リンと同じ年にアカデミーを卒業できて本当に良かった。死に物狂いで勉強した甲斐があった。おまけにリンと同じチームになれるなんて最高だ。
飛び級した
しかし最悪なことも同時に起きた。あのカカシと同じチームになってしまったのだ。何で今さら。あいつはもうとっくに中忍なのに。
リンはあいつのことが、好きだったのに。
カカシと同じチームだと分かって、リンは嬉しそうだった。昔みたいに頬を染めて笑った。
だがカカシは、俺たちのことなんか眼中にないようだった。何で今さら、こいつらと組まされる。そう思っているのがありありと伝わってきた。リンは気まずそうだったし、俺はそんなカカシの態度に腸が煮えくり返った。
「足手まといなんだよ! 特にお前、オビト!」
「はぁ!? お前ちょっと先に中忍になったからって偉そうに! 指図してんじゃねぇ!!」
「まぁまぁ、オビト」
リンに宥められて思わず口を噤むけど、カカシの見下したような態度に腹の虫は収まらない。担当上忍のミナト先生はまだ二十歳にもなっていないらしいけど、他国にも知られた凄腕の忍だ。物腰はすごく穏やかなのに、どことなくオーラがあった。めちゃくちゃカッコイイ。
「カカシ。確かに君は中忍だけど、ここでは俺の指揮下でチームワークをしっかり学び直してもらうよ。君たちは上下関係じゃない。れっきとした仲間だ。それから、オビト」
ざまあみろとばかりほくそ笑んだ俺を、ミナト先生が鋭い視線で射抜く。
「君はしっかり周りを見て行動するように。忍者が余所見していて溝に落ちるなんて、足手まといと言われても否定できないでしょ?」
「う、う……」
俺は素直にはいと言えずにきつく唇を噛んだ。大げさにため息をつくカカシと、困ったように笑うリン。リンは大歓迎だけど、カカシとチームワークを磨くなんてまっぴらごめんだ。
カカシと同じチームになったことは、俺に気持ちの面で負荷をかけるだけではなかった。カカシはたった半年でアカデミーを卒業し、中忍になったのも段違いに早い。幼少期から神童と呼ばれて、チームワークは論外としても、能力からすれば圧倒的に世間から評価されていた。俺がカカシと同じチームに配属されたことで、うちはからの風当たりが一段と強くなった。
所詮、俺はうちはと
俺はどうせ、何者にもなれない。
こんな俺が、連中を見返す方法は一つしかない。
「俺の写輪眼が開眼すれば、お前なんかいつか追い抜いてやるからな!」
写輪眼さえ開眼すれば、連中だって俺をうちはと認めざるを得なくなる。神童と呼ばれたカカシだって、絶対に追い抜いてやる。
そして俺の力を、みんなに認めさせてやるんだ。
「うちはって代々エリートなんだろ。だったら、そんなもんなくたって優秀なはずなんだけどな」
「うるせぇ! 俺は大器晩成型なんだよ! 見てろよ、絶対に見返してやるからな!」
「大器晩成なんて、後から分かることだろ。自己宣言なんて負け惜しみと一緒だ」
「なんだと!」
「もう、二人ともやめなよ」
その日も任務を終えて火影邸を出る頃、カカシと言い合いになった。リンが俺たちの間に割って入ると、カカシは顔をしかめながらもそのまま口を噤む。そのとき、ちょうど外に出てきた
ゲンマはさっさと中忍になり、今は臨時のチームで戦地の後方支援に回ることも増えたらしい。でも時々こうして、チョウザ班の隊長として指揮を執ることもあるそうだ。
まともな中忍になると、まともな任務に就くんだな。誰かさんと違って。
ミナト先生は
やはり戦争が始まってから、
俺は不意に、ばあちゃんの言葉を思い出していた。
『さて……
「
だが
俺のほうが、家族のことなら分かってやれるかもしれないと思ったけど、思い上がりだったな。
何とか家の用事を盾に振り切ってリンと帰り道を歩きながら、俺はげんなりと肩を落とした。
「ガイといると、ほんとに疲れる……」
「まぁ、パワフルすぎるよね。でも、バランスの取れた三人だよね。ガイはパワフルで、ゲンマはスマートで、
リンはしみじみそう言って、少し遠い目をした。
「……私たちもなれるといいな。
「な、なれるよ! あ……カカシさえ、おとなしくしてくれれば……」
「ふふっ……でも私たちが弱いのは、事実だから。私たちも、もっと強くならないとね」
リンはそう言って笑ったけど、俺は納得がいかなかった。チームなんだから、強い弱いなんて関係ない。足手まといと言って切り捨てようとするあの態度が気に食わない。絶対にカカシなんかより強くなって、あいつを見返してやる。リンだって絶対に、渡すもんか。
でも俺に告白する勇気は、なかった。