石の世界で農業チートしてたら比べ物にならん程のチートがワラワラ湧いてきた件 作:史上最強のラーメン
スイショウの容姿を考えていなかった!スイショウというくらいだから、目が青いのは確定。髪は黒がいいか気がするが...どうしよう。
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ゲンが何者かに暴行され、重体となった。襲われた際に槍を腹に突き刺されたようだが、ゲンは事前に服の中に大量の血のり袋を仕込んでおり、致命傷には至っていなかった。
「大変だよー!あさぎりゲン殺人事件の犯人が分かっちゃったんだよ!!」
「いや、死んではないぞ」
スイカが、隠密スイカモードにてゲンを襲った人間のことを調べて帰ってきた。
「お疲れスイカ!それで、あさぎりゲン傷害致死事件の犯人は誰だった?」
「だから死んではないぞ」
「それは...マグマなんだよ!」
スイカが隠れ聞いた話によると、当初マグマは次の御前試合で最大の敵となるコハクを闇討ちしようと思っていたらしい。しかし、流石にそれを許す程の隙がコハクにはなく、代わりに村の外からやってきた妖術使いを襲ったのだという。なんでも、マグマはコハクの強さの源がコハク自身の力ではなく妖術によるものなのだと勘違いをしており、妖術使いを消すことでコハクの戦力ダウンを企んだそうだ。
マグマはゲンのことも妖術使いだと思っており、たまたまゲンが1人で無警戒に歩いていたために襲われてしまったようだ。
「マグマが御前試合で優勝しちまったら、万能薬をルリに飲ませんのも厳しくなるな」
「あぁ、1人でも戦力がいる。金狼と銀狼を引き込むしかねぇ!」
御前試合で科学王国が勝利するためには、とにかく戦力がいる。そこで白羽の矢が立ったのが村の門番である金狼と銀狼だ。特に金狼は、村ではコハクとマグマに次いでの戦闘力を誇っており、仲間にできれば御前試合での勝率を大幅に上げることが可能だろう。銀狼は既に科学王国に興味津々のようなので、金狼さえ説得できれば良いのだ。
そして、千空の人柄とコハクの真摯な説得により、遂に金狼と銀狼を科学王国の一員とすることができた。
早速コハクと金狼銀狼は、拠点にて訓練を始めていた。
「俺も御前試合に参加できるように裏工作中なんだ。だから作業の手伝いは今までよりできなくなる。ごめん」
スイショウも各種手伝いをしたいのは山々だったのだが、御前試合に参加するための根回しをしなければならなかった。また、マグマの動向のチェックも並行して行いたかった。
「またなんか企んでやがんな、スイショウ?」
「うん。村を征服しようと思ってる」
「なんかとんでもないこと言い出しやがったぞ!?」
「どうしてキミはそういう言い方をするのだ!素直にルリ姉のためだと言えばいいものを!」
勿論時間があれば科学の素材集めや工作、そしてコハクの戦闘訓練にも参加するつもりだ。
「俺が優勝すれば俺の考える通りに村を変えるし、科学王国の誰かが優勝するならそれでもよし。千空とクロムは気にせずに科学を進めててくれ」
「おう!頼りにしてるぜスイショウ!」
「ククク、ったくしゃあねぇな。マンパワーが減っちまうが、ガキの1人分くらい誤差だ。スイショウ、テメーの好きなようにやってきやがれ」
「あぁ、ありがとう!村の中のことは俺がやる!だからルリ姉の薬のことは任せた!」
そしてスイショウは、メンバーが増えて活気づいてきた科学王国を見つつ、沢山の手土産を持って村の隠居の下へ向うのだった。
〜〜〜
翌朝、なんとゲンが姿を消した。クロムが起床した時には既にいなくなっていたようだ。逃げられたと思いコハクが後を追おうとしたが、千空曰く、コーラという飲み物を作ることを約束にゲンを寝返らせることに成功したらしい。
ゲンは獅子王司に、『千空は死亡しており、ケガも原住民と揉めてしまったからできた』という嘘の情報を伝える手筈になっており、これで千空が科学に集中する時間が増え、村も救われた。
「スイショウ〜!千空に眼鏡を作って貰ったんだよ!!」
最近、従業員に任せきりだった畑仕事をしていると、スイカが元気な声と共にやって来た。
「眼鏡...!そうか良かったなスイカ!!」
嬉しそうに飛び跳ねているスイカをよく見ると、西瓜の被り物の目の部分が透明なガラスに変わっていた。
スイカの視力が改善されたのと同時に、この原始の世界にガラスが誕生したことをスイショウは非常に喜んだ。
「やっぱり千空は優しいんだよ!」
「そうだなぁ。あんまり素直じゃないけどめっちゃ優しいよなぁ」
「クロムもコハクも、金狼に銀狼も科学王国は優しい人ばっかりなんだよ!」
「あれ?俺は?」
「スイショウはちょっと意地悪なんだよ」
「なんだとこら〜!」
スイショウは鍬を構えてスイカを追いかけ回した。しかし、ちょこまかスピードおいてスイカに勝ることはできないため、すぐに諦めるのだった。
「スイカはまだそれを被るのか?千空に頼んだら多分、もっと軽いやつ作って貰えるよ?」
「うーん、それも考えたんだよ。でもやっぱりスイカは、これを被ってる時の方がしっくりくるんだよ」
「そういうもんなのかぁ。まぁ確かに、スイカがこの姿じゃなくなると少し寂しくなるしな」
スイショウは、西瓜の被り物を指でつつきながらそう口にした。
「これでもっと皆んなのお役に立てるんだよ!」
スイカは生まれつき視力が悪く、今までは西瓜の被り物越しに物体を見ることでなんとか視力を補っていた。そのせいで村の手伝いが上手くできないことをコンプレックスに思っていた時期があり、スイショウの仕事を手伝い始めてからは少しマシになったとはいえ、未だにそういう思いが残っているのも事実だった。
しかしスイショウは、スイカのことを家族同然に思っているため、スイカが自分を卑下する姿を見るのが好きではなかった。
「スイカのその気持ちは嬉しいんだけどな、あんまり無茶はするなよ。スイカが今までお役に立たなかったことなんてないんだから」
スイカは皆んなのお役に立とうと年齢に合わぬ無理をしがちである。ゲンを襲った犯人を探しに行った時もそうだ。もし聞き耳を立てていることがバレてしまったらと。そう考えるのも恐ろしい。
隠密行動においてスイカの右に出る者がいないとはいえ、スイショウはスイカに危ないことをして欲しくなかった。
「...なんだか、今のスイショウはお兄ちゃんみたいだったんだよ」
スイカは、何を思っているのか少しボーッとした様子でスイショウのことを見ていた。
そしてその言葉を聞いて、スイショウはニヤリと口元を歪めた。
「ついにスイカが認めた!自分が妹だと!いやー、やっぱ身長だよね重要なのは!」
「あっ!?今のは違うんだよ!それにいつか、スイカの方が絶対に大きくなってやるんだよ!!」
「無いな!もしそんな日が来たら全裸で逆立ちしながら村を一周してやるよ〜!」
「その約束、絶対に忘れちゃダメなんだよ...!」
今度はスイカの方がスイショウを追いかけ回しはじめ、その2人の元気な様子を他の畑のメンバーはにこやかに眺めていた。
スイショウは、走りながら家族同然の少女を見る。文明の眼を得て世界が広く綺麗に見えるようになったスイカは、いっそう元気一杯になり、明るくなったように思えた。
〜〜〜
畑仕事を終え、スイショウは科学王国に顔を出しに行った。
「千空にクロム〜、手伝いに来たよ〜」
「おうスイショウ。気持ちはありがてーんだけどな、今ガラスの加工がやべぇ程上手くいってねぇんだよ」
不細工な形をした大量のガラス細工が転がっていた。薬品の調合をするのにガラス製品が必須らしいのだが、上手くいっていないようだ。スイショウも、食器や瓶詰めなどでガラスを利用する気満々だったため落胆した。
「えぇ!?ガラスできないの!?サルファ剤が優先だとしても色々作ってもらいたい物があったのに!」
ガラスの加工を安定して成功させるには、数ヶ月程かかると千空は見立てているらしい。
「んなこと言っても、ガラス職人じゃねぇんだ。腕の立つ職人でもいりゃ別だがな、トライアンドエラーしかねぇだろ」
腕の立つ職人と聞いてクロムとスイショウの頭に同じ人物の顔が浮かんだ。
「腕の立つ職人...カセキの爺さんしかいねぇな!」
「だな!村一番のチート!生涯現役のムキムキ!最強のドワーフ!カセキしかいない!」
「スイショウお前、とんでもねぇあだ名つけてんな。流石に叱られんぞ?」
「流石に本人の前では言わないよ〜?」
スイショウも多少戦闘力はあるが、あのムキムキ爺さんを相手にするのは流石に遠慮したかった。
「カセキは、俺が頼んだ蜂蜜取る用の蜂の巣グルグル機も完成させてくれたしな!」
「遠心分離機か...!ククク、そんな凄腕の職人がいんのか。アホ程おありがてぇじゃねぇか!」
「おう、俺が協力を頼んでくるぜ!」
クロムが説得してくるということで、しばらく村の橋の前で待っていると、小柄な老人がクロムを肩に担いで猛スピードで走って来た。
「うぉぉぉ!やったぜ千空、カセキ連れてきたぜ!!」
「どちらかっつーと、連れて来られたのはテメーの方に見えっけどな」
「ワシはカセキ。お主が千空か!」
「俺のこと知ってんのか?」
村一の腕を持つ職人は、名をカセキと言った。カセキは御年60歳の老人だが、隠居せずに今も現役バリバリに腕を振るっている熟練の職人である。
スイショウは、カセキに農具等の開発やメンテナスをよく依頼しており交流があった。遠心分離機をはじめ、スイショウはカセキによく無茶振りをしていたが、カセキもワクワクしながらそれに応えていた。
「あぁ、スイショウから話は聞いとる。鉄やら電気やら、めっちゃワクワクする物作っとるらしいのう!全く、早うワシも誘わんか!!」
「あ゛ぁ〜?なら自分から来いよ、非効率的だろ」
「自分から行くより誘われて行った方がカッコいいじゃろうが...!」
「メチャクチャなこと言ってんなオッサン」
スイショウは、千空達の科学クラフトにカセキの力は絶対に必要だと思っていた。故に前々から、カセキに対して科学王国が製作した物の詳細を伝えて勧誘していた。
「こ、この透明な石細工は!?」
合理主義の千空は、早速働いてくれる気満々のカセキを連れて拠点に戻った。
スイショウは、まだガラスについては知らせていなかったため、カセキは大層驚いているようだった。
「くぅ、めっちゃワクワクしてきおった...!」
カセキの服が弾け飛んだ。そして老人とは思えぬ程の筋骨隆々な肉体が姿を現す。
カセキは物作りで興奮すると着ている服が弾け飛ぶ癖がある。スイショウが勧誘時に千空の話をした際も、カセキは何枚も服を弾け飛ばしてはダメにしており、今回も綺麗に上の服だけ消し飛んでいた。
「ワシに造らせろ...!!!」
「おおおおお!?」
「マジかー、そのマッスル...」
その後、あれだけ苦労していたガラス細工をカセキは一発で成功させ、見事なガラスの器がこのストーンワールドに誕生したのだった。