石の世界で農業チートしてたら比べ物にならん程のチートがワラワラ湧いてきた件 作:史上最強のラーメン
ドクストミームって面白い。無能クロムミームや千空に要らんもん作らせようとするミーム好き。
科学王国にカセキが加入してから数日後、千空達はサルファ剤作りの入手最難関素材である硫酸を入手した。なんでも、硫酸はガスを吸っただけで死に至ってしまうほどの危険な化学物質らしく、千空達はガスマスクを装着して取りに行ったようだ。そのガスマスクも使用実験などは一切できない本番一発勝負。千空達は死の恐怖に打ち勝って硫酸を持ち帰ることに成功した。
また、意外なことに硫酸の入手において銀狼が大活躍をしたらしい。銀狼は普段はチャランポランなゲスだが、やる時はやる男だったのだ。
「やっぱ金狼強!」
そして、御前試合の前日。スイショウは、科学王国の拠点にて金狼と手合わせをしていた。
村最強のコハクの指導を受けてはいるとはいえ、スイショウはまだ幼子。金狼とは戦闘力に圧倒的な差があった。
「どうしたスイショウ!逃げてばかりでは絶対に勝てんぞ!」
その筈だったのだが、距離をとりながら闘っているとよく隙が出来るのだ。それも金狼の実力からは考えられないほどの大きな隙が。不思議に思い金狼の様子を観察していると、スイショウはある一つの可能性に思い至った。
「金狼、お前まさか視力悪い?」
流石にスイカほど顔面が崩れてはいないが、間合いを広く取るスイショウを追う目がスイカにとても似ているのだ。
「!?それは───」
「あ!分かっちゃった?そうなんだよスイショウ!金狼ってば目が悪いのに言わないんだもんね!」
「黙れ銀狼!...あぁそうだ。だが俺はそんなことを言い訳には───」
「おーーーい千空!!!金狼目が悪いんだって!メガネ作ってあげて!」
「話を聞けスイショウ!」
「なるほどな。金狼も目がボヤボヤ病だったのか。通りで実力の割に隙が多かったわけだ」
メガネを得てパワーアップした金狼を含め、戦力も充実してきている。コハクがマグマに当たればほぼ勝ちは確定であるし、金狼と銀狼は実力で、スイショウは搦手を駆使すればマグマを削ることくらいはできる。
「これで金狼は超絶パワーアップ!村乗っ取り計画が順調すぎて笑っちまいそうだぜ〜!」
「相変わらずゲッスい顔をするなキミは」
加えて科学王国民は、ゲンが襲われたことを教訓に御前試合が終わるまでは、コハクなど個人の武力を有する者を除き単独での行動を控えるようにしている。これで誰かを人質に取られるといった事態も避けることができる。盤外戦術への対策は万全だ。
スイショウは既に、負ける方が難しいと考えていた。
「おーし、ロードマップが大体埋まってきたぜ!」
「実質あと3つだけだな。重曹、アニリン、無水酢酸。どれを作るにも酒がいる。逆に言やあとは酒さえゲットすれば、ついに万能薬サルファ剤の完成だ...!」
硫酸を手に入れたことで、サルファ剤作りへのロードマップを大幅に進めることに成功したらしい。
あとは酒と、酒が痛んで出来る酢が必要だとのことだ。
「ソッコー作んぜ酒!」
「作らんでも大丈夫だよ。酒貰えるように今から頼んでくるわ!」
「やべー!ナイスすぎんだろスイショウ!」
「ククク、おありがてぇ...!流石は村の食を牛耳る社長様だ」
明日の御前試合終了後、村では夜通しで宴を行う予定があるため、大量の酒が必要になる。しかし、スイショウは仕事上、村の酒を管理する人間とコネがあり、頼めば少しは貰えるだろうと踏んでいた。
「金狼!...はそうか、重労働中だった。コハク、護衛で一緒に来てくれない?あとスイカも、酒が貰えるように一緒にお願いしてくれないか?」
「分かった。同行させてもらおう」
「分かったんだよスイショウ!スイカも一生懸命お願いするんだよ!」
当然、単独行動は控えているため護衛を連れていくことを忘れない。スイショウも恐らく、マグマから怒りをかっているからだ。
また、手持ち無沙汰にしているスイカも連れていく。信用していない訳ではないが、スイカは手が空くと、自分がお役に立てていないと勘違いをしてしまい、無茶をすることがあるからだ。
「千空〜!クロム〜!お酒と酢、手に入ったんだよ!!」
そして交渉の結果、スイショウ達は無事に酒と酢を合わせて一
「あと少し...!待っててね、ルリ姉...!」
ようやくこの時が来た。あとは御前試合でマグマの優勝を阻止するだけ。スイショウは明日に向けて、心を奮い立たせるのだった。
〜〜〜
「余所者が参加するだと!?」
「えぇ。14歳以上で未婚なら誰でも出れる。神聖な御前試合の決めごとですので」
「じゃあスイショウはどうなのよ!あの子まだ9歳でしょ!?」
「今からでも参加を取消しますか?」
「いや、スイショウは年齢を理由に参加を認めぬには影響力が大き過ぎる。何故か一部の村人、そして隠居の殆どがスイショウの参加を支持しておるのだ」
「根回ししたんでしょうね」
「あぁ、9歳の子供とは思えん手腕だ。御前試合への参加は認めるしかないだろう。だが問題はあるまい。スイショウはまだ幼い。流石に優勝はできん」
.
.
.
御前試合当日。この日、千空がはじめて村へと降り立った。ここまで約半年。ずっと村の外で活動してきた千空が遂に村へ入ることを認められたのだ。
「村にはじめて降り立つ一歩目だ」
『いらっしゃい千空!!!』
余所者である千空に向けられる視線は厳しいものばかりだったが、そんなことは関係無いと言わんばかりに、千空と関わってきた者達は大きな声で彼を歓迎をした。
そして、何故かルリが、千空の苗字を聞くために声をかけるというハプニングが発生したものの、戦う順番を決めるためのくじ引きが行われた。
くじを引く者はマグマとマントル、スイカとカセキを除いた科学王国の6人だけ。
つまり、今回の御前試合は8人で争うということで、その内の半数以上が身内。もう殆ど勝ちは決まっているような状態だった。
「アルゴは出ないんだよ?」
「アルゴには誠心誠意お願いをして出場を控えてもらった」
アルゴは村でも有数の戦闘力を持っており、今回の御前試合にも参加する予定だった。しかし、強豪揃いのトーナメントで優勝できるとは本人も思っていなかったようで、スイショウが大量の手土産を持ってお願いをすると、思いの外あっさりと参加を辞退してくれた。
「対戦相手の組み合わせが重要になるな」
「あぁ、八百長の利を活かすためにもな」
初戦でマグマとコハクか金狼が当たることが望ましい。マントルは恐らく千空以外は撃破可能な程に弱いため問題にはならない。
「卑怯でケッコー!僕らの目的は勝つことじゃなくて、マグマを潰してルリちゃんを助けることだもんねぇぇ!」
「八百長上等!勝利のために手を尽くせ!!!」
「正々堂々クソくらえ!これは謀略の御前試合だ...!」
はじめにくじを引き終わった銀狼、スイショウ、千空が堂々と八百長宣言をしていると全員がくじを引き終わった。
皆が息を呑む中、結果を確認したジャスパーが口を開いた。
「第1試合!マグマ対コハク!
第2試合!金狼対銀狼!
第3試合!クロム対マントル!
第4試合!千空対スイショウ!」
「勝った...!」
スイショウは勝利を確信した。これで確実にマグマの優勝は無くなったのだ。マグマはコハクと金狼の2連戦、少し同情するレベルである。
そして、スイショウの戦闘力ならばマントルにも勝てるだろう。あとは決勝でコハクに土下座して勝利を譲ってもらうだけだった。
〜〜〜
第1試合が始まるまでの準備時間、スイショウ達は拠点に戻っていた。
「よっしゃぁぁぁ!これでルリが救われる!!!」
「あぁ...!まさかここまで運が味方するとは!」
科学王国は現在、歓喜に溢れていた。まるで操作でもされているかのように、こちら側に都合の良い組み合わせなのだ。これで恐らく、誰も負傷することなく目的を達成できる。
「それにやべーな!スイショウもマジで出場できんのか!」
「なにをどうやったのだ?」
「賄賂!買収!!泣き落とし!!!」
「大声で言うことじゃねぇな」
スイショウは、あらゆる手を使って村で一定以上の発言力を持つ隠居や村人に取り入った。
隠居にはルリへの思いを語った泣き落としで同情を誘い、畑のメンバーには鉄製の農具を。ガーネット達三姉妹には美しいガラスの器を。ガンエンとその家族には食料を。村の人間が見たこともないような物を携えて、スイショウが村長になる利点、更には千空の有用性を存分に伝えた。
「千空にクロム。頼む、俺に勝ちを譲ってほしい」
クロムや千空を優勝させてもいいのだが、それ以上にスイショウには優勝しなければならない理由があった。
「あ゛ー、構わねぇよ。もう勝ち確なんだ!俺はとっとと棄権させてもらうぜぇ!」
「スイショウは村長になりてーのか?」
「ルリ姉とも結婚したいんだよ?」
「いや、優勝してもルリ姉と結婚はしないよ。ルリ姉にはもっと相応しい相手がいるからね」
「おやそうか?確かスイショウ、君は昔、『俺、将来大きくなったらルリお姉ちゃんと結婚する!』などと言って───」
「クラァァァ!!!」
コハクはスイショウが赤子の頃から面倒を見ており、スイショウが過去に犯した様々な恥ずかしいエピソードをしっかりと記憶していた。
スイショウはもう、コハクには一生勝てる日は来ないのだろうと悟ってしまった。
「実際のとこ、スイショウは村長になったらどうするつもりなんだよ?」
「うん。今から詳細話しておくわ」
クロムに尋ねられたスイショウは、以前から温めていた計画を話し始める。恐らく、最初は千空以外理解することはできないだろうが、きっと、特に金狼などは気に入ってくれると考えていた。
「別にそんなに難しい話ではない。ルリ姉の自由恋愛を可能にし、そして次代以降の巫女様のためにも御前試合という伝統を無くす」
確かに、村で一番強い人間と長の娘が結婚するという伝統は、より優秀な子孫を残すための極めて合理的なものだろう。
しかし、これからは違う。千空がやってきたのだ。人間の強さは武力だけでは決まらない、そういった価値観に村も変わっていくべきだ。
コハクのような肉体的な強さ。クロムのような発想力の強さ。スイカのような優しさという強さ。そして、その他の様々な強さも平等に認められる村を作らなければならないのだ。
「だから俺は村長となってすぐに───
───を作る!」
スイショウの宣言に場が静まり返った。そして、
「なんだそれ?」
「あ〜腹いてぇ!スイショウテメー、それマジで言ってやがんのか!唆ること考えんじゃねぇか...!!」
クロムやスイカ達といった村の者は、はじめて聞く言葉に首を傾げており、対して千空は腹を抱えて大爆笑していた。
「千空は知っているようだが、なんなのだそれは?」
「あ゛〜、これから村を治めようっつーんならあるに越したことはねぇモンだ。確かにそれがありゃ、ルリは結婚相手なんざ選び放題になるわな」
「やべー!なんだよそれ最高じゃねぇか!おうスイショウ!俺がマントルをサクッとぶっ倒した後、ソッコー棄権すっから頼むぜ!」
「ありがとう!任された!」
〜〜〜
遂に、御前試合が始まった。初戦は、マグマ対コハクだ。
「マグマ、ルリ姉のためにも勝たせてもらう!」
「クソがぁぁぁ!」
パワーではマグマの方が有利のため、コハクが敗北する可能性もあったが、無事コハクはマグマに勝利した。
続いて、金狼対銀狼。視力の問題を克服した金狼は強く、金狼の圧勝だった。
第3試合。クロムとマントルの戦いは、先程までの2戦と比べて圧倒的に見ごたえのないレベルの低いもので、泥試合の末クロムの金的がマントルを沈めた。
第4試合、千空対スイショウ。千空が開始1秒で棄権することで終わり、村人達は唖然としていた。確かに、村の人間でもないのにわざわざ参加し、その上すぐに降参するなど傍から見れば意味不明だろう。
第5試合、コハク対金狼。この戦いは、今回の御前試合で最もレベルが高く見ごたえがあった。しかし、やはりコハクは圧倒的に強く、金狼も健闘したがコハクの勝利で終わった。
第6試合、クロム対スイショウ。クロムも開始1秒で棄権し、すぐに試合は終わった。沢山のブーイングが聞こえていたが、スイショウは全く気にしなかった。
そして決勝戦、コハク対スイショウ。師弟対決である。
「コハク姉ちゃん、勝ち譲ってちょうだいな!」
スイショウは、土下座をしなくともなんだかんだで甘い性格のコハクならば、あっさりと勝ちを譲ってくれると確信していた。
「断る!」
普通に即答で断られてしまった。
「うっそぉ!?なんでも協力してくれるって言ったじゃん!」
「冗談だ。ただ、2戦連続であのような堂々した八百長を見せられては、キミが長になることを認めない者も出てくるだろう。長を継ぐならば強さを示せスイショウ!」
「コハクが頭を使っているだと...?」
「良い度胸だ。お望み通りめっぽうキツくしごいてやろう」
確かに、コハクの言うことには一理どころか十理はあった。ある程度の力を示さなければ今後の統治に確実に影響が出るだろう。
その後しばらく、圧倒的な暴力がスイショウを襲った。気絶しないギリギリを狙っているのだろう。
スイショウはひたすらにコハクへ向かっていき、隙を晒すと容赦なく打ち込まれボコボコにされた。
「ハッ、強くなったなスイショウ。参った、キミの勝ちだ」
「ハァ...ハァ...とんでもない姉だ!」
『あんなにボコボコにされてるのに、コハクに立ち向かっていけるスイショウスゲー!』と言った声が各所から聞こえており、コハクの思惑通りに事が運んだくれたようだ。
ジャスパーが一度咳払いをして、優勝者の名前を大声で叫んだ。
「新しい村長、巫女様の夫となる者は───優勝者スイショウ...!」
こうして謀略渦巻く御前試合は幕を閉じ、石神村に未だ幼き村長が誕生したのだった。
〜〜〜
「新たな村長はスイショウだ!」
「最年少村長の誕生ーーー!」
新たな村長の誕生に、騒めきが広がる。
「まだ若すぎるが大丈夫なのか?」
「ちゃんと神様の前で優勝したわけだし、いいんじゃない?」
「だが最後の戦い以外まともに戦ってなくてズルくないか?」
「いや、あの若さでコハクとあそこまで戦えるのなら将来有望だろう」
村人達の反応は様々だった。スイショウの若さを気にする者。参加が認められて優勝してるんだからOKだと言う者。八百長で勝利したことを咎める者。
「まさか優勝してしまうとはな、スイショウ...」
「スイショウ。御前試合の優勝、おめでとうございます」
ルリと村長であるコクヨウが人波を掻き分け、スイショウの前にやって来た。
「コクヨウおじぃ、それにルリ姉も!俺まだ年齢一桁の子供だからもうちょっと大きくなってからルリ姉と結婚するわ!」
勿論スイショウの発言は、今すぐにルリと結婚させられないようにするための方便だ。村の平均結婚年齢は14歳から18歳くらいのため、説得力もあるだろう。
「確かにまだ子を残せるような年齢でもないが」
「ん?子供は男と女が口付けしたらできるんでしょ?なら年齢関係なくないか?」
「ん?」
「え?」
「あ、あぁそうだな...」
周りが急にヒソヒソと何かを喋り出した。『そうか、スイショウは一応まだガキだった』と、聞こえてくるのは大体この様な内容だった。
「千空、クロム!こっちはやっとくから行ってこい!」
長に就任したばかりのスイショウがこの場を離れることはあり得ないが、千空達は別だ。スイショウは、千空達にはすぐにでも薬作りに戻って貰いたかったし、千空達も同じ思いだったようだ。
「ククク、早速村長が板についてるじゃねーか。遠慮なく退散させてもらうぜ!とっとと行くぞ科学王国民ども!!」
「ルリ!科学のやべぇ薬で病気治してやっから、あと少しだけ待っててくれ!!」
千空、クロム、コハク、カセキの4人は拠点に戻っていった。そして、クロムの言葉を聞いたルリとコクヨウは、予想外の内容に目を見開いて固まっていた。
「スイショウは行かないんだよ?」
「あぁ。俺は今から村長としての初仕事だ」
スイショウがわざわざクロム達に勝ちを譲って貰った目的、それを果たす瞬間がやって来た。
皆に気づかれないようにしているが、スイショウの手は震えていた。大事を前に、流石のスイショウも緊張をしているのだ。
何故かスイカが千空達に着いていかずに一緒にこの場に残ってくれており、スイショウはとても彼女に感謝していた。
「初仕事?なにをするつもりだ?」
コクヨウの疑問に答えるために、スイショウは村人達全員が見やすい場所に移動した。
視線が集中する中、スイショウはこの場にいる村人全員の顔を一瞥する。
ほんの少しだけ間を置いてから、スイショウは意を決して口を開いた。
「俺の村長としての初仕事。それは───」
「まずはこの石神村に憲法を作る!!!」
・御前試合は、これを廃止とする。
・婚姻は、両性の合意のみに基いて成立する。
・村長は、選挙により決定する。
・選挙は、村長が宣言した日、又は過半数以上の村人の名が記載された署名が提出された日から、5日以内に行う。
・満9歳以上の者は、被選挙権を有する。
・選挙は、得票数が最多の者を当選人とする。
・選挙権は、満6歳以上の村人に1人1票与える。
・村人とは、出生の地が石神村である人間のことを指す。
・この憲法の改正は、憲法改正投票にて村人の3分の2以上の賛成があった場合に限って可能とする。
(以下省略)
「憲法とは村のルールだ!権力の暴走を抑え、村人の皆を幸せにするためのルール!」
「これから私達は皆の力と千空の科学力を合わせ、食生活を!医療を!!教育を!!!全てを豊かにしていく!!!」
「目指すは美味い食べ物や便利な道具に溢れた生活だ!!!」
「唆るなこれは...!」
ちなみに石神村の住民は、この時点ではスイショウと恐らくクロムを除いて文字の読み書きができないため、憲法はスイショウが記した物をコクヨウに渡し、保管してもらっています。なので、御前試合の最後の場面では読み上げています。
識字率が上がった際に、村人達に自力で読んで貰おうとスイショウは考えています。
憲法の内容に関しては、全然不十分です。許してくださいな。
筆者は憲法でなく、労働関連法が専攻なんです...