ようこそ超能力者のいる教室へ -2年生編-   作:オールF

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お前たちは次に「なんだか普通の高校生みたいだ……」と言うッ!


修学旅行2日目

 修学旅行2日目は時間の許す限りスキーを堪能し、オレたちは19時前に旅館へと戻った。

 スキー場に行くバスが遅延したり、昼食時に岐阜から来たという修学旅行生に山村が絡まれるトラブルはあったが、それ以外は平穏そのものな1日だった。

 まぁ岐阜から来た修学旅行生とやらはいい思い出ができただろうな。

 歩いている山村に気付かずに肩がぶつかったと言う男に、山村は謝罪していたが男たちは聞こえていないかのように立ち振る舞い続けていた。

 

「遊ぼうぜ、それで許してやるからさ」

 

 山村を守るように立ち塞がった西野の腕を無理やり掴むと、西野は強引に腕を振りほどく。

 しかし、その時に西野の手のひらが男の頬に軽く当たる。

 

「ってぇな」

 

 終始、品のない笑顔を浮かべていた男たちの表情が途端に豹変していくと、西野へと手を伸ばそうとして、その直後に男の手が大きな腕に掴み取られる。

 

「いけないねぇ、君たち。レディに向かって暴力とは」

「な、なんだテメェ!」

 

 手を掴まれた男は口を挟んできた高円寺を見上げ、自身より大きく体格のいい姿を見て少し怯んだ様子を見せる。

 その隙に橋本と時任が自クラスの生徒である山村と西野を男たちから離れるように連れていく。

 ……あいつらがいるということは、と目を向けると高円寺の少し後ろで一之瀬やひより、恵、坂柳たちに混じって立っている斉木がいた。

 とはいえ、一之瀬たちも他校の不良というのは怖いのか、恵以外は斉木の後ろに隠れるように立っていた。

 そんな3人を見て、岐阜から来た修学旅行生たちは一之瀬たちの容姿に目を輝かせた。

 

「へぇ、なかなかの上玉がいるじゃねぇか」

「根暗とブスよりは楽しめそうだぜ。ついてる男もひ弱そうだ」

 

 男たちの舐めた発言を聞いた高円寺と龍園は揃って呆れたような表情を浮かべる。

 それはオレや橋本も同じで、橋本に関しては「あーあ……」と男たちに黙祷を捧げていた。

 高円寺は掴んでいた手を離してやり、龍園も5人のうちの1人の背中を蹴ろうとしていたのを止める。

 

「消えろよ、ぶっ飛ばされないうちにな。楽しい修学旅行が血祭りになるぜ」

「あ? 何言ってんだよお前」

『そうだそうだ』

「てめぇはこっち側だろうが。一之瀬たちが狙われてんだぞ。お前も動け」

 

 斉木の実力を知らない男たちからすれば龍園や鬼頭、高円寺と比べれば、細身で平均身長の男子の方が弱く見えるだろう。

 しかし、斉木が相手せずとも相手の不良たちは些か格下に見える。

 鬼頭と龍園なら余裕だろうし、橋本と時任でも十分やれるレベルだ。

 そんな相手と分かっているからか、龍園は余裕の表情で言う。

 

「帰りの切符買ってこいよ。帰るんだろ?」

「さっきから黙って聞いてりゃ……殺すぞお前ら」

「やってみろよ、なんなら一発殴らせてやろうか? 修学旅行の土産が欲しいだろ」

 

 そう言ってトントンと人差し指で眉間を差し出すように叩くと、男は言われるがままに強引に右手を振りかぶる。

 

「おう、なら遠慮なく1発殴らせてもらってやっ、ぁッ!?」

 

 本当に殴らせてもらえると思ったのか隙だらけになった腹部に龍園の右ストレートが突き刺さる。

 男は悶絶し転がり回るとその頭を龍園が踏みつける。

 

「仕掛けてきたのはお前らからだぜ?」

「く、くそ……! ち……っ!」

「やるぞ!」

 

 長い髪をかきあげながらリーダー格思われる男の頭を踏んで龍園が言うと、他の男の4人が視線を合わせる。

 人生で初めての他校との接触イベントがまさか暴力沙汰になってしまうとはな。

 幸いなことにお互いフードコートでこれ以上喧嘩騒ぎを起こすことは良くないと理解しているようで、龍園と鬼頭、高円寺、そして「3対4じゃ不利だからなぁ」と悪い笑みを浮かべた龍園に連れられて斉木共にぞろぞろと屋外に向かっていく。

 踏まれていた男も仲間たちに介抱され立ち上がると、血が完全に上っているのか「ぐちゃぐちゃにしてやる……!」と息巻いていた。

 そんな血気盛んな男から離れるように橋本に避難させられてオレのところまで来た山村は不安そうに尋ねる。

 

「誰か呼ばなくてもいいんでしょうか?」

「ああなった以上は止められないだろうな。人目を避けてもらってやり合うほうが……」

 

 そうオレが言ったところで岐阜側の高校生の教師の1人と思われる男が駆けつけてくる。

 

「嫌な予感がして来てみれば……! おい! お前たち! 何をやっている!」

 

 騒ぎを聞きつけたのか、あるいは誰かが報告したのかはわからないが、教師がやってきた事で龍園は興が削がれたと舌打ちする。

 斉木が事情を話し、岐阜側の生徒と山村がぶつかったが、山村に男たちが難癖をつけた挙句に山村と西野のことを罵倒したことなどを報告する。

 男の1人が龍園に殴られたことを言おうとしたのだろうが、『あ?』と見ているこちらも驚くような斉木の圧にひれ伏したのか、山村と西野の前で謝罪したことでオレたちは何事もなく午後もスキーを楽しむことができた。

 なんなら、斉木のグループも合流して櫛田も楽しそうに過ごすことができていたようだ。

 滑れない坂柳を気遣ってかソリをレンタルして女子たちで滑ったりした。

 さらにはひよりと櫛田、一之瀬と坂柳の乗ったソリを斉木と高円寺、恵と西野、山村、網倉の乗ったソリをオレと龍園で引かせて競争させたりもした。

 橋本と鬼頭、時任、渡辺とは雪合戦や雪だるま作りをしたりとスキー以外の遊びも楽しむことができた。

 滑り足りなかったぜと愚痴っていた龍園だが、名残惜しいくらいがちょうどいいかもしれないとオレは思う。

 夕食時に須藤から一緒に風呂に入らないかと誘われたオレは修学旅行前に堀北のことで相談を受けていたこともあり、一緒に大浴場へと足を運ぶ。

 

「かーっ! 効くなぁ!」

 

 身体を洗い、温泉に身を委ねていると須藤は両手で繰り返してお湯を掬い顔を洗っては疲れを吹き飛ばしていた。

 日頃バスケ部で汗を流している須藤には温泉の効能というものが得られるのかもしれない。

 そんな須藤から視線を逸らし、しばらくボーッと湯船に入っていると橋本、高円寺、斉木、時任と龍園が入ってくる。

 おかしいな、龍園はオレと同じグループのはずなんだが。

 

「あ? お前ら牧場なんて行ってたのか」

「ああ。高円寺と椎名、坂柳と斉木、あとは軽井沢も行きたいって言ってな。なかなか悪くなかったぞ」

 

 龍園と時任はあまり仲が良いとはいえないという噂を聞いたことがあったが、2人で午前中のことを話していた。

 

「乗馬体験? 坂柳と椎名には無理だろ。特に坂柳の足じゃな」

「それはそうなんだが……斉木が一緒に乗ってやってたぞ……後で椎名と一之瀬も乗せてたが」

「そういうことか……まぁ特に驚きはしねぇが。お前はどうだったんだ? ちゃんと乗れたのかよ?」

「なんとかな。ただスキーもやったし、既に少し筋肉痛だ」

 

 なんだそのイベントは。

 高円寺がいるにしては平和的だなと思っていると、須藤もあちらの話が聞こえていたのか口を開く。

 

「高円寺って斉木がいるとまともだよな」

「そうか……?」

 

 聞いている限りでは話し合いの結果、牧場に行くことになったようだが、実際は高円寺の行きたいところに付き合わされているんじゃないだろうか。

 いくら斉木がいるとはいえ、高円寺が大人しく従うタイプではない。

 自由行動は全員での参加が原則であるため、斉木が折れるのに合わせて坂柳やひよりも賛成した可能性もある。

 

「最初は乗馬体験の馬の機嫌が悪かっただったんだけどな。係員の人が宥めてもダメだったのに、斉木が撫でてやると急に大人しくなってさ。餌やりもできたし、酪農体験でこっそり搾りたての牛乳とか飲ませてくれたり、牧場スイーツってやつもあってな。斉木がめちゃくちゃ食ってたな。僕は人間火力発電所だとか言って」

「……なるほどな、それ目当てか。今更孤独気取りかよ」

 

 時任の話を聞いて、斉木が牧場行きに賛成した理由を察した龍園と同じくそういうことかとオレも頷く。

 その後はオレたちも知るように、牧場スイーツなどで小腹は満ちたが、もう少し何か食べたいと言った高円寺と斉木に合わせてフードコートにやって来たらしい。

 龍園と時任が話す場所から少し離れたところで高円寺と橋本、斉木が湯船に浸かっていた。

 

「私としてはスノーモービルとやらにも乗ってみたいんだがねぇ」

「あれって免許なしで乗れるもんなのか?」

「なんとでもなるはずさ」

『ガンダムだと』

「やってみせろよが抜けてねぇか? てか、高円寺ってガンダム知ってんのか?」

「知らないねぇ」

 

 知らないのかよ。

 まあオレも知らないんだが。

 しかし、須藤の言う通り高円寺が大人しいというか、誰かとああして温泉に浸かって会話をしているというのは同じクラスの人間としてはあまり信じられない。

 クラスでは誰かと話すことはなく、休み時間も教室にいないことが多い。

 外で見かけるときは1人か上級生の女子生徒とデートをしているところしか見た事がない。

 それが混合合宿以来、龍園、橋本、斉木という変わり者の集まるグループといる姿をよく見るようになった。

 西野に聞けば、たまにCクラスで4人でご飯を食べていることもあったと言う。

 DクラスやA、Bクラスでは見たことがないと言うことから、龍園辺りが呼びつけているのか橋本が気を利かせているのかもしれない。

 

「俺は断然ダリルバルデだな。あの泥臭い戦い方がいいぜ。斉木は?」

『セラヴィー』

「クク、お前ら揃いも揃って脳筋だな。イージスやジャスティスみたいな搦手を持ったガンダムの方がいいに決まってんだろ」

『イージスもジャスティスも脳筋だろ』

「それはパイロットの話だろうが」

 

 橋本と斉木のガンダム? 

 いやモビルスーツ談議とやらに龍園も口を挟む。

 次第に話は誰が強いかなどの話へと向かい、わからない高円寺と時任は湯船から上がって頭と身体を洗いに向かう。

 

「俺もガンダムはわかんねぇな……てか、龍園もああいうの見るんだな……」

 

 意外そうに言う須藤だが、龍園も男の子ということなのだろう。

 ロボットが嫌いな男の子はいないと以前に博士が力説していたことを思い出す。

 なんとなく、オレにおすすめのガンダムとやらはないかと聞いてみたら斉木には86という数字を勧められた。

 修学旅行中では調べることはできても、観ることは出来ないため、また帰ってから調べて観てみるとしよう。

 

「そろそろ出るか。斉木はどうする? まだ入ってるのか?」

 

 大浴場に入ってから30分ほど経つと龍園と時任は先に出て行き、残っていた橋本もそろそろ頃合と思ったのか斉木に尋ねる。

 すると、斉木はコクリと頷いて、それを見た橋本は「じゃあお先に」と内風呂へ続く扉を開いて姿を消す。

 高円寺は外気浴を楽しんでいるのか足首から下だけ温泉に浸からせて岩場に座っている。

 そうして、斉木の周りに誰もいなくなったのを見て須藤が声をかける。

 

「なぁ、斉木、ちょっと相談に乗ってくれねぇか」

『なんだまた覗きか?』

「ちげぇよ! そうじゃなくて、その、なんだ……これから、鈴音に告白しようと思っててよ……何かアドバイスとか、ねぇかと思ってな……」

『服は着ろよ』

「着るわ! 俺は結構というか、めちゃくちゃマジなんだよ! 緊張は取れたけど……その、なんかないのかよ!」

『ないな』

「即答なのかよ……」

 

 須藤の相談についてはオレも修学旅行前に受けていた。

 小野寺から熱烈なアタックを受けている須藤だが、それでもやはり堀北と付き合いたいらしく、この修学旅行で正式に告白しようと決意していた。

 オレにはアドバイスを求めるわけじゃなく、堀北と近しい位置にいるオレに対して宣誓をしに来た。

 しかし、斉木にはアドバイスを求めるというのはよく分からない。

 須藤も今から勝算があるとか無いとか、そういう話ではないのだろうが、学年内でも屈指のモテ男となっている斉木に何か助言を請いたいと思ったのかもしれない。

 ないなと口にした斉木だったが、真剣な目を向けてくる須藤に暑苦しいと感じたのか、根負けしたのか『やれやれ』と呟く。

 

『堀北さんは恋愛をする気はないと思うが、お前に告白されることで異性への意識が芽生える可能性自体はある』

「お、おぉ……マジか……マジなのか?」

『可能性だ。それに好意を向ける相手がお前とも限らない。ただ、お前を見る目は少しくらいは変わるんじゃないか』

 

 そう言うと斉木は『以上だ。わかったらさっさと告白でも何でもしてこい』とぞんざいに須藤に言い放つが、須藤は動く気配がない。

 大丈夫かと思って、オレが声をかけようとすると須藤は肩を落としつつも穏やかに微笑んでいた。

 

「そ、そうか……そうだよな……何が起こるかなんて、やってみないとわかんねぇよな……まぁ、振られたとしても……鈴音の成長の役に立てるかもしれねぇってならやってみる価値はあるよな」

 

 須藤はグッと拳を握ると、改めて斉木に向き直り、さらにはオレの方も見てくる。

 

「ありがとな、斉木。それに綾小路も。俺はどんな結果になっても受け入れるし、前に進んでみせるぜ」

 

 両頬をバチンと叩いた須藤は湯船から身体を上げると、覚悟完了という顔で歩いていく。

 告白を見守る立場であるオレも出て行かないといけないだろうな。

 斉木と高円寺はまだ残るらしく、動く気配はない。

 オレはもう少し堪能したいところではあるが、オレもまた湯船から身体を上げて大浴場を出ようとする。

 

「皆、青春を謳歌しているね〜……まさかレッドヘアーボーイも告白とはねぇ。修学旅行は告白祭りになりそうだねぇ」

 

 オレか、あるいは斉木に言ったのか。

 独り言のようで、誰かに話しかけるように言った高円寺の言葉に、斉木もオレも反応することはなかった。

 オレは止めていた足を前に向けて大浴場から出て行き、須藤の告白を見届けに向かった。

 





高円寺は一之瀬がくーちゃんに告白しようとしているのを察しているゾ♡

櫛田とか一之瀬、椎名、イメチェン佐倉とかもちょいちょい他の男子に告られそうになってたり、告られてたり。
櫛田と一之瀬はほぼ公言してるようなものなに、それでも!と告白してくるのがちょいちょいいます。
椎名は「俺実はさ〜」と匂わせされても「はい?よく分かりませんが……私ではご期待に添えないかと……すみません……」と無自覚にトゲのあるお返事をしてる。
イメチェン佐倉は告白されてる途中で逃げちゃう。
坂柳さんはもう丸わかりなので誰も告白してきません。
したらしたで楠雄くんと比較されるので誰もしたくない。
誰か坂柳に近づこうとする男子には橋本、神室、鬼頭、白石、葛城が「やめとけやめとけ!」とストップをかけてる。
坂柳親衛隊が増えてる……。

岐阜の高校生たちは先生にこっぴどく叱られましたとさ。
なんで先生は急にやって来たんですかねぇ。

くーちゃん、橋本、龍園の好きなモビルスーツは中の人ネタです。
龍園がジャスティス?イージス?となるかもしれませんが、一応は合っています。後ろにナイトがつくんですけどね。まあ龍園ビルド系好きそう。サイサリスとターンXの混ざりものとか使えよお前(適当)
高円寺と須藤は持ち機体なかったよ
綾小路もなかったけど別作品をくーちゃんが紹介してあげてる

須藤は原作通り振られます。
仕方ないねこれが運命さ。

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