クリスマスイブが終わり、クリスマス本番がやって来た。
母と父は温泉旅行を楽しんでいるらしくまだ帰宅していない。
ふと、携帯を見るとやけに通知が溜まっていることに気づく。
クラスのグループチャットではイブにどのように過ごしたのか、あるいはどう過ごしているのかで盛り上がりを見せていた。
その中には僕と一之瀬さんの話題もあった。
【小橋夢:斉木くんと帆波ちゃん既読つかないね】
【網倉麻子:今日昼前にスポーツジムから一緒に出たし、まだ一緒なのかな?】
【小橋夢:何それ詳しく】
【白波千尋:お昼過ぎに見た時は斉木くん1人だったよ。斉木くんは1人。孤独に生きるんだよ】
【柴田颯:俺も昼過ぎに一之瀬のこと見かけたけど櫛田と一緒に買い物してたぜ。時計買ってた】
と、本人たちがいないのをいいことにチャットは夜の8時から始まり、そこから2時間ほどずっと続いていた。
暇なのかこいつらはとスクロールしていくと、話題は一之瀬さんが逆プロポーズをして、僕がそれを保留にしていることまでペラペラと喋っていた。
【安藤紗代:帆波ちゃんからの告白だけでも驚きなのに結婚して欲しいって凄いよね】
【渡辺紀仁:斉木が言ったんだろ? 付き合うなら結婚まで考えてもらうって】
【南方こずえ:重い気もするけど、なんかメロいよね〜】
【浜口哲也:そこまで考えているなら付き合ってもいいっていう考えでもありそうですけどね】
【柴田颯:一之瀬にはそこまでする覚悟があるってわけか】
【別府良太:覚悟とは! 暗闇の荒野に!】
【津辺仁美:卒業式にまた告白するんだよね! 見てみたいな〜】
【姫野ユキ:どうでもいいけど、2人がいないところで好き放題言ってていいの? 一之瀬さんはともかく、斉木くんはあんまりよく思わなさそうだけど】
【神崎隆二:姫野と同意見だ。口止めされていないのかもしれないが、あまり広められて嬉しい話ではないだろう】
Aクラス内でも良識派の2人がそう言うと、盛り上がっていたチャットは落ち着きを見せ、ログは消さなかったものの僕や一之瀬さんに謝罪の言葉を書き記してみんな去っていた。
僕の口からは言っていないが、口止めしていなかった一之瀬さんにも責任はあるからなんとも言い難いな。
Dクラスの方でも池と篠原さんがグループチャットにはいるのに、既読がつかなくなったため話題をさらったのだと言う。
2人はその時一緒におり、健全で思春期真っ只中の高校生のカップルが付き合って3ヶ月ほどで至るには早いのか遅いのかは知らないが熱烈に愛を育んでいた。
綾小路や軽井沢さんもしていたことだし、他の同級生にもそういうことをしている生徒はいるため、特に咎めることはしない。
そんな2人に電話をかけるやつもいたが、電源を落として邪魔の入らないように行為を進めていたようだ。
僕の場合、興味が無いこともなかったが命を作り、愛を育む行為で相手が死ぬ可能性の方が高い。
それにその手の欲望も薄いため、相手には気の毒な思いもさせてしまう。
やはり、超能力者の身体はろくな事がないな。
そう思っていると携帯にメッセージが届いた。
【一之瀬帆波:おはよう。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、電話とかできたりするかな?】
(うぅ……夢ちゃんたちに口止めしなかったせいでこんなことに……帰ってお風呂入ってからそのまま寝ちゃって気付かなかったけどこんな話になってるなんて……)
どうやら一之瀬さんも昨日は早々に入眠したらしくグループチャットでの会話は今見たようだ。
そして、小橋さんたちに口止めしなかったせいでこうなってしまったと自分を責めている様子だ。
別に謝る必要は無いが、そうしないと彼女の気が済まないだろう。
構わないと返信すると(やった!)と5秒ほどで電話がかかってくる。
「お、おはよっ。えっと、今平気?」
問題ないから返信をしたんだがな。
まあいいか。
「えっと、クラスのチャットルームって見た……?」
ちょうどさっき見たが内容はどうでもいいと思って既読だけつけたと言うと一之瀬さんは「そ、そっか……」と呟く。
(どうでもいい……か。まあ楠雄くんからしたらみんなが何を言おうと関係ないってことだよね……でも口止めしてなかったことは謝っておかないと。もしかすると龍園くんとか南雲先輩辺りがからかってくるかもしれないし)
一之瀬さんからしてもあの2人はそういう対象らしい。
口止めせずに話してしまったことの謝罪を受け、さらには嫌いになったかと聞かれたがそんなことで嫌いになるなら電話に出ないと言うと真っ当なことを言ったつもりなんだが何故か喜んでいた。
「そ、そっか! ありがと……。えっと、楠雄くんって今日の昼間の予定ってどうなってるのかな」
予定?
特に何も無いな。
まあどうせ部屋にいてもすることもないし、ゲルマニウムリング片手に映画でも観るかと思ったがクリスマス当日ともなると人も多そうだ。
それはケヤキモールも同じこと。
久しぶりに宇宙にでも行ってみるかと思ったが、一之瀬さんが何をしようとしているか気になるしそちらを尋ねてみる。
「わ、私? 別に大したことないけど、ほら昨日みたいに偶然、ケヤキモールで会うかもだから(この2日間は偶然以外は1人で会っちゃダメって有栖ちゃんに言われてるし……)」
そんな協定を結んでいるのか。
そういえば知らない間に下の名前を呼び合うようになっているのも気になるが、思い返せば夏休み前くらいには親しくなっていたな。
今年の2月に起きたことを考えれば予想もできなかったことだ。
それだけ一之瀬さんと坂柳さんも成長したということか。
「……? どうして笑ってるの? (なにかおかしなこと言ったかな……?)」
成長しすぎて電話の向こう側の顔まで見えてるんじゃないかという観察眼を手にしているが、まあ将来的にどこかで役に立つだろう。
なんでもないと言って、電話はすぐに終わる。
おそらくはケヤキモールにいるから、偶然会えたら遊ぼうとかご飯を食べようとかそういう感じの話だったのだろう。
察してやることはできるが合意するかは別の話だ。
特に行く用事もないしと思っていたら今度は綾小路からメッセージが来た。
【綾小路清隆:ケヤキモールでクリスマスセールがあるらしい。そこに気になる商品がある。一緒に見に行かないか?】
(ヨーグルトメーカーなら斉木も気になるんじゃないだろうか。オレは気になる。もしこれが良かったら斉木と2人で……)
バカは風邪ひかないと言うが、綾小路もバカなのかもしれないな。
今更僕がヨーグルトメーカーごときに心惹かれるとでも思ったのだろうか。
そんなものは去年に既に手に入れている。
しかし、家電量販店ともなればなにか掘り出し物などがあるかもしれないな。
用はないから行ってやってもいいが、時間的にはケヤキモールは開店前で、クリスマスセールとなると多数の客がいることが予想される。
あまり気は進まないし、急な誘いで乗るかは微妙なところだ。
【綾小路清隆:そういえばクラスメイトから聞いたんだが、スムージー屋に期間限定でクレープが出てるらしい。それも見に行かないか?】
仕方ないな。
あそこのスムージー屋は新鮮で旬のフルーツを使っているから美味いし、クレープの味も美味しい可能性は高い。
見せてもらおうか、スムージー屋のクレープのその味というやつ。
僕はすぐに降りるとメッセージを送り返すと、地味目の私服に貰ったばかりの腕時計をつけて寮の外に出た。
「悪いな、いきなり呼び出して」
『構わない』
合流した僕たちは早足で寮から1番近い入口に向かうも、そこには既に7人の生徒が開店を待っているようだった。
女子が5人で男子が2人。
そのうち女子生徒たちは3人グループと2人グループに分かれているがとてもこれからセールに行くという雰囲気ではない。
会話の内容からして遊びに来ただけのようだ。
男子は1年生と3年生が1人ずつ。
どちらも僕は見覚えはあるが、名前までは覚えていない。
「セール前なのに人が少ないな(来ると言っていたやつらの姿が見えないのも気になる)」
どうしてクラスメイトの姿がないのか気になった綾小路は携帯でグループチャットを見る。
今日のセールで誰が何を買うと言っていたかを確かめ、僕たちが来た道を振り向いて、その生徒が来ていないことに首を傾げている。
「妙だな……本堂はずっと欲しかったものが広告に載っていると興奮して必ず来ると言っていたのに」
開店と同時に駆け込んでも買えるか分からないと不安視して、絶対に寝坊しないようにと気をつけていたくらいなのにどうしてとブツブツ呟く。
本堂や他のDクラスの生徒の姿はなく、チャットの流れからしても数人は姿を見せてもいいものなのに誰も現れないことに綾小路は違和感を抱いていた。
綾小路が待ち侘びるクラスメイトたちがこの場にいないのは当然のことだ。
『セールの列は北口からとチラシに書いてあったが、僕たちはここでいいのか?』
「えっ」
知っていたが走るのは面倒だし、あちら側には知り合いも多い。
変に絡まれるのも嫌だったからな。
「な、なぜ……」
そこまでは知らないが気になるなら前の女子たちに聞いてみればいいんじゃないか?
僕が言うと、綾小路は躊躇いがちに、話し込んでいる3年生の女子生徒3人に声をかけた。
「あ〜、去年ね開店ダッシュして怪我した子がいたんだよ。Bクラスの。それで今年からは北口に集めて店員さんが誘導することになったらしいよ」
そして、綾小路が手に入れた真実は受け入れ難くも受け入れなければならないものだった。
現実は非情である。
ケヤキモールが開店する午前10時を迎えるが、綾小路はとぼとぼと急ぐことなく家電量販店へと歩き始める。
「オレの目当ては残っているだろうか……」
残念ながらもうない。
セール目当ての客は北口の方から開店30分前には先行で入店して目玉商品を買い漁っている。
一般入場となる僕たちに残されたのは売れ残りの商品だけ。
しかし、綾小路の目は死んでいなかった。
「ヨーグルトメーカーを欲する生徒なんてオレと斉木くらいしかいないはずだ。大丈夫だ。最終的にオレが買えていればそれでいい……」
残念ながらいる。
買って行ったのは龍園にプレゼントをしようと思って手に入れた石崎だ。
龍園がヨーグルトが好きなのかは知らないが、あいつがわざわざヨーグルトメーカーでヨーグルトを作る絵面は思い浮かばない。
しかし、特価ではあるため大した損失ではないし、いらないと突き返されても石崎自身が使えば問題はない。
「嘘、だろ」
そして、綾小路の希望と期待は儚くも打ち砕かれた。
ヨーグルトメーカーは影も形もなかった。
明日まで明日までお待ちくださいと言う店員の姿はなかったが近くに最新のヨーグルトメーカーが置いてあり、綾小路はそれに手を伸ばす。
けれど、その価格は特売品と倍以上も開きがあったため、購入を踏み留まる。
(もうダメだ……おしまいだ……)
たかが、ヨーグルトメーカー1つで絶望しすぎだろ。
綾小路はとぼとぼと退店の道を歩みながら、自分とは逆にホクホクとした表情で店外に出ていく生徒たちの顔を見ながら今の気持ちを口にする。
「悔しい……」
もうどうでもいいからクレープ食べに行って帰らないかと言いたかったが、綾小路が自責の念に駆られるあまり声をかけることができない。
(セールにおける販売パターンを調べもしなかった。売れ残りだから買えるはずという安直な思考。情報収集を怠った敗者の末路)
そんなに気にすることなんだろうかと綾小路の後ろを歩いていると店内備え付けのタブレットを見つける。
そういえば、この前父さんがi-boardとかいうタブレットを買っていたな。
薄くて軽いのにネットやメール、ファイル管理やドキュメントの作成ができるという点は今どきのタブレットPCなら当たり前のことだ。
しかし、父さんはメールは携帯と職場のパソコンで、ファイル管理やドキュメントの作成なんてしないため、タブレットに入っているのはジャンプラとYouTubeくらいだ。
こんなの食器を運ぶトレイかうちわ代わりにしかならんだろ。
「斉木? 何見てるんだ? (タブレットか……部屋にパソコンはあるし、携帯もあるから興味は無いが……)」
それは僕も同じだな。
ネットはほとんど見ないし、携帯もこの高校では必需品になっているから持っているだけで、調べ物は自分で調べられるから電話とメッセージでしか使っていない。
綾小路と2人で触ること1時間、電子書籍や動画サイトが手軽に見れるのはいいなという話をしていたら、2人であることに気づく。
「凄いな……これは……」
『ああ……凄いな、インターネット!!』
なぜ僕は今までこんな便利なものを利用してこなかったのか!?
特にこのショッピングサイトは凄いぞ……!
konozamaというサイト名はなんだか気に入らないが、このサイトは父さんが使っているのを見たことがある。
欲しい本がワンクリックで買える上に、電子書籍化されているものに関してはこの端末でそのまま全文読むことができるのだ!!
ただし、紙の本と電子書籍では発売日がズレているものもあるため、電子書籍は待つ必要があるのが難点だな。
お前のことだぞ、よう実。
「検索すれば探している本が一瞬で見つかる……(わざわざ図書館や本屋に行かなくても明日には届くし、物によってはすぐに読めるのか……! 恵へのプレゼントを選ぶ時にも使ったが、まさかここまでできるとは……この通販サイト……すごい!!)」
それだけじゃない、このサイトの凄いところはまだある。
レビュー!! これが凄い!
何とその商品を買ったり読んだりした人の感想が多いものでは100件以上寄せられているのだ!!
もし僕が直接感想を聞いたら即ネタバレ一直線。
「あの小説の感想ですか? (ラストで全部主人公の妄想だったというオチなんですよね……。ハッピーエンドなので嫌いではありませんが)私は普通くらいでした」
しかし、ネットならその心配はほとんどない。
他人のレビューや感想が読めれば本編を読んで失敗することがほとんど無くなる。
本編の内容のネタバレを含むレビューには注意書きや自分で開くボタンを押さなければ見れない仕組みにもなっているし、ネタバレにも配慮されている。
この機能を考えたやつは天才か……?
「今、注文したら夕方には届く……? どんな配達速度なんだ」
『まるで超能力だな』
「そうだ。オレがさっき買おうとしていたヨーグルトメーカーのレビューを見てみよう」
『それはいいな』
商品名とメーカーさえ分かればすぐに商品ページが出てくるのもすごいところだ。
どれどれと綾小路が使っているタブレットを覗いて見る。
【ヨーグルトメーカー イプシロン
星2 控えめに言ってゴミ
美味しい牛乳をそのまま飲んだ方が美味い。手間の割にあんまり美味しくなかった。市販のヨーグルト買った方が絶対美味い。手間暇とかほざいているバカは現実見た方がいい】
(見るんじゃなかった……)
見ない方が良かったな……。
他のレビューも中々に酷い。
平均評価は2.1と辛口だ。
しかし、こんなに酷い評価なら買えなくて良かったと考えるべきなんじゃないだろうか。
本来使うはずだったポイントで他に気に入ったものを見つけたら買うことができるし。
「そ、そうだな。それもそうだ。クレープを食べて帰ろうか。腹が減ってきたところだ、うん」
確かにいい感じに小腹が空いてきたな。
もう少しじっくりタブレットを見たいところだが、それはまたの機会にしよう。
実家に帰って、父さんのを借りればより詳細にその機能を知ることができるだろう。
「ん? すごいな、類似商品でおすすめのものを紹介してくれる機能まであるぞ」
『なに?』
どれどれと覗き込もうとして、僕と綾小路の背中に2つの視線が突き刺さる。
それには綾小路も気付いており、嫌なものではないのだが、じっと見られれば気になるもの。
タブレットに夢中で今頃になってしまったが、どうやら八神と天沢が僕たちのことを見ているようだった。
「お、おい、一夏、やめとこうって。あの2人に関わるのは」
「え〜? いいじゃん。2人とも悪い人じゃないって。私たちが悪いことしなかったら」
「綾小路はともかく、斉木……先輩は無理だ! クリスマスの思い出にあいつが追加されるのはごめんだ!」
「(まだ怖いんだ。もう4ヶ月経つのに。麻袋被せられて煽られて、自由になれたと思ったら為す術なくボコられたら拓也なら心がボロボロになるのかな? ……うん、やってもらおうと思ったけどやっぱり怖いからやめとこ)じゃあ、拓也だけ先帰ってなよ。今日も会ったの偶然なんだし」
「言われなくてもそうさせてもらう……」
心底嫌そうな顔をして八神はその場を離れると、天沢だけが僕たちの方へとやってくる。
「せぇんぱ〜い、メリークリスマスですね」
「あぁ、メリークリスマス……だな?」
別にお祝いごとの気分では無い綾小路は首を傾げつつ応対する。
「どうしたんだ? さっきまで八神といたみたいだが」
「ああ、偶然会っただけで特に用事はなかったんですよ(まぁ、卒業してからどうするかみたいな話はしたけど)。店から出るまで少し話してて、そしたらお2人の姿が見えたので」
「ラッキー」と上機嫌に笑う天沢に、僕と綾小路は顔を見合わせるとすぐに天沢を見下ろす。
『そうか』
「じゃあな」
「えぇっ〜!? このまま男同士でクリスマスを過ごすんですかぁ〜? さみしい〜」
「オレには斉木がいるから問題ない。さみしいクリスマスになるのはお前だけだ、天沢(勝ったな)」
何に?
「綾小路先輩には軽井沢先輩がいるじゃないですか? あ、そうだ。ダブルデートなんてどうです? 私の相手はもちろん斉木先輩でぇ」
「軽井沢とは別れたぞ」
「ですよね〜軽井沢先輩とは……ってえぇ!?」
言っていいやつなのか。
まぁ振られた側だし、付き合ったままと言って女避けをすると思っていたがその辺は潔いんだな。
「ってことは綾小路先輩フリーになったんですねぇ(う〜ん、前までなら綾小路先輩一択だったけど、斉木先輩もアリなんだよねぇ。強いし、理知的だし、話してみると楽しいし、私にも優しいし……でも、結婚かぁ……まぁ、意外と? 悪くないかもなんだけど。どうしよっかな〜)」
「(そうだ、天沢にもタブレットPCとネットショッピングの素晴らしさを教えてやろう)それよりもこのタブレットを見てみろ、天沢」
綾小路は何か思いついたのか天沢を手招きして、僕たちが見ていたインターネットとショッピングサイトの使い方を実演しながら教える。
さらに先程学んだばかりのオススメ機能の凄さを語る姿はまさにホワイトルームの成功例にふさわしいムダのなさであったが。
「それくらい知ってますよ? 常識じゃないですか」
「えっ」
えっ。
「便利ですよね〜インターネット。でも、詐欺サイトとかレビューでイタズラする人もいたりであんまり良くない面もあるんですけどね」
「へ、へぇ……」
『そう、なのか……』
「まぁお2人に限って騙されるとかそんなことは無いと思いますけどね」
まさか年下、それも天沢の方がインターネットに詳しいとは……。
『……これからクレープを食べに行くんだが、一緒に来るか?』
「えっ!? いいんですか!? やったぁ〜!」
「(意外だな。斉木から声をかけるなんて。)いいのか?」
まぁ、これくらいしか先輩風というやつを吹かせられないからな。
それに、3人なら食べられる味も増えるし、感想もすぐに聞ける。
生徒向けのチラシやウェブサイトしかないため、インターネットには公にされていないケヤキモールにある店の評価はここに来る生徒たちからしか聞けない。
そういう訳で、少しでも確かな情報を得るべく僕たちは家電量販店から離れてクレープ屋へと向かった。
本来なら鬼龍院先輩が出てくるんだけど、くーちゃんがタブレットコーナーで足を止めたため遭遇せず。
代わりにこれからどうしようか八神と話し合ってた天沢が合流。
元Bのほとんどは一之瀬とくーちゃんを見守るつもりだが、興奮すると思春期高校生の顔を見せる。
ほぼ一之瀬側だけど、姫野と神崎の原作ではクラス改革派のクール組はくーちゃんの味方。
綾小路は失恋したわけじゃなく、軽井沢が寄生虫から卒業できたので喜ばしい気持ち半分、自分はホモなのか……?という戸惑い半分。
くーちゃんといるのは楽しいし面白いけど、性欲とかは湧かないし違うか……と思っているが、くーちゃんが全力で『お前はストレート。お前はストレート。ホモじゃない。ホモじゃない。劉銘軒じゃない』と暗示かけまくってる。
なお、軽井沢さんはインフルエンザから回復後、楽しそうにくーちゃんとケヤキモールを歩く綾小路の姿を見せられる模様。
ではまた次回