僕は高校生超能力者斉木楠雄。
クラスメイトの一之瀬さんと生徒会室で南雲会長から面倒な指令を受けていると、上級生の鬼龍院先輩が乱入してくる。
僕は鬼龍院先輩の訴えを聞いて、桐山の心を読んでいたら真犯人が分かってしまった。
事件の概要は、鬼龍院先輩が放課後にケヤキモールで化粧品店で買い物している時に、3年Dクラスの山中によって万引き犯に仕立て上げられそうになったこと。
勘もよく注意深い鬼龍院先輩は鞄に忍ばせようとされた化粧品に気づき阻止したことで万引きそのものは未遂に終わる。
そして、山中に鬼龍院先輩が問い詰めたところ、南雲に命令されてやったと言ったため、鬼龍院先輩は事の真相を確かめるために生徒会室にやってきた。
山中が言い逃れのために言ったのか、本当に南雲から命令を受けてやったのか。
もしくは南雲以外の人間から命令を受けたのか。
昨日ケヤキモールで起きたばかりの事件解決のためというよりは、鬼龍院先輩と一之瀬さんを利用して南雲に反省を促させようとした真犯人をとっちめるために僕は探偵役を買って出ることにした。
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「繰り返しになるが俺は山中に鬼龍院を万引き犯に仕立て上げろなんて指示はしてないぜ。こんな事件が表沙汰になれば俺の信頼に傷がつく。Aクラスでの卒業も目前、生徒会長の座も降りてあとは卒業を待つだけの俺になんのメリットもない」
第1容疑者である南雲会長が言うと、鬼龍院先輩が反論する。
「私も君がそんなことをするとは思えないが、一つだけする理由に見当がある」
「何?」
「君は入学して間もない頃から真剣勝負をしたいと思っていたはずだ。しかし私はこの3年間、君の相手をすることはなかった。そのことを恨んでいるのではないか。もしくは卒業前に私を焚き付けて勝負をさせる狙いがあるのではないか」
けれども、と鬼龍院先輩は言葉を切ると楠雄くんの方を見た。
「君にはその必要がないような好敵手……いや敵わない相手が現れた。私のことなど眼中にもないだろう。去年の君ならば、私は疑ってかかっていたが今の君はそうでもない」
「まぁな。俺はお前との勝負に興味はあったが、どこまでもやる気のない相手に構うのは時間の無駄だ」
じゃあ僕に構うのもやめてくれないだろうかと言いたげな顔をしている楠雄くんに苦笑してしまう。
空気を読んでいるのか、あるいは2人の話を聞いて情報が出揃うのを待っているのか。
黙っている楠雄くんの横顔に見蕩れつつ、2人の話が平行線を辿る中、2人の同級生で、南雲会長とは同じ生徒会役員、鬼龍院先輩とはクラスメイトという間柄の桐山副会長が口を開く。
「鬼龍院が万引き犯に仕立てられそうになり憤慨する気持ちはわかるが、今回の件に南雲が関与しているとは思えない。もし本気で南雲が仕掛けるのであれば、もっと上手く効果的な方法を選んだはずだ」
どちらの味方かと言えば南雲会長寄りの発言を見せる桐山副会長に、鬼龍院先輩は表情を崩さない。
南雲会長がこれまでやってきた成果を考えれば、南雲会長の長所が人を動かすことであることも踏まえれば、山中先輩という人間は使わないと鬼龍院先輩も分かっているのかもしれない。
出揃っていないのが今回の実行犯である山中先輩の情報のみとなって、私は他学年故に山中先輩をよく知らないことに気づく。
「あの、山中先輩ってどんな人なんですか?」
私はあんまりどころか全然話したことがないと思う。
あまり話題にも上がったことがないし。
そんな私の質問に桐山副会長は答えてくれる。
「3年生の中でもカーストが相当に低いやつだ。南雲ではなくても、プライベートポイントを見返りに操られ行動してしまうことも考えられる」
あくまでも桐山副会長の主張は南雲会長でも山中先輩でもない、第三者が闇に潜んでいるという考えのようだ。
「しかしその誰かを見つけるのは難しいぞ。鬼龍院に自白を迫られた段階で素直に吐かずに俺の名前を出した。それだけの見返りを貰っているのか、覚悟があるのかはまだわからんが」
3年生の人達が南雲会長に罪を被せようとするのはデメリットしかない。
それこそ3年生全員を敵に回すしてしまう、四面楚歌なんかじゃ済まない。
けれども、これで南雲会長を打ち倒すか、あるいは信頼を失墜させることができれば、他の3クラスにとっては残りの3ヶ月で逆転の芽が生まれる可能性もあるかもしれない。
「真犯人は南雲会長と同じか、それ以上にすごい人ってこと?」
「南雲以上の生徒など私たちの学年にはいないさ。下にはゴロゴロいるがな」
「うるせぇよ。気にしてるんだから言うな」
私が南雲会長以上の存在を示唆するもそれを鬼龍院先輩は否定する。
勝負の席にはつかないけれど、一応は南雲会長の実力は認めているらしく、鬼龍院先輩はため息をつくと楠雄くんを見た。
「それでどうだ斉木、南雲以外の犯人候補は見つかりそうか?」
ここまで黙りと4人の話を聞くばかりだった楠雄くんに鬼龍院先輩が尋ねると、楠雄は確認しておきたいことがあると、鬼龍院先輩が真犯人に何を求めているのかを聞き返した。
「私としては謝罪さえしてくれればそれでいい」
「えっ、学校側に報告しなくていいんですか?」
鬼龍院先輩の毅然とした態度に私は思わず疑問の声をあげる。
「山中の単独犯であるならそうすべきだが、真犯人がわからぬまま上に報告しても全ての罪を山中1人が背負うことになってしまう」
「監視カメラや携帯のデータを徹底的に調べれば……とも思えないしな」
桐山副会長の意見に同意するように南雲会長が言うと、再び視線は楠雄くんに戻っていく。
「どうしよっか楠雄くん……」
私がそう言うと楠雄くんは突然歩き出して生徒会室の黒板に文字を書こうとする。
でも、チョークやペンの類がないことに気づくと私の方を見てきた。
「えっと、電子黒板だから……電源入れてタッチペンで書けるよ」
教えると楠雄くんは電子黒板の電源を入れて南雲会長からタッチペンの場所を聞いて、タッチペンを手に取るとすごい勢いで数式を書き始めた。
どうして数式? と思っていると南雲会長だけはわかったのか「懐かしいな」と腕を組んでいた。
そして、電子黒板いっぱいに数式を書き終えた楠雄くんはフレミングの左手の法則の手でメガネのブリッジを押し上げた。
『やはりそういうことか』
あ、船内試験でも見たやつだと思っていると、楠雄くんは桐山副会長を見た。
『真犯人は君だ。桐山副会長』と。
「えっ?」
「何……? 桐山が?」
「ほう?」
全員の視線が楠雄くんから桐山副会長へと移ると、桐山副会長は肩を竦めた。
「俺が? なぜそのような結論に至る」
桐山副会長もまた少し苛立ったような表情を見せて、楠雄くんに説明を求める。
『南雲と同等の力とはいかずとも、南雲に近しい権力を持っているのは桐山副会長しかいないだろう』
そう言って楠雄くんは無人島試験の時、そしてその後の豪華客船で桐山副会長が3年生の数十人を使って監視体制を敷いていたことを例に出した。
『南雲と同じく3年生の人間を動かすことができるのは君だけだ。桐山』
「口の利き方には気をつけろと言いたいが……試験中は説明しなくてもわかるとして、豪華客船内でお前を監視していたのはこれ以上俺たち3年生の不利益になる存在かを見極めるためだ」
それも南雲会長の命令で取り止めたという桐山副会長は、最終的な決定権は南雲会長にあると主張する。
『それは南雲に露見すればの話だろう。まぁ南雲は監視体制に気付いていても僕がやめさせるように言うまでは何も言ってなかったようだがな』
「お前の態度を見ればさっさと諦めると思ったんだよ。悪かったな」
じろりと冷ややかでかっこいい目を向けられた南雲会長は冷や汗をかきつつ謝罪する。
桐山副会長が真犯人という楠雄くんに対して、鬼龍院先輩はどう思っているのか見てみると首を傾けていた。
「斉木の推理は面白いと思うが、桐山はすでに南雲からAクラス行きのチケットを確約されている。今さら謀反を起こしてそれを放棄するようなことをするほど愚かではないだろうし、飼い慣らされた犬に主人を噛む勇気はないと思うが」
『愚かだろう。自身のためだけではないという予防線を貼りつつも、鬼龍院先輩と一之瀬さんを利用して南雲を貶めようとした。自分の力だけを使ってできないから周りや環境を利用しようとした挙句に僕のような下級生に見破られている。実に空虚じゃないか?』
「っ」
先程までふざけていたようには見えない楠雄くんの覇気のようなオーラに気圧されたのか鬼龍院先輩は息を呑んだ。
それは見ている私や南雲会長も同じで、楠雄くんがこのことにどれだけ腹を立てているのかは明白だった。
「鬼龍院と一之瀬を俺が利用? バカを言うな。クラスメイトと後輩を利用することもそうだが、俺が南雲を陥れるメリットはどこにある?」
『3年生の集めたポイントを3年生以外のところに浪費している南雲に釘を刺すため。そして、南雲がやろうとしている生徒会選挙を潰すためだろ。そうすれば南雲は大量のプライベートポイントを使うことなく2学期を終えて、他のAクラスじゃない同級生をAクラスに引き上げさせることができる』
メリットばかりじゃないかと楠雄くんが指摘すると唖然としていた南雲会長が再起動した。
「いや、勝ちを決めている桐山にとって浮いた金なんて関係ないはずだ。こんなリスクを取ってまでやることじゃない」
『桐山はAクラス行きのチケットは手に入れただけでまだBクラスのままなんだろう?』
そっか、何人の人がAクラス行きが決まっているかはわからないけど、少なくともAクラス行きが確定している桐山副会長は決まっていなくてAクラス入りをしたいクラスメイトからは妬まれ、恨まれ続ける毎日。
南雲会長が去年は堀北先輩のお兄さんや、今年なら楠雄くんとの余興や報酬でつぎ込んだプライベートポイントがあれば他のクラスメイトたちもと考えるのは不思議じゃない。
「桐山が他人のことを? そんな馬鹿な……」
他のクラスメイトや同級生がAクラスになれるように考えるわけがない。
そんな意味が込められてそうな言葉を向けられた桐山副会長は鼻で笑った後、今まで見たこともないような目で楠雄くんを睨みつけた。
「さすが、堀北先輩や南雲、そして鬼龍院が気にかけるだけはあるということか……お前がこの場にいなければ話はもっと簡単だったんだがな」
『そうとも限らない。誤算は多かったはずだ。万引きというワードを出せば一之瀬さんが動揺して生徒会長選挙からは辞退すると考えたんだろう?』
「……あぁ、そうだ。鬼龍院を使えば、その手の犯罪を嫌って、何も知らない一之瀬の心を抉るような言葉を容赦なく吐き出してくれると思っていた」
「……私も踊らせていたわけか」
もはや自白としか取れないことを言い始めた桐山先輩に鬼龍院先輩が呆れつつ言う。
「ああ。お前には悪い事をしたと思っているが目的遂行のためにはお前でなければダメだった」
「私なら山中の行いに気付いて、この場に殴り込んで来ると?」
「3年間同じクラスだったんだ。嫌いなやつでもそれなりのことは分かるつもりだ」
桐山先輩はこれまで退学していった生徒のことも少なからず覚えていると言う。
生徒会長を目指していたから、学年のことは関知しておくべきだと思って。
逆にそれが仇になっていったのは、南雲会長が必要のない、使えない同級生を退学させていって、Aクラスの座に上り詰めたから。
「俺は多くの屍の上に立っている。だから、俺には今いる3年生たちを少しでもAクラスに上げる責務がある」
「俺がチケットを与えてきた連中は全員、自分がAクラスで卒業できればそれでいいと考える自己中心的なやつらばかりだと思っていたんだがな」
感心したように南雲会長は桐山先輩を褒めるけど、私にはしっくり来ない。
「桐山先輩の言っていることは立派かもしれませんけど、それに無関係な私と鬼龍院先輩を巻き込むのは……よくないと思います」
「何かを得るためには何かを捨てなければならない。堀北先輩に斉木。これ以上3年にとって不必要な戦いをされるのが不愉快だった。それを終わらせるためなら必要な犠せ」
犠牲と言いかけたところで『は?』と楠雄くんが声を出した。
それに怯んだように桐山先輩は肩を震わせた。
「っ、お前には分からないだろう。お前のような何もかも持っているような人間には。使えるもの全て使わないと強者に相対することもできない俺のような人間の気持ちは」
『わからないな。他者を、それを嫌いながらも3年間も一緒にいたクラスメイトを利用したり、自分を信頼できる先輩だと慕ってくれる後輩の過去を利用するやつの気持ちはな』
そう怒る、怒ってくれている楠雄くんの手を私は強く握る。
「もう大丈夫。大丈夫だから……」
心配そうに見る私を見て……楠雄くんは大きく息を吸うとそのままため息をついて私の指を丁寧に一つ一つ自分の手から離させて、手近な椅子に腰掛けると、『探偵の仕事は終わった』と呟いて私の方を見た。
その目はここからは私に任せると言っているようで、私は……その信頼に応えるために頬を叩いて気合を入れた。
「んっ! よしっ!」
そのままよっしゃぁぁぁぁと最近見返したというか、楠雄くんに貸してもらった漫画に出てくる最強お父さんのように構える。
うん、柴田くんの言う通りなんか強くなった気分かも。
「……大丈夫か?」
「大丈夫です!」
引いたように聞いてくる南雲会長に頷きを返して、私は口を開く。
「私の過去を利用したことはもうどうでもいいです。けど、1番大切なのは桐山先輩がどうしてこんなことをしたのか、ですよね」
「理由は先程斉木が述べた通りじゃないのか?」
「いえ、桐山先輩が鬼龍院先輩に万引きの罪を着せようとしたのは、生徒会に乗り込んできて私のトラウマを想起させて生徒会選挙から辞退させること」
「うん? だが、お前たちの学年には堀北学の妹以外にももう1人いただろう。スキンヘッドのやつが」
「葛城くんは謙虚ですし、退学するはずだった自分がと言うこともあったので、そこをつけば辞退してくれると踏んでいたんじゃないでしょうか」
ですよねと桐山先輩に確認すると「ああ」と認めてくれる。
「けど、わざわざ生徒会選挙を潰す為だけにこんなことをするリスクは桐山先輩にはないと思うんです。万引きのことを利用するにしても、私だけに言えば済んだはずです」
「桐山如きにしてもその発想に至らないわけはないな。それで?」
私は桐山先輩を尊敬する副会長とは認められなくなっただけで別にごときとは思っていないんだけど……。
興味を持ってきたのか、鬼龍院先輩がウキウキで聞いてくる。
「桐山先輩は今回の事件をきっかけに南雲会長に考えを改めて欲しかったんじゃないんですか? 南雲会長に不平不満を抱く3年生の声は……私のところにも届いています。それを、南雲会長の耳に入れても意味がないことは桐山先輩も理解している。だから、こんな回りくどいやり方を取ったんじゃないんですか?」
楠雄くんが早々に真犯人を導いてしまったのは誤算だったかもしれない。
本来ならこの後10分後……17時からは生徒会役員を集めての会議が行われることになっているし、そこでも議題に上げてどうしてこんな事件が起きたかと問題提起して、南雲会長に反省を促させようとしたんじゃないか。
そんな推測に桐山先輩は答えてくれない。
「沈黙は肯定と取るぞ」
「いや、まさか一之瀬がここまでとは思わなかった……俺の完敗だな」
桐山先輩はため息をつくと身体を壁に預けた。
あとは好きにしてくれとどんな処罰でも罵声も受け入れると言った桐山先輩に、南雲会長は視線を外して私を見てくる。
「初仕事だ。生徒会長、この件、お前が収めろ」
「私が、ですか?」
「斉木の助けがあったとはいえ、真相に辿り着いたのはお前の功績もある。去年初めて見た時は右も左も分かっていないような女だったのに随分と強かになったもんだ」
それは……そうなったのは……と楠雄くんの方を見ると生徒会の椅子の座り心地がいいのか身を預けてだらんとしていた。
本当にこの後のことは私に任せると言わんばかりに。
「なんだ一之瀬が生徒会長になるのか? 今決めたのか?」
「お前の誤算のもう1つは生徒会選挙がそもそも行われないということだ」
「なんだと?」
南雲会長はあとで話してやるよと言うと、他の役員が来るまで間もないとあって私に結論を急げと急かしてくる。
「わかりました。では、生徒会長としてそれぞれに裁定を下します。桐山先輩は鬼龍院先輩が許してくれるまで深い謝罪をしてください。そして、巻き込んでしまった山中先輩と、あとは他にも関与している先輩がいるならその人たちにも謝罪してください。それには南雲先輩も立ち会ってください」
「了解だ、一之瀬会長」
「……お前には謝らなくていいのか? それなりにゲスなことはしたと思うんだが」
桐山先輩はそう聞いてくるけど、私としては利用されようとしたことはどうでもいいんだよね。
私としてはもう終わった事だし、私のために怒ってくれた人もいるし。
そこは任せますと伝えて、続きを言う。
「この件は学校には報告しませんが、桐山先輩のやったことは本来であれば到底許されるべきではないと思います。そのため、7日間の自室謹慎をしてください」
生徒会には学校側と違って停学や退学にする権利はない。
けど、本来の手順を踏めば学校側に報告し、生徒会主導の裁判を行って生徒会長や裁判長の立場を務める役員の判決に従い、学校側から停学や退学、プライベートポイントの没収などが言い渡される。
学校側への報告を抜く分、自主的な停学をしてもらうしかない。
あとは南雲先輩が桐山先輩のAクラス行きを剥奪しないこと。
さらには今後3年生たちから集めたプライベートは、3年生のためだけに使うことも条件に加える。
じゃないと、また同じことが起こるかもしれないから。
「いいぜ。それが生徒会の意向なら従おう」
『ついでに僕にも関わらないという文言も入れよう』
「お前は生徒会長でも生徒会でもないだろ」
『ちっ』
素直に聞いてくれる南雲先輩に驚いていると楠雄くんがその流れに乗じて自分の要望を口にするけど跳ね除けられていた。
それに笑っていると鬼龍院先輩が意外そうに言う。
「元々好きな相手だったとは言え、随分とあっさり受け入れるな」
「俺なら学校側に言って桐山から慰謝料ぶん取るが……お優しい生徒会長の言葉には従うさ」
正論だしなと呟いた南雲先輩は生徒会長の席から立つと歩いてその場から離れていく。
桐山先輩の顔には観念した様子も、全てを暴かれて晴れやかになった様子もない。
けど、無表情で楠雄くんを見ていたけど、その拳は握られていた。
「17時から生徒会会議だったな。では、私と斉木は失礼するとしよう」
そんな桐山先輩の様子には気付いていないのか、もう興味もないのか、謝罪は改めて受けようと桐山先輩を見てから歩き出した鬼龍院先輩は先に生徒会室を出ていく。
そして、残った楠雄くんはゆっくりと立ち上がると私の隣に立った。
『おつかれ。これからも頑張ってくれ、一之瀬生徒会長』
それだけ言って楠雄くんもまた生徒会室を出て行こうとする。
「ありがとね。私のために……じゃないかもしれないけど、本気で怒ってくれて」
ちょっと怖かったけど、嬉しかった。
それに最後は任せてくれたことも。
私が堀北会長や南雲会長みたいなすごい生徒会長になれるかはわからない。
けど、私を生徒会長にと推してくれた堀北先輩や葛城くん、私を生徒会に入れてくれた堀北先輩と楠雄くんの期待に応えるためにも私は、私の持ってる力を全部使って生徒会長としての責務を全うしなければならない。
そう決意していると生徒会室の扉がゆっくりと開く。
「どうも〜……さっき鬼龍院先輩と……その……斉木先輩とすれ違ったんですけど何かあったんですか?」
恐る恐ると言う風に八神くんが1年生を代表して聞いてくる。
それに私は、みんなが集まってから話すことを伝える。
そして、堀北先輩と葛城くんもやって来て、定刻通りに生徒会役員会議が始まる。
会議の前に堀北先輩と葛城くんに会長選挙を執り行わずに私の生徒会長就任が決まったことを伝えると2人は納得したように頷く。
その後、先程まであったことを伝え、今後はこのようなことがないようにと実力主義ながらも、みんなが楽しく笑って満足した結果で卒業できるような高校にしようと、私は最初の会議を始めた。
くーちゃんが全部解決しちゃうのもなーってなって最後は一之瀬さんが締めました。
一之瀬さんが許したのならくーちゃんが言うこともないのでぼーっとしてた。
途中から桐山が副会長から先輩呼びになってますが仕様です。
南雲も同じく。
ちなみにくーちゃんが最後までやってたら桐山に土下座させてAクラス行きのポイントでDクラスに更迭のつもりでした。
自分のした事を一生悔やんで生きろとか言わせたかった。
桐山はまだ諦めてない?▶︎諦めてるけど、やりきれなさがあってこぶしニギニギ。
最後の方の裁定は原作通りですけど似たような落とし所になるやろなぁってことで。
一之瀬帆波は生徒会長として優しすぎる……。
山中さん以外にももう1人関わってる人間がいるんですが、いなくても話は成り立つと思ってカットしました。
捜査編をやらずに済むのが超能力者のいいところ。
爆速理解からの超速推理(のフリ)をさせてもくーちゃんならできるか……って思われるのもいいところ。
途中ふざけてたけどやっぱりこいつ一之瀬さんのこと利用しようとしたのイラッとくるな……と思っていたら当の本人がケロッとしてるのと自分の方が怒っていることに当惑して一之瀬さんにあとは頼みますしました。
この巻はこれで終わり……ではなく、特別試験とそれまでの話があるのであと2~3話はあります。
まぁ一之瀬クラスの問題点は解消されているし、桐山の件も片付いてるので新しい役員を見つけるのとスポーツジムと綾小路が軽井沢とギクシャクする話(綾小路はしてないものとする)しかないが。
特別試験は結果だけやって過程は飛ばすかもです。
ではこの辺りで