貞操観念も男女比も逆転したまのさば世界で生きる貴方 作:宇佐見あまの
魔女因子も罪も浄化させたし、貴方を部下にしようかなと。
でも魔法少女達の思いを見て思い直しました。
○○くん!転生だ!
貴方はパカっと開いた地面から落ちて行くのでした……
この世界は前世と比べるとだいぶ変だった。
やけに女性が多いな~とか、活躍してる女性の比率高いな~とか。
母親が過保護だな~って思ってた。
小学校には行けなかった。
ただ、代わりに家庭教師が教科毎にやってきて教えてくれた。
とても親切に丁寧に教えてくれたのだが、男女比が崩れたのは中世からだそうだ。
これには驚いたし、どうやって人口維持してたんだ? と思ったがこの世の中には
『魔法』
があるので、科学も技術も魔法も更に発展し、何とか人口を維持できている。
ただ、男性の出生率は上げられなかったので、結果として人工授精でやり繰りするしかない! となったらしい。
中世で人工授精まで行けるの凄いな! と思ったし、戦争が小競り合い以外起きていないのも明らかに前世とは違う点だろう。
ただ、疑問に思うことがある。
世の中で女性が多くなっているのに、周辺の女性は何というか……
前世と同じ距離感を保っている。
近づきすぎるわけでもない、遠すぎるわけでもない、ちょうどいい距離をお互いに模索出来る。
男尊女卑も女尊男卑もこの世界にはないらしい。
何というか……男女比が変わって、世界も変わるとこんな物なんだろうか?
そんな疑問を抱きつつ、ご近所づきあいデビューの為に父と母に服を選んでもらった。
シンプルでモノトーンな服装。おお、こういうのでいいんだよ、こういうので。
子供のころしか着れない戦隊ヒーローとかの服でも良いんだけどなぁ……
お隣さんの家に訪問するのだが、この地区の主要自治会メンバーは14家いる。
先ず両隣に桜羽家と二階堂家が、正面には月代家。
なんか何処かで聞いたような苗字だが、日本ってそういう苗字多いもんね、勘違いかもしれない。
母から渡された地図を見ると、○○家の周りを守るように14家が密集している。
何? 将棋でもしてるのか?
ま、まぁ気を取り直して、母と手をつなぎながら桜羽家に挨拶に行く。
母がインターホンを押すと、桜羽母と母が軽く挨拶をし、俺を紹介する。
『○○です。よろしくお願いします』
ペコリとお辞儀をする。
ふふふ、第一印象を左右する挨拶は大事なのだ。
「まぁ~! しっかり挨拶出来て偉いわね!
ウチのエマにも会っていってくれる?」
母以外の人に始めて頭を撫でられたが、近づかれたときふんわり桜のいい香りがしてドキドキしてしまった。
人妻に欲情するのは正しくない!
……なんかそんな口癖の子がいたようないなかったような……
ドタドタと奥から足音が響いてくる。
廊下の奥からひょこっとこちらを覗いてきたのは、桜色のふんわりとした優しそうな子だった。
「あ、えっと、ボクは桜羽エマって言います。
その……」
『エマちゃんだね、○○です。
よろしくね!』
「○○くん……! うん、よろしく!」
エマちゃんに握手を求めると、エマちゃんは少し恥ずかしそうに握ってくれた。
かわいいね~~!
あの、エマさん? にぎにぎしてるし、何か大事なものを確かめるように握ってますけど、大丈夫ですか?
「今度はこの手を……離さない……」
『ん? 何か言った?』
ボソッと何か呟いたようだが。
エマはハッとした顔をすると、何でもないよ! と強調し、挨拶周りについてきてくれた。
一体いつ好感度が上がったのかは分からないのだが、俺の左腕に抱き着いて離れないんですけど。
母に助けを求める視線を送っても『あら~』と言って微笑ましそうな顔をしている。いや、助けてくれないか?
次に二階堂家に挨拶に向かう。
エマちゃんから二階堂ヒロちゃんの情報をこれでもかと詰め込まれた。
ヒロちゃんは正しくない事が大嫌いで、正義感が強いんだよ! とか、ヒロちゃんは雪見だいふくを1個分けてくれるくらい優しいんだよ! とか興奮した様子で語ってくれた。
うん、うん、聞いてるからエマちゃん。顔もうキス出来るくらい近いから。
そんな中で二階堂家のインターホンを押して、二階堂母がヒロちゃんを連れてきた。
『○○です、二階堂……ヒロちゃん、で良いのかな?』
「○○君だね、二階堂ヒロだ、ヒロちゃんでも良いが……その左腕に抱き着いてるのは」
「あっ! ヒロちゃん! えへへ、○○くんの香りってすごい良いんだよ!」
「桜羽エマ……! 初対面の男性に抱き着くなんて正しくない!
というかそれを許してる君も正しくない! 正しくなさすぎる!
私が正す! 羨ましい!」
ズカズカとヒロちゃんが近づくと、右腕にくっついた。
右から凛とした爽やかな薔薇の花の香りがする。
とてもいい香りだし、小学生にしてはエマちゃんもヒロちゃんも発育が良い。
つまりなんだ、俺は両手に初対面で好感度が何故か高い人がくっついた上で移動しなければならない。
これが思春期ならもう既に前かがみになって移動していただろう。幼い息子に感謝だ。
「○○の香り、変わらないな……」
相変わらず何かボソッと呟かれるんだが、聞き取れない。
もう聞き直すより流した方が良いのかもしれない。
多分、そんな重要なことじゃないから。
二階堂母も母もニマニマしながらこちらを見てくる。
いや、お宅の娘さん警戒心がなさすぎますよ!
貞操観念がおかしいと気づいてはいるが、異常だろ!!!
誰か助けて! という思いも虚しく、次の家へと連行される。
挨拶周りをしただけで、どんどんくっついてきて最終的に蜂球みたいな状態になった。
そのまま俺の家でお泊り会をするという流れになったんだけど、どの家の両親もOKサインを出した。
初対面で好感度が高すぎるのは……ちょっと怖いと思ったのは内緒だ。
次回はお泊り会。
主人公組以外の出番があるよ!