とある科学の令和冷戦   作:大体三恵

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これが正義だというが、まだそれも正義だと言えない時代

 ホワイトハウス地下の会議室で、少女の声が流れていた。

 

『音楽なしは寂しいから、リクエストしたくて』

 

 明るく、軽い声だった。邪気がない。どこにでもいる少女の声だ。

 

 自分の言葉が、世界最大の軍事大国の中枢で繰り返し再生されているなど、想像もしていない声だった。

 

 ナサニエル・ブラッドフォード・コールドウェル大統領は、机上の書類へ目を落としながら、最後まで黙って録音を聞いた。

 

 少女が携帯端末について説明する。

 通信網を通じて、その場で音楽をダウンロードせずに再生でき、月額料金を支払っている間は、多数の楽曲を自由に聞けるという。

 

 端末へ保存していなかったので、通信が切れた今は一曲も再生できないと説明。

 隣にいる別の少女が、慌てて会話を止めようとしている。

 

 録音が終わった。

 

 コールドウェルは顔を上げた。

 

「それで彼女がリクエストした曲は流しあげたのかね?」

 

 まず聞くことがそれか?

 中央情報局長官が、一瞬だけ返答に迷った。

 

「はい、大統領閣下。現場の判断で、要求された曲を送信しました」

 

「よろしい」

 

 大統領は大きくうなずいた。心無しか、その表情に安堵が見えた。

 

「話を聞き出すためにリクエストを受けたのなら、曲を流すのは当然だ。約束を守らない者の放送を、次も聞いてくれるとは思えん」

 

「同感です」

 

「現場の担当者を褒めておきたまえ。いい仕事だ」

 

 長官がうなずいた。

 

 会議室の一角で、国務長官が報告書の頁をめくる。

 

「録音から確実に判明したのは、佐天涙子という少女の氏名、学舎の園という呼称、携帯式通信端末の存在、民間向けの大容量通信網、定額制の音楽配信です」

 

「本人は情報を渡している認識がありません。音楽を聞けない事情説明をしただけのつもりです」

 

 国家安全保障担当補佐官が付け加え、CIA長官が答えた。

 

「だから価値が高い。用意された証言ではありません。彼女にとって、それらは説明する必要もないほど日常的な技術です」

 

 コールドウェルは、机上に置かれた少女の推定情報を見た。

 

 氏名、佐天涙子。日本語を母語とする若年女性。音声から推定される年齢は十代前半から半ば。

 島あらため、学舎の園内部にいる可能性が極めて高い。

 

 その隣には、たった今、日本政府から外交経路を通じて得た暫定資料が置かれていた。

 

 学舎の園の総人口、2,919人。

 

 このうち生徒、2,643人。

 教師、43人。

 学校、研究、設備管理などに従事する職員、151人。

 施設や店舗に勤務していた者、82人。

 

 コールドウェルの表情から、先ほどまでの満足げな色が消えた。

 

「教師が、43人だと」

 

「はい」

 

「2,643人の生徒に対して?」

 

「確認された数字では、その通りです」

 

「ほかの成人は、教師ではないのだな」

 

「設備技師、研究職員、事務員、医療関係者、警備関係者、店舗従業員などです。いずれも教育や児童保護の専門家とは限りません。また生徒の姉妹以外の肉親や保護者もいないそうです」

 

 大統領は椅子へ深く座り直した。

 

 映像の中で、日本の首相と向き合っていた二人の少女を思い出す。

 首相と相対する胆力は見えたが、二人は常に寄り添っていた。

 

 一人は、警護官の中央へ何の前触れもなく出現した。

 もう一人は、華央国の迎撃ミサイルを受けても無事であった可能性が高い。

 

 未知の能力に、未知の技術。想像できる技術に、SFを想定しないと説明できない技術。

 

 既存の戦略均衡を壊しかねない存在。

 資料の上では、そう大袈裟に世界的規模の懸念として記されている。

 

 だが、ラジオから聞こえたのは、音楽がなくて寂しいと訴える少女の声だった。

 

「なんということだ、悲劇ではないか!」

 

 コールドウェルは低く言った。

 誰も口を挟まない。みな同じ気持ちだ。

 

「二千六百人を超える少女たちが、家族も、政府も、知っている国も失い、見知らぬ世界へ放り出されたというのか」

 

 大統領は報告書から目を離さなかった。持つ手が震えている。

 

「自分たちの技術が、我々にどう見えるかも知らない。世界が彼女たちを巡って核戦争へ近づいていることさえ、つい先ほどまで知らなかった可能性がある」

 

「日本政府との会談では、相当な自治能力を示しています」

 

 国務長官が慎重に答えた。

 

「内部の人数を正確に把握し、学校と寮ごとの指揮系統を再構築している。日本側の立ち入りにも条件を提示しました」

 

「立派なことだ。実に立派だ。だから保護が不要だということにはならん」 

 

 大統領の即答に、国務長官は押し黙った。大学に通うため、ひとり暮らしをしている娘を思い出しているようだった。

 

「子供が災害の中で弟や妹を守り、食料を数え、戸締まりをした。それを見て、大人が『自分でやれているから放っておこう』と言えるかね?」

 

「言えません、閣下」

 

「そうだろう」

 

 コールドウェルは、会議室の出席者を見回した。

 

「彼女たちは脅威かもしれん。それは否定しない。あの空間移動能力だけでも、大統領警護の前提を根底から覆す。浮遊都市の技術も、能力開発も、軍事的価値は計り知れない」

 

 国防長官が小さくうなずいた。

 

「しかし、現時点で彼女たち自身が導火線に火をつけようとしている証拠はない」

 

 大統領は机を指先で叩いた。

 

「導火線どころか、彼女たちはまだ爆薬へ導火線が取り付けられていることすら知らなかったのだ」

 

「問題はソ連、華央国、そして我々を含む各国の反応です」

 

 国家安全保障担当補佐官が言った。

 

「その通りだ」

 

 コールドウェルはうなずいた。

 

「導火線を取り付けるのは、おそらくこの世界の人間だ。彼女たちを兵器として囲い込もうとする者。技術を奪おうとする者。恐怖から先制攻撃を選ぶ者。そして、相手に奪われるくらいならと考える我々自身だ」

 

 部屋の空気が重くなる。

 アメリカ合衆国大統領は、自国だけを例外にしなかった。

 

 だが、それによってアメリカの関与を控える結論へ進む人物でもなかった。

 

「司法長官。確認したい。学舎の園の少女たちに、アメリカ市民権を与えることは可能かね?」

 

 会議室の何人かが、わずかに顔を上げた。

 

「大統領権限だけで一括して付与することは困難です。通常の帰化手続きにも該当しません。実現するなら、議会による特別立法が必要になります」

 

「不可能ではないのだな」

 

「法的な枠組みを作ることは可能です。ただし、本人たちの意思確認、日本政府との関係、現在地の主権問題を避けては通れません」

 

「当然だ。本人の意思に反してアメリカ人にするつもりはない」

 

 コールドウェルは言い切った。

 その場の全員が、それを本心だと理解していた。

 

「では、市民権を提示すること自体は?」

 

 目を拭いていた国務長官が答える。

 

「交渉材料にはなり得ます。市民権に加えて、居住地、教育、医療、家族再会支援、安全保障上の保護を一体として提示できます」

 

「亡命ではなく、選択肢としてだ。調査したまえ」

 

 コールドウェルは司法長官と国務長官を順に見た。

 

「特別立法の可能性。議会の支持。少女たち本人へどのように意思確認を行うか。全員でなくとも、希望する者を受け入れられる制度を用意できるか」

 

「直ちに検討します」

 

「教育省と保健当局にも準備をさせたまえ。二千六百人を受け入れる場合に必要な学校、寄宿施設、医療、心理支援を算定する」

 

「大統領」

 

 国防長官は、少女たちに向けられていた意識を戻すため、トーンを変えて大統領を呼ぶ。

 

「彼女たちを米国内へ移すことは、ソ連にとって看過できない戦略的変化になります。日本も反対するでしょう」

 

「承知している」

 

「学舎の園側が、自治への侵害と受け取る可能性もあります」

 

 コールドウェルは一度、黙った。

 少し感情的になりすぎたと、心を落ち着ける間だ。

 

「ならば、彼女たちへ説明し、選んでもらえばよい」

 

「アメリカを選ぶと閣下はお思いで?」

 

 国務長官の問いに、大統領はわずかに眉を上げた。

 

「自由な選択を与えられた人間が、何を選ぶかを我々が決めてはならん。だが、アメリカが提示できる自由と保護に、私は自信を持っている」

 

 会議室の空気が、目に見えないほどわずかに変わった。

 背筋を伸ばす者がいた。

 机の下で手を握る者がいた。

 国務長官の口元にも、かすかな笑みが浮かんだ。

 まだ誰も声を上げてはいない。

 

 だが、この場に満ち始めた感情へ名前をつけるなら、それは愛国心だった。

 

 アメリカが行動すべき時が来た。

 

 助けを必要とする少女たちがいる。自由を知らないかもしれない人々がいる。

 そして自由を与えられる力を持つ国が、自分たちである。

 その三つがそろえば、アメリカ人が導き出す答えは、ほとんど決まっていた。

 

「彼女たちが危険だから遠ざけるのではない」

 

 コールドウェルは立ち上がった。

 

「危険な力を持っているからこそ、恐怖と野心の中へ放置してはならん。ソ連へ渡すわけにはいかない。華央国に利用させるわけにもいかない。日本だけの責任として押しつけるべきでもない」

 

 大統領は、少女たちの人数が記された報告書を手に取った。

 

「2,643人の生徒だ。これは戦略資産の数ではない。保護を必要とする若者の数だ」

 

「はい、大統領閣下」

 

 今度は複数の声が重なった。

 

「だからこそ我々が保護し、管理し、人権と自由を与えねばならんのだ!」

 

 会議室に拍手は起きなかった。

 作戦会議の最中だった。

 しかし出席者の胸中では、すでに大歓声が始まりかけていた。

 

+ + + + + + + + +

 

 翌朝、アメリカの新聞は学舎の園を一面に載せた。

 

【異世界から来た二千六百人の少女たち】

【日本、浮遊都市との交渉を独占】

【瞬間移動能力は大統領警護を無力化するか】

【彼女たちは兵士か、生徒か。それとも迷子か】

 

 同じ事件を扱っているとは思えない見出しが、新聞売り場へ並んだ。

 硬派な全国紙は、空間移動能力と米ソ間の戦略均衡を論じている。

 地方紙は、学舎の園に残された少女たちの年齢と成人不足を大きく扱い、タブロイド紙は制服姿の美琴と黒子を大きく一面へ載せた。

 

【別世界から来たテレポート・ガールズ!】

 

 記事の内容はほとんど推測と、専門家というオカルト研究者の話だった。

 それでも売れた。売れないわけがない。

 

 朝のテレビ番組では、日本政府が公開した会談映像が繰り返し流された。

 

「ここです。少女たちは何もない場所から突然現れます」

 

「信じられません。映像を加工した以外、今の私がわかる要素がない」

 

「日本政府によれば、長い髪の少女、白井黒子は、接触した人間と物体を移動させる能力を持っています」

 

「もう一人の少女とは、ずっと手を握っていますね」

 

「安全上の措置と考えられています」

 

「彼女は相手を“オネエサマ”と呼んでいるそうです」

 

「姉妹なのですか?」

 

「日本政府は回答していません」

 

「なぜこのことに日本政府が回答する必要が?」

 

 司会者が笑い、スタジオにも笑いが起きた。

 その直後には軍事評論家が登場し、先ほどと同じ映像を厳しい顔で分析した。

 

「この少女は、合衆国大統領の眼前にも出現できる可能性があります」

 

「対策はありますか?」

 

「おもいつきません。現実的な対策は、現在のところ、ありません。たった一つ、有効な手はお願いですから、やらないでくださいと頼むことです」

 

 ジョークのように言ったが、誰も笑わなかった。

 

 チャンネルを変えれば、児童心理の専門家が話していた。

 

「映像だけを見れば、自信に満ちた少女たちに見えます。しかし、強く振る舞っていることと、支援を必要としていないことは別です」

 

 さらにチャンネルを変えれば、株式市場の話だった。

 

「浮遊技術が実用化されれば、航空、海運、建設、エネルギーのすべてが変わります。アメリカ企業が最初に提携できるかが重要です。おわかりですか? ……日本へ独占させるべきではありません」

 

 その日のアメリカでは、誰もが学舎の園について話していた。

 

+ + + + + + + + +

 

 中西部の小さな町では、子供たちの朝食を並べた母親がテレビの前で動きを止めた。

 画面には、生徒2,643人、教師43人という数字が表示されている。

 

「43人? 大人が43人しかいないの?」

 

 その母親は声に出した。厳密には他にも大人がいるのだが、それほど詳しい報道でもなく、学校にも教師以外の職員がいるとはわかっていない様子だ。

 だが、彼女の心配は本物だった。

 高校生の息子がパンをかじりながら答える。

 

「でも超能力があるんだろ、すごいじゃん、みんな。平気だよ」

 

「超能力があっても子供は子供でしょう」

 

「中学生が首相と話してたぞ。すごいじゃん」

 

「だから何よ。大人が少なすぎるから、子供が話さなきゃならなかったんでしょう」

 

 その日のうちに、彼女はホワイトハウスへ手紙を書いた。

 

 空いている部屋が一つある。

 必要なら一人くらい受け入れられる。

 英語は教えられないが、娘を育てた経験はある。

 

 同じような手紙が、全米各地から送られ始めた。

 優しさに加えて無知もあるが、これはアメリカが持つ正義として目に見えた行動だった。

 

+ + + + + + + + +

 

 南部の教会では、牧師が日曜礼拝を待たずに臨時の集会を開いた。

 

「彼女たちは、我々の世界へ自ら望んで来たのではありません」

 

 信徒たちは静かに聞いた。

 

「国籍が違う。文化が違う。恐るべき力を持つ者もいる。それでも、見知らぬ土地へ投げ出された子供であることに変わりはない」

 

 教会の入口には、毛布、衣服、保存食を寄付する箱が置かれた。

 

 日本へ送る方法は、まだ誰も知らなかった。

 勢いと感情だけで、先走った行動である。

 それでも箱は、その日のうちにいっぱいになった。

 

+ + + + + + + + +

 

 西海岸の大学では、学生たちが討論集会を開いた。

 

「日本政府にも、アメリカ政府にも、ソ連にも、彼女たちの将来を決める権利はない!」

 

 壇上の学生が叫んだ。

 

「学舎の園の生徒たち自身へ、移住、残留、国籍、教育を選ぶ権利を与えるべきだ!」

 

 聴衆である学生たちの拍手が起きた。

 

 その後ろでは、別の学生が、

 

[ LET THE GIRLS CHOOSE ]

 

 と書かれたプラカードを作っていた。

 ただし、発言者を含むほぼ全員が、自由に選ばせれば最終的にアメリカを選ぶだろうと思っていた。

 これもまた、彼らが思う正義の発露であった。

 

+ + + + + + + + +

 

 東海岸のラジオ番組では、電話が鳴り続けていた。 

 リスナーの忌憚のない意見が、ラジオの電波に乗って東海岸へ広がる。

 

『日本が彼女たちを隠しているんだ! 我々にも調査団を送る権利がある!』

 

「権利があるかは分かりませんが、情報公開は必要でしょう。おちついてください」

 

『あの空間移動能力者を入国させるなんて正気じゃない! 核兵器を持ち込まれても分からないぞ!』

 

「確かにそうですが、本人は女子中学生だとされています」

 

『女子中学生だから安全だというのか? 後ろで操るものがいてもおかしくないだろ!』

 

 なんとか時間ですから抑えて、次の電話へ切り替わる。

 

『ソ連に渡すくらいなら、我々が保護すべきだ』

 

「保護ですか、それとも確保ですか?」

 

『両方だ。自由な国で教育すれば、彼女たちも我々も安全になる。それが彼女たちの幸せにもなる。少なくても私はそう信じている』

 

 司会者は数秒黙った。

 

「それを彼女たち自身が望むかどうかは?」

 

『偉大なアメリカを知れば望むさ。君もそう思うだろ』

 

 電話の向こうの男は、本心からそう信じていた。

 

+ + + + + + + + +

 

 玩具会社は、瞬間移動する少女の人形を商品化できないか検討を始めた。

 

 映画会社は、「異世界から現れた空中学校」を題材にした企画書を用意した。プロデューサーがすぐさまついてが、いささか怪しい人物であった。

 

 出版社は、日本文化の解説書を増刷した。これがアニメを基準にしていたため、日本については結構間違っていたのだが、学舎の園の推測には合致していた。

 

 日本のアニメーションを扱う小さな専門店では、客がテレビへ集まっていた。

 

「だから言っただろ。これは日本のアニメそのものだ」

 

「おまえは……俺よりアニメの見過ぎだぞ。現実もみろ」

 

「超能力少女が空飛ぶ女子校から来たんだぞ。あんただってそうなってくれと願ったことが、一度くらいあるだろう?」

 

 店主は言い返さなかった。

 

 そんな反応は、まだアメリカ全体から見れば小さなものだった。

 

 大多数の市民にとって、美琴と黒子はアニメから出てきた少女ではない。

 宇宙開発競争の時代に、突然現れたSF映画の登場人物だった。

 恐ろしく、魅力的で、だがアメリカが救わなければならない存在だった。

 

+ + + + + + + + +

 

 アメリカの日本大使館の前では、二種類のデモが始まった。

 

 かたや──

 

[ 少女たちへ自由な選択を ]

[ 国際社会による保護を ]

[ 学舎の園を日本だけで囲い込むな ]

 

 かたや──

 

[ 瞬間移動能力者の入国反対 ]

[ 未知の兵器をアメリカへ近づけるな ]

 

 互いにぶつかり合う主張である。

 物理的にも、ぶつかり合い始めている。

 

 デモが重なり合う場所では、言い合いがそろそろ殴り合いになりそうだった。

 

 しかし、どちらも学舎の園を単なる日本国内の問題とは考えていなかった。

 少女たちの将来について、アメリカにも発言する資格がある。

 

 その一点だけは、仲が悪いのに一致していた。

 

+ + + + + + + + +

 

 夜のニュース番組で、著名な司会者がカメラへ向き直った。

 

「今夜、我々は一つの問いに直面しています」

 

 背後には、海上に浮かぶ学舎の園の映像がある。

 

「彼女たちは脅威でしょうか。それとも、保護を必要とする子供たちでしょうか」

 

 画面が切り替わと、少女が少女の手を握っている映像になった。

 

「おそらく、どちらでもあります。そして、それこそが我々に責任を求めています」

 

 その言葉を聞き、何百万ものアメリカ人がうなずいた。

 

 アメリカが助けなければならない。

 アメリカが自由を与えなければならない。

 アメリカが正しい道を示さなければならない。

 

 彼らにとって、答えはあまりにも明らかだった。

 

 アメリカ以外に、誰がいるというのか。

 

 こうして、学舎の園の少女たちが一度も助けを求めていないうちから、アメリカでは彼女たちを救うための巨大な善意が動き始めた。

 

 その善意が「保護」と「管理」を同じ意味で使っていることに、気づく者はまだ少なかった。




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