今回……文章が変かも……
レツの後を追ったトウヤだったが、トミクニに行く時と同じく視界が白く染まる状態に陥っていた。あの時と違うのは急激な睡魔にも襲われて意識が薄れゆく事……寝る訳には、と強く言い聞かせるが……抵抗空しく眠りに落ちていった。
「…………!?」
次に意識を取り戻した時、トウヤは何故か木の上で寝ていた。太い枝だったが、状況を理解出来なかったせいかバランスを崩して背中から落ちていく。このままだと体勢的に危険だとすぐに判断して体を動かす。狙うは足からの着地、所謂ヒーロー着地ーーだが、結果は俯せで地面に激突だった。
「いったああぁ!(いってえぇ!)」
顔やら腹やらがとても痛い。痛いと叫んでしまうのが性だ。しかし、トウヤは自分の声に違和感を覚えた。
「……ワタシってこんな声だったっけ?(俺、こんな声だったか?)」
トウヤは聞き覚えのある声に首を傾げながら体を起こす。手をついた事で見えたのは……着けた覚えのない金のブレスレット。益々違和感を覚えながら立ち上がり、服についた土を『もにゅっ』はらう。……胸をはらった際にトウヤには無い柔らかい物に触れた。
「…………あー」
そして理解したとばかりに空を仰ぐーー木漏れ日が綺麗だった。
「ワタシだ……(これ、ラウラだ)」
……どういう訳かトウヤはラウラになっていた。おまけに憑依系あるあるな口調が本人のものになるタイプのようだ。
「ワタシってこんな服も持ってたんだね……*1」
見るからに身軽で砂漠出身ならではの服装だがトウヤはラウラがフシャー出身としか知らず、しかもその地が砂漠とは思うまい。故に何処か新鮮な気持ちと本人の意思を無視して盗み見てしまった罪悪感を同時に味わう羽目になった。こういうのは『似合う?』と見せてもらうからこそ良いものなのだ。
「何でこんな事に……ワタシから見せたかった……(ラウラから見せてほしかった……)」
がくりと項垂れると背中に重みを感じてトウヤは何故あの時に足からの着地が出来なかったのか、その原因に気づく。
「商売人にとって商品は大切……」
猫は高い所から落ちても体勢を整えて着地出来る。が、背中にリュックサックを背負っていたら重量で背中から落ちる事になる……しかしそこは商売人、商品を守らねばならない……その結果がアレだ。補足しておくとラウラなら慣れてる事もありトウヤのしたかったヒーロー着地的な事をやり遂げていた……体と中身が異なるせいで起きてしまった悲しい事件だ。
「…………」
状況を理解しようとトウヤは何故木の上に居たのか思い出そうとする。しかし思い出せるのはトウヤとしての事だけでラウラの事は全く思い出せなかった。
「(嘘だろ……普通、こういう時は思い出せるものだろ……これからどうすればいいんだよ……)」
途方に暮れていたトウヤだったが木々が葉擦れの音を立てるのを聞き、咄嗟に腰のベルトに付いているホルダーから短剣を引き抜く。風が吹いた訳でもないのに葉擦れの音がしたという事は誰かが草木を掻き分けて此方に向かってきているという事だからだ。
「ふう……相変わらずミューリナは速いなぁ……ぼくも足に自信はあったのに」
やがて現れたのは紫のボブカットに長ズボン、フード付きのパーカーを着て胸元までチャックを下げたヒトの少女。顔立ちはレツやオウガみたいな可愛らしいタイプなので性別が分からない、になりそうだが……経験から来るものーーではなく間違えようのない女の象徴……即ちデカパイが決め手だ。少女はユメ未満リン以上のデカパイ所有者だった。
「……大きい(……でけえ)」
「依頼する際に会った時もラウラはそう言ってたね……やっぱり気になる?」
両腕を組み、胸を強調しながら言う少女。トウヤはラウラもやっぱり言ったのかと分かりみが深いと内心で頷いた。
「……それで、誰だっけ」
「……へ?」
トウヤは内心で言ってしまったと思ったが、知らないものは知らないのだから仕方ないだろと開き直った。
「……実はさっき、木の上から落ちた際に頭をうった。だから少し記憶があやふや……」
「なるほどねぇ……じゃあ、説明し直した方がいいね」
とはいえ、誰だっけで済ます事はせずにありえそうな理由をでっち上げて伝える。少女は納得とばかりに頷くとトウヤが知りたい事を説明しだす。
「ぼくはオウカユウ。オウカでもユウでも好きに呼んでね~」
「……じゃあオユ」
「…………それはちょっと」
「冗談。オウカって呼ぶ」
流れるようなコントじみたやり取りを経て場を和ませ?た後……
「それでぼくがラウラに依頼したい事はフロゥリアにある遺跡の最深部までの護衛。理由はとある機関から国の核とも呼べる龍核晶の機能が低下してる可能性が高いから一度調査して欲しいんだって。場合によっては専門家を派遣してメンテナンスしないといけないらしいよー」
「(……これってまさかラウラ串刺し事件の前の出来事か? ……知りたいとは言ったけど追体験するとは思わないだろ……戻ったらレツをボコすか)」
不思議な現象で、ラウラが死ぬ切っ掛けになった原因を知る機会に恵まれたトウヤは内心でこのオウカユウという少女が裏切るのかと警戒し、もしかしたら阻止出来るのではと考えた。
「(……追体験ではあるが、自分の意思で体を動かせるからな……仮に未来へ影響するとしてもやれるならやってやる……)」
「分かった……でも、オウカは遺跡がある場所分かるの? ワタシは出身地から違うから地理には疎いけど?」
「それは大丈夫だよ。機関からルートとか諸々を聞いてるからラウラは商人としてサポートしてくれればいいよ」
「……それは護衛と言えるのかな」
「細かいことは気にしなーい」
トウヤは護衛と言われたのに雇い主が自ら先導する気満々な件に対して護衛とは……とジト目を向けたが、オウカはからからと笑っていた。
「……遺跡に?」
「そうだよぉ。これ、調査依頼書~」
「(集落に住む前はフロゥリアに居たと言ってたから居てもおかしくないが……今にもぽっくり逝きそうな爺猫だな)」
オウカに連れられて来たのはツリーハウスが密集する区域。その中でも一際目立つ場所に向かうとそこには見覚えのある勾玉を首から提げた高齢の爺だった。遺跡に入る前に責任者へ一言言って許可を得ないと駄目なのだろう。爺猫はオウカが取り出した書類を黙読すると隅の方に血印を押した。
「確かに……ここ最近、フロゥリアに吹く風が安定していないと思っていた所だ。渡りに船とはこの事……遺跡への立ち入りを我がロアの名を以て許可しよう」
爺猫にしてはなかなかの名前をしているとトウヤは内心で舌を巻く。そして同時に……もしかしてこいつはフロゥリアの王なのかと何処か納得とばかりに頷く。
「(……ん? って事はレツが次期王って事になるのか……いやでも国を離れて集落に住んでたから……長になるのか?……紛らわしいな)」
トウヤはレツが次期里長と言ってた事を思い返し、ロアに任命されたなら王になるのか、国でないなら違うのか?と考えてみたが……紛らわしい事この上ないと気にしない事にした。
「許可が降りたからこれで問題なく行けるね……ってどうしたの?」
「……いや、何か頼りきりだなって……普通はワタシから言ったりするものじゃないのかな」
「気にしない気にしない。元はといえばぼくが機関から頼まれて来てラウラは巻き込まれてる側なんだからさ~」
「……本当にワタシ、必要?」
トウヤはサポートを、と頼まれているが……この行動力を見るに不要ではと考えての言葉だったが、オウカはラウラのサポートがあってこそ意味があると返した。
「(……遺跡が危険だとして商人を必要とする理由……分からん。それか……さっき言ってたミューリナってのが関係してるのか?)」
トウヤは妙な胸騒ぎを覚えながら先導するオウカについていった。
今回のは……エターニアの某試練を参考にしました。エッグベア操作(中身リッド)でリッドとキールと戦う際、確かあれ頑張れば勝てるけど結果は変わらなかった筈。つまり……そういう事。初期デスティニーはリオン戦に勝ったらイベント後にゲームオーバーだったなぁ……