問題が無さそうなのにDクラスだった理由すらも知らされている。

 一之瀬さんのように不登校ではあったがその理由までは表に出なかったケースを除き、ほぼ全ての問題児の過去は把握されている。

 八神は綾小路を退学に追い込むにはクラスメイトを使った方が早いと、周りにバラされては困る過去を持っている櫛田さんに目をつけたというわけだ。

 

「あのことバラされたら流石に私もまずいからさ、咄嗟に思い出したって感じにしたけど、マジで知らないんだよね(堀北も当然知らないって感じだったし)」

『地元の話や他に覚えている人がいないのか聞かなかったのか?』

「聞いたけどめちゃくちゃ話が合って判断に困るのよ。あいつの同級生は私はあんまり知らないし、逆にあいつが他に覚えてる上級生だと堀北の兄貴くらいだって(まぁ私と堀北の兄貴抜いたら部活やってない子が知れる先輩は限られてるしこれは怪しいとは言えないかな)」

 

 有名人であるデメリットが出ているな。

 櫛田さんが覚えていなくても、男子である八神からすれば櫛田さんのことは1度見たら忘れないという話で押し通すことができる。

 

『あんなことがあったと知っていても憧れなのか』

「同じ学校になれてラッキーだってさ」

 

 右も左も分からないから、信頼のおける人をパートナーにしたいと告げた八神に、櫛田さんは不信感を覚えているようでどうするべきかと僕に相談してきた。

 

『組めばいいんじゃないか?』

 

 別に櫛田さんが背負うリスクとしては八神に自分の過去を話されるかもしれないというもの。

 今回ペアを組む上では特に懸念することでは無いだろう。

 ペアを断る方が過去を暴露させるリスクが上がることは櫛田さんも分かっているのか、「それはそうだけどさぁ」と口では言っても納得していそうな雰囲気を感じた。

 

「八神ってパッと見は優しそうな好青年って感じだけど……多分こいつ絶対良い奴じゃないと思うんだよね」

『何か確証があるのか?』

「勘(てか下級生で私みたいなのを憧れって言ってる時点で絶対なんかあるでしょ)」

 

 口では非論理的なことを言っているが、考えていることは理にかなっている。

 櫛田さんは直接聞いたわけではないが、八神が自分の過去を知っていることは確信している様子だった。

 

「そういえば、斉木の方はどうなの? 聞いた感じ誰にも声かけてないし声かけられてないっぽいけど」

 

 どうなのと言うのは、僕が今回の試験でもうペアとなる1年生が決まったのかどうかという話だ。

 無論、そんなのNoに決まっている。

 テレパシーで聞いていると僕が敬遠されているのはOAAの評価だけではなく、昨日の珍獣3人との登校や、近づき難い雰囲気、そしてトドメに今日の宝泉退治もあって益々人が離れていった。

 これに関しては綾小路や八神関連よりも深刻な問題かもしれない。

 

『まだだな』

「ふーん、じゃあ私が推薦してもいい?」

『推薦?』

 

 どういうことだ。

 僕が首を傾げていると櫛田さんは続ける。

 

「まだペア決まってなくて斉木と組んでくれそうなやつ、私が探してあげよっかって話(いつもこっちがしてもらってばっかりじゃ申し訳ないしね)私の方が社会貢献性低いけど、顔は広いから」

 

 そういうことか。

 その厚意は素直に受け取るが、こちらこそ申し訳ないが先約があるんだ。

 しかし、その事を伝えると承認欲求の強い櫛田さんから詰問を受けることになる。

 そんな面倒なことにしない為にもここは僕1人の力で何とかするとアピールしていくしかない。

 

『大丈夫だ、問題ない』

「ほんとに? 1番いい生徒を頼むとか後で言われても知らないよ?」

 

 僕は1回どこかで死ぬのか? 

 生憎と寿命か自殺以外で死ねる気がしないんだがな。

 

「龍園くんや坂柳さんの動き見てると学力B以上の生徒にプライベートポイントでの取引を持ち掛けてるみたいだし、早くしないといなくなっちゃうよ?」

 

 プライベートポイントでの取引はあまりしたくないが、そうせざるを得なくなったら仕方ないな。

 あとなんで善の櫛田さんモードになってるんだ? 

 

「50万ポイントって途方もない額、AクラスとBクラスの退学者を両方救済しちゃった斉木くんには流石に払えないと思うんだけどなぁ」

 

 払えちゃうんだなこれが。

 堀北元会長のおかげで。

 ただ無闇矢鱈には使いたくないから出来ればポイントでの交渉は最後の手段に取っておきたい。

 そう話すと、先程まで笑顔だった櫛田さんの目が鋭くなる。

 

「もしかして……もしかしてだけど……帆波ちゃんからパートナー探し手伝ってあげるみたいなこと言われてる?」

 

 キッショ、なんで分かんだよ。

 去年もほぼ同じ時期に言ったなこれ。

 同じネタを使い回すとネタ切れと思われてしまうから控えないとな。

 そう現実逃避をしつつ、僕は素直に頷くことにした。

 下手に隠し立てしてもろくな事にならないことを僕は父の背中を見て教わってきたのだ。

 

「まぁ帆波ちゃんなら言うか……あんた交流会にも出てなかったみたいだし」

 

 納得してくれた櫛田さんは矛を収めると「やれやれ」と肩を竦める。

 流行ってるのかそれと訝しげに見ていると、櫛田さんが肩をビクリと跳ね上がらせる。

 

「(しまった、つい……!)と、とにかくっ、帆波ちゃんでダメだったら私も相談に乗ってあげるから……! あと、八神のことでなにかわかったことあったらまた来るから、じゃあ!」

 

 なんだったんだ……と嵐のように去っていった櫛田さんを見やりつつ、八神の件をどうするか考えるが、早急に解決すべき事案ではないし、彼がそう簡単にボロを出す人間とも思えない。

 試しに同郷しか知らない話を振ったり、櫛田さんの学校の話をすればいけるかと思ったがかなり叩き込んでいるようで一分の隙もなさそうだ。

 超能力を使えば簡単なのだが、僕は超能力に頼らず普通の人と同じ生活を送ることを目的としている。

 グラスを冷やして念力でオレンジジュースを入れてそれを手元まで持って来させ、まずは自分のペアの方が先だなと八神の件は後回しにする。

 翌日になると新たに34組のパートナーが決定していた。

 これで合計56組が成立しており、そのうちのほとんどが2年Aクラスの生徒を含んだペアだった。

 一之瀬さんが交流会を開いたのが功を奏し、学力の低い1年生の多くが一之瀬さん主導のもとでペアを成立させたようだ。

 また、一部の1年生の優等生の名前がリストから消えており、2年Cクラス、つまりは龍園のクラスも数名名前が消えており、櫛田さんの言っていたポイント取引によるパートナー決めを成功させたのだろう。

 そして、昨日の夜にパートナー受諾の連絡を済ませたのか、櫛田さんと八神の名前も消えていた。

 異様なのは1年Dクラスが誰1人としてパートナーを成立させていなかったことだが、これは宝泉がプライベートポイント欲しさとあわよくば綾小路を退学させるためにパートナーを組ませないよう指示しているからだ。

 そうなると、1年Dクラスからはパートナーが誕生することは当分はないだろうと思っていた。

 

「あの、斉木先輩、私とペアを組んでいただけませんか!?」

 

 試験開始から3日目の朝の登校中、遂に僕に声をかけてくる1年生が現れた。

 

「おい、抜け駆けすんなよ! 先輩、俺と組んで貰えませんか!?」

「わ、私はどうですか? 学力はB+です!」

「僕はA判定です!」

 

 それも複数。

 どうやら全員1年Dクラスの生徒であり、僕の周りに集まって来ていた。

 全員が全員宝泉を恐れていたが、その宝泉を僕が倒したという噂が駆け巡ってしまい、このような結果を生み出したというわけだ。

 

『だが、僕は50万ポイントなんて持ってないぞ』

「そんなのいりません!」

「斉木先輩と組めたら上位報酬が貰えますし!」

「でも、できたら今後、私が宝泉くんに狙われた時は助けてください!」

 

 まぁそうなるか。

 圧倒的な暴力でクラスを支配していた人間に唯一対抗出来る人間がいると分かれば、庇護下に入って守ってもらおうと考える生徒はいるだろう。

 それも学力に自信はあれど、運動能力や体格で宝泉に劣るのであれば尚更。

 たった3日でここまでクラスメイトを恐怖に陥れるとは少し感心してしまう。

しちゃダメなんだが。

 龍園でも1ヶ月弱はかかっていたからな。

 しかし、Dクラスの生徒は堀北さんや須藤が組みたがっているし、どうしたものかと考えていると、朝から厄介な人物が来たようだ。

 

(見つけたぜぇ……! 斉木楠雄……!)

 

 背後から迫ってくる足音よりも先に僕を狙う敵意のテレパシーから察知し、振り向くと宝泉がいた。

 

「宝泉くん!?」

「失せろよ、白鳥。言いたいことは分かるだろ」

 

 宝泉はやって来るなり、僕の周りに群がっていた1年Dクラスの生徒達に解散するように指示を出す。

 しかし、1年生に囲まれていた僕はかなり注目を集めており、クラスメイトから他クラスの同級生、他の1年生にも見られていた。

 

(斉木くん、また変なのに絡まれてる……)

(宝泉と斉木楠雄か。確か昨日2年生のフロアでゴタゴタがあったらしいな)

(へぇーあれがこの学校最高スペックの先輩かー)

 

 ここは僕も流れに乗って学校へ行こうと歩き出すと宝泉が吠えた。

 

「お前は残ってろよ! (イカれピンク頭が)」

 

 余裕のない迫真の声で僕に向かって言ってきたが、お前と言われても名指しじゃないと分からないとすっとぼけて歩き出すと宝泉は早歩きで僕の前まで回ってきた。

 

「昨日に引き続き舐めた真似してくれるじゃねぇか!」

 

 どうやら宝泉は昨日に一方的に膝カックンされたことが原因で逆上しているようだ。

 

「さっきはうちのクラスのやつに声をかけられていたが、ペアを組んでもらってあわよくば俺を潰すようにお願いでもされたか?」

 

 分かってるなら聞くなよと僕は迷惑そうな顔を浮かべると、宝泉はさらに怒りを露わにする。

 

「こんなに心躍ったのは初めて喧嘩で勝った時以来だぜ斉木楠雄……! てめぇのことは必ず殺す! その時まで楽しみにしてやがれ……!」

 

 何も楽しみじゃないが。

 あと本当にそのココロ、躍っているかい? 

 拳を握りしめ殴り掛かろうとするのを堪えている宝泉を見るに、暴力行為などがペナルティに繋がることはやはり理解しているようだ。

 ある程度知恵のあるゴリラ……いやゴリラに失礼か……。

 あまり強い言葉を遣うなよと煽っても余計に目立つし、やめておくかと横を通り抜ける。

 

(七瀬か、あるいはクラスのやつを使ってカメラがない場所に連れてこさせて、そこでズタズタにしてやるぜ斉木楠雄)

 

 この試験が終わるまでは1年Dクラスの生徒とは関わらないでおこう。

 クラスのリーダーが悪いのだよってことで。

 まあ、それで宝泉から何かしらの暴行を受けるのであれば流石に助けはするが。

 やれやれ、やっぱり目立つのは面倒だな。

 周囲の目線を受けつつも校舎へと向かい、下駄箱で靴を履き替える。

 すると、僕を見ながら話す2人組の声が届く。

 

「宇都宮くん、どう思う?」

「宝泉の態度からしてあいつを一撃で倒したという噂は本当みたいだが、学力は分からない。だが、上位を狙うなら組んでみる価値はあると思う」

 

 1年Cクラスの椿桜子と宇都宮陸か。

 さっき僕が1年Dクラスの生徒や宝泉に絡まれている時にいたな。

 どうやら宇都宮のパートナーを探しているようだが、決め手に欠けているのか僕に声をかけてくる気配は無い。

 靴を履き替え終えて、教室を目指していると僕の姿を見て(ピンクの髪に、アンテナのようなヘアピン、色つきメガネ……来たか)と壁に背を預けていた男子生徒が前に立つ。

 須藤と同じくらい身長が高く、瞬きして外見を見てみれば長い髪を束ねていた。

 

(斉木楠雄……この学校の頂点にしてあの斉木空助の弟)

 

 どの? と思いつつも僕に用があるのは確実なので立ち止まってやる。

 

(あれは石上くん?)

(斉木先輩のことを待っていたのか?)

 

 1年Aクラスの生徒であるためか、椿と宇都宮にも認知されているようだ。

 

「おはようございます。そしてはじめまして、斉木先輩。俺は1年Aクラスの石上京と言います」

 

 宝泉とは違う丁寧な挨拶。

 しかし石上の中には僕への興味と好奇心が滲み出ていた。

 確か綾小路の父親の薦めでこの学校に来たんだったか。

 綾小路の父親から綾小路を監視するように言われているらしいが、あまり接触はしていない。

 なのに、先に僕に接触してきたのは空助の弟だからだろうか。

 あいつ結構有名なんだな。

 

「先輩も俺と同じで無駄な時間を浪費したくないと思うので単刀直入に言います。次の試験、俺とペアを組んでくれませんか?」

『わかった』

「(ノータイムか……)意外ですね。少し考えるかと思ったんですが」

 

 石上には僕と組んで、僕を貶めるメリットはないし、こうして接触してきたのは僕への興味故だろう。

 僕としては組む相手としては問題ないし、Aクラスの生徒で学力Aとなれば一之瀬さんや神崎も文句は言わないはずだ。

 

『来るものは拒まずというやつだ。申請は後で送っておく』

「(これくらいで腹の探り合いをするタイプでは無いか)……分かりました。夕方までには承認させていただきます」

 

 よろしく頼むと最後に言って2年生のフロアへ行こうとすると石上は僕をじっと見る。

 

「俺の学力はご存知なんですね」

 

 便利なOAAは、先輩後輩の名前どころか学力まで見ることができる。

 石上が僕の学力を把握しているように当然、僕も把握していた。

 訳ではなく、テレパシーで他の1年生や2年生たちから知り得た情報である。

 OAAで顔を見ようにも携帯も数秒で電子基板やら中身しか見えなくなってくるからな。

 一晩で全員見るのには時間がかかりすぎるのでもう諦めた。

 

(宝泉を止めたということだけでは実力は測りかねるが、学力A+……お手並み拝見といかせてもらうか)

 

 悪いがこれ以上見せるほどのお手はないんだ。

 とりあえず、これで僕のペアは決定した。

 綾小路の方は須藤のペアと並行して自分のペアも見つけるだろうが、宝泉がやろうとしていることは些か面倒ではある。

 宝泉の協力者の方は本気で綾小路を退学させる気はないみたいだが、宝泉は自爆覚悟でいくだろう。

 宝泉といい、八神といい、石上といい、椿といい……あとは七瀬と司馬という教師も面倒だったな。

 綾小路が遠因とはいえ、今年の1年生は曲者揃いで困るな。

 ようやく教室に辿り着き、自分の席に向かう手前で一之瀬さんに声をかける。

 

『ペアが決まった』

「えぇっ!? いつの間に……」

『さっきだ』

「そ、そうなんだ(千尋ちゃんから楠雄くんが1年生に絡まれてるって聞いたからそれかな……) 相手聞いても大丈夫?」

 

 Aクラスの石上京だと伝えると、一之瀬さんはすぐに思い当たったのか頭に石上の顔を思い浮かべる。

 

「あーAクラスの石上くん……Aクラスの石上くん!? (学力Aの!?)」

 

 そんなに驚くことか? 

 一之瀬さんとしても僕が学力の高い生徒とペアを組むことは想定していたはずだ。

 

「あぁ、ごめん、その楠雄くんと組ませられたらいいなーとは思ってたんだけど、まさかすぎてびっくりして……(私たち学力が低めの子達とペア組んでるからクラスでの優勝の方はちょっと難しいかなって話だったけど2位は狙えるかも……?)」

 

 1年生も交えた勉強会を開くらしく、点数の底上げは狙うようだがそれでも1位は難しいと思っていた一之瀬さんだが、それならと笑顔を浮かべる。

 一之瀬さんと話していると、石上という名前に反応して神崎が来た。

 

「斉木、ひとつ聞きたい。石上とのペアはどちらから声をかけたんだ?」

『石上だ。階段前で待ち伏せされていた』

「(石上が? データ上の評価にあいつが興味を持つとは思えないが)そうか……」

「神崎くん、石上くんと知り合いなの?」

 

 神崎の口ぶりから知り合いである可能性を見出した一之瀬さんが問いかけると、神崎は首肯した。

 

「塾が同じで、その縁でな(タイプとしては運動の出来ない斉木と言った所だが、言う必要は無いな)」

 

 どんなやつだそれは。

 

「良かったよ。これで勉強会に集中できるね。1位目指して頑張ろう!」

 

 あと僕だけだったのかペアが組めてなかったのは。

 それなら迷惑をかける前に決まって良かったというべきか。

 一之瀬さんが鼓舞するように手を挙げるが、僕も神崎もそういうノリは得意ではないので無言になってしまう。

 それを見兼ねた柴田が口を開いた。

 

「お、お前らいい加減にしろーッ! ミス一之瀬様の頼みも聞けんと言うのかーッ!!」

 

 また始まったよと神崎と目を合わせるも、姫野さん以外のクラスメイトは乗り気らしく、「ほーなみ! ほーなみ!」と誰かに元気を送るかのごとく手を挙げて、一之瀬さんの鼓舞に乗る。

 

「え? え!? ちょ、ちょっと、みんな……! (そんな大きな声で、は、恥ずかしいよ〜っ!)」

 

 乗せた方は思いがけない柴田の扇動によって辱めを受けてはいるが。

 教室の端からその様子を見て、今もこのノリが分からない神崎は戸惑ったように姫野さんに聞く。

 

「……これは俺たちがKY、というやつなのか?」

「私に聞かないでよ……」

『やれやれ』

 

 一応、手を挙げるくらいはしてやるかと僕は17号みたいにして、手を挙げるのを躊躇っている神崎と姫野さんの手を挙げさせる。

 銃で脅したりはしていないぞ? 2人の手を掴んで挙げさせるだけだ。

 ひとまず、この試験に挑む上での問題は全てクリアされたと見ていいだろう。

 





白波「斉木くんって帆波ちゃんのことどう思ってるんだろ……?」
小橋「嫌いではないんじゃないかな? 帆波ちゃんには迷惑顔とかしてるの見ないし」
網倉「けど、やれやれって顔は結構してるよね」
小橋「あれは斉木くんのアイデンティティみたいなところあるからね〜。というか、最近たまにだけど帆波ちゃんも言うようになってきたよね」
網倉「うんうん、私も思ってた。神崎くんとか柴田くんもしてるけど、帆波ちゃんのは斉木くんのに近いよね」
白波「ぐぬぬ……そんなところ真似しなくていいのに……」
網倉「真似っていうか……」
小橋「口癖移っちゃったんだろうね。クラスで流行るのも時間の問題かもねー」


てことでくーちゃんのペアは石上くんになりました
アニメ勢の方は声だけは聞いたことがあるのかな?
ビジュアルは出てるのでネタバレに気をつけて検索していただくかアニメを待つかですね。
宝泉くんはくーちゃんへのリベンジに燃えつつも、綾小路退学試験メインに動いてます
七瀬ちゃんはくーちゃんに敵意とかはないので、綾小路先輩を退学させるために宝泉くんと一緒

メスガキがまだくーちゃんと未接触ですが(どうせ綾小路先輩より大したことないでしょ)と思われてるので優先度低め
櫛田と組んだ八神も同じく(過大評価でしょ、こんなの)と思ってます

綾小路退学試験の際、斉木楠雄には気をつけてと月城も南雲も言わないから……
月城(まぁ下手にちょっかいをかけなければ楠雄くんは出てこないでしょう)←空助と区別するために下の名前呼び
南雲(綾小路退学試験か、どうせ斉木が出てきて1年共もなにかする前に終わるだろうし、教える必要性はないな)

てことでまた次回
明日明後日はワンチャン投稿なしかもです!
(シンプルに書く時間なさそう)

楠雄『僕そんなにやれやれって言ってるか?』

  • 言ってる
  • 言ってない
  • 分からない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。