石の世界で農業チートしてたら比べ物にならん程のチートがワラワラ湧いてきた件   作:史上最強のラーメン

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第7話

 

 

「このストーンワールドに憲法……?ジーマーで??」

 

 

 スイショウは村人達に、千空やクロム達がルリを治すための薬を製作しており、もうすぐ完成することを伝えた。その結果、御前試合の後に行われる筈だった宴は、ルリの病が治ってから開催する運びとなった。

 

 その後、村長として最低限の仕事をこなし、スイショウはようやく科学王国の拠点に戻ることができた。

 千空達やいつの間にか戻ってきていたゲンに、無事憲法を制定できたことを報告すると、ゲンが目を丸くしていた。

 

 

「憲法って言っても、恋愛の自由や村長の決定に関する規定を明文化しただけだし、憲法というより法律の要素の方がデカいけどね。何か絶対的な指針が欲しかったから憲法って名付けただけ」

 

「なーにが絶対的な指針だ、改正に関する規定まで抜け目なく盛り込みやがって。テメーからしたら村人の3分の2以上の賛同を集めるなんざアホ程楽勝な話だろ。100億%改正する気満々じゃねーか」

 

「あぁ、そのうち色々と加えていく予定だし各種法律も整備していくつもりだよ。でも別に独裁したい訳でもないし、ちゃんと個人の自由を侵害しない範囲でやっていく。独裁とか馬鹿馬鹿しいし、絶対的な指導者が死んだら続かないしな!」

 

 

 それに銃も無しに村で独裁なんかしようものなら、村人達に囲まれて袋叩きにされ、村を強制追放されるだろう。そんな気は最初から一切無く、スイショウが行いたいことは、これからの時代に合わせた法整備だ。

 

 

「まずは労働基準法を作る!そしてゆくゆくは、労働組合法や労働関係調整法、労災保険法も作りたい!」

 

「スイショウちゃんって村長じゃなくて社畜だったりする?」

 

 

 まだまだ先の話になるだろうが、スイショウはそれらの法律を整備した暁には、是非金狼に皆の模範となって欲しいと考えていた。一般経営者からしたらモンスター社員と思われるだろうが、スイショウからすれば遵法意識溢れる人材は大歓迎である。

 もし千空が地獄の作業を課してきても、『定時なので退勤する。いや、36(さぶろく)協定の範囲内でなら残業させてもらおう。ルールはルールだ。ちなみに、協定書は最寄りの労基署に届け出たか?』等と言ってゴネて欲しい。最寄りもなにも、労基署なんてこのストーンワールドには存在しないのだが。

 

 

「それで、薬作りの進捗はどう?」

 

 

 その様な話題には一度区切りをつけ、スイショウは本題を尋ねる。

 

 

「あぁ、おかげさまで明日の朝には完成の予定だ」

 

「そうか……!」

 

 

 本当に後少しのようだ。スイショウも多忙のため手伝ってばかりはいられないが、なるべく早く完成させたいと思い、可能な限りの助力をした。

 

 

 そして翌朝、

 

 

「スルファニルアミド。そう、別名───万能薬。サルファ剤の完成だ……!」

 

 

 遂にサルファ剤が完成した。

 

 

「長かった!半年!やべーほど……!!」

 

「これでやっと……やっとルリ姉が……」

 

「あ゛ー、泣くのは早ぇよバカ。実際治ってからにしやがれ」

 

「な、泣いてなどいない!」

 

 サルファ剤を完成させるまでに6ヶ月程の時を要した。ただ薬品を調合するだけではなく、鉄やガラスを一から作る必要があったのだ。とても長い道のりだったが故に、まだルリが治っていないにも関わらず、科学王国は歓喜に沸いていた。

 

 早速、サルファ剤を持ってルリの下へ向かう。事前に話を通しておいたため、ルリは村の広場で待機してくれており、すぐに薬を飲んでくれた。

 

 

「さーて、ようやく診れるな。診断のお時間だ」

 

 

 千空はずっと村の外にいたため、ルリの病を直接診断することができず、聞いた症状から病名を推測し薬を作った。つまり、ルリがサルファ剤が効かない病に罹患している可能性も存在するのだ。

 

 千空はルリの診断を終え、拠点にて元村長の家の近くで拾ったネズミの死骸の検死をしていた。千空の話によると、そのネズミは肺が細菌にやられて死亡していたらしい。恐らくこの細菌はルリの病と同一のもので、結核菌か肺炎レンサ球菌の2種類が考えられるのだとか。

 そして千空は言った。サルファ剤では結核菌は殺すことができないと。科学王国に大きな緊張が走った。

 

 

 夕方、ルリの容態が急変した。これまでも咳き込んで血を吐くことがあったが、一層症状が酷く、起き上がれないほど激しくなったのだ。毒を飲まされたと勘違いしたコクヨウは、急いで駆けつけた千空に掴み掛かっていた。

 しかし、その様な状況で、千空はルリの容態を見ながら嬉しそうに口角を上げ、

 

 

「菌がいきなり本気出してきやがった。周りの無害な菌にまで毒の遺伝子ぶち込んでお仲間増やしまくるっつう技でな、肺炎レンサ球菌様のスペシャル技だ。つまりルリの病名は肺炎。そしてサルファ剤は……肺炎レンサ球菌をブチ殺す!」

 

 

 グッと拳を握り、噛み締める様にして言った。

 

 

「勝ったんだよ!人類の科学はよ……!!!」

 

 

 それでも千空を信用しきれなかったコクヨウは千空を殴り飛ばそうとしたが、千空と共にサルファ剤作りに尽力してきた者達の説得を受け、コクヨウはルリに薬を投与し続けることを了承するのだった。

 

 

 ルリが薬を飲み続けること5日。遂にその日がやって来た。

 

 

 

 

 

.

.

.

 

 

 この日を祝福するかのように雲一つない綺麗な青空の下、村の近くに広がる美しい花畑をルリは歩く。病によりずっと村の中にいるしかなかった彼女は、咲き誇る花々を懐かしそうに見つめていた。

 

 

「もう何年ぶりかも忘れました。村の外に出るのも」

 

 

 その姿を見て、ルリの身を案じていた者は皆涙を流していた。

 

 もう無理だと思った。前世の知識があっても、ルリを治せないのなら何ひとつ意味なんて無いと考えたりもした。でも違った。薬の製作に、今まで築き上げてきたものが大いに役に立ったのだ。何ひとつ無駄じゃなかった。スイショウはルリのお役に立つことができたのだ。

 

 

「あぁ、ルリ姉本当に楽しそうにしてるなぁ……!」

 

 

 花畑を元気いっぱいに走るルリの姿を見て、スイショウは涙を流しながら大きく笑うのだった。

 スイショウはこれからの長い人生において、この幸せな日を一生忘れないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 ルリの病が治ったその翌日。スイショウは早速、宴に向けて行動を始めていた。

 

 

「今から新メニューを作る!」

 

「頑張るんだよー!」

 

 

 宴は本日、日が暮れてから行われる。それまでに村人全員を満足させられる料理を大量に用意しなければならない。

 スイショウはスイカと、暇そうにしていたキラキラ三姉妹を含む数人の村人を助手に、千空から教わった新作メニューを作ることに決めた。

 

 村を挙げての宴ということもあり、食材は大盤振る舞いだ。小麦粉は大量に使っていくし、村人達に猪と野鳥を獲ってきてもらった。宴に相応しい、極上の酒に合う料理を作る。

 用意する材料は小麦粉、猪の肉、野鳥の肉と骨と皮、人参、ネギ、醤油、塩。

 

 

「役割分担をする!2人でネギを細かく刻んでくれ!そしてそれ以外の者は、ガーネットを中心に猪と野鳥の肉を包丁で叩きまくって挽肉にしてくれ!」

 

 

 スイショウは各員が作業に取り掛かったのを確認した後、ラーメンの時と同じ要領で、時間のかかるスープを先に仕込んだ。今回はこのスープがメインではないため、量は少なめだ。

 スープを煮ている間に、メインの作業に取り掛かる。底の深めの土器に、大量の小麦粉と塩を入れていく。塩は、小麦粉の量の1%くらいか。次に水を適量入れる。混ぜながら水を足していき、粘り気を調整していく。良い感じに生地が纏まったら、少し生地を寝かせる。生地は大量に作らなければならないため、生地を寝かせている間に、追加の生地も調合する。

 

 大体このくらいで良いだろうか。寝かせていた生地を取り出し、とにかくコネる。

 

 

「粘土みたいで楽しいんだよ!」

 

 

 この時点でそこそこ疲れる仕事量の筈なのだが、スイカは楽しんでくれているようで、スイショウも気を遣わずに作業を進めることができた。

 

 表面がツルツルになるくらいまでコネたら生地を半分にし、その後それぞれを細長くしていき、作業しやすいくらいの長さに分割する。カセキに作ってもらった鉄の包丁はやはり使いやすい。石器とは切れ味が雲泥の差だ。

 生地を1センチ無いくらいの大きさに切る。スイカも慣れない包丁手つきで手伝ってくれており、スイショウはスイカが指を切らないように注意しながら自分の分を進めた。

 しばらくして、小さな玉状の生地が大量に出来上がった。その全てに打ち粉をすることも忘れない。

 

 

「スイショウちゃんにスイカちゃん、なに作ってるの?」

 

「お、ゲンだ。なにを作ってるかはまだ秘密。もし手が空いてるなら手伝って貰ってもいい?」

 

「んー、そうねぇ。可愛い女の子達もいるし、こっちの作業の方が楽そうだから手伝っちゃおっかな」

 

「ほー、楽ねぇ……」

 

 

 伸ばし棒に打ち粉をし、小さな玉状の生地を薄く伸ばしていく。出来上がった1枚1枚に軽く打ち粉もする。

 

 

「……これ何枚作るの?」

 

「1000枚」

 

「1000!?ジーマーで言っちゃってる!?」

 

「ハハハ!!!ゲン、飯炊きを舐めていたな!めっちゃ大変なんだからな!もっと母ちゃんに感謝しろよ!」

 

「母ちゃん石化しちゃってる!」

 

「マジでごめん!」

 

「大丈夫なんだよゲン!3人で手分けすればすぐに終わるんだよ!」

 

「スイカちゃんの優しさが心に沁みる〜!」

 

 

 完成品を村人1人が平均で20個食べると想定すると、1000個。つまり1人約333枚。スイショウ達はせっせと作り上げていく。

 

 

「やっと終わったんだよ〜!」

 

「残念ながらまだやることは沢山あるよ」

 

「スイショウちゃん、まさかこの料理って……」

 

「うん、ゲンが想像している通りだと思う。俺は食べたことないけど」

 

 

 ガーネット達もしっかりと仕事を終えてくれたようだ。猪と野鳥の挽肉と粗く刻まれたネギが出来ていた。

 ガーネット達に感謝を伝え、タネ作りに取り掛かる。猪と野鳥は6対4くらいの割合で混ぜ、そこにネギと醤油、塩、鶏油を適量投入。また、完成した鶏がらスープをタネがベチャつかないよう、調整しながら入れていく。これでニンニクやニラが無くても、ある程度ガツンとした強い味になってくれる。

 タネをコネる。粘り気が出てくるまでコネ続け、完成した。

 

 今まで色々やってきたが、ここからが本番である。

 タネを少量手で掬い、先程作った薄い生地の中央にのせて包み込む。最後に先端部分をギザギザに折れば完成だ。スイショウは一度実演し、この場にいる全員に手本を見せた。

 これから全員で分担し、1人100個程度作り上げていく。

 

 

「そういえばスイショウちゃん、新しい村長になったんだっけ?村長のお仕事とかしなくていいの?」

 

「大丈夫!全部元村長に任せてきたから!」

 

「大丈夫なのそれ?村人からの信用とか」

 

「これから村を挙げての宴なんだ。美味い飯を作るのが今一番重要な仕事でしょ!」

 

「うんそれは確かにそうなんだけどね!スイショウちゃん絶対この中で一番楽しんでるでしょ!」

 

「スイショウは最近、賄賂や買収で忙しかったせいで、料理ができなくてストレスが溜まってたみたいなんだよ」

 

「賄賂に買収!?相変わらずバイヤーな9歳児ね、スイショウちゃんは」

 

 

 話しながら作業をしていたら、あっという間に完成した。スイショウ以外の者も直に終わるようだ。

 これで後は焼くだけだが、焼きの作業はなるべく宴直前に行いたいので、少しの間清潔な布を被せて保管しておく。

 

 病み上がり故にあまり量は食べられないだろうが、スイショウの脳裏には既に、美味しいと言いながら頭を撫でてくれるルリの姿が思い浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 新しい村長の誕生を祝う宴が始まった。皆で酒を飲み、つまみを食べながら友と語らう。それが村の宴の普通だった。しかし、今回は何故か村人全員の視線が、宴が始まっても尚村の端で料理を続けている者達に注がれていた。

 

 それも仕方ないだろう。宴が開始する少し前から村中に、脳に直接訴えかけてくるような濃厚でコクのある香りが漂っているのだ。加えて、『ジュワッ』という何かが焼ける心地の良い音。これは期待するなという方が無理だった。

 

 

「もう焼けるぞ!」

 

 

 蒸し焼きにした後、火を強めてから猪の脂を入れて今度は揚げ焼きにする。そのまま少し焼いて底がキツネ色に変化し、パリッとしたら皿に移して完成。

 

 

「焼き餃子の完成だ、おあがりよ!」

 

 

 スイショウは、はじめはルリが食べるようにと勧めた。ルリは、村人達の羨ましそうな視線を受けながら餃子を口に運ぶ。口の中が物凄く熱そうだがルリはなんとか咀嚼を続け、次第に、多幸感に満ちた笑みがその表情に浮かんだ。

 

 

「〜っ!?これは……!外はパリッとしていて噛みごたえが良く、中からは沢山の肉汁が溢れてきて、美味しさが波のように何度も押し寄せてきます!」

 

 

 ルリの幸せそうな様子に、スイショウも嬉しさのあまり飛び跳ねそうになったが、一応立場があるためなんとか抑えた。

 そして、丁度よく他の者が焼いていた分も焼き上がったようだ。早速皿に移して村の皆に届けていく。

 

 

「ケンカは絶対にするなよ!まだまだあるから安心して食えー!」

 

 

 取り合いで喧嘩が勃発しそうな程に夢中で食べていたため、スイショウは注意喚起をする。せっかく作ったのに、くだらない事で無駄にされては堪らないからだ。

 

 

「うめーーーい!!」

 

「なんだこれやべーーー!!!いくらでも食えんぞ!」

 

「う〜ん、これもう現代の下手な店を超えちゃってない?ゴイスーね、この餃子」

 

 

 餃子を片手に酒を流し込む宴が本格的に始まった。スイショウは、焼きの作業を畑のメンバーに任せて、村人1人1人に声をかけていった。一応今回の宴は、ルリの回復と新しい村長の就任を祝う名目で行われているため、料理ばかりにかまけていられないのだ。

 

 色々と因縁のあるマグマやマントルも、美味い食事と酒により機嫌が良く、村人1人1人と話す作業は筒がなく終わった。

 

 

「この餃子という食べ物も千空が教えてくれた!これから、この美味いメシをいつでも食べられるような村を作っていく!!皆んなの力を貸してくれ!!!」

 

『うぉぉぉーーー!!!』

 

 

 スイショウが大きな声で村人全員に呼びかけると、村人達から、威勢の良い声が返ってきた。

 やはり不治とされた病を治した実績と食の力は偉大だ。酒の影響が大きいだろうが、今まで僅かに感じられた、スイショウへの不満のような空気が明らかに減っている。

 スイショウは、新たな村長として確かな手応えを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

「おいスイショウ。ルリから百物語の概要を聞いた。テメーの知識の出所を話しやがれ」

 

「流石に単刀直入すぎない?」

 

「いいからとっとと話しやがれ」

 

「俺前世の記憶があるんだよ。虫食い状態だけど」

 

「色々と想定しちゃいたが、まさか前世の記憶なんつうワードが出てくるとはな。原理はサッパリだが……ククク、唆るじゃねぇか……!」

 

「千空ならそう言ってくれると思ってたよ。でも、俺が敵の可能性とかは考えないの?ぶっちゃけめっちゃ怪しい人物じゃん俺」

 

「テメーみてぇなシスコンの敵がいるかよ」

 

「不本意だがそれはそう」

 

「それに、今までのテメーの行動を見て敵だと思うような奴は誰1人としていねーよ」

 

「せ、千空がデレた!?」

 

「あ゛ぁ〜?デレてねぇわ!」

 

 

 スイショウは宴の席で、あっさりと今まで隠してきた前世の記憶バレをしてしまうのだった。

 

 

 

 

 






最近のスイショウは、前世の記憶に関しては別にバレても構わないと考えるようになり、法律知識などフル活用していました。ただ、自分から話すと狂人と思われそうなので、千空から聞かれるのを待っていました。


感想は全て拝見しております。寄せていただいた感想に関してまして。

・石神村には、元々村の掟的なルールがあったんでしょうね。スイショウはそれらのルールから良いところを取ったり、新しく作り変えようとしています。


個人的サルファ剤編チートランキング

千空>カセキ>スイショウ>コハク>スイカ=クロム

やっぱカセキは村一のチートだと思いますわ。なおクロムはここからランキングをぶち上げていきます


ー追記ー
 本作は、大体2〜3日ペースで更新しておりますが、次回は少し更新が遅れるかもしれません。申し訳ない!

ー追追記ー 8/13
 日曜までには次回更新します!

料理シーンはかなり長いですが、今後も描写してもよろしいでしょうか?

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