黄昏街。
その黄昏第一商店街。
の人形屋。
「ボスからの命令なんだ」
「恨みはないが、消えてもらう」
人形屋で言うセリフじゃ無いってのは置いておき、そんな声が聞こえる。
ここ、黄昏街では結構日常茶飯時ではあることなのだが、人形屋から聞こえてくるのは初めてだ。
「ヤダなぁ、お客さん。何で君らのボスが私に消えろって命じてんの?権力過信?」
だが後から聞こえてきたのはもっと衝撃的だった。
恐喝されているのにあえて煽りに行くのは、命知らずのやることである。
だが言うほど煽ってはいない。これでキレるのはよほどの短気か何かだ。
「テメェ!」
どうやら短気だったらしい。
その後に続く、棒を振るうような音。
衝撃音が聞こえないことから、どうやら外したらしい。
「よっと……とと。はは、悪いけど店の外でやってもらうよ?コソコソやるのは惨めだからさ」
大きな跳躍をして出てきた人物は、この商店街を利用する人なら意外と知っている人だった。
黄色いショートヘア、エプロン、そして何より特徴的な、ボタンの目。
その手には、細剣が握られている。
彼女の名前は待針ボタン。この町一の人形師である。
「この野郎……」
後から出てきた人物達は、それぞれ鉄の棒や鉄パイプ、メリケンサックや有刺鉄線バットを持っている。
「やろうか、雑魚ども」
戦闘開始の合図だった。
鉄棒の横振りを、身を屈めて躱す。
躱しつつ横を通り抜け、メリケンサック持ちの頬を細剣で叩く。
ここで鉄棒持ちが振り向き、上段から打ち込む。
それに合わせ、有刺鉄線バット持ちが横振りを放つ。
「よっ」
そこでボタンは毛糸玉を投げた。
投げられた毛糸玉が近くの街灯に絡まると同時に糸を引っ張る。
一瞬でボタンは横滑りし、攻撃範囲から抜け出す。
自重が軽いからこそできる、彼女だけの回避技だ。
「オラァ!」
「うわっ!」
ボスンッという音がして、ボタンが吹き飛ぶ。鉄パイプの一撃が当たったのである。
だが、ボタンは無傷だ。
さらに追撃しようと、鉄棒持ちと有刺鉄線バット持ちが突っ込んでくる。
「やれやれ、脳筋だなぁ」
呆れたようにしながら、ボタンは鉄棒の連撃を躱す。
「【四突】」
ここでボタンは反撃に出た。
四肢に細剣を打ち込んだのだ。相手は突進していたので、自分の速度を突きの速度を上乗せしたことになる。
ボタンの細剣はミシン針と同じような構造をしている特注品だ。
「ブッ!?」
鉄棒持ちは、突然有刺鉄線バット持ちをぶん殴った。
何度も何度も、執拗に。
「めんどい2人は後回し。まずは君達だよ。腰抜けさん?」
「舐めんなゴラァ!」
そう叫んだメリケンサック持ちの腕に、糸が絡みつく。
先端に釣り用のオモリを結んだ、釣り用の糸である。
グイッと糸を引っ張りながら、ボタンは距離を詰めた。
だが相手もバカではない。接近するボタンに合わせながら、拳を撃ち込む。
しかし、ボタンは殴られても吹き飛ぶだけで無傷。しかも常に自らを引き寄せている。
またもや引き寄せられてながらボタンは細剣を構え、メリケンサック持ちの目を貫いた。
腕より細剣のほうが長いのだ。
「そーら、まだまだ!」
オモリを糸の両端に着けたものを、逃げる鉄パイプ持ちに投げつける。
見事足に絡まり、転倒した。
「逃げたらボスに怒られるよ?」
そう言いながら、ボタンは首に細剣を突き込んだ。
細剣を引き抜き、ボタンはもう動かない有刺鉄線バット持ちを未だに殴る鉄棒持ちに歩いていく。
「助け……」
「無理」
ドスッという音がして、バタリという音がした。
そして、黄昏街はまた静けさを取り戻していく。
ボタンは細剣に付いた赤を振り払うと、店の奥に消えた。
名称 待針ボタン
人形屋を営んでいる。
彼女が作る人形は精巧だが壊れにくい特徴があり、小さい子でも安心して遊べる。
ミシン針みたいな細剣を所持しているが、何故ミシン針型なのかは不明。
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適当だよ。思いつきだからね。(開き直り)