フィリスが錬金術を始めて、ご両親に錬金術を学ぶことを認めてもらいに行った!
「…流石に帰ってくるのが遅すぎますね」
「何か… あったんやろうな」
プラフタさんと、2人の帰りを待っとるけど… 帰ってくるのが遅すぎる。半日くらい待っとる気がする。フィリス1人やったら、親に錬金術が認められて嬉しくなってどっか行った、みたいなこともありそうやけど、ソフィーさんが一緒におるはず。なのに、帰ってこんってことは…
ダメ、やったんか…?
「おかえりなさい。随分と遅かったようですが」
「なんかあったんやな…?」
「うん、色々あったんだ。えっとね…?」
少し経って2人が帰ってきて、全部を話してくれた。フィリスは錬金術を学ぶだけやなくて、錬金術があれば外の世界でも生きていけるから、錬金術を学んで外の世界に出たいって説得したらしい。せやけど、ご両親… 特にお母さんに猛反対されて、フィリスの今まで堪えてきたものが爆発してもうて、大嫌いって捨て台詞吐いて家を飛び出して、ソフィーさんと鉄扉の前で2人で話し合ったと。
ソフィーさんはフィリスの思いを聞いて、錬金術を教えるって決めたそうや。ご両親の思いには反することになるけど、フィリスの思いを聞かされたら、フィリスに手を貸したいと。 …ウチと同じやな。ウチも、フィリスと話すうちに助けてやりたいと思って、ここにいる人間やからな。 …人間ではないんやったか。
その後、2人はアトリエの前で待ってた村長とリアーネさんと話したそうや。村長とリアーネさんがフィリスの両親を説得して、条件付きで町の外に出ることを認めさせてくれたらしい。 …リアーネさんが頑張ってくれたんやろうな。
で、ここからが本題。その町の外に出る条件っていうのが、外の世界でも大丈夫やと両親が認められるほど、錬金術を理解すること。それだけやと抽象的やから、村長さんが具体的な課題も設けてくれたそうや。それは、錬金術で町の困りごとをいくつか解決すること。期限は1ヶ月、短いけどやるっきゃない。
…ご両親だって、フィリスに意地悪がしたいわけやない。外の世界で何かあったらどうしようっていう不安と、フィリスの願いを叶えてやりたい親心の間で揺れとるはず。せやから、無理な条件は課さんはずや。フィリスが1ヶ月、真面目に錬金術を学んだら、達成できるんやないかな。
ウチも応援しとるけど… この課題は、ウチがやったら意味がない。困りごとを聞くのくらいはやってもええかもやけど、この課題はフィリスがやらないかん。そうでないと、フィリスの為にもならんし、ご両親も外に出ることを認めてはくれん。せやから、ウチにできることは… 思う存分に錬金術ができるよう、素材を集めることやな。
「…なるほど、事情はわかりました」
「大変やったな、フィリス」
「はい… それで、えっと… わたし、おうちに帰りづらくて…」
「あっ、そうだよね。うーん、どうしようか」
「ここで寝泊まりすればよいのでは? 幸い、ここは広いですし」
「あ、確かに。フィリスちゃんはどう?」
「えっと、ソフィーさんたちがよければ、ぜひ…」
「じゃあ決まり! 今日は疲れただろうから、また明日から頑張ろうね」
「ええ。今日はゆっくりお休みなさい。ベッドはこちらを…」
これからフィリスはアトリエで寝泊まりするんやな… 全部が済んだら、結果はどうあれ家に帰って、ご両親としっかり話してほしいけど… 今はそんなこと、気にしとる場合やないか。錬金術に集中したいもんな。
「アカネさんも、お好きに使ってください♪」
「ウチはベッドもソファーも要らんので、気にせんでください」
「ゆ、床で寝るんですか? それは流石に、やめたほうが…」
「ウチ、人やないみたいなんで。寝ないで問題ないんですよ」
「…なるほど。そうだったんですね」
「そうだソフィーさん、よければ図鑑とか見せてもらえませんか? 錬金術の素材、集めてきたくて」
「えっと… 多分、そこにあるので、使ってください」
「ありがとうございます」
軽く、確認してみるか…
「…どうですか? 載ってましたか?」
「色々と載っとりますけど、エルトナでどれが採れるかは載っとりませんね。 …どうしたもんかな」
「それなら、1度持ってきてください。アカネが採ってきたものが何なのか、この目で照合します」
「そんな、ええんですか?」
「もちろんです。ソフィーの師匠として、孫弟子であるフィリスのことは応援していますし… あなたのことも、応援しています」
「…そんなら頼らせていただきます」
今は恐らく真夜中やけど… 行ってきます。フィリスは明日から困りごとを聞き回って、解決するための道具のレシピを自分で考えて、錬金術をするらしいから… レシピを閃いたときにすぐ試せるように、色んな材料を集めてこんとな♪
「ふんっふっふふ〜ん♪」
「アカネさん、ご機嫌ですね♪」
「あっ、ソフィーさん。ええ石を見つけたんですよ」
「それは… あぁ、カーエン石ですね! ほんのり暖かくて気持ちいいんですよね〜」
「これは錬金術で使えるんですか?」
「はいっ! 使い方は内緒ですけど… 色々できますよ♪」
「ほんなら、これを狙って集めてみるか…」
プラフタさんから借りた普通のツルハシ片手に、南の採掘場で岩を砕いとったら、ウチに似合う真っ赤な暖かい石が出てきたんや。ソフィーさん曰く、カーエン石って名前らしい。 …火炎ってことやろか。下手に砕くと燃えるんやろうか…
大変やけど、あと少し集めてからアトリエに帰ることにするわ。まとまった数あったほうが便利やろうし、近くの岩にもありそうやし… ただ、集めるの大変なんよな。岩を砕くのって力いるし、カーエン石を砕かないように気をつけながらやからホンマに大変や。一欠片掘るだけで、2時間くらいかかったんちゃうかな…
「…というかソフィーさん、朝早いんですね」
「フィリスちゃんが起きる前に、ちょっと採取しようと思ったんです。教える為にも、あたしがエルトナのことを知らないとですから」
「そうなんですか… ソフィーさんも、ありがとうございます。フィリスのこと、よろしくお願いしますね」
「あたしは、好きでやってるので… アカネさんこそ、フィリスちゃんの為に採取してるんですよね?」
「ウチも好きでやっとるだけですから」
「同じですね♪」
それだけ言って、ソフィーさんは帰って行ってしもうたし… 採掘、頑張るか。
「ただいま戻りました〜」
「おかえりなさい、アカネ。 …随分と沢山集めてきましたね」
「1日かけて掘ってきましたから。 …それで8欠片だけってのも寂しいですけど」
帰ってきたら、プラフタさんが迎えてくれたんやけど… フィリスはどこやろう。ソフィーさんはアトリエの奥の部屋におる後ろ姿が見えるんやけど…
「ただいまー! ソフィー先生! 思いつきました!」
「おかえりなさい、フィリス」「おかえりやな、フィリス」
「フィリスちゃん! 何が思いついたの?」
「爆弾です! 今のわたしなら、作れます!」
爆弾… えらく物騒な物の作り方を閃いとるな… それで困りごとを解決するつもりなんよな? ってことは、採掘用やろうか。 …ウチも欲しいな。無限に使える発破用の爆弾とか、ないんやろか。
「おぉー! フィリスちゃん、どんな物を使って作るつもりなの?」
「カーエン石と、燃えそうな火薬と、燃料!」
「うん、良さそうだね。それじゃあ、試してみよー!」
「あっ… でも、カーエン石を集めてこないと…」
「そんなら、これを好きに使い。ウチが掘ってきたカーエン石たちやで」
「いいの…? ありがとう、アカネさんっ!」
早速、カーエン石が役に立ったようやな… 8欠片あれば当分は足りるやろうし、次は何を集めに行こうか…
「燃料は紙でよくて、火薬… もカーエン石でいっか。よし、カーエン石3個と紙で… やるぞー!」
えっ、一気に3欠片も使うん? 8欠片なんて一瞬でなくなってまうやん… それやったら、また集めに行かなあかんな。フィリスには集めるのが大変な物を集める、それが1番やろうから。 …まっ、フィリスの爆弾作りを見てからにしようかな。ちょいと疲れたし…
「よーし、できたー! どうですか、先生」
「うんうん、いい出来だよ。フィリスちゃん、どんどん上手になっていくね」
「…ええ。あなたも、うかうかしていられませんね」
「うっ… それは… あるかも」
これが、フィリスの作った爆弾… ウチには出来とか全くわからへんけど、いい出来なんやな。下手に触って爆発したら嫌やし、見るだけにしとこ…
っと、その時やった。コンコンってアトリエの扉をノックする音が響いたんわ。
「あれ、誰だろ? はーい!」
扉を開けて入ってきたんわ… あぁ、リアーネさんか。フィリスに会いに来たんかな? 両手を腰に当てて、乗り込んできた感じでちょっと怖いけど…
「すみません、お邪魔します。フィリスちゃん、います?」
「えっと、確か… リアーネさん、ですね」
「リア
「ええ、とーっても。母さんと顔を合わせにくいのはわかるし、家に帰ってこないのは許しましょう」
…それを許すんやったら何に怒っとるや?
「でも、私にすら会いに来てくれないのはどうして!? 心配して、夜も眠れなかったんだから!」
なるほど… 確かに、ウチも葵にそれされたら怒るかもしれん。 …あ、言っとらんかったけど、葵っていうのはウチの妹の名前やで。ホンマに可愛くってな……… また、会いたいなぁ。
「え? あー… ごめん、忘れてた…」
「わ、忘れてた!? ひどいわ!! 私はずっと、フィリスちゃんのことを考えてたのに!」
「え… ずっと?」「優しいなぁ…」
「ちょ、ちょっと! アカネさんに先生に、プラフタさんもいるんだから! 落ち着いて!」
「無理よ! 落ち着いてなんかいられないわ! フィリスちゃんと会えないなんて、人生の楽しみの九割を奪われたようなものだもの!」
リアーネさんとは旨い酒が飲めそうやなぁ!
「わ、わかった! わかったから! これからは小まめに会いに行くようにするから!」
「本当に?」
「うん、本当、約束するよ」
「そう、ならいいわ。 …約束破ったらお姉ちゃん、泣いちゃうからね? …ソフィーさんとプラフタさん、それとアカネさん。フィリスちゃんのこと、よろしく頼みます。では…」
嵐のように突如として現れたけど、去る時も一瞬やな…
「あ、あれぇ…? リアーネさん、前に会った時と印象が違うような…」
「あはは… わたしのことになると、時々あぁなっちゃって… でも、普段はすごいかっこいいんですよ? 真面目で、しっかりしてて!」
「ふふ。フィリスも、リアーネのことが好きなのですね」
「もちろん! リア
…やっぱり、ウチと葵に似とるな。まぁ、ウチらの場合は葵の方がしっかり者やったけど。ウチは勢いとボケとノリ担当やから!
「…そうだ! わたし、リア
「いってらっしゃーい!」「いってらっしゃい」「おぅ、いってら」
結構休んだし、ウチも採取行くかー。
「ほんならウチも…」
「待ってください。アカネに質問があります」
「ウチに? なんでっしゃろ…」
「アカネは武器、持っていますか?」
「持っとりません、そもそも戦えませんし…」
「それなら、採取に行く前に私が教えます。すぐにはマスターできないでしょうが… 最低限、戦えたほうが良いはずです」
戦闘… 魔物の恐ろしさは、ウチもよく知っとる。既に一回、帰路を絶たれて困った経験があるからな。そんな時に戦う選択肢があれば、助かることもあるやろうし… 何より、フィリスを守れるかもしれん。せやから、返事は一択や。
「ええんですか? ありがとうございます」
「ソフィー、余ってる武器は何がありますか」
「えっとね… 杖と腕輪と、細い剣とスコップ!」
「アカネ、
「それしか武器がなかった気が…」
杖はソフィーさんの武器なんやろうけど、腕輪とスコップは絶対に武器やないやろ。 …武器って聞かれてソフィーさんが答えたくらいやし、実は錬金術パワーの凄い武器なんやろうか。でも… スコップを強い武器にするくらいなら、剣を強くした方がより強くなる… やろ。錬金術には常識を当てはめたらあかんのやろうか…
「それでは採掘場に行きますよ。魔物を相手に、鍛えてあげます」
「よろしくお願いします、プラフタさん」
「アカネさん、プラフタ先生って言ったら喜びますよ♪」
「そこ、何をコソコソと…」
「何でもあらへんですよ。行きましょう、プラフタ先生」
「…そうですね。行きましょう」
…心なしか、嬉しそうな気がするわ。
やることメモ
→0.エルトナ
1.来訪者
2.錬金術を知ろう
→3.お外に出る為に
→1.硬い岩を壊したい
硬い岩を壊すには、時間をかけるしかないんやろうか。
簡単に岩を壊せる爆弾があれば、楽になるよね。