ようこそ超能力者のいる教室へ -2年生編-   作:オールF

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きこりの泉に落ちた南雲雅が見れるのはこの二次創作だけ!


避けては通れない道

 体育祭の説明が終わってから普段通りの授業を終えて昼休みを迎える。

 僕は面倒だとは思いつつも、生徒会室へと赴くためにお弁当の入った袋を手に教室を出ようとする。

 その前に柴田が声をかけてきた。

 

「楠雄ー、学食か? 俺もついて行っていいか?」

『行先は食堂じゃない。野暮用だ』

「野暮用? (なんだそりゃ)」

 

 そういうわけだからと僕は止めていた足を前に向けて、生徒会室へと向かう。

 そういえば、あそこに行くのは随分と久しぶりな気がする。

 南雲が生徒会長になってからは初めてなんじゃないだろうか。

 用もなく来るところではないため当然ではあるが、南雲に関しては僕から出向く理由はないからな。

 逆にあちらから来られるのも少々面倒だ。

 生徒会室の前に到着すると透視とテレパシーで既に南雲がいることを確認する。

 僕もそれなりに早く来たつもりだが、あいつ授業はちゃんと受けているのだろうか。

 南雲以外の役員の姿は見えず、2人きりでの話し合いを望んでいるようだ。

 とりあえず扉をノックしてやると、南雲が顔を上げて「(随分と早いな)ああ、入れよ」と返事が聞こえたので扉を開く。

 

「よう斉木。悪いな呼び出して」

 

 悪いと思うならお前から来いと言ってやりたいが、来られたら来られたで面倒なのでそうも言えない。

 というか、悪いとは思っているんだな。

 

「まぁ座れよ」

 

 初対面の頃よりかなり丸くなったなと思いつつ、南雲の言うように手近な席につく。

 

(……一之瀬の席か。適当に座ったんだろうが、運命ってやつか?)

 

 やめろよそういう座りにくくなること言うの。

 

「最近はどうだ? 桐山や他の3年からの監視は?」

 

 豪華客船のプールで遊ぶ条件として南雲には桐山たちがやっている監視をやめさせるように伝えたが、今のところは僕の生活は平穏そのものだ。

 ただ、3年生側にとっては不満もあるのか廊下や下駄箱、寮の近くですれ違ったり、僕が視界に入るとやや警戒するようだ。

 こんな人畜無害な後輩を気にしている暇があったら受験勉強や就職活動に取り組むべきだと思う。

 

「(相変わらずつまんなそうな顔しやがって)さて、呼び出した本題に入るか。体育祭のルールは朝のホームルームで聞いたな?」

 

 デフォルト顔なんだがな。

 それにここで僕が前のめりに楽しそうな顔をしてても気持ち悪いとか言うだろ。

 

「体育祭中には学年を問わずに参加できる競技がある。そこで俺と戦え」

『じゃあな』

「おいっ! お前! 帰るな!」

 

 僕がいつもは一之瀬さんが座っているらしい席から立ち上がり出口へと向かおうとすると、南雲も会長の椅子から腰を上げて僕の道を阻んでくる。

 

「乗り気じゃないのはわかる。だが俺としては最後の体育祭だ。だからこの体育祭で3種目戦ってくれればこれ以上お前に勝負を持ちかけることはしない」

 

 先輩に花を持たせてくれと言わんばかりの申し出だが、僕に受けるメリットはないように思う。

 まぁ今後勝負を仕掛けられることがないというのはメリットかもしれないが、そもそも2、3年生が戦うことになる試験がこの体育祭くらいしかないとなれば必然的に最後になる。

 それにいつもなら勝敗の結果に伴う何かを要求してきたり付与してくるところを、勝負するだけでいいというのはどうにも気になる。

 

『戦うだけでいいのか?』

「ああ。ただお前が勝負してくれた礼はするつもりだ」

 

 条件としては勝敗に関係なく南雲が指定する3つの種目に全て参加すること。

 予約で定員が埋まっているなどで参加できない場合はどうするのかと思えば、別の種目か、参加を表明している生徒にポイントを払ってでもキャンセルさせるらしい。

 それほどに南雲は本気ということか。

 

「俺はこの日のためにお前からの要望は極力応えてきた。生徒会長のプライドや3年生のリーダーとしての矜恃もかなぐり捨ててな。だから、俺と勝負してくれ、斉木」

 

 確かにこいつは打算があったかもしれないが色々と手を回してもらったり、金も貸してもらったりしたしな。

 それを今回の体育祭で清算できるというのなら安いものではあるが、本当にそれだけでいいのかという疑問もある。

 

「クラスの方針もあるだろうから、時間はやる。1週間後の月曜までに連絡」

『わかった。競技が決まったら連絡をくれ』

「し……(ろって、は……?)……いいのか? 一之瀬やクラスの連中との擦り合わせもあるだろ」

 

 5種目だったら流石に考えたが3種目くらいなら問題ないだろう。

 今回もクラスでの優勝は目指すみたいだが、僕に頼る気はないようだし5種目への出場さえ果たせば文句は言ってこないはずだ。

 

「あとでやっぱりやめとくとかはなしだぜ?」

 

 念入りに確認を重ねてくる南雲に、僕は頷きを返す。

 なんなら契約書でも書くかと言えば、南雲は苦笑した。

 

「いや、必要ない。お前は俺と違って義理堅いからな」

 

 南雲はそう言うと自分の席へと戻って行く。

 

「話は終わりだが、昼飯は食っていけよ」

 

 まあ一応お弁当は持ってきたしな。

 今から食べる場所を探すのも億劫であるため、渋々という形で従ってやる。

 だが、どう見ても南雲の弁当がないように見える。

 すると、扉の向こうから、聞き慣れた声が聞こえてくる。

 

「失礼します」

 

 は? と僕が振り向いたのを見て、南雲はしてやったりと口角を上げた。

 

(せっかく気を利かせて呼んでやったんだ、感謝しろよ?)

 

 扉が開くと共にビニール袋を持った一之瀬さんが生徒会室に入ってくる。

 そして、部屋の奥の真ん中に座する南雲と、そのほぼ隣の席……会議や事務をする時に一之瀬さんが座っているらしい席についている僕を見て目を丸くする。

 

「え……(えぇーっ!? なんで楠雄くんがいるの!? 聞いてなっ、てかなんで私の席に!?)」

「悪かったなパシリを頼んで」

「え? あ、いえ……」

 

 若干放心状態の一之瀬さんは何度も瞬きしながら僕の方を見てくる。

 それに『邪魔なら出ようか?』と言ってみるも、彼女は首がちぎれるのではという勢いで首を振る。

 

「一之瀬や他の役員とは交流も兼ねてランチをしているんだ(と言っても乗ってくれるのは同級生を除いたら一之瀬と葛城、八神くらいだが)」

 

 別に聞いてないが。

 まさか、この僕が嵌められた……? 

 南雲に……? 

 

「今日は一之瀬に来客があることを伝え忘れていたな〜……だが、クラスメイトだ。問題はないよな?」

 

 白々しくもそう宣う南雲に、一之瀬さんは自分の席がないからどうしたものかとしばしの逡巡をする。

 

(そ、そうなんだけど……えぇ〜っと、どうしよ……私の席に楠雄くんが座ってるし……)

 

 一之瀬さんは南雲へと買ってきたお弁当を渡すと、少し迷ってから僕の横の椅子を引いて腰を下ろした。

 

(そうだ、それでいい……)

 

 お前も段々面倒くさくなってきたな。

 カプ厨はクラス内だけでも足りてるどころかいなくていいくらいなんだ。

 隣に腰掛けてきた一之瀬さんはこちらへは視線を向けて来ずに、やや俯き気味に弁当の準備を始める。

 その不自然な様子に南雲が気付かないこともなく、首を傾げる。

 

(なんだ一之瀬のやつ……斉木と弁当を食うことなんて初めてなわけでもあるまいし)

(なんで南雲会長が……私と楠雄くんに対する嫌がらせなのかな……)

 

 邪魔だと思われているのはどうやら南雲の方らしく、一之瀬さんは黙々と昼食を摂る。

 僕も正直居心地は良くない。

 こいつというか周りはなぜ、僕たちをこうも焚き付けたがるのか。

 じれってぇな……! と思っているのかもしれないが、僕にも一之瀬さんにも付き合ったりとかそういうつもりはないぞ。

 僕が去らないのは南雲が作った状況ではあるが、一之瀬さんの前で僕が出ていったら傷つくかもしれないし、まだ昼ごはんを食べてる途中だからな。

 それに、放課後に済ませようと思っていた用件が近づいてきているし、ちょうどいいからここで済ませようという魂胆もある。

 僕や一之瀬さんとは異なり、引き戸を大きく開けて僕に迷惑メールを送ってきた2人目の男がやって来る。

 

「連絡通り、ここにいたんだねぇ」

「高円寺……(斉木が呼んだのか?)」

 

 高円寺には昼休みは南雲生徒会長と会うから、急ぎなら来てくれとだけ伝えておいた。

 本人としては急ぎではなかったのだろうが、南雲と会う理由が体育祭の種目のことであると気付けばすぐにやってくると思っていた。

 

「お前も斉木に用事か?」

「Exactly。生徒会長の用事と同じさ」

 

 南雲の問いかけに端的に答えた高円寺は僕の方へと目を向ける。

 

「去年の体育祭で私はこの高校に来て初めての後悔というものをしてねぇ。今年はそうならないように楠雄にお願いというやつをしに来たのさ」

『僕と同じ種目に出て勝負してくれと?』

 

 話が早いと言わんばかりに高円寺が指を鳴らす。

 それに一之瀬さんが心配そうに僕に尋ねてきた。

 

「えっと、勝負って……楠雄くん5種目しか出るつもりはないんだよね?」

「じゃあ俺と3競技やる約束をつけているから高円寺は1か2競技ってところか」

 

 南雲が言うと、高円寺は指を3つ立てた。

 

「3競技、私の望む競技に出て欲しい。それが私からのお願いさ」

 

 合計で6種目か。

 出てくれれば体育祭後にスイーツビュッフェに連れて行こうと高円寺は続けた。

 ふむ悪くない提案ではあるな。

 ただ、現状で既に綾小路や須藤も挑戦してくる可能性があるため、引き受けすぎていると僕のタイムスケジュールが恐ろしいことになりかねない。

 僕としては2に減らして欲しいところではあるが……というか、南雲と同じ種目に出れば済む話なのではないだろうか。

 それを言ってみると南雲は渋い顔をする。

 

「まぁ、俺は構わないが……いや、余計な茶々が入るのはな」

「私はどの種目でも勝負できるのなら構わないさ。生徒会長が恥をかくということになってもね」

 

 高円寺としては僕と戦えればそれでいいらしく、他との関わりに興味はないらしい。

 

「生憎と私は君の懸念するような心配事は起こさせない自信があるさ」

 

 このまま押し問答をして無駄に時間を浪費するわけにもいかない。

 やはり2人とも僕と戦うのなら同じ種目にしてしまうのが手っ取り早かろう。

 高円寺に関しては僕と同じ種目であれば文句はないらしいし、南雲が選択する種目で問題ないだろう。

 僕と高円寺は南雲が出ると決めた種目に異論を唱えることなく同意する。

 今夜の10時に予約をしろと言われたが、その頃には僕は実家のベッドの上なので起きてからにすることを伝える。

 

「今どき小学生でももう少し起きてるぞ……」

『今どきの小学生の方が夜更かししてそうだがな』

 

 スマホも携帯ゲーム機もあるし、夜を楽しむツールは多い。

 それに深夜アニメなどもあるから、親の目などがなければ日付が変わっても起きている子供も珍しくないだろう。

 そう説明してやると南雲の顔が引きつっていく。

 

「お、おう……(こいつも意外と負けず嫌いな部類だよな……)」

 

 今のどこに負けず嫌い要素があるんだ? 

 あと、南雲は僕に負けるなら悔いは無いさタイプなんじゃないのか? 

 いやそれだと第2の空助……はBクラスにいるんだったな。

 最近というか夏休み以降出てきていない気がするが、誰のことかわかるだろうか。

 とりあえず話すことも終わり、食事を終えた僕は椅子から立ち上がると、一之瀬さんも食べ終わったらしく片付けを終えていた。

 

「会長、今日の仕事はないんですよね?」

「ん? 今のところはないな」

 

 確認を取った一之瀬さんは僕の元に歩み寄ると、一緒に生徒会室を出ようと促してきたので、2人して退室することにする。

 出ていく際に(一之瀬も強かになったな……)と呟いていたが、一之瀬さんはこの1年で色々とあったし成長しているのは当然のことだろう。

 そんな一之瀬さんの後ろには高円寺もついてきていたが、生徒会室を出て少しすると「では体育祭を楽しみにしているよ」と言い残して去って行った。

 そうして2人きりになったところで一之瀬さんがおずおずと尋ねてくる。

 

「あのさ、今年も男女ペアの種目で二人三脚の種目があるみたいなんだけど……一緒に出てくれないかな? (テニスは私苦手だし……二人三脚なら走るだけだし)」

 

 モジモジしていた理由はこれか。

 確かに去年も二人三脚には出ていたが、去年とは一之瀬さんとの関係性というか、好感度が随分と違うからな。

 そもそも僕が体育祭で本気を出すというか、力の制御が出来なくなったのは須藤が制御装置を引き抜いてしまったからだが、それだけなら大した大事にはならなかったはずだ。

 火事場の馬鹿力のようなものと勝手に納得して時間とともに忘れ去られていたこと。

 そうならなかった原因は南雲が一之瀬さんを手に入れられなかった腹いせに嫌がらせをしてきたからだったな。

 あの最後のリレーのせいで僕は注目を浴びて高円寺や南雲に絡まれる羽目になり、綾小路や坂柳さんにも強い関心を抱かれる結果を招いた。

 全部南雲雅ってやつのせいじゃないか。

 

「えっと、楠雄くん……ダメ、だったりするかな? (南雲会長たちとの勝負で3種目埋まっちゃってるし、他に出たいのがあったりするのかな……?)」

 

 ダメな理由はないが……まぁ一之瀬さんとペアなら周りも変なリアクションはしないか。

 むしろ去年と同じだから特に気にせず受け入れてくれるかもしれない。

 問題はカプ厨共だが、あれらは放っておくしかないな。

 

『わかった。4種目はそれにしておこう』

「あ、ありがとう! (ペアの申請ってアプリからもできるのかな? ま、いっか!)」

 

 のんびりするはずだったが、そうもいかなくなってきたな。

 あとの1種目はどうするかを考えつつ、体育祭まではゆっくりしようと思っていたら携帯が揺れる。

 アラームの類は入れていないため、携帯が揺れる時は電話とメールの時くらいだ。

 一応、差出人だけ見ておくかと携帯を開いて、櫛田桔梗と椎名ひよりの名前を見て、軽く文面を確認すると僕はそっと閉じることにした。

 

「また迷惑メール?」

 

 迷惑、ではないが。

 そういえば去年もしたなと懐かしくなっただけだ。

 決して面倒に感じたわけではない。

 夜の7時から9時が暇ではなくなる可能性が出てきてしまったが、僕は本を読みながら見守っているだけでいいし、秋の夜風を浴びて読む本も悪くはない。

 それに去年と同じならスイーツも貰えるしな。

 しかし、個人戦である体育祭に過剰に他クラスに肩入れしていいものかと思い、一之瀬さんの方を見る。

 

「な、なに? (口元にご飯とかついちゃってるのかな?)」

 

 流石にクラスに申し訳ないし、一応報告だけはしておくかと、去年と同じように櫛田さんと椎名さんのトレーニングを見ることになるかもしれないと伝える。

 

「…………うん、別にいいよ! 去年もやってたならいいんじゃないかな?」

 

 なんだ最初の間は。

 テレパシーは特に聞き取れなかったが……。

 まぁ、許可が出たので2人がほどほどに活躍できるように見ることはできるようになった。

 

「私も見てもらいたいから時間とか場所教えてね」

 

 えっ。

 一之瀬さんはそう言ってどこか浮き足立って、クラスの教室へと帰って行った。

 一之瀬さん自身はすでに十分な成績を収めているはずなんだがな。

 本人が気にしているように運動音痴の傾向はあるが、素の身体能力は悪くないのだ。

 それに、個人戦になったことで体育祭で の貢献度を測るのが難しくなる。

 リーダーとして個人での点数も確実に出したいところだろう。

 豪華客船から降りてすぐに体育祭に備えて少しでも鍛えようとジムに通い始めている。

 櫛田さんたちと同じ対応でいいのなら1人増えたところで気にはならないか。

 それに自クラスの生徒がいれば、他クラスに塩を送ってることにも……ならないことは無いがマシには見えるかもしれない。

 体育祭まで平穏とは程遠い生活が始まってしまうが、体育祭が終わるまでの辛抱だと僕も教室に戻ることにした。

 





体育祭までの2週間、ほぼ誰かといるのが確定した男。
なお愛理は3人とはスタートが違うので自主練から。

原作だと一之瀬クラスは体育祭3位やがくーちゃん加入でどうなりますことやら。
柴田も成長してるから2位にはなれるかも。
1位は一部競技でのみ本気綾小路、高円寺が参戦するCクラスかな
坂柳クラスは体育祭が鬼門なので橋本がパワーアップしてるとはいえ難しいかもね。

空助「今回は楠雄が使っても壊れないような機材とスポーツジムに新マシン提供したりするだけで特に邪魔はしないよ〜。データは取らせてもらうけどね(楠雄の)。あとママとパパも呼ぶし、楠雄の今の人間関係見たら驚くだろうなぁ〜」

書くか悩みましたが、Aクラスを倒すために堀北がB〜Dで手を組もうという話をボツにしてます
理由は坂柳と龍園は断るだろうなと思ったからです
龍園は見返り次第ではついてくれそう
葛城も同様だけど、Aクラスには恩があるのでそれを返すまでは狙い撃ちにするようなことはしたくないと拒否しそう
坂柳は蟻がどんなに徒党を組んでも相手の蟻側にいる戦車には勝てませんよということで拒否

明日はゲームのアプデ後を楽しむので更新ないかもです!
そう言ってあるんだろって?
わ、わからないッピ……

てことで次回
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