ようこそ超能力者のいる教室へ -2年生編-   作:オールF

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ご覧の二次創作はようこそ実力至上主義の教室へと斉木楠雄のΨ難の二次創作です。
テニスの王子様は関係ありませんが斉木楠雄のΨ難と同じジャンプ漫画ではあります。


テニス、楽しんでる?

 正午の休憩という名の全く休めなかった時間を終えて体育祭は後半戦へと突入する。

 僕は既に最低限出なければならない5種目は終わっているのだが、ここからテニスとバレー、大縄跳びに出場しなければならない。

 クラスの方の戦いは一之瀬さんと神崎が上手くやるだろうし、僕には興味のない話であるため気にする事はない。

 テニスの方はトーナメント方式で3試合のみと思っていたよりは楽だった。

 1試合目の3年生チームは櫛田さんが頑張ってくれた。

 僕は球拾いという名の櫛田さんが取りこぼした球を相手のコートに返すだけの仕事である。

 ボールを投げるのは上手くなってはいたが、この2週間ボールを打つ練習だけに心血を注いだからな。

 

(なんだよ斉木の野郎……サイドラインギリギリのボールに追いつくどころか回り込んでクソみたいなしょぼいボレーでフォアに打ち返すなんて……)

(ウィンブルドン目指せるでしょあんなの……)

 

 目指さない。

 負けた3年生たちの恨みのこもった視線を受けつつ1回戦突破を喜ぶ櫛田さんのハイタッチを甘んじて受け入れる。

 

「やったね斉木くん!」

 

 一応元……じゃなくて現役でテニス部の橋本からコーチングを受け、手加減の練習をした僕と、元々それなりに運動神経はあり上昇志向の強い櫛田さんがテニスだけ練習すればこんなものだろう。

 ちなみにハイタッチを甘んじて受け入れたのは母さんが見ているからである。

 

「相手の3年生の男の人は中学の夏の全国大会でベスト16までいったこともある相手だったのに、私たち相性いいのかもね!」

 

 シングルスでベスト16に行ってもダブルスでも強いとは限らないからな。

 あとそういう言葉を大きい声で言うのはやめよう。

 さて、これに勝てば決勝なわけだが。

 

「今度は1年生だね(相手は宝泉くんと同じDクラスの女の子か。さっきの試合見てる感じだと宝泉くんのワンマンチームって感じだから、勝てなくはなさそう)」

 

 準決勝の相手は宝泉と七瀬さんにペアを拒否されたため仕方なく数合わせで連れてきた女生徒が相手だった。

 1年生とは思えない大きさに凄い雰囲気をしているらしい宝泉は見る者全てに威圧感を与えていた。

 

(相手は斉木か……こりゃあいいぜ、さっきのアイツのプレーを見てたが球への反応速度は相当だが、球の威力は大したことはねぇ。女の方も動きはいいが俺の敵じゃあねぇ)

 

 ネットを挟みこちらを見てくる宝泉は余裕そうな笑みを浮かべていた。

 シンプルな腕力ではダメでも明確なルールの存在しているテニスならば勝てるという算段なのかもしれない。

 それはある意味では正解である。

 僕の返しの球は拾うことさえ出来れば誰にでも返せるし、櫛田さんも上手くなったとはいえ宝泉や須藤の域には達していない。

 宝泉が真っ当にやるのであれば、勝つのは宝泉になるだろう。

 

「テニスでも俺に勝てると思ってねえだろうな? ぶっ殺してやるから楽しみにしてろよ斉木センパイ」

 

 そう話しかけてきた宝泉の言葉に疑問を抱いた櫛田さんが僕に耳打ちしてくる。

 

「あんたあの1年にもなんかしたわけ? (膝カックンをしてたのは見たけど、その後何にも聞かなかったし)」

 

 プライベートポイントマンとしての契約が残っていたから履行したに過ぎない。

 こちらからすれば逆恨みもいいところである。

 今回のテニスは試合時間に制限を設けており、4ポイント1ゲーム、2ゲーム先取の3ゲームマッチとなっている。

 サーブ権も1ゲーム交代ではなく点を取られた側に回る短期決戦の特別ルールが採用されている。

 チーム内でのサーブ交代は不要で任意の者が繰り返し行うことができるため、僕は櫛田さんに一任している。

 櫛田さんと宝泉のじゃんけんの結果、最初のサーブは宝泉がすることになった。

 

「死ねぇ!」

「速っ!?」

 

 立ち上がりから全力で来る宝泉の球に櫛田さんは思わず声をあげる。

 僕もあまりの速さに反応できずに翻弄されてしまい先取点を奪われてしまった。

 

「どうした斉木パイセン〜? そんなんじゃ相手にもならねぇな」

 

 なんて強さだ。

 巨体の宝泉から繰り出される強烈なサーブは櫛田さんでは返すことができず、僕も速すぎて反応することができない。

 

(さすがの斉木でも疲れが出てきたのかな……なんかこいつ強ぇぞ……みたいな顔してジャージで汗を拭ってるけど……)えっと、大丈夫? 斉木くん……」

 

 一応昼休みを挟んでるとはいえ8競技に出ている僕のことを櫛田さんは気遣ってくれているらしい。

 宝泉のボールは取れはしても返せるかは別の話だな。

 いや、返せなくはないんだが、さっきの試合みたいな弱いパワーで返すのは少し難しそうな球ではあるのだ。

 返せたとしても簡単に打ち返されてインに叩き込まれるだろう。

 

「(なんだあの程度にビビってたのか俺は)拍子抜けだぜ斉木ィ!」

(立ってるだけでいいって言われたけど、私まで悪者みたいじゃん……)

 

 弱いものいじめが楽しい宝泉は試合を心から愉しんでいるようで、ペアである女生徒は怯えた表情を浮かべている。

 試合に関してはほぼ全て宝泉1人で対応しており、僕もほぼ不参加であるため1対1で戦っているようなものだった。

 1ゲーム目を簡単に取られた僕たちに観客席からブーイングが飛んでくる。

 

「くーちゃん、もっとこう、エアK! 熱くなれよ! って返すのよ!」

「そうだぞ楠雄! そうだ、分身だ! 1人ダブルスとかやれよ! それか五感を奪うんだ!」

 

 母さんはいいとして、父さんのそれは最悪超能力者がバレるから黙っていような。

 それに五感を奪う超能力なんてものはない。

 催眠で暗示をかけて周りの音を消したり、見えなくしたり、感じれなくすることはできるが。

 

(これじゃちっとも面白くねぇ。仕方ねぇ、次は綾小路パイセンみたいだからな。それまで少し遊んでやるか)

 

 ん? 瞬きして見た宝泉はニヤリと邪悪な笑みを浮かべており、その視線の先には櫛田さんがいる。

 後の無い2ゲーム目が始まって宝泉の一方的な猛攻が続くかと思われたが、宝泉の放ったボールには先程までの勢いはなく、櫛田さんがすぐさま返す。

 

(疲れてるのはあっちも同じってわ……?)

 

 疲れが見えてきたのかと見せかけて、宝泉は腕を大きく振りかぶると櫛田さんから返ってきたスマッシュを弾丸のように強く打ち放つ。

 前面を守っていた櫛田さんを狙うかのように真っ直ぐとボールは強襲し、櫛田さんの顔を目指す。

 しかし櫛田さんは驚きと恐怖で動けずその場に立ち竦み、ラケットで顔を守ることもできない。

 

(あ……っ)

「あ、危ない!」

「くーちゃん! (なんとかしなさい!)」

 

 言われなくてもなんとかするさ、これは真っ当からは逸脱したプレーだからな。

 ラケットを放り投げて、相手の得点にはなってしまったが宝泉のスマッシュの軌道を変えることには成功する。

 宝泉の女子の顔を狙うという常軌を逸したプレーに観客席がざわつく中、真っ先に宝泉を非難したのは父さんだった。

 

「君! わざとじゃないのか! 女の子の顔を狙うなんて!」

「あ? (なんだあのおっさんは……あぁ、そうか斉木の親父だったな)テニスで相手の身体の近く狙うのは当然だろうが。下手に遠くに落としゃ打点合わせて返される。そんなことも知らねぇのかよ。素人のおっさんは黙ってな」

「は、はい……すみません」

 

 黙るなよ。

 ちょっと見直しかけた僕の感動を返せ。

 しかし、なるほどな。

 テニスで相手の身体の近くを狙うの当然なのか。

 

『大丈夫か?』

「う、うん、平気……(まさかラケットが飛んでくるとは思わなかったけど)」

 

 流石に走って回り込んでたら間に合わなさそうだったんでな。

 かと言って瞬間移動を使う訳にもいかなかったから、苦肉の策というやつだ。

 ラケットを拾い上げて、僕は宝泉の方を見た。

 

「咄嗟の判断にしてはよかったじゃねぇか斉木センパイ」

 

 お前にセンパイって言われるのはかなり気持ちが悪いな。

 そう思っていると母さんが僕へと念話してくる。

 

(くーちゃん、思いっきりやっつけちゃいなさい。ママが許すわ)

 

 言われなくても殺るつもりではいたが、宝泉のようなやり方はあまりしたくないな。

 

(何言ってるのくーちゃん。くーちゃんは桔梗ちゃんを守ってあげればそれでいいのよ。勝つか負けるかはその次よ。くーちゃんの力は何のためにあるの?)

 

 やれやれ。

 しょうがないな。

 

『リズムを上げるぞ』

「え? (ど、どういうこと?)」

 

 なんだテニプリは未履修なのか。

 まぁいいか。

 先程のポイントは宝泉側だったため、再び宝泉のサーブから試合が再開される。

 

「リズムだかなんだか知らねぇが、くたばっちまえ!」

 

 今度のサーブは後衛の僕に向けられたボールだった。

 

『テニスは相手の近くを狙って返すものなんだよな?』

「あ?」

 

 文句は言うなよと僕は前置きのセリフを吐いてから、ラケットを握り、宝泉から飛んできたボールを弾き返した。

 

「あぁっ!?」

 

 そのボールは宝泉が腕を振り下ろして放たれたスマッシュよりも遥かに速い豪速球であり、宝泉はラケットを振るうことが出来ずに硬直する。

 

「なんだ……今の球は……(速すぎて見えなかったぞ……)」

『ロンドン行くよ』

(こいつ今どんどん行くよって言った? ロンドンって言った? どっち?)

 

 やっぱり手加減なんてするもんじゃないな。

 窮屈で疲れる。

 だから宝泉もさっきみたいに愉しんでくれるといいんだがな。

 サーブ権が僕たちに移ったため、僕は審判からボールを受け取る。

 始まった当初こそ、5種目を終えて暇を持て余してここに辿り着いたギャラリー達が熱い雄叫びや櫛田さんに向けて黄色い声援を送っていたが、何故か僕がボールを持つと会場は静まり返った。

 

(運動能力A+のサーブ……)

(ロンドン行くよってことはツイストサーブか?)

(くーちゃん、桔梗ちゃんの仇は取って欲しいけど……殺しちゃダメよ)

(楠雄あんな犯罪者顔、とっとと殺っちまえ!)

 

 相変わらず夫婦で意思の疎通が取れていないというか、意見を一致させてくれないな。

 まぁツイストサーブもできなくはないが、殺るならナックルサーブだろうな。

 これで僕は全国大会を勝ち抜いた経験がある。

 もちろんゲームでの話だ。

 僕の手札は超能力を抜きにしたら、受け止めたら選手ごと場外ホームラン不可避の楠雄ホームラン。

 手加減したらヘロヘロのゴミボレー。

 壁打ちはしたかったが5回目くらいで壁にヒビが入ったのでやめた。

 

「君、早く打ちなさい」

 

 審判に急かされとりあえず僕はボールを宙へと上げる。

 宝泉を壊すのは簡単なのだがギャラリーが多すぎる。

 ここで僕が宝泉を後ろのネットまで吹き飛ばしたら僕の学校生活はお終いだ。

 そのためサーブはなるべく軽く打ち込む。

 

「へっ! さっきのはまぐれか!」

 

 そんなわけないだろ。

 先程開示した手札は超能力を使わなかったらの話だ。

 

『その打球、消えるぞ』

 

 消える魔球の原理はカットサーブという横に回転をかけたサーブらしく、実際の使用者のはキレがよすぎてボールが地面にあたると一時的に相手の視界からボールが消えてしまうように見えるサーブである。

 しかし、僕にそんな技術はないので宝泉に暗示をかけて実際にワンバウンドした後にボールが消えるように錯覚させるしかない。

 

「は……!? (マジで消えやがった!?)」

 

 これで2ポイント目を取り、続くサーブは零式サーブを放ち、そもそものリターンを許さずにマッチポイントを迎える。

 

「ざけんなよ……手を抜いてやがったって言うのか!?」

『You still have lots more to work on』

(こいつほんとハンパないわね。本当にロンドン行けるんじゃないかしら)

 

 ウィンブルドンもロンドンも行かない。

 その後も僕は超能力を利用して宝泉に1度もリターンさせることを許さずに勝利を勝ち取るかに見えた。

 

「返せねぇ球じゃねぇんだよ!」

 

 野生の本能とも言うべきか、宝泉はサーブのコースを読み切り、無理やり球を捉え、打ち返されたその球は櫛田さんの足下へと落ちていってしまう。

 

(しまった……!)

 

 櫛田さんも必死に球を追うが、あと少し届かずに悔しさに顔を歪ませる。

 

「ごめん斉木くん……(今の返せてたら勝ちだったのに……)」

 

 まだ慌てるような時間じゃない。

 あっちは1ポイントしか取れていない。

 落ち着いてどんどんいこう。

 

「(どんどんってあと1ポイントなんだけど……)わかった。ありがとう」

 

 あと1ポイント。されど1ポイント。

 考えた方や未来次第ではあるが、すぐに終わる1ポイントか、手の届かない1ポイントになるかもしれない。

 

「残念だったな。ここからが本当の地獄だ(櫛田をぶっ潰して斉木の情緒を乱して一気に片をつけるぜ)」

 

 宝泉はやっと戻ってきたサーブ権を悦び、嬉々とした表情でボールを高く上げる。

 青空の中に吸い込まれるようにしてボールはコートの中央を目掛けて浮遊する。

 宝泉のいる位置からは明らかに遠いものの、右足を前へと踏み出して、左足を送って、最後に両足を揃えて踏み切る。

 ゴリラが宙を舞い、渾身のジャンピングサーブで櫛田さんに狙いをつける。

 

「逝っちまいな!」

『お前がな』

 

 2度はないと言ったはずだぞ。

 宝泉には言った覚えはないが。

 僕は母さんに似て気は長くないんでな。

 すかさず櫛田さんの前に回り込んだ僕は両手でラケットのグリップを握り締め、宝泉の一撃を打ち返した。

 宝泉の身体目掛けて。

 

「ふぉおぉっ!?」

 

 かろうじてラケットのガット部分で僕のボールを受け止めることに成功はしたものの、宝泉の身体はボールと共に後方の壁へと打ち付けられる。

 

「げ、ゲーム……(なんて子だ……)」

 

 宝泉は金網に背をぶつけて気絶し、審判からは僕たちの得点になったことが告げられる。

 瞬間、ギャラリーはどよめきながらもまばらな拍手が起こる。

 その中で一際大きな拍手を送ってきたのは僕の両親と櫛田さんと仲のいい女子たちである。

 

「くーちゃんかっこいいー!」

「よくやった楠雄!」

 

 後輩1人を気絶させたんだが良かったんだろうか。

 自らヘイトを買っている人間だし、あまり大きな問題にはならないと思うが。

 体育祭で全て1位を取っていて今更目立つもクソもないかと思って息を吐くと後ろから猛烈な勢いで抱きつかれた。

 

「やった! やったね! 斉木くん!」

 

 はしゃいでいるところ悪いがまだ準決勝だ。

 綾小路と堀北さんペアと須藤と小野寺さんペアという同クラス同士の戦いもまた接戦のようでまだやっている。

 観客の注意がそちらに向いていたため櫛田さんの抱擁を見たのは厄介な両親とこれまた櫛田さんと仲のいい生徒たちのみ。

 

「パパ!」

「ああ、やっぱり楠雄にも春が来たみたいだな。紅葉に満ちた春が……」

 

 秋だろそれは。

 担架で運ばれていく宝泉を見やりつつ、僕もなにかペナルティなどがあるのかと思えば先にやったのは宝泉であるため不問となったようで僕たちは問題なく決勝戦へと進むことができた。

 勝ち上がってきた綾小路と堀北さんペアには申し訳ないが、先程の異常なプレーの後に萎びたプレーをする訳にはいかなくなった僕は再び零式サーブや消えるサーブ、破滅への輪舞曲とかさらには調子に乗って斉木ゾーンなどもやってストレート勝ちした。

 





櫛田回というよりは宝泉回
スポーツでも勝てなかったね。

今月もよろしくです
綾小路と堀北はナレ死みたいな感じになってますが、綾小路としては(なんだそのサーブは!?)(そんなこともできるのか!?)(フフフ、オレはまだ成長出来る……!)と内心大喜びで堀北さんに「貴方負けてるのになんでそんな嬉しそうなの?ドMなの?」と言われてたりする。
櫛田さんも活躍しており堀北とは怒涛のラリーの末1点もぎ取っているためご満悦
この試合の後もくーちゃんの握って喜んだりしてるが本編のハイタッチ、抱きつく含めて全部策略とかではなく素でやってる
無人島試験以来クセになってんだ、斉木楠雄とのスキンシップ

てことでまた次回
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