ハピネスチャージプリキュア!夕映えのアーベント   作:Leona

4 / 7
第4話『転校生はお姫様!! ひめの友達ゲット大作戦!!/友達を探す姫と、ひとりを選ぶ少年』

 ブルースカイ王国大使館の広間は、朝から服と小物で埋め尽くされていた。ソファには帽子や髪飾りが積み上げられ、椅子の背には何着もの上着が掛けられている。その中心で、白雪ひめは大きな鏡の前を落ち着きなく行き来していた。

 

「この髪型だと、お高くとまってるって思われるかな。でも地味すぎたら、お姫様だって気づいてもらえないし……」

 

 ひめは制服の襟を直したかと思うと、今度は大きなリボンを頭へ載せた。

 

「やっぱり最初が大事だよ! 王女らしい威厳を見せれば、みんなの方から話しかけてくれるじゃん!」

 

「威厳のある方へ気軽に話しかけられる人は、あまり多くないと思いますわ」

 

 床へ落ちた髪飾りを拾いながら、リボンが呆れたように答える。

 

「もう! それじゃ、どうすればいいの?」

 

「普通に制服を着て、普通に自己紹介なさればよろしいのです」

 

「普通が一番難しいんだから!」

 

 今日は、ひめがぴかりが丘学園へ転入する日だった。ハピネスチャージプリキュアとしてめぐみと行動する以上、同じ学校へ通う方が連絡を取りやすい。ブルーからはそう説明されていたが、ひめにとって何より大きな問題は、学校で友達を作れるかどうかだった。

 

 昨日、めぐみという初めての友達ができた。だからこそ、次はめぐみに頼り切るのではなく、自分から誰かへ近づいてみたい。そう思っているのに、知らない人ばかりの教室を想像すると、胸の奥が苦しくなる。

 

「友達百人ゲット大作戦、その一!」

 

 ひめは白い布を頭から被り、目だけを出した。

 

「忍者になって、みんなの会話をこっそり調べる!」

 

「転校初日から不審者ですわ」

 

「じゃあ、その二!」

 

 大きなサングラスを掛け、わざとらしく髪をかき上げる。

 

「謎の外国人として注目を集める!」

 

「ブルースカイ王国から来た本物のお姫様というだけで、十分に注目されますの」

 

「それなら、その三!」

 

 次の衣装へ手を伸ばしたところで、広間の扉が開いた。入ってきたブルーは、散らかった室内を見回したあと、困ったように笑った。

 

「ひめ。そろそろ出発しないと、初日から遅刻するよ」

 

「えっ、もうそんな時間!?」

 

 ひめは時計を見て飛び上がる。制服の上着を掴んで自室へ駆け込もうとしたが、途中で足を止めた。

 

「ブルー、友達を作る方法を教えて!」

 

「相手の話を聞いて、ひめのことも少しずつ話せばいいんじゃないかな」

 

「もっと簡単で、すぐに百人くらい作れる方法!」

 

「友達は人数を競うものではないよ」

 

 ブルーは穏やかに言った。

 

「一度に百人へ好かれようとしなくてもいい。まずは目の前にいる一人へ、ひめの方から手を伸ばしてみるといいよ」

 

「それが難しいから聞いてるんだけど!」

 

「難しいからこそ、相手にとっても大切な一歩になるんだ」

 

 ひめは納得できない顔のまま、自室へ駆け込んだ。話しかけて嫌な顔をされたらどうしよう。笑われたら。避けられたら。不安は消えなかったが、もう学校へ行かないという選択もしたくなかった。

 

 ★★★

 

 同じ朝、赤石悠は自室の窓辺で左肩の傷を確かめていた。

 

 チョイアークから受けた傷は、表面だけならほとんど塞がっている。人間の皮膚を模した組織も再生しており、制服を着れば異変には気づかれない。

 

 しかし、身体の内側までは戻っていなかった。腕を上げるたびに、胸のレッドストーンへ鈍い振動が伝わってくる。前日の戦場で吸収した残留エネルギーによって飢えは和らいでいるが、人間形態の修復で普段より多くの力を消耗していた。

 

 悠は机の上に置かれた手帳を開く。

 

『危険な時は一人で抱えず、助けを求めること』

 

 昨日、相楽誠司には傷を見られた。それでも、自分から助けを求めたわけではない。問い詰められた末に、もし自分がめぐみたちへ危害を加いそうになったら止めてほしいと頼んだだけだ。

 

 まりあが望んでいたものとは、少し違う。

 

 悠は制服の上着へ腕を通した。左肩へ痛みが走り、わずかに顔をしかめる。

 

「この程度なら、問題ない」

 

 誰もいない部屋で口にする。問題があると認めれば、誰かへ話さなければならなくなる。心配され、事情を聞かれる。悠は鞄を手に取り、手帳を閉じた。

 

 二つ目の約束を守る方法は、今も分からなかった。

 

 ★★★

 

 ぴかりが丘学園の教室では、朝のホームルームが始まる前から転校生の話題で盛り上がっていた。

 

「ブルースカイ王国から来るんだって」

 

「本物のお姫様らしいよ」

 

「同じクラスに王女様って、すごくない?」

 

 めぐみは落ち着かない様子で、何度も教室の扉へ目を向けていた。

 

「めぐみちゃん。さっきから廊下ばかり見てるね」

 

 大森ゆうこが、めぐみの机へ小さな弁当箱を置いた。

 

「ひめが途中で怖くなって、大使館に帰ってないかなって」

 

「知らない場所へ入るのは緊張するものね」

 

 ゆうこは弁当箱の蓋を少し開け、中を見せる。形の違うおにぎりが、隙間なく並んでいた。

 

「お昼に一緒に食べられるように、多めに持ってきたの」

 

「さすがゆうゆう!」

 

「お腹が空いてると、話したいこともうまく出てこないからね」

 

 めぐみが嬉しそうに笑う一方、誠司は窓際へ視線を向けていた。悠は普段どおり教科書を開いているが、左腕をほとんど動かしていない。鞄を机へ掛けるときも、右手だけを使っていた。

 

「赤石」

 

 呼ばれた悠が顔を上げる。

 

「何?」

 

「肩、大丈夫なのか?」

 

 めぐみもすぐに悠の席へやってきた。

 

「まだ痛いの、赤石くん?」

 

「もう治っているよ」

 

「本当に?」

 

「うん」

 

 返事が早かった。めぐみと誠司が同時に悠を見つめる。

 

「何?」

 

「赤石くん、嘘をつくときって返事が早くなるよね」

 

「やっぱりそうなのか」

 

 誠司まで納得したように頷く。悠は二人から目をそらし、教科書へ視線を戻した。

 

「授業が始まるよ」

 

「まだ先生、来てないよ」

 

「先に読んでおきたい」

 

「赤石、お前は本当に嘘が下手だな」

 

 悠が黙り込んだところへ、ゆうこが小さな包みを差し出した。

 

「赤石君、朝ごはん食べた?」

 

「一応」

 

「一応、なんだね」

 

 包みの中には、小さな塩むすびが入っていた。

 

「今すぐじゃなくていいよ。気分が悪くなったら食べてみて」

 

 人間の食事は、悠の傷を直接修復しない。それでも人格や記憶を安定させ、レッドストーンの乱れを抑える助けにはなる。

 

「ありがとう、大森さん」

 

「食べたあとの包みは、机に入れたままにしないでね」

 

「分かった」

 

「それから、つらくなったら保健室へ行ってね」

 

「大丈夫だよ」

 

 ゆうこは悠の顔をしばらく見つめた。

 

「今のも早かったね」

 

 めぐみが吹き出し、誠司も口元を緩める。

 

「赤石くん、隠し事に向いてないね」

 

「愛乃さんには言われたくないよ」

 

「それはそうだな」

 

「二人ともひどいよ!」

 

 めぐみが頬を膨らませたところで、教室の扉が開いた。担任教師の後ろに、ひめが立っている。

 

 生徒たちの視線が一斉に集まった。ひめの顔が硬くなる。

 

 大使館では何通りもの挨拶を練習してきた。親しみやすく、上品で、お姫様らしく、しかも自然な自己紹介。しかし教室中に見つめられた瞬間、用意した言葉がすべて頭から消えた。

 

「今日からこのクラスへ転入する、白雪ひめさんです」

 

 教師に促され、ひめは教壇の横へ進む。

 

 めぐみが大きく手を振っている。ゆうこも優しく頷いていた。誠司は騒がず、自然にこちらを見ている。

 

 悠とも目が合った。

 

 悠は小さく頭を下げた。

 

 知っている顔がある。それだけで、ひめは少しだけ息をしやすくなった。

 

「し、白雪ひめです!」

 

 声が思った以上に大きく響く。

 

「ブルースカイ王国から来ました! 本物のお姫様です! 可愛いものが好きで、ファッションには自信があります! それから、友達は百人作る予定です!」

 

 言い切ったあと、教室が静まり返った。

 

「百人……」

 

 誰かが呟く。次の瞬間、小さな笑い声があちこちから上がった。

 

 笑われた。

 

 ひめの顔から血の気が引く。

 

 ところが、前の席にいた女子生徒が手を挙げた。

 

「白雪さん、本当にお姫様なの?」

 

「え?」

 

「ブルースカイ王国の服って、どんな感じ?」

 

 別の生徒も身を乗り出す。

 

「その髪飾り、可愛いね」

 

「百人は大変そうだけど、まずは私たちと話そうよ」

 

 馬鹿にされたのではなかった。目標の大きさに驚かれただけだった。

 

「う、うん!」

 

 ひめは何度も頷いた。

 

 指定された席は、めぐみの隣だった。ひめが座ると、めぐみが小声で話しかける。

 

「ちゃんと言えたね、ひめ」

 

「途中から自分でも何を言ってるか分からなかったけど」

 

「みんな興味を持ってくれてたよ」

 

「ほんとに?」

 

「ほんとだよ!」

 

 少し離れた席から、悠が声をかけた。

 

「友達百人は大変そうだね、白雪さん」

 

「できるもん」

 

「名前を覚えるだけでも時間がかかりそうだ」

 

「最初に心配するところがそこなの!?」

 

 悠は真面目に考えているだけだった。ひめは呆れたあと、少しだけ笑った。

 

 ★★★

 

 一時間目が終わると、ひめの周りには何人もの生徒が集まった。

 

「ブルースカイ王国って、どんなところ?」

 

「お城に住んでたの?」

 

「好きな服は?」

 

 ひめは嬉しそうに答え始めた。

 

「お城はすっごく広いんだよ! 私の部屋も、この教室よりずっと広くて」

 

「お城の料理って豪華なの?」

 

「もちろん! 毎日すごい料理が並んでて、それから王宮の服は全部特別に作られててね!」

 

 友達を作らなければという焦りから、相手の質問が終わる前に次の話題へ進んでしまう。

 

「ブルースカイ王国には綺麗な湖もあって」

 

「あの、白雪さん」

 

「それでね、湖の近くには」

 

 話しかけた生徒は、次の授業の準備をしようとしていた。しかし、ひめは気づかない。

 

 予鈴が鳴り、生徒たちはそれぞれの席へ戻っていった。急に一人になったひめは、机の上に置かれた教科書を見つめる。

 

「もっと話したかったのに」

 

「次の授業が始まるからだよ」

 

 めぐみが教科書を開きながら答えた。

 

「嫌われたわけじゃないよ」

 

「分かってるけど……」

 

 ひめは机へ頬杖をついた。

 

 友達を百人作るなら、もっと積極的にならなければならない。待っているだけでは駄目だ。

 

 次の休み時間、ひめは別の生徒へ話しかけた。

 

「好きな色は?」

 

「黄色かな」

 

「じゃあ今度、一緒に服を買いに行こう!」

 

「今度って、いつ?」

 

「いつでもいいよ! それより、私と友達になりたい?」

 

 あまりにも直接的な質問に、相手は困ったように目を瞬かせた。

 

「えっと、急に言われても……」

 

「どうして? 嫌なの?」

 

「そうじゃなくて、まだあまり話してないし」

 

 ひめの顔が曇る。

 

 別の相手へ声をかけても、似たような反応が返ってきた。昼休みになる頃には、朝の勢いはすっかり失われていた。

 

 ★★★

 

 屋上では、めぐみ、ひめ、ゆうこ、誠司、悠の五人が昼食を広げていた。ゆうこが持ってきた弁当箱には、梅、鮭、昆布、鶏そぼろのおにぎりが並んでいる。

 

 ひめはおにぎりを見つめたまま、手を伸ばそうとしなかった。

 

「どうしたの、ひめ?」

 

 めぐみが尋ねる。

 

「友達百人ゲット大作戦、失敗した」

 

「まだ一日目だよ」

 

「みんな、私と友達になりたくないみたい」

 

「そんなことないと思うな」

 

 ゆうこは鶏そぼろのおにぎりを取り、ひめへ差し出した。

 

「みんな、ひめちゃんのことをまだよく知らないだけじゃないかな」

 

「だから、私からいっぱい話したのに」

 

「ひめ。自分の話ばかりしてなかったか?」

 

 誠司が率直に尋ねる。

 

 ひめは言葉に詰まった。

 

「少しは相手の話も聞いたよ」

 

「好きな色を聞いたあと、すぐ買い物に誘ってたよね」

 

 めぐみに言われ、ひめは視線をそらす。

 

「だって、早く友達にならないと」

 

「友達って、頼めばすぐになれるものなのかな」

 

 悠が塩むすびを手にしたまま呟いた。

 

 ひめは少し苛立った顔を向ける。

 

「赤石くんには分からないでしょ。友達を作ろうともしてないんだから」

 

 悠の手が止まった。

 

「そうだね」

 

 反論されなかったため、ひめはかえって気まずくなる。

 

 誠司が悠を見る。

 

「お前、今日も放っておいたら一人で食べるつもりだっただろ」

 

「一人の方が落ち着くから」

 

「本当にそれだけ?」

 

 めぐみが悠の顔を覗き込む。

 

 悠は塩むすびへ視線を落とした。人間形態の傷はまだ治り切っていない。誰かと一緒にいる時間が長いほど、瞳や腕の異変を見られる可能性も高くなる。自分の近くにいることで、めぐみたちを巻き込むかもしれない。

 

「僕と一緒にいても、楽しくないと思う」

 

「それを決めるのは赤石くんじゃないよ」

 

 めぐみがすぐに返す。

 

「あたしは、赤石くんと一緒に食べるの嫌じゃないもん」

 

「私も」

 

 ひめが続けた。

 

「話がずれてるし、真面目な顔で変なことも言うけど、嫌ではないよ」

 

「褒められている気がしない」

 

「赤石くん、前に私へ言ったじゃん。めぐみがみんなに親切なことと、私を友達に選ぶことは別だって」

 

 ひめは悠を真っすぐ見た。

 

「それと同じ。赤石くんが一人でいたいと思うことと、私たちが一緒に食べたいと思うことは別なんじゃない?」

 

 悠は答えられなかった。

 

 ひめも屋上にいる全員を見回す。友達を百人作ろうと焦っていた。けれど、目の前には自分と一緒に昼食を食べようとする人たちがいる。

 

 めぐみだけではない。ゆうこはおにぎりを用意し、誠司は失敗した理由を言葉にし、悠も不器用ながら話を聞いている。

 

「友達って、いつから友達になるの?」

 

 ひめが尋ねた。

 

 ゆうこは少し考え、おにぎりの並んだ弁当箱へ目を落とした。

 

「一緒にごはんを食べたら……って言いたいけど、それだけじゃないよね」

 

「ゆうゆうでも迷うんだ」

 

「うん。いつからって聞かれると、難しいな」

 

 誠司がペットボトルの蓋を開けながら言う。

 

「困ったときに助け合ったり、また会おうって思ったりしたら、もう友達なんじゃないか」

 

 悠はしばらく考えた。

 

「僕には分からない」

 

「赤石くんらしい答えだね」

 

 ひめはゆうこから鶏そぼろのおにぎりを受け取る。

 

「でも、分からないままでもいいのかも」

 

 一口食べると、甘辛い味が広がった。

 

「おいしい!」

 

 ゆうこの声が少し弾む。

 

「よかった。温かいうちが一番おいしいから、もう一つ食べる?」

 

「食べる!」

 

「落ち込んでたんじゃなかったのか?」

 

 誠司が呆れ、ひめはおにぎりを持ったまま胸を張った。

 

「落ち込んでても、お腹は空くの!」

 

 悠も大森ゆうこから渡された塩むすびを口へ運ぶ。傷の痛みで乱れていた意識が、わずかに落ち着いた。

 

「どう、赤石君?」

 

「おいしいよ、大森さん」

 

「そっか」

 

 ゆうこはそれ以上、体調について問い詰めなかった。ただ、悠が二口目を食べるまで、さりげなく隣へ座っていた。

 

 ★★★

 

 放課後、ひめは一人で教室へ残っていた。めぐみは担任に呼ばれ、ゆうこは大森ごはんの手伝い、誠司は空手の稽古へ向かっている。悠もすでに帰ったと思っていた。

 

 教室の扉が開く。

 

 朝、髪飾りについて尋ねてきた女子生徒が立っていた。

 

「あの、白雪さん」

 

「何?」

 

 ひめは反射的に身構える。

 

「さっきは、ちゃんと話せなくてごめんね」

 

「さっき?」

 

「休み時間に、買い物へ行こうって誘ってくれたでしょ。急だったから、びっくりしちゃって」

 

 女子生徒は、小さな紙を差し出した。

 

「今度、みんなで駅前のお店へ行くんだけど、白雪さんも来ない?」

 

 紙には店の名前と、待ち合わせ時間が書かれていた。

 

「私でいいの?」

 

「白雪さん、服が好きなんでしょ? いろいろ教えてほしいな」

 

 すぐに抱きつきたいほど嬉しかった。だが、勢いのまま相手を困らせたくない。ひめは一度息を吸い、笑顔で頷いた。

 

「うん。行きたい」

 

「じゃあ、また詳しく話そうね」

 

 女子生徒が教室を出ていく。

 

 ひめは手の中の紙を見つめた。友達になれたのかは、まだ分からない。それでも、次に話す約束ができた。

 

「よかったね」

 

 背後から声がして、ひめは驚いて振り返った。

 

 窓際の一番後ろの席に、悠が座っていた。机へ突っ伏していたため、いることに気づかなかった。

 

「赤石くん、まだいたの?」

 

「少し休んでいた」

 

 身体を起こした悠の顔色は、朝より悪かった。左肩を動かした瞬間、わずかに眉を寄せる。

 

 ひめは悠へ近づいた。

 

「傷、治ってないんでしょ」

 

「治っているよ」

 

「また返事が早い」

 

 悠は黙った。

 

「保健室に行こう」

 

「必要ない」

 

「必要かどうかは、見てもらってから決めればいいじゃん」

 

「普通の怪我じゃない」

 

 言葉が漏れた。

 

 悠はすぐに目を伏せる。

 

「普通じゃないって、どういう意味?」

 

「言えない」

 

「私たちに関係があること?」

 

「あるかもしれない」

 

 ひめの表情が強張る。

 

「だったら、ちゃんと話してよ」

 

「話せば、白雪さんたちを巻き込む」

 

「もう巻き込まれてるかもしれないじゃん!」

 

 悠は答えなかった。

 

 ひめは昨日の誠司の言葉を思い出す。知らなければ助けられないこともある。けれど、ここで無理に聞けば、悠はまた一人で離れようとするかもしれない。

 

「全部は聞かない」

 

 ひめは椅子を引き、悠の隣へ座った。

 

「でも、今つらいかどうかだけ答えて」

 

 悠は目をそらした。いつものように「大丈夫」と言えば、この会話を終わらせられる。

 

 しかし、昼休みにひめから言われた言葉が残っていた。

 

 自分が一人でいたいことと、誰かが自分と一緒にいたいことは別。

 

「少し」

 

 悠は静かに答えた。

 

 ひめは笑ったり、大げさに褒めたりしなかった。

 

「じゃあ、少し休んでから一緒に帰ろう」

 

「僕を置いて帰っていいよ」

 

「嫌だよ」

 

「どうして?」

 

「私が一緒に帰りたいの」

 

 短い言葉だった。

 

 悠が反論する前に、校庭から悲鳴が上がった。胸のレッドストーンが強く脈打ち、悠は反射的に窓へ目を向ける。

 

「何か来る」

 

「分かるの?」

 

 悠は答えず立ち上がった。

 

 窓の外では、灰色の霧が校庭を覆い始めていた。

 

 ★★★

 

 校庭の中央に巨大な鏡が立ち、その上ではナマケルダが気だるそうに杖を担いでいた。

 

「学校で友達を作るために、気を遣い、話を合わせ、興味のないことまで笑って聞く。実に面倒ですなあ」

 

 杖の先には、先ほどひめを買い物へ誘った女子生徒がいた。勇気を出して声をかけたものの、本当は迷惑だったのではないかという不安が、胸の奥に残っていた。

 

「誰かへ近づこうとすれば、嫌われる可能性も生まれます。最初から一人でいれば、傷つくこともありませんぞ」

 

 女子生徒の背後へ鏡が現れ、身体を内部へ閉じ込める。

 

「鏡に映る未来を最悪に変えよ! 来たれ! サイアーク!」

 

 黒い霧の中から、巨大なサイアークが現れた。身体には無数の名札が貼られ、両腕は握手を求める大きな手の形をしている。

 

 サイアークが腕を振ると、黒い名札が校庭中へ舞った。

 

『友達ではない』

 

『信用できない』

 

『一人でいい』

 

 名札を貼られた生徒たちは互いに距離を取り、疑うような目を向け始める。

 

 校舎から飛び出したひめは、鏡の中にいる少女を見つけた。

 

「さっきの子……!」

 

 プリチェンミラーを取り出そうとしたひめの腕を、悠が掴む。

 

「ここでは見られる」

 

「でも、早く助けないと!」

 

「校舎の裏へ回って。僕は避難を手伝う」

 

「肩が痛いんでしょ」

 

「戦うわけじゃない」

 

「無理しないで」

 

 ひめは悠の目を見る。

 

「一人で全部やろうとしないでよ」

 

 悠は一瞬だけ迷った。

 

「分かった。相楽君と大森さんを呼ぶ」

 

 これまでなら、何も言わず一人で残ったはずだった。今は少なくとも、別の誰かへ役割を頼もうとしている。

 

 ひめは頷き、校舎の裏へ走った。

 

 ★★★

 

 人目のない場所へ着くと、ひめのキュアラインが鳴った。画面には息を切らしためぐみが映る。

 

『ひめ、サイアークが出たの!?』

 

「校庭だよ! 私、先に行く!」

 

『すぐ行くから、無茶しないで!』

 

「分かってる!」

 

 通話を切ったひめはカードを装着した。

 

「プリキュア・くるりんミラーチェンジ!」

 

 青い光が身体を包む。

 

「天空に舞う蒼き風! キュアプリンセス!」

 

 プリンセスは校舎を飛び越え、サイアークの前へ着地した。

 

「その子を返して!」

 

「転校初日から大変ですなあ」

 

 ナマケルダが肩をすくめる。

 

「友達を百人作るそうですが、一人目から鏡の中へ入ってしまいましたぞ」

 

「この子は、まだ友達になったって決まったわけじゃない」

 

 プリンセスは鏡の中の少女を見た。

 

「でも、私と話そうとしてくれた。次に会う約束をしてくれた。だから助ける!」

 

 サイアークが巨大な両手を打ち合わせ、無数の名札を飛ばす。プリンセスは上空へ舞い上がったが、名札は途中で方向を変えて追いかけてきた。

 

「もう、しつこい!」

 

 青い風を巻き起こし、名札をまとめて吹き飛ばす。

 

「プリンセス・弾丸マシンガン!」

 

 青い光弾がサイアークへ降り注ぐ。

 

 サイアークは両手を重ねて攻撃を受け止め、そのまま片腕を長く伸ばした。プリンセスは掴まれる直前に飛び退く。

 

 一人で正面から戦い続ければ、また追い詰められる。だが、今は一人で勝とうとする必要はない。

 

 ラブリーが来るまで、敵の注意を引き、鏡の少女を守る。それが今の自分にできることだった。

 

「こっちだよ!」

 

 プリンセスはわざとサイアークの近くへ飛び込み、巨大な腕を引きつけた。攻撃が振り下ろされる瞬間、青い風をまとって横へ抜ける。サイアークの拳が地面へ激突し、巨体が前へ傾いた。

 

「無理に勝とうとはしませんか」

 

 ナマケルダが不満そうに言う。

 

「一人では勝てないからね!」

 

 プリンセスは素直に認めた。

 

「でも、一人じゃなくてもいいんだから!」

 

 桃色の光が校庭へ飛び込む。

 

「世界に広がるビッグな愛! キュアラブリー!」

 

 ラブリーがサイアークの腕へ蹴りを入れ、プリンセスの隣へ着地した。

 

「待たせてごめん!」

 

「遅いよ!」

 

「先生の話が長かったんだよ!」

 

 二人は背中を合わせる。

 

「プリンセス、一人で大丈夫だった?」

 

「大丈夫じゃなかったけど、逃げなかった!」

 

「それなら大丈夫だよ!」

 

「どっちなの!?」

 

 少し離れた場所では、誠司とゆうこが生徒たちを避難させていた。

 

「慌てるな! こっちから出られるぞ!」

 

 誠司が安全な通路を示す。

 

 ゆうこは黒い名札を貼られ、動けなくなっている生徒の前へしゃがんだ。

 

「今は誰も信じられなくてもいいよ。ここにいたら危ないから、一緒に出口まで行こう」

 

 無理に信じろとは言わない。ただ、今必要な行動だけを伝える。

 

 悠は校舎の入口へ倒れた看板を持ち上げ、避難路を作ろうとしていた。左肩へ痛みが走り、腕から力が抜ける。

 

「赤石、代われ!」

 

 誠司が駆け寄ってくる。

 

「まだ保つよ」

 

「一人でやるなって言われたんだろ」

 

 悠はひめの言葉を思い出した。

 

「じゃあ、右側をお願い、相楽君」

 

「最初からそう言え」

 

 二人で看板を持ち上げ、通路を広げた。

 

 悠は初めて、できないことを隠さず相手へ任せた。

 

 ★★★

 

 サイアークが両腕を大きく広げると、黒い名札が空を覆った。

 

『本当は嫌われている』

 

『友達はいつか離れる』

 

『一人の方が安全』

 

 名札がラブリーとプリンセスへ貼りつき、黒い文字が心へ入り込む。

 

 プリンセスの目の前に、教室で一人になっている自分の幻が現れた。生徒たちは楽しそうに話しているが、誰も自分へ近づいてこない。めぐみもゆうこも、別の友達と笑っている。

 

「友達を作ろうとしても、嫌われるだけですぞ」

 

 ナマケルダの声が響く。

 

「相手の気持ちは分かりません。最初から一人を選べば、傷つかずに済みますなあ」

 

 一人なら傷つかない。期待しなければ、裏切られない。

 

 ひめがこれまで何度も、自分へ言い聞かせてきたことだった。

 

 だが、今朝の教室を思い出す。話を聞こうと集まってくれた生徒たち。おにぎりを用意してくれたゆうこ。失敗した理由を指摘しながらも、一緒に昼食を食べた誠司と悠。

 

 そして、次に会う約束をしてくれた少女。

 

「分からないから、話すんだよ!」

 

 プリンセスは胸の名札を掴んだ。

 

「嫌われるかもしれない。話が合わないかもしれない。でも、最初から一人でいいって決めたら、何も始まらないじゃん!」

 

 名札を引き剥がす。

 

 隣では、ラブリーも黒い文字を振り払っていた。

 

「友達は、人数を増やすために作るんじゃないよ!」

 

「分かってる!」

 

 プリンセスはラブリーへ向き直った。

 

「私、今日ずっと焦ってた。誰でもいいから友達になってほしいって思ってた!」

 

「うん」

 

「でも、本当はちゃんと相手を知りたい。私のことも、少しずつ知ってほしいの!」

 

 青い光がプリンセスの周囲へ広がる。

 

「その子とは、まだ友達じゃないかもしれない。でも、これから友達になれるかもしれないんだ!」

 

 ラブリーが正面からサイアークの両腕を受け止める。

 

「プリンセス、お願い!」

 

「任せて!」

 

 プリンセスは青い風へ乗り、サイアークの頭上へ舞い上がった。両手を盾にしているサイアークの背後へ回り、急降下する。

 

 蹴りが背中へ命中し、両腕が大きく開いた。

 

「今だよ、プリンセス!」

 

 プリンセスはラブプリブレスへ光を集める。

 

「勇気の光を聖なる力へ!」

 

 青く輝くハートが形作られた。

 

「プリキュア・ブルーハッピーシュート!」

 

 青い光がサイアークを包み込む。

 

「プリンセス!」

 

 サイアークの身体が無数の光へ変わり、空へ昇っていく。黒い名札も一枚ずつ消滅し、鏡へ閉じ込められていた少女が解放された。

 

 空へ夕方の色が戻り、荒らされていた校庭も元の姿へ戻っていった。

 

 ナマケルダは面倒そうに帽子を押さえる。

 

「一人でいる気楽さも、悪くはありませんぞ」

 

「一人でいたい時があってもいいよ!」

 

 プリンセスは言い返した。

 

「でも、怖いからって最初から全部諦めるのは嫌!」

 

「ますます面倒になりましたなあ」

 

 ナマケルダは黒い霧に包まれ、その場から姿を消した。

 

 ★★★

 

 戦いのあと、変身を解いたひめは、鏡から救い出された少女の前へ立っていた。

 

「白雪さん?」

 

 少女はサイアークにされた間の記憶が曖昧らしく、少しぼんやりしている。

 

「大丈夫?」

 

「うん。ちょっと頭が重いけど」

 

 ひめは、制服のポケットへ入れていた紙を取り出した。

 

「さっきの買い物の話なんだけど」

 

「迷惑だった?」

 

 少女が不安そうに尋ねる。

 

 ひめはすぐに首を振った。

 

「行きたい!」

 

 勢いよく答えたあと、少しだけ声を落ち着かせる。

 

「まだ、あなたのことをあまり知らないけど。だから一緒に出かけて、ちゃんと話したい」

 

 少女の表情が明るくなった。

 

「私も、白雪さんと話してみたい」

 

「ひめでいいよ」

 

「じゃあ、ひめちゃん」

 

 名前を呼ばれ、ひめは嬉しそうに笑った。

 

「私も、あなたのこと名前で呼んでいい?」

 

「もちろん」

 

 二人は次の約束について話しながら、校舎へ向かって歩き始めた。

 

 少し離れた場所で、めぐみ、ゆうこ、誠司が見守っている。

 

「ひめ、友達できたね!」

 

「まだ、これからじゃないかな」

 

 ゆうこが穏やかに言う。

 

「でも、また会う約束はできたね」

 

 誠司が周囲を見回した。

 

「赤石は?」

 

 校舎の裏では、悠が壁へ寄りかかっていた。浄化後に残された黒い残留エネルギーが、手のひらへ集まっている。

 

 肩の修復と避難活動で消耗したレッドストーンへ、人工的な負の力を吸収させる。冷えていた身体へ少しずつ感覚が戻った。

 

「やっぱり、ここにいた」

 

 ひめの声がして、悠は手を閉じた。残っていた黒い粒子が消える。

 

「友達と話していたんじゃなかったの?」

 

「話してきたよ」

 

 ひめは悠の隣へ立つ。

 

「赤石くん、さっき誠司に助けを頼んだんだって?」

 

「頼んだというほどではないよ」

 

「右側をお願いって言ったそうだぞ」

 

 誠司も後ろから現れた。

 

「それは立派に頼んでるよ!」

 

 めぐみが笑う。

 

 悠は少し居心地悪そうに目をそらした。

 

「必要だったから」

 

「必要だって言えたなら、それでいいじゃん」

 

 ひめは大げさに褒めず、当然のことのように答える。

 

 悠は左肩へ手を触れた。

 

「白雪さんは、友達百人できた?」

 

「今日は一人で十分」

 

「百人から随分減ったね」

 

「一日で百人は無理だって分かったの!」

 

「名前を覚えるだけでも大変だと言ったよ」

 

「赤石くんの言った通りになったのが悔しい!」

 

 ひめが頬を膨らませる。めぐみが笑い、誠司も口元を緩めた。

 

 ゆうこが悠の顔を見てから、ゆっくり尋ねる。

 

「赤石君、肩はどう?」

 

「少し楽になったよ」

 

「そっか」

 

 ゆうこはそれ以上追及しなかった。

 

「これから大森ごはんで、ひめちゃんの転校祝いをするの。赤石君も来る?」

 

「僕は……」

 

 いつものように断ろうとして、悠は言葉を止めた。

 

 ひめは一人を怖がりながらも、目の前の相手へ手を伸ばした。自分も今日、誠司へ助けを求めた。

 

 すぐにすべてを変えることはできない。それでも、以前と同じ答えだけを繰り返す必要はない。

 

「少しだけなら」

 

「本当?」

 

 めぐみの顔が明るくなる。

 

「肩が痛くなったら帰るよ」

 

 ゆうこは小さく頷いた。

 

「その時は、ちゃんと言ってね」

 

「分かった、大森さん」

 

 今度の返事は早すぎなかった。

 

 ★★★

 

 夕方の大森ごはんには、炊きたての米と揚げ物の香りが広がっていた。店の奥のテーブルには、大きなおにぎり、唐揚げ、卵焼き、野菜の煮物が並んでいる。王宮料理のような豪華さはないが、どれも温かかった。

 

「ひめ、転校おめでとう!」

 

 めぐみがジュースの入ったグラスを上げる。

 

「ありがとう!」

 

 ひめも笑顔でグラスを合わせた。誠司とゆうこも続き、悠は少し遅れて自分のグラスを持ち上げる。

 

「学校はどうだった?」

 

 ゆうこが尋ねる。

 

「最初は大変だったけど、友達が一人できたよ」

 

「一人だけ?」

 

 めぐみが冗談めかして言う。

 

「一人で十分なの! そのうち増えるかもしれないし」

 

「百人は?」

 

「いつか!」

 

 ひめはおにぎりを手に取った。

 

「でも、誰でもいいから百人欲しいわけじゃないよ。話して、また会おうって思って、それから友達になれたらいいなって」

 

 めぐみが頷く。

 

「あたしたちもそうだよね」

 

「めぐみは最初から距離が近すぎたけど」

 

「もう! それは忘れようよ!」

 

 笑い声が広がる中、悠は静かにおにぎりを食べていた。一人でいる方が安全だという考えが、なくなったわけではない。自分の正体を知られれば、この食卓から追い出される可能性もある。

 

 それでも今は、誰かと食べることを選んでいた。

 

 ひめが悠の皿を見る。

 

「赤石くん、唐揚げ食べないの?」

 

「あとで食べるよ」

 

「冷めちゃうじゃん」

 

 ひめは箸を伸ばしかけ、ゆうこに手を止められた。

 

「ひめちゃん、取り箸」

 

「あ、分かってるって!」

 

 ひめは取り箸で唐揚げを一つ掴み、悠の皿へ置く。

 

「友達になったかは分からないけど、一緒に食べる相手なんだから遠慮しないで」

 

 悠は皿の上の唐揚げを見る。

 

「白雪さんは、誰にでも食べ物を渡すようになったの?」

 

「めぐみの真似じゃないよ!」

 

「まだ何も言っていない」

 

「顔に書いてある!」

 

 悠の表情はほとんど変わっていない。それでも、ひめには何となく分かるような気がした。

 

 悠は唐揚げを口へ運ぶ。温かく、少し濃い味がした。

 

「おいしい?」

 

 ひめが尋ねる。

 

「うん」

 

「よかったね、ひめちゃん。揚げたてを選んだかいがあったね」

 

 ゆうこが真顔で言う。

 

 ひめは唐揚げを揚げたのが自分ではないことに気づき、少し遅れて抗議した。

 

「それ、私の手柄じゃないよ!」

 

 窓の外では、夕日が町を茜色へ染めていた。

 

 友達を探していた姫は、一度に百人へ手を伸ばすのではなく、目の前の一人と次に会う約束をした。一人を選んできた少年も、ほんの短い時間だけ、誰かと同じ食卓を囲むことを選んだ。

 

 その二つの選択は、まだ小さい。

 

 けれど、小さな選択が積み重なれば、いつか帰る場所の形になる。二人はまだ、そのことを知らなかった。

 

 次回予告

 

 めぐみ:

「学校や町の困りごとを、みんなでお助けするよ!」

 

 ひめ:

「ハピネスチャージプリキュアの知名度も上がって、一石二鳥じゃん!」

 

 誠司:

「目立ったら正体を隠せないだろ」

 

 ゆうこ:

「お手伝いの前に、まず腹ごしらえした方がいいんじゃないかな」

 

 悠:

「僕まで参加することになっているの?」

 

 めぐみ:

「困ってる人を放っておけないでしょ?」

 

 悠:

「今、一番困っているのは僕の肩だよ」

 

 めぐみ:

「次回、第5話『めぐみとひめ! 仲良しおたすけ大作戦!! /助ける手と、借りられない手』」

 

 ひめ:

「それなら最初に休みなよ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。