ようこそ超能力者のいる教室へ -2年生編-   作:オールF

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文化祭編特に面白いところないかもしれん


千里の道も一歩から

 文化祭の追加資金のことと、中間テストの結果が発表された日の放課後。

 体育祭と中間テストという行事が終わり、どの学年もクラスも文化祭に向けての準備を本格的に進めなければならない頃合いだ。

 2年Aクラスの出し物は柴田のコスプレ喫茶、小橋さんの男女逆転喫茶、そして網倉さんや安藤さんなどの一部有志主体のスイーツカフェの3つに分かれて混沌を極めていた。

 

「男女逆転ってなんだよ! 俺らに女装しろってのか!?」

「そっちこそコスプレって何着させる気? しかもケヤキモールにドンキとかないから衣装手作りでしょ、手作り。コストとインパクトを考えたら男女逆転喫茶の方がいいって」

「うーん、平和的にスイーツとかでいいんじゃないかな。うちにはスイーツに詳しい人がいるし」

 

 出し物が決まらないことには今日確定した予算の使い道もハッキリしないとのことで、文化祭実行委員というこのクラスのみに存在する役職を引き受けた神崎が代表3名によるディスカッションを聞いていた。

 僕はスイーツカフェのアドバイザーとして招致されているが、個人的には校庭にある変な石展とかでいいと思っている。

 その気になれば隕石を引き寄せてそれを目玉にしてもいいのだが、今日中に決まらなかった時の策として置いておくことにした。

 

「柴田、どのようなコスプレを考えている?」

「えっ? そりゃあやっぱり国民的漫画にしてアニメのドラゴンボールやワンピース、NARUTOとかジョジョだな!」

 

 タイトルは知っているが中身までは詳しくない神崎が僕に「人気なのか?」と尋ねてくる。

 

『人気ではあるが、全ての客層に刺さるかは分からないな』

 

 それに所詮は学生の文化祭レベルのコスプレとなるとマニアックなファンなどが来店した時に揉め事になる可能性もある。

 そのキャラはそんな事言わないだの、そんな雰囲気じゃないだのやっかみを受ける危険性は大いにある。

 コスプレ衣装自体はネット通販で入手可能ではあるが、費用がかかるしサイズ問題などの面倒くさい事柄もあるのであまりお勧めはできないな。

 その旨を伝えたが、柴田はそれでも自信ありげに胸を張った。

 

「そうか? ドラゴンボールなら誰でも分かると思うし、俺ならジースとかバッチリ似合うぜ! それにフリーザ様だって俺の親友の楠雄なら出来ると思うんだ!」

 

 僕、フリーザなのか。

 てっきりガンマ1号辺りだと思っていたんだが。

 サイダーマン1号やPPマンという手もあるが、知っている人は限られているな。

 漫画やアニメ作品のコスプレは本人が楽しむ分にはいいかもしれないが、この文化祭で、しかも売上を競うという名目がある場においては向いているとは言い難いな。

 

「それ私たちはブルマさんや18号さんとかになるの?」

「え……? あぁ、まぁそうなるかな(18号は一之瀬がいいな。21号でも可)」

 

 どっちにしろ人造人間だな。

 しかし、女性陣のことはあまり考えていなかったのか、柴田が首を捻りながら答えると小橋さんと網倉さんが呆れたように顔を覆う。

 

「今時コスプレでドラゴンボールを出す時点で古臭いと言うか流行遅れじゃない? ジャンプでやるなら鬼滅とか呪術……も連載終わってからそこそこ経つけど、そのへんじゃない?」

「ま、まぁ確かに……」

 

 コスプレ喫茶の抱えている問題は誰が何のコスプレをするかと、衣装の用意もあるが喫茶ということは飲食店ということになるため何を販売するかという点も付き纏う。

 その後の話し合いでは男女逆転喫茶についてだが、柴田が好機とばかりに攻め込む。

 

「女子の男装はともかく、男子の女装についてはどう考えても見苦しいだけだろ」

「そうかな? 浜口くんとか中性的な顔立ちだし、カツラとメイクとかで結構いい線いくと思うけど」

 

 それに目玉は女装男子ではなく、男装女子の方にするからと小橋さんはプランニングを語る。

 執事服や燕尾服はレンタルであればそこまで金額はかからず、また柴田と違い誰が接客するか、キッチン担当をするか、出すメニューや価格帯、その他サービスなどもある程度決めてきており、神崎に向けて入念に準備されたプレゼンを行う。

 

「なるほどな、この手の知識はなかったが悪くない」

 

 自分が女装するわけではないと分かった神崎は小橋さんのプレゼンの内容含めて好印象を抱いており、出店場所やレイアウトは実際に借りる教室が決まってからになるが、現時点では男女逆転喫茶で決まりそうだ。

 

「ぐっ……」

 

 それに納得がいってなさそうな柴田はなんとか反論を試みるも、神崎が口を開く。

 

「このコンセプトであれば女装する方は特に決まりはなさそうだし、柴田も女性キャラのコスプレとかをしたらいいんじゃないのか?」

「えっ? あー……(小橋はメイクとかでなんとかなるかもって言ってるし、てか俺はコスプレしたいわけじゃなくて楽しくワイワイやりたいだけだしな)ま、そういうことなら」

 

 スイーツカフェの方もメニュー提案されていたものを男女逆転喫茶の方に組み込めば、代表者3人の想いは汲んでやれると神崎が上手く取りまとめる。

 

「じゃあ私たちは男女逆転コスプレスイーツカフェってことになるのかな?」

「あぁ。衣装の打ち合わせは小橋メインで、メニュー開発やらは斉木と網倉が中心になって進めてくれ」

「教室はどうする? 一応候補は決めてあるんだけど」

「そうだな。下見はしておきたいし、今から行ってみよう」

 

 というわけでうちのクラスは長ったらしい名前ではあるが男女逆転コスプレスイーツカフェという悪魔合体とまでは言わないが中々に濃い出し物になった。

 

「俺と小橋だけでは判断に困ることがあるかもしれない。3人もついてきてもらっていいか?」

 

 出店場所の候補はすでに出されているが、そのうちのどれにするかは神崎だけでは決めようがないと言う。

 特に予定のない僕は頷き、網倉さんも「おっけー」と返事をする。

 

「悪ぃ、俺これから部活だからその辺は任せるわ(部活自体はないけどミーティングがあるのがなぁ16時30分からだしそろそろ行っとかないと)」

 

 テストが終わり、部活動が解禁されたため柴田はそちらに行かなければならないと僕たちに頭を下げて教室を出て行く。

 

「なんかダブルデートみたいだね」

 

 小橋さんが神崎と網倉さん、そして僕を伴いながら教室を出るなりそんなことを言ってくる。

 

「えぇ!? 夢ちゃん、それは帆波ちゃんに悪いよ……」

「俺たちはクラスメイトであって付き合っていないんだしデートにはならないだろう」

 

 慌てる網倉さんの横で神崎が何を言っているんだと小橋さんに言い聞かせようとするが、当の本人は聞く耳を持っていなかった。

 

「そういえば帆波ちゃんも大変だよね、生徒会活動もやってクラスの方も見てって(それに……)」

 

 小橋さんは僅かに僕の方へと目線を向けてくる。

 

(櫛田さんも斉木くんのこと好きなのではとは思っていたけど、まさかクラスメイトたちに公言しちゃうとは予想外だったな)

 

 小橋さんの言うように櫛田さんは現在Dクラスになった教室で僕のことが異性として好きだと宣言した。

 学年どころか学校全体に知り合いを持つ櫛田さんに好きな人がいるというニュースは瞬く間に学校中を駆け巡り、僕の周囲は一層慌ただしく……とはならなかった。

 

「刺されないように気をつけたまえよ楠雄」

「斉木って昨年の体育祭からモテてたし、好きを公言してる女子の筆頭には姫さんとかいるしな。てか好きでもない相手にハイタッチしたり抱きついたりしないしな。残念ながら当然ってやつか?」

「クク、モテ男は大変だな。代わってやりたいくらいだぜ。そういえばひよりのやつもっておい! 話聞けや!」

 

 空前の斉木楠雄ブームメントの残り香と、そもそも1学期に櫛田さんとの噂も立っていたことからあまり意外には思われることもなく、僕の肩書きが1つ増えた程度に済んだ。

 まだ屋根裏部屋のゴミにはなっていない。

 面倒事があるとすれば櫛斉派などという団体が現れたことくらいだが、櫛田さんは僕が好きというだけで僕と付き合う気は無いため、放っておいても支障はないだろう。

 

「一之瀬も用事が終わったら合流すると言っていたが、場所は伝えてあるのか?」

「うん、さっきメッセージ送っておいたから大丈夫」

 

 体育祭終わりから中間テストまでにあったことを思い出しながら歩いていると、出店場所の候補地である特別棟に辿り着く。

 3階立てとなっている特別棟の出店可能教室は全部で8つあり、入口傍や階段から近いほど段階的にコストが上がるようになっている。

 屋内の出店場所としては、正門から最も遠くに位置しているため一般棟や体育館と比較したら、コストとしては抑えられている。

 3階なら1万ポイントから1万3千ポイントで借りられるが、足の運びやすい1階は一律5万ポイントと4万ポイントもの差がある。

 4万ポイントもあれば食材の購入費に回すことができるが、距離の問題もある。

 わざわざ3階まで上がって来て男女逆転してコスプレしてる奴らの出すスイーツが食べたいと思えるかという話である。

 

「3階は無理だな。俺ならよっぽどのクチコミなどがないと来ない」

「でもいいの? 1つ下に下がるだけでも5千〜1万ポイントも上がるけど」

「資金は有限だが出し渋っていて後悔する結果になるよりはいい」

 

 そう言って神崎を先頭に1つ下の階である2階へと降りるとテレパシーで察知していた通り、2年Dクラスの面々もまた下見にやって来ていた。

 

「斉木(と神崎に小橋、網倉か。あの様子だとあいつらも目的は同じか)」

「あ、斉木くん」

 

 僕たちに気づいた綾小路と佐倉さんが僕のことを呼ぶ。

 お互いのクラスがどんな出し物をやるかという話は漏れていないため、人選だけで相手の出し物を判断することは基本的には難しい。

 綾小路といるのは佐倉さん、長谷部さん、堀北さん、松下さん、佐藤さん、みーちゃん、前園さんと女性ばかり。

 神崎や小橋さんは相手側がメイド喫茶をやろうとしているとはまだ知らないため、パッと見では綾小路のハーレムにしか見えないだろう。

 

「へぇ、綾小路くんも結構やるぅ」

「変な勘違いをされているな……」

 

 平田や須藤も連れて来たかったが、こちらの柴田と同じく部活があるため男子は帰宅部の綾小路のみとなっていた。

 そんな絶賛アウェーな綾小路に神崎は声をかける。

 

「そちらも文化祭の出店場所探しか」

「どうだろうな。もう決まっているかもしれないし、屋内にするのか屋外にするのかすら決まっていないかもしれない」

「別に誤魔化さなくてもいいが……まぁいい」

 

 単なる世間話として声をかけた神崎だが、警戒されてしまうのであれば本来の目的に戻らざるを得ないだろう。

 しかし、小橋さんが口を開く。

 

「出店場所探しじゃないなら可愛い女の子たちと一緒に特別棟を徘徊してる理由って何になるのかな?」

『単なるハーレムを楽しんでるだけなんじゃないか』

「あー、そういうことね」

(酷い誤解だ)

 

 話が長くなることを避けるため適当に僕が答えてやると綾小路はゲンナリとした顔を向けてくる。

 僕としてはさっさと下見をしてもらってスイーツを作るところに行きたいのだ。

 そういうわけで2階の視察を終わらせて1階へと移動しようとしてまた別のグループと鉢合わせする。

 

「あら、楠雄くん、ごきげんよう」

 

 そう声をかけてきた坂柳さんは透け透けになって骨なので多分だがスカートの裾を持って挨拶してくる。

 後ろには坂柳親衛隊である橋本と神室さんの姿もある。

 鬼頭がいないのは彼らもまた出店場所探しのため、武力担当は不要と考えてのことだろう。

 

「よう斉木って、綾小路たちもいるのか(てか、あっちは男が綾小路1人か。斉木以上のハーレムだな。羨ましいとは思わないけど)みんな揃いも揃って文化祭の出店場所探しか?」

 

 橋本が問いかけるとDクラスの面々は頷くことも首を振ることもせずにいるのに対して神崎は素直に認める。

 

「ああ。とはいえ、何をするかが漠然と決まったから残っている場所を見て回っているという段階だ」

「正直だな。一之瀬はどうした? (葛城も今日は参加出来ないって言って生徒会に行ったのに、なんで堀北だけいるんだ? ハブられてるのか?)」

 

 橋本の疑問に堀北さんが即座に答える。

 

「彼女は確か今日は葛城くんと当番で生徒会活動よ。でもそろそろ終わるんじゃないかしら」

「あぁ、そう。どうも教えてくれてありがとよ」

 

 教えてくれた堀北さんに感謝を伝えると橋本はヒラヒラと手を振る。

 そして、綾小路と神崎からはろくな情報は引き出せない。

 いや、橋本自身もそこまで興味はないのか、話を切り上げる。

 

「じゃあ姫さん、そろそろ」

「えぇ? もうですか? 久しぶりに楠雄くんの顔を見たのでもう少し……」

「いやいやテスト終わりも見たから2日くらいでしょ」

 

 坂柳さんの言葉に神室さんが即座に否定する。

 彼女の言うように金曜日の放課後に下駄箱で鉢合わせたため、会うのは2日ぶりだ。

 そして、そんな会話に入っていないというのに僕に突き刺さる視線が多い。

 居心地の悪さに僕はさっさと行こうと神崎に指示を出す。

 

「そうだな。じゃあ橋本、綾小路。また」

 

 神崎は僕の意図を汲んでくれたわけじゃないが、話を早めに済ませようという気持ちは同じであるため頷いてくれる。

 最後の1階へと足を進め、内装や広さ、床や壁の汚れなどを確認し、どこを採用するかの決定権は神崎と小橋さん、そしてあとで合流するであろう一之瀬さんに委ねることにする。

 僕と網倉さんは出すスイーツの選定という重要な役割があるからな。

 男女逆転コスプレスイーツカフェの最も大切なスイーツの部分であるため、手を抜くことはできない。

 綾小路や堀北さんには悪いがスイーツにおいてはこちらが圧倒させてもらう。

 

「斉木くん、顔が怖いよ」

 

 おっと、少し顔に出ていたか。

 超能力者という立場を利用して他クラスどころか校内で被ることのないスイーツの提供をするか、あるいは味や見た目に力を入れてクチコミなどによるバズを狙うか。

 選択肢は多いが、やることは単純だ。

 堀北さんたちは飲食店が複数あることは予想しているため、軽食に特化させつつ安い値段にするようだが安さだけがスイーツの全てじゃないことを証明してやろう。

 

『フフフ……』

「今回も斉木はやる気みたいだな」

「まぁスイーツ絡みだからねぇ……」

「私、ホントに斉木くんとペアでいけるかな? 帆波ちゃんに代わってもらった方がいいんじゃ……」

「それだと斉木くんのブレーキ役がいなくなるからダメだよ(スイーツ絡むとIQ3になっちゃうし)でも、帆波ちゃんつけるなら千尋ちゃんもつければいけるかな……」

 

 スイーツは生クリームなどを使用することになると屋外での販売は難しいが、クッキーやパンケーキであれば即食性も高く、屋外での宣伝にもなる。

 同じ手は他クラスも考えているが、僕のスイーツが1番だ。

 ナンバーワンだ。

 誰にも負けないスイーツになる。

 

「お待たせーって……みんなどうしたの?」

 

 ん? 一之瀬さんか。

 生徒会の仕事は終わったみたいだな。

 このまま場所の決定も今日には終わるだろう。

 小橋さんたちが今までの事を一之瀬さんに伝えていき、場所も1階に決まる。

 他のみんなはまだ知る由もないが奇しくも綾小路たちのメイド喫茶とは反対側になってしまった。

 まぁ考えていることは似ているため仕方ないことだ。

 場所も決まったことで僕は自由の身となったため、早速何を作るかを決めることにする。

 後に続けて網倉さんと堂々と歩いて行くと網倉さんは困惑しつつもついて来て、一之瀬さんも「(麻子ちゃんだから大丈夫だとは思うけど……桔梗ちゃんのこともあるし……)心配だから私もあっちについてていいかな?」と神崎らに許可を得てから追いかけてくる。

 僕と網倉さんと一之瀬さんはスーパーで食材やスイーツの売れ筋などを見ながらメニュー作りに勤しむことになった。

 





小橋さんが準備万端なのは勉強教えてもらってる時にくーちゃんから『何事も準備が大切だ。どれだけ準備をしたかで物事の成否や完成度は大きく変わってくる』と力説されたから。
そのため勉強の合間合間にしっかり男女逆転喫茶の準備をしてきた。

劇か展示かは悩んだけど話題性がないと1日しかない文化祭では難しいのと、飲食店なら昼と15時のピークタイムが存在するため確実に客は来るから。
劇は知恵ちゃんがロミジュリとか白雪姫だとかの恋愛モノや逃げ恥みたいな恋愛ドラマをベースにしたものをくーちゃんと一之瀬主演にやらせようと考えていたが小橋に観てみたいけど、売上の確実性が取れないのと回転率が悪いという理由で却下された(小橋がしなくてもくーちゃんがしてた)

おまけ
くーちゃんへの評価はだいたいやったけど逆は?ってやつ
今回は珍獣のみ

高円寺▶︎うるさい。勘がいい。超能力者に近い男。自由人かと思えば認めた相手には気は遣えるし紳士的。悪い奴ではない。
橋本▶︎うるさい。しつこくはなくなったのと昔のトラウマは乗り越えられたようで良かった。のらりくらりと学園生活を楽しめている。情報通なのとノリがいいからくーちゃん的にも話しやすい。
龍園▶︎うるさい。悪事は減ったけど性根は変わってないのと、隙あらばくーちゃん弄りをしてくるので制裁(デコピンとか)してる。最近は綾小路を2人で弄っている。良い奴じゃないが悪い奴でもなくなった。
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