茜色の錬金術士   作:緑雨

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あらすじ

 旅人の雑木林を抜けて、白霧ヶ森に入ったよ!


森林の村

 

「うわぁ…! 今まで見てきたより、ずっと大きな森だぁ…!」

「さっきも言ったけど、よく地図を確認しないと迷っちゃいそうね」

「ウチもこまめに確認しとくわ。レヴィさんも、一応気にしとってや」

「あぁ、わかってる」

 

 ふんふふ〜ん、採取するぞ〜! …あ、みなさん、はじめまして。わたし、フィリスです。わたしが見てる世界、感じてる世界、みなさんにお届けするね♪ …誰に言ってるんだろ、わたし。自分でもわかんないや。

 

 

 

「フィリス、素材集めに夢中になっとるようやけど、来た道わかるか?」

「あはは、子供じゃないんだから大丈夫だよ」

 

 白霧ヶ森に入ってすぐのところにたき火があったから、雑木林で集めたものをしまってきたよ♪ リア姉(ねぇ)とレヴィさんがご飯を作ったり、携行食の用意をしてくれてるから、アカネさんと2人で採取してるんだ〜♪

 

「おや? こんなところで人に会うなんて、珍しいねぇ。きみたち、旅人さん?」

 

 わっ、冒険者さんかな? 優しそうな女の人だ。でも鎧付けてるし、強そう。斧持ってるし、武器は斧だよね、たぶん。

 

「そうやな、ウチらは旅人や。ウチはアカネで…」

「わたしはフィリスです。旅人なんですけど、錬金術士もしてます。あと、お姉ちゃんとか剣士の方と旅してます」

「へぇ、4人で旅してるんだー。それに、姉妹でも。それ、なんかいいね! 面白そう!」

「あぁ、おもろいで」

「っと、申し遅れました。あたしはドロッセル! えへへ、よろしくね!」

「ドロッセルさん、ですね。よろしくお願いします」

 

 ドロッセルさん、元気で優しい感じのお姉さん。髪は黒くて、服は緑っぽい。 …鎧、左半分しかつけてないんだ。不思議だなぁ…

 

「うん! さて、名残惜しいけど、あたしはこの森を抜けなきゃいけないんだ。だから、さっき会ったばかりだけど… またね! それじゃあ!」

 

 行っちゃった… 大丈夫かなぁ? 魔物もいるけど、1人で森を抜けられるのかな… 強い人っぽいし、大丈夫だよね、たぶん。 …ん?

 

「…アカネさん、あっちって出口じゃないですよね?」

「そもそも、来た道を戻ってったで。ちなみに出口はあっちや」

 

 …大丈夫かなぁ? ちょっと… ダメな気がする。でも、気にしても何もできないし、採取しよっか。アトリエからあんまり離れちゃダメだし、あっちに行ってみようかな。

 

 

 

「ふんふふ〜ん、いろんな材料、うれしいな〜♪ あっちに〜も、こっちに〜も」

「ええ歌やなぁ、心が洗われるわ。 …元から綺麗やけどな」

「そうだね〜♪」

「…おやぁ? ここは出口… じゃないみたいだね?」

「おぉっ!?」「えっ!? ドロッセルさん!?」

 

 ど、ドロッセルさんが茂みから… どうしてそんな場所から…? それに、さっき歩いていった方向とは全然違う…

 

「あ、アカネさんにフィリスちゃん! こんなにすぐ会えるなんて、ちょっと運命を感じるねぇ!」

「そ、そうか… そうか…?」

「でも、あたしは行かなくてはいけないんだっ…! あんまり森の奥には行かないようにね。じゃねー」

「ドロッセルさん、また行っちゃった… でも、あっちって…」

「出口やないな。というか、さっき会った方向や。 …ウチ、間違ってないよな?」

「大丈夫、わたしもそう思う…」

 

 どうしよう… もう見えないくらい進んでっちゃったけど、絶対に迷ってるよ。ドロッセルさん、もう森を出られないんじゃ…

 

「…ドロッセルさんの無事を祈りながら、採取するか?」

「うん… アトリエに戻りながら採取しよっか」

 

 

 

「どうや、結構集まったか?」

「そうだね、いろいろ集まったかな。そろそろアトリエに戻って…」

「やれやれ、やっと森の外に出られ… てないじゃんっ! んー、こっちじゃなかったか…」

「ドロッセルさん!?」

 

 ビックリした… 近くの岩壁の上にドロッセルさんが… どうやって登ったんだろ? というか、森を抜けようとしてそんな場所に…? …ドロッセルさん、絶対に迷ってるんだけど、迷い方が凄いなぁ…

 

「…あの、もしかしてなんですけど。ドロッセルさん、道に迷ってませんか…?」

「道に? あたしが? まっさかー!! 面白こと言うねぇ、フィリスちゃん! むしろ、迷ってるのはそっちの方でしょー?」

「いや、どう考えても、なぁ…?」

「ふふふ…。もしよければ、お姉さんがついていってあげてもいいよー? んー?」

 

 え、なんでそんなに得意げなの!? 迷ってるのはドロッセルさんの方だと思うんだけど… でも、このままだとずっとここで迷ってそうだよね。 …よし、決めた。

 

「あ、あー… それなら、お願いしてもいいですか?」

「ふふん、お任せあれ!」

「といっても、すぐには森を出んけど… それでもええか?」

「大丈夫だよ、いつか出るなら」

「それじゃあ、よろしくね、ドロッセルさん」

 

 …どうしてこうなったんだろ。でもいっか、仲間は多い方がいいもんね。それに、悪い人じゃなさそうだし… ちょっと不安な人だけど、大丈夫だよね?

 

 

 

「いやぁ、ドロッセルさんは強いんやなぁ」

「わたし、感動しちゃいました…! ドロッセルさんって強いんですね!」

「んふふ、でしょー? もーっと褒めてもいいのよ?」

 

 アトリエに帰る途中で緑プニと戦ったんだけど、ドロッセルさんすっごく強かったの! 飛び上がったと思ったら、勢いよくドーンって斧を叩きつけてね、一気に魔物を倒しちゃった。 …倒しちゃったは嘘、とどめはアカネさん。でも、本当に強かったんだよ!

 

「一応、これでも剣を教わってたことがあるからね。戦いはお手のものなんだ」

「剣? 斧やなくてか?」

「ドロッセルさん、斧を使ってませんでした?」

「ああ、バリバリ使ってるよー、斧も」

「でも、教わったのは剣… なんですよね? それって、どういうこと… なんですか?」

「あはは、斧も剣も別に使い方は変わらないよ。ズバーって斬るだけだしさ。それに、斧の方が強そうじゃない? 大きいし、重たいし」

 

 …そんなものなのかなぁ? 使ったことないからわかんないけど、違うと思うけどなぁ… でも、剣と斧を両方使ってる人なんて会ったことないし、ドロッセルさんの言う言葉が正しいのかも…? …アカネさんの剣とは絶対違うよね、うん。

 

「だから、最近は斧を使うことの方が多いかなー」

「は、はぁ…」

「…そんなてきとうな感じで戦えとるんは、強さゆえやろうな… フィリスは無理やで、ウチもやけど」

「うん、わかってる」

「杖も細剣も斬る武器じゃないもんね」

 

 そういうことじゃないと思うけど… まぁいっか。わたしは剣も斧も使えないし…

 

 

 

「ただいまー」

「おかえりなさい、フィリスちゃん、アカネさ…」

「こんにちはー、あたしドロッセル、よろしくね」

「色々あってな、ドロッセルさんに旅の付き添いを頼んだんや」

「わかりました。私はリアーネ、フィリスちゃんの姉です」

「俺はレヴィ、よろしく」

 

 アトリエに帰ってきたし、お風呂も入りたいけど… 今は採ってきた素材をしまわなきゃね。新しい素材も採れたし、ちゃんと確認しなきゃ♪

 

 まずは… “カノンの実”! 皮が緑色で、中が黄色い丸い木の実で、すっごい投げやすい。でも、気をつけないとパーンって割れちゃうんだよね。だから、丁寧に扱おう。

 

 次は、“漣岩のカケラ”! 漣(さざなみ)がどんなのかわかんないけど、そんな岩のカケラだよ。 …それ以上でも、それ以下でもないね。漣岩のカケラは、漣岩のカケラだよ。 …漣岩がわかんないんだもん、何も言えないよ〜。青くて綺麗な岩なのかな?

 

 後は、“ヤミヨタケ”! 青緑の不気味なキノコでね、胞子を吸っちゃうと頭からキノコが生えてくるんだって。夜に胞子を放つから、気をつけてってリア姉(ねぇ)が言ってた。 …お肉じゃないし、美味しくはなさそう。そもそも毒キノコだし。

 

 以上! 新しい素材が3つも見つかったし、また新しいもの作っちゃおうかな? ん〜… 今日はやめとこ、夜だしお風呂入ったら眠っちゃおう。さっ、荷物しまったしおっふろ〜!

 

 

 

「ん〜… おはよー…」

「おはようさん、みんなもう起きとるで」

「そうなの…? みんなは…?」

「リアーネさんはお菓子焼いとって、レヴィさんとドロッセルさんは外で連携の確認や」

「アカネさんは…?」

「ここにおるで? アトリエの掃除しとった」

 

 …眠い。今は… 6時か。ん〜、ドナに行かなきゃだし起きなきゃ。とりあえず、顔だけ洗ってこようかな…

 

 

「よしっ、おはよう!」

「ちゃんとお目覚めやな、外の2人にも声かけたからキリのいいところで帰ってくるはずやで」

「わかった、それまでに準備しちゃうね」

 

 おはよう! 準備して、ドナに向かおう! …その前に、リア姉(ねぇ)のお菓子も食べて、ね♪ リア姉(ねぇ)のお菓子は美味しいからねぇ、甘くてサクサクで口にとろけて広がるの。あぁ… まだ焼けないかなぁ。

 

 …ん? 扉開いた? 2人が帰ってきたのかな?

 

「やっほー、フィリス」

「あ、イルちゃん! どうしたの?」

 

 イルちゃんだー! イルちゃん、わたしより先にフルスハイムに行っちゃったと思ってたけど、白霧ヶ森の方にいたんだね。 …そうだ! 今度イルちゃんに会ったら、一緒に旅しようって誘おうと思ってたんだった! 頃合いを見て切り出さなきゃね♪

 

「別に? あなたのアトリエを見かけたから来てみただけ」

「イル、元気やったか?」

「まぁ、はい。元気でしたよ」

「ちょうどよかった。今、お菓子を焼いていたの。もしよかったらイルちゃんもどう?」

「あ、ぜひいただきます!」

 

 お話の前にー、リア姉(ねぇ)のお菓子から! ふっふふ〜ん♪

 

 

「ごちそうさま〜」

「ごちそうさまでした!」「ごちそうさまやった」

 

 ふ〜、美味しかった。やっぱりリア姉(ねぇ)のお菓子は格別だなぁ。これを食べたら全部がどうでもよくなっちゃうよ。 …どうでもよくならないよ、なっちゃったら問題だよ。でも、そんな気がするくらい美味しいんだ〜♪

 

「ふふっ、お粗末様。 …あら、フィリスちゃん。口に食べかすが付いてるわよ」

「わっ、大丈夫、自分で取れるから! イルちゃんが見てるからー!」

「…うーん。前から思ってたんだけど… フィリスとリアーネさんって、姉妹なのよね?」

「そうだけど… どうして?」

「いや… いろいろと正反対だなぁと思って」

「せやな、それはウチも思うわ」

 

 ん〜? そんなに正反対かなぁ? どんなところが正反対なんだろ?

 

「リアーネさんはしっかり者だけど、フィリスはおっちょこちょいっぽいし」

「おっちょこちょい!?」「せやなぁ」

「リアーネさんは背が高くてすらっとしてるけど、フィリスはちんちくりんだし」

「ちんちくりん!?」「そうやなぁ…」

「他にも…」

「やめて! もうやめて! 傷つく! 傷つくからぁ!」

「そう? じゃあこのくらいにしといてあげる」

 

 ひどい… ひどいよイルちゃん…! うぅ…

 

「うう… わたしだって成長期だもん。いっぱい食べて、大きくなるもん…」

「ふふっ、その調子。ファイトよ、フィリスちゃん!」

「…ま、どことなく天然っぽいところはそっくりかもしれないわね。 …あ、アタシはそろそろ行くわね。ありがとう、楽しかったわ」

「あっ、うん! またね」

「またな〜」「また来てね」

 

 イルちゃんも行っちゃったし、2人もそろそろ帰ってくるかな? そしたら、ドナに向かってしゅっぱ…

 

「…イルちゃんを誘おうと思ってたんだった!」

「あ〜、そうやったな… ウチも忘れてたわ」

「私も覚えておくわね」

「戻ったぞ」「戻ったよ〜!」

 

 …気にしても仕方ないか、切り替えて出発! えーっと、ドナは確か南東の方って話だから… 南東は岩があって進めないから、東から行くか、南から行くか、だね。ん〜、東回りか南回り、どっちでもいいなぁ…

 

「あっちとあっち、どっちがいいかな?」

「フィリスちゃんに任せるわ」「好きにしろ」「どっちでもいいよ」

「ん〜…」

「決まらんのなら、この枝を投げて指した方向ってのはどうや?」

「そうしよう! ていやー! …南!」

 

 いざ南へ! 森の奥だし、知らないものとか綺麗な景色とかあるかなぁ?

 

 わたし、そんなにちんちくりんかなぁ…?

 

 

 

「ねぇねぇ、これなーに?」

「環状列石やろうか、遠い昔の代物ちゃうかな」

「そうでしょうね… たぶん、何か意味があってこう置かれてるのよ」

「へぇ…」

 

 ちょっと南に行ったら、石が丸く並べられてる場所があったんだ。それも、2カ所も! 昔、ここで何があったんだろうね。う〜ん… わかんないけど、気になるね。そういう本があったら買ってみようかな?

 

「こういう場所には、何か供えてみるといい。良いことが起こるかもしれないぞ」

「そうなの? じゃあ、えっと… 今持ってるのコレしかないけどいいかな?」

「いいんじゃない? プニプニ玉、供えたらきっと喜んでもらえるよ!」

「誰に供えとるんかわからんけどな。ウチも向こうに、さっき拾った“水晶のかけら”でも供えてくるか…」

 

 とりあえず、地図にメモして… もっと調べてみたいけど、調べた方もわかんないし、このまま進んじゃおっか。ずっと南に進んできたけど、南東に道が開けたし、こっから南東に進んじゃおう!

 

 

 

 

「つ、着いたー!」

「ここがドナか… 真ん中のおっきな木は何かのご神木やろうか」

「そうです。この村では、あの木をご神木として大切にしているんです。 …だからフィリスちゃん、あの木にいたずらしちゃ… ダメよ?」

「し、しないよそんなこと! リア姉(ねぇ)はわたしのことなんだと思ってるの?」

「当分はここに留まるんだろ? 俺は近場で修行しておく、何かあれば声をかけてくれ」

「あたしも村の何処かにいると思うから、外出るときは教えて!」

「うん、またね!」

 

 むー、リア姉(ねぇ)はわたしをなんだと思ってるのかね! わたしだって、そんなことはしませんよーっだ。 …ここがドナ、かぁ。森の中の村だけど、大きい感じだし… 公認錬金術士の人もいるかもしれないよね。途中のたき火で休んできたから、元気いっぱい! よーっし、頑張るぞー!

 

「あら、もしかして旅の方ですか?」

 

 あ、村の人だ。話聞かないと… でも、メッヘンのときは村の人じゃなかったんだよね。イルちゃんだったから。

 

「あ、はい。今着いたばっかりなんですけど…」

「まぁ… なら、まずは長老に挨拶しておいた方がいいですよ。その、いろいろとうるさい方ですので…」

「はん? それは、どういうことや?」

「あ、いえ、なんでもありません! 長老の庵(いおり)は向こうの方にありますので! それでは…」

「うーん… 何かありそうなんだけど… 挨拶をしろって言われたからには行かないとダメよね…」

「うん… ちょっとこわいけど、長老さんの庵に行ってみようか」

 

 …大丈夫。きっと大丈夫! なんにも、こわいことなんてない… よね?

 




やることメモ
  0.エルトナ
 →1.エルトナ周辺
   1.乾いた平野帯
   2.ファーヴェ丘陵
  →3.旅人の雑木林・白霧ヶ森
    1.一流の立ち往生
   →2.元気に迷う旅人

 これからよろしく!
(ドロッセル)

 よろしくお願いします!
(フィリス)
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