大事なのは他なのでね
Xで投稿開けるかも言いましたがそんなことはなかったぜ
2学期最後の特別試験
修学旅行も終わり、2学期も残すところ20日もない。
満場一致試験から始まり、体育祭や文化祭、修学旅行とイベントが目白押しではあったが、僕としてはやはり一之瀬さんからの告白が一番の衝撃だった。
されるとは分かっていてもまさかあそこまで熱烈に告白されるとは思ってもいなかったので修学旅行が金曜日に終わってくれて本当に助かった。
2日も開けば僕も心身ともに落ち着いて話せるものと思っていたが、その考えは甘いものと思い知らされることになった。
「おはようっ、楠雄くん!」
12月に入ってから東京でも最低気温が1℃や2℃という冷え込みでも一之瀬さんは相変わらずどころか、いつも以上に暑苦しかった。
出待ちされているのはもういいとしてやけに近い気もした。
あわよくば手を繋くか腕を絡めるかしてきそうな勢いであったが、登校中に綾小路と軽井沢さんに会ったおかげでなんを逃れることができた。
下手すると周囲に知り合いがいなかったらこれまで以上のアタックが待っているのではないかという不安に駆られつつも、火曜日の登校時間はいつもより早めにした。
そのおかげもあって一之瀬さんには会わずに済み、早めに出たこともあって冬の寒さに耐えかねて小走りで馳けていく生徒たちを見やりながらのんびり歩いていく。
すると、今日は早出なのか久しぶりに南雲が声をかけてきた。
「よぉ、斉木」
よぉの後に苗字呼びはドラマの影響もあって粛清されるのかと思ったが、そうでもないらしく普通に声をかけてきただけだった。
そういえばこいつまだ生徒会長なんだよな。
去年の今頃には堀北元会長は会長ではなくなっていたのに。
「修学旅行はどうだった? (と言っても一之瀬や鈴音からある程度は聞いているんだが)」
じゃあ僕が話す必要はないだろう。
一之瀬さんも僕に告白したことは誰にも話していないらしく、僕の周囲で変化は起きていない。
とりあえず、悪くなかったと言うと南雲は呆れたように言う。
「お前いつもそれだな……」
コメントが平凡だと言われるが普通を目指す身としては嬉しい限りだ。
何か写真はないのかと聞かれて、ラーメンやミルクプリン、メロンアイスなど北海道で食べたものは大体写真で撮っていたのでそれを見せる。
(食べものしかねぇ……しかもスイーツ率高ぇ……)
見せろと言われたから見せたのになんなんだその反応は。
やんのか。
「いや、思ってた通り過ぎてな……(鈴音は風景だったり、一之瀬はグループの写真が多かったが……)というか、一之瀬と同じグループだったんだな」
それがどうしたと見上げると南雲は「別に」と肩を竦める。
「いや、公平な班分けにしてそうなのにお前らは一緒だったんだなって(この反応からして何も無かったんだろうな)」
何も無かったな。
何も。
修学旅行でのビックイベントはこいつや星之宮先生はもちろん、クラスにも知られる訳にはいかない。
知られたら僕はこの世界を消さないといけないかもしれない。
僕としたことが振らずに保留の道を選んだとバレれば、周りから揶揄されるし、他にも告白してくる人間が出てくるかもしれない。
南雲と登校して教室に着くと自分の席へと座り、図書室で借りてきた本を開く。
そうしている間に教室には少しずつクラスメイトが投稿してくると前の席に姫野さんがやって来る。
「おはよ、斉木くん」
それに僕は本から視線を上げて頷く。
「今日は何読んでるの?」
昨日の続きだと答えると姫野さんは納得した声を出す。
「あー、源平合戦の時の本? だっけ」
正確には鎌倉殿と執権北条の本だな。
歴史物は人気があるようで読んでいないやつもいるし、この学校においては顕著だからな。
特に今は豊臣秀吉に関する本を読んでるやつが多い中で、鎌倉時代の本を読んでいるのは僕だけであるためネタバレは受けない。
まぁすでに学習済みの範囲ではあるためネタバレも何もないのだが。
程なくしてチャイムが鳴ると星之宮先生がやって来て、2学期最後の特別試験についての説明が行われることになる。
「げっ(マジで?)」
冬休みまで残り2週間という僅かな期間しかないのに特別試験があるは思っていなかったのか柴田は嫌そうに顔を歪める。
柴田ほどではないが、一之瀬さんや神崎も僅かに警戒していた。
そんな2人の顔を見て星之宮先生は安心させるように微笑む。
「大丈夫大丈夫。今回は退学が絡むような特別試験じゃないから」
今回は特別試験での勝敗によってクラスポイントが変動するのみで、負けたクラスの生徒は退学というペナルティはない。
その事にクラスのほとんどが安堵する。
さらに今回の件特別試験では事前に頭に叩き込まないといけない複雑はルールが無いことも伝えられる。
「今回は他のクラスの生徒と1対1で学力勝負をしてもらうよ」
「それだと中間や期末テストと変わらないのでは?」
浜口が率先して問いかけると星之宮先生は「チッチッ」と指を振った。
「そこは特別試験だからちょっとだけ違うんだよね。まぁ百聞は一見にしかずって言うし、ルールから説明するね」
いつもの如くモニターに表示されるのは特別試験の名前とルール。
題して「2学期末特別試験・協力型総合筆記テスト」と呼ばれるものだった。
クラス全員で全100問のテストを解くのだが、協力型と言う通り予め決めた順番で1人ずつ生徒が問題を解いていく。
ルールは多く、まず1人の生徒は最大5問を解くことが許されているが、正否にかかわらず最低2問を解かなければならない。
さらに他の生徒が解いた問題は正否に関係なく、以降の順番の生徒が訂正することは出来ない。
つまりは僕の前が柴田だとして、柴田が間違えた問題に僕が気づいても直してはいけないということだ。
各生徒に与えられる持ち時間は入退室の時間を含めて最大10分間で試験に挑戦している生徒以外は別室で待機する。
次の順番を待つ生徒のみが入口の前に待機することができる。
制限時間を過ぎた場合はその生徒は失格となり点数は得られず、問題の解答に関するヒントや答えを書き残す、あるいは口頭で伝えるなどの行為は違反として、判明した場合は強制的に試験を打ち切り0点とする。
複雑なルールはないと言っていたが要するに自分の解くところだけ解いてさっさと帰ればいいということだろう。
一応、残り時間に応じて特別ボーナスが加点され、1時間以上残した場合は10点、30分以上残した場合5点、10分以上残した場合は2点が貰える。
また全ての問題は難易度に関係なく解いた者の12月1日時点のOAA学力を参照して点数が与えられる。
学力A以上なら1点で、そこからランクが下がる毎に点数は1点ずつ増えていき学力Eの生徒が正解すると5点が貰えるようだ。
難易度に関係なく、問題を解いた生徒の学力に応じて得られる点数が増減する試験は前代未聞であるが、特別試験らしいと受け入れている生徒もいる。
大丈夫か、頭。
「これが筆記試験のルールで対戦相手はBクラスでーす。勝てば50クラスポイント貰えるし、負けたら50ポイント渡さないといけないっていう試験だよ」
「Bクラスか……(うちも一之瀬や斉木のおかげで学力は上がってきているがあちらの方が僅かに上。ルールを考えれば学力のほとんどがAとBの葛城クラスに対して、学力Cが数名いるこちらの方が獲得できる点数は多いが)」
星之宮先生のあっさりした発表に神崎は眉を顰めつつも分析を始める。
対戦相手の基準は期末テストのクラス平均点で決められており、前回の期末テストは葛城クラスが1位でこのクラスが2位だったから、じゃあそこ試合決定でということになったようだ。
多少特殊なルールはあるとはいえ、基礎学力に大きな隔たりがある下位クラスとAクラスが戦うのは戦う前から勝敗が決する。
その辺はこの学校でも考慮できるらしい。
出題される範囲は広く、中間と期末テストで行われる常設の科目全てで比較的簡単な問題から難易度の高い問題まで存在しており、通常の筆記試験より難しいものになると告げられる。
「こっちとあっちのクラスとの学力差はイーブンだからほとんど真っ向勝負になるかな。それからルールにも明記しているカンニング行為に関してだけど、待機中の教室や試験を終えた生徒との交代の際などの会話は禁止だよ。それぞれの教室には生徒も常時待機することになるけど、余計な会話は考えないようにね」
1つの迂闊なミスで試験を棒に振ることになると忠告されればおしゃべりの柴田でも口を噤むだろう。
どうせ待機する教室には監視カメラの他に試験担当の人間もいるはず。
そう考えているとルールに明記されていない部分で気になることのあった一之瀬さんが手を挙げる。
「これ、もし当日体調不良で欠席した場合って……どうなるんですか?」
「いい質問だね〜。1人欠席だと2問解答できなくなって、2人欠席だと4問解答不可能になって0点になるよ」
要するに欠席すれば時間切れによる失格と同じ扱いになるようだ。
また、解答不可になる問題はランダムで試験開始前に決められたり、可能性は低いが、対戦相手と同点だった場合にはクラスポイントの変動は行われないなどの追記がされる。
意図的に特定の生徒を休ませて1人が解ける問題を増やすとといった戦略は存在せず、むしろ得点を得る機会を失うことになる。
しかし、見事に在籍生徒が同じクラス同士がぶつかるため、数の面では平等になっているな。
「特別試験の開催日は12月22日で結果発表は12月23日。つまりは冬休み直前までになるよ。テスト範囲は広いし、それだけの時間が必要って判断なんだって。テスト範囲の詳細は明日発表だけど、中間と期末の範囲表を持ってたり覚えてる子は共有してあげてね」
12月23日というと終業式の日か。
本当にギリギリまでやるんだな。
しかもテスト開催から次の日に結果発表となると採点する側も大変そうだ。
マークシート式なら簡単なのだろうが、おそらくはほとんど筆記問題になるはず。
ただ星之宮先生は採点はしないのか気楽そうにしており、試験の説明を終えると教室から去っていく。
そうして残った時間で一之瀬さんと神崎を中心にどうやってBクラスと戦うかを話し合っていく。
勝利の鍵を握っているのは学力が平均以下の生徒たちなのだが、Aクラスという位置に来てから大抵の生徒は学力が上がっており、最低でもCと大幅な点数アップは見込めない。
こうなると単純にどちらのクラスが多く問題を正解できるかの勝負になる。
問題を解く順番の指定はなく、解けそうな2〜5問を解いて退出するのが分かりやすい方法だろう。
ただ100問もあるテストから簡単な問題を探し出すのにも時間がかかる。
1人辺りの制限時間もあるため、先に学力の高い生徒が難問を潰しておく方が攻略はしやすいかもしれない。
「とりあえず今できるのは1つでも多く正解できるように勉強あるのみだね」
「そうだな」
「っしゃあ、やってやるぜ!」
修学旅行に出向く前まで期末テストの勉強をしていたのに、そのまた2週間後に特別試験に向けて勉強というのは普通の学生なら嫌になりそうだが、このクラスだけでなく他のクラスも全体的に士気は高い。
龍園のみ得られるクラスポイントが50ということもあってやや消極的だが、あいつは仕方ないと言ってなんとかやるだろう。
幸いにしてあのクラスは学力最低値のEの生徒が何人かいるため、その生徒たちを使えば下馬評を覆す結果を得られるかもしれない。
僕は僕で適当に5問解くことは確実なので、どんな問題を解くかだけ決めたらいつも通り過ごさせてもらうとしよう。
「そういえば、そろそろ生徒会長が代わる時期だよね? 誰がなるとか決まってるの?」
テスト範囲が確定しないことには具体的な対策も打ち出せないため一旦話が止まると網倉さんが思い出したように呟いた。
その答えを持っているであろう現生徒会役員である一之瀬さんのもとへと視線が集まる。
「あー……一応、私ってことになってるよ(会長は私と堀北さん、葛城くんで選挙させるつもりだったけど、2人があっさり辞退しちゃったから)2人が心変わりとかしなければ来週には引き継ぎになるかな」
堀北元会長や南雲の時は前任の会長が指名して決めていた。
しかし、今回の会長は就任期間が長く、まだまだ続けたかったようだが、学校側からの打診もあって代替わりを決めたのだろう。
そして、あの南雲のことだ。
生徒会長を決めるのも何かしらのイベントにしたかったのだろうが、堀北さんと葛城が引き下がったことで一之瀬さんに決まったというオチだ。
一之瀬さんなら本人はそんなことないよと謙遜するが、周囲が納得するだけの人望と能力があるし、彼女が生徒会長になることに異を唱える者はいないはずだ。
ただ堀北さんが選挙せずに生徒会長になる権利を放棄したのは意外だったな。
テレパシーで心の声が常に聞こえているとはいえ、堀北さんの全てを知っているわけではない。
それに別段興味もないし構わないかと思っていると一之瀬さんが口を開く。
「ただ、3年生が抜けちゃって2年生の役員が私と堀北さんと葛城くんの3人だけになっちゃって……1年生も入れたら6人いるんだけど、あと2人は入れろって言われてて……(だ、誰かいないかな〜。私と一緒に生徒会役員をやってくれる人〜。そうしたら私が頑張っているところ見せられるのにな〜)」
チラッチラッと露骨に僕に視線を送ってくる。
それを見てクラスメイトからも視線が突き刺さるが、僕がやるわけないだろうと読書に戻ることにした。
うちの生徒会には穴はないが、付け入る隙を作ってはいけない。
僕が入ることで生徒会活動に興味がない生徒がやって来る可能性は否定できない。
それに僕のせいで一之瀬さんが頑張りすぎて倒れるところや、逆に腑抜けるのも見たくないしな。
僕は今まで通りどこにでもいる一生徒としての責務を全うさせていただこう。
大事な部分にも突入することなく本編は終わりや
南雲が綾小路に執着してないので生徒会選挙勝負なし(原作でも無くなるんやけど)
一之瀬の生徒会辞任もなし
くらいかな今の所は
鬼龍院先輩のアレはありますが、ちょっと変えるかもです
くーちゃんは桐山とのケッチャコ……をつける時かもしれない
一之瀬さんの待ち伏せ率は増えたのかと言われればまだ告ってから3日とかなのでまだそんなに。
クラスは気づいてないのかと言われると今回の話でもそうですが、一之瀬さんのアピールが増えているので、一之瀬大好きクラブ会長の人は(は……? 斉木のやつ、まさか……!)って思われるのも時間の問題。
とうとう会長から「くん」が外れる日も近い。
なんで生徒会長断ったんですか?
葛城「俺より人望も能力もある一之瀬が適任だと思ったからだ」
堀北「葛城くんと同じ意見よ。私には新1年生の歓迎会を開くという発想には至れても彼女ほど人は集められないわ。無人島試験でも声をかけたりして励ましていたのを見たし、人の上に立つような子ではないけれど同じ目線に立ってくれる生徒会長というのは彼女にしか出来ないんじゃないかしら」
綾小路(すごく語るな……)
南雲(あと2人呼べと言ったがこれで斉木と綾小路とか連れてきたら……平でもいいから残れないか打診してみるか……)
ではまた次回
しばらく投稿不定期になるかもですが適当に覗いて「投稿されてるや〜ん!」とかになってくれたと思います