石の世界で農業チートしてたら比べ物にならん程のチートがワラワラ湧いてきた件 作:史上最強のラーメン
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投降した者達のリーダー格の男は、名をゴーザンと言うらしい。ゴーザンに大人しく投降した理由を聞いてみると、『母ちゃんに顔向け出来ない生き方はしねぇ』と渋い顔で返答された。野蛮人のような見た目をしていて、根は真面目な男達なのかもしれない。それはそれとして、まだ信用はできないため常に監視はつけさせて貰うことにした。
そして、最低限の村の復興作業を終えてから、村人達を集めて千空が話を始めた。
「タイムリミットは数ヶ月!司の総攻撃が来るまでに俺達はこのストーンワールドに携帯を作り、先制攻撃をする!」
もうすぐ冬に入る。石神村も司帝国も冬に向けて食糧などを備えなければならない。故に千空とゲンは、司帝国が総攻撃を仕掛けてくるのは冬が明けてからだと予想を立てた。
千空はそれまでに現代戦最強の武器、情報通信技術を確立すると宣言したのだ。
表示されている携帯作りのロードマップを見る。プラスチックやバッテリー、電球、真空管等。この原始の世界でどうやって作るのかさっぱりな物ばかりだが、きっと千空ならば作り上げてしまうだろう。
「特大科学プロジェクト!まず最初に作るのはわたあめ機だ!」
遂にスタートした携帯製作プロジェクト。スイショウも村人達へ千空に全面的に協力するように指示を出している。司帝国の侵略に対抗するため、そして今までの千空の村への貢献から村人の大半は協力的だ。
はじめに千空は、携帯の部品となる
砂糖は、幸か不幸か、ほむらが村を放火した際に酒が煮詰められて、大量の糖の結晶が採取できたので量には困らなかった。
そして、テストを行い綿飴が完成した。村には甘味が殆どないため、村の皆んなは感動しながら食べていた。
「この糖の結晶があれば作れるっ...!あの夢にまで見た甘味が...!!」
スイショウも勿論綿飴にハマっており、また、糖の結晶の様々な使い道を考えて大興奮していた。
しかし、スイショウも忙しい。スイショウは村長となったのだ。本格的に村を治めていかねばない。
まずは畑の人材を増やす。来年に向けて特に小麦の農地を広げたい。ラーメンに餃子と、もはや村では嗜好品の位置付けにあるこれらを作るには、小麦が欠かせないからだ。
また、鉄の材料になる砂鉄やガラスの材料になるケイ砂の採取にも人手を回した。これらは携帯作りに関係なく、あればあるだけ村にとって益になるからだ。
「千空、村の教育水準を上げていきたいから、携帯作りに支障が出ないレベルで人借りてくね」
「あ゛ぁー、構わねーよ。勝手にしやがれ村長様」
食糧生産は安定している。医療に関してもサルファ剤がある。道具もガラスや鉄のおかげでハイテク化してきている。村の生活は、大分余裕が出始めていた。
故に、スイショウは村の子供達や希望する大人に日本語の読み書きや簡単な算術を教えることにした。今後、千空の手により3700年前の人間が大量に復活し世界は急速に発展していく。石神村の民が発展に取り残されないようにするためには教育が必要なのだ。
千空は勿論、クロムやゲンも携帯作りに忙しいため、スイショウが教壇に立った。
「じゃあ第1回目の授業を始めていきます!まずは平仮名という文字を覚えましょう!」
スイショウも大人数に勉強を教えることは経験が無いので、千空やゲンにアドバイス求めながらカリキュラムを組んでいった。
最初の授業では、平仮名表の音読と自分の名前の書き方を教えた。また、今後は、村で一番絵が上手いナマリという少年に絵本を書いてもらい、それを使って楽しく学習出来るようにする予定である。
「スイカの名前は、『す・い・か』。書けるようになったんだよ!」
「お〜、流石スイカ!覚えが早いな!」
「早くこの平仮名表っていうのも覚えるんだよ〜!」
そして授業をはじめて1週間が過ぎた頃、スイショウは簡単な小テストを実施した。子供達も貴重なマンパワーのため、そこまで学習時間を設けることはできないが、真面目に授業を受けてくれている。良い点を取ってくれると期待していたのだが...
「皆んなスイショウが怖くて勉強に集中できないって言ってるんだよ」
「なんでや」
小テストの結果は芳しくなかった。スイカ共に原因を考えようとしたが、開口一番にスイカに言われてしまった。
子供達曰く、スイショウは常に謎の圧を放っているらしい。しかも、村長になってから圧が一層増しているんだそうだ。
「え〜、スイカも俺のこと怖い?」
「全然なんだよ。スイカはスイショウの恥ずかしい思い出も沢山知ってるから怖くないんだよ!」
「お願いだからそれは忘れて!」
スイショウの謎の圧は、村で食糧生産の中核を任せられるようになってから、大人達に舐められぬようにと自然と放たれるようになったものだ。しかし、スイショウには自分が圧を放っている自覚が無かった。
加えて、スイショウはスイカ以外の同年代とあまり交流がなかった。今よりもっと幼い頃は一緒に遊んだりしていたのだが、前世の記憶に目覚めてからは畑仕事一辺倒。スイショウの人柄をあまり知らない子供達は、村一の強面であるマグマとも張り合えるような人間の圧を受けて怖がらない訳がなかった。
「お、俺はパワハラ上司だったのか...」
「よしよし、なんだよ」
スイショウは自分が最も忌み嫌う存在に知らない内になってしまっていた事にショックを受け、膝をついて沈んでいた。
「聞いたぜ〜スイショウ先生。あれだけ労働基準法を遵守しろとか喧しかったっつうのに、自分がパワハラしちまったんだって?」
スイカと別れ、1人で打開策を考えていると千空がやって来た。面白そうに口元を歪めている。
「そういう千空はどうなんだよ。全然休憩も取らないし、残業もしまくりって聞いてるぞ。ちゃんと労基法を守りなさい」
「ククク、俺は高度プロフェッショナル制度の適用者なんでな。残念なことに休憩時間や時間外労働の規定は適用されねーんだ。てか俺の労働時間はどうやって把握してんだ?」
「労働基準監督官の金狼に監視させてる」
「金狼になにさせてんだテメーは。だが労働時間...高プロ制度なら健康管理時間だな。健康管理時間の把握は客観的な方法、タイムカードやPCの使用記録で行わなきゃなんねぇ。金狼が見て把握するだけじゃ不十分なんじゃねーか?」
「ぐぬぬ...そもそもこのストーンワールドにはタイムカードやらPCなんていう便利なものは無い」
「なら労働基準監督官なんつう役職も存在しねぇから金狼の監視にゃ1ミリの価値もねーよなぁ!」
「千空お前法律もいけるのかよ!本当にチートだな!!!」
スイショウは千空に完膚なきまでに論破されてしまった。
「まぁいい。実際子供達を懐柔するなんて簡単な話だ」
「オメーも子供だけどな」
「甘い物で釣る!唆るなこれは...!」
スイショウは、以前から考えていたあのメニューを作ろうと思い至るのだった。
〜〜〜
「おうスイショウ、ご依頼の重曹をお持ちしてやったぞ」
「ありがとう千空。そしてごめん、わたあめブーム速攻で終わらせちゃうわ」
「いや別に競ってねーから何の問題もねぇわ」
用意するものは、小麦粉、卵、砂糖、重曹、豆乳、蜂蜜、山葡萄。今回は事前準備が最も重要となる。
砂糖は、例の糖の結晶を事前に乾燥させておく。乾燥が完了したら粉々にして完成。
次に豆乳。これは、大豆を水に浸しておく。1日経ったら石臼で挽き、布で絞って豆乳とおからに分けて完成。
最後に、重曹は千空に用意して貰う。サルファ剤作りの際に作っていたため、事前に頼んでおけばOKだ。
そして、まずは今回最も手間がかかるトッピングから作る。
「スイカー、手伝って〜」
「またなにか作るんだよ?」
「私も手が空いてるから手伝うぞ!」
スイカとコハクに手伝ってもらい、採取してきた大量の山葡萄の実を1粒ずつ房から外していく。外し終えたら、念入りに洗って水気を取り除く。
次に、山葡萄を鍋型の土器に入れて、木べらで実を潰しながら弱火で10分ほど加熱する。
加熱を終えたら、底の深い土器に目の粗い布を敷き鍋の中身を移す。布で葡萄の果肉を包み、木べらが折れないようにしながら全力で押しつぶす。そうすると、布を通して土器の底に果肉の混じった果汁が溜まるため、これを利用していく。
鍋に果汁を戻し、砂糖と蜂蜜を入れる。割合は、果汁、砂糖、蜂蜜を6対2対2くらいだ。焦げやすいのでこまめに混ぜて、アクが出たら取り除く。トロミが出るまで煮たら完成。
「これはなんという芳醇な香りだ...!」
「あま〜い匂いなんだよ〜!」
「2人とも味見する?」
『する!』
つまみ食いは作り手の特権である。作業で疲れた身体に糖分がしみるしみる。黙々と3人でつまみ食いを続け、つまみ食いの範疇を大幅に超えてからふと我に帰った。
「ダ、ダメだこれ以上は!皆んなで食べる分が無くなる!」
「すまない!手が止まらん!」
「つまみ食いの提案をしたスイショウが悪いんだよ...!」
「気持ちは痛いほど分かる!ほんとごめん!」
これは危険な物を作り出してしまったかもしれない。甘味ジャンキーを大量に輩出してしまう予感しかしなかった。
なんとか欲求を抑え、最後にメインのものを作っていく。先程までの作業に比べれば圧倒的に簡単だ。
小麦、卵、砂糖、豆乳、重曹を底の深い土器で混ぜて生地を作る。ここで重要なのが、サラサラになるまで混ぜず、少しドロっと感を残すことだ。
生地ができたら、フライパンに油を引く。フライパンが温まったら、弱火にしてからお玉を使い、生地を円状になるように投入。3分ほど焼いたら、ヘラでひっくり返す。
ひっくり返す時は、少し高い位置からフライパンに叩きつけるようにする。こうすることで、生地に厚みが出てふっくらとするのだ。中火にして再び3分焼く。皿に移し、蜂蜜をかけたら完成だ。
「葡萄ジャムとパンケーキの完成!おあがりよ!」
目の前のそれは、嗅覚や味覚、果ては視覚までも満足させる逸品だった。確実にこのストーンワールドでNo. 1の甘味。最近は生産が安定してきているとはいえ、まだ貴重な砂糖や蜂蜜を大量に使用した罪深きデザートだ。
「なんだこれは...!噛み締めるたびに脳がとろけるようで、これはめっぽう...!めっぽう───」
「幸せなんだよ〜!!!」
コハクとスイカの幸せそうな表情を見て、丁度やって来た科学王国の面々も興味津々にしている。特に、新しい物に目がないクロムと甘い物好きのルリはその反応が顕著だった。
「やべーほど美味そうだ!俺にも食わせてくれよスイショウ!」
「勿論!だけどクロムはこれ食べてね。ルリ姉と一緒に!」
スイショウは、事前にある形のセルクルををカセキに作ってもらっていた。
「んだこりゃ?」
「こ、これは...」
ハート型のパンケーキである。それもクロムとルリが2人で食べる用のカップル専用メニュー。
クロムはよく分かってなさそうな反応だったが、ルリは顔を真っ赤にし、恥ずかしそうにしていた。
「ス、スイショウ...あなたは本当に...もぅ」
「ごめんルリ姉。これがやりたくて俺は村長になったんだ。悪いとは思ってる。でも反省はしてない」
モジモジするルリは、とても可愛らしかった。スイショウは、ルリがこんな風に自由に恋をする姿を見たくて村長になったのだ。
「よく分かんねーけどよ、冷めねーうちに食っちまおうぜルリ!」
クロムは素早い動きでハートの真ん中からナイフで切った。
「は?」
「パンケーキ半分にしといたぜ!」
せっかく作ったハートが、すぐに割れてしまった。
その縁起の悪い光景に場が凍りつく。唯一クロムだけが早く食べたそうにワクワクしていた。
「クロムを連れていけ!島流しにしろ!」
「なんでだよ!パンケーキ半分に切っただけだろ!」
「もうちょいムードを意識しろカス!もうちょいドキドキしながらゆっくりと切れよカス!」
ルリのために親切で切り分けてあげたのだと考えられるが、スイショウは久しぶりにブチギレてしまった。
スイショウはコハクと共にクロムを柱に縛りつけて、ルリと一緒にハート型のパンケーキを食べるのだった。
「察しの悪ぃアホのクロムは置いといて、とっとと食っちまおうぜ」
「う〜ん、これは流石にクロムちゃんの擁護はできないね〜」
「これはうめぇな...!糖分が疲れた脳にアホほどしみるぜ!」
「ほっほ〜!これは大変な物を作っちゃったのう!これを食べるためならワシ、どんな大変な作業でも頑張れるわい!」
「ルリ姉、あーんして」
「相変わらず甘えん坊さんですね、スイショウは」
「クソッ、縄を解きやがれスイショウ!」
「しばらくそこで俺とルリ姉のラブラブ具合を眺めてろクロム」
後日スイショウは、村の子供達にパンケーキをご馳走し、上手く仲良くなることに成功するのだった。
料理シーンはかなり長いですが、今後も描写してもよろしいでしょうか?
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