茜色の錬金術士   作:緑雨

3 / 6
あらすじ

フィリスが錬金術を始めて、ご両親に錬金術を学ぶことを認めてもらいに行った!


腕を振るって

 

「…流石に帰ってくるのが遅すぎますね」

「何か… あったんやろうな」

 

 プラフタさんと、2人の帰りを待っとるけど… 帰ってくるのが遅すぎる。半日くらい待っとる気がする。フィリス1人やったら、親に錬金術が認められて嬉しくなってどっか行った、みたいなこともありそうやけど、ソフィーさんが一緒におるはず。なのに、帰ってこんってことは…

 

 ダメ、やったんか…?

 

 

 

「おかえりなさい。随分と遅かったようですが」

「なんかあったんやな…?」

「うん、色々あったんだ。えっとね…?」

 

 少し経って2人が帰ってきて、全部を話してくれた。フィリスは錬金術を学ぶだけやなくて、錬金術があれば外の世界でも生きていけるから、錬金術を学んで外の世界に出たいって説得したらしい。せやけど、ご両親… 特にお母さんに猛反対されて、フィリスの今まで堪えてきたものが爆発してもうて、大嫌いって捨て台詞吐いて家を飛び出して、ソフィーさんと鉄扉の前で2人で話し合ったと。

 

 ソフィーさんはフィリスの思いを聞いて、錬金術を教えるって決めたそうや。ご両親の思いには反することになるけど、フィリスの思いを聞かされたら、フィリスに手を貸したいと。 …ウチと同じやな。ウチも、フィリスと話すうちに助けてやりたいと思って、ここにいる人間やからな。 …人間ではないんやったか。

 

 その後、2人はアトリエの前で待ってた村長とリアーネさんと話したそうや。村長とリアーネさんがフィリスの両親を説得して、条件付きで町の外に出ることを認めさせてくれたらしい。 …リアーネさんが頑張ってくれたんやろうな。

 

 で、ここからが本題。その町の外に出る条件っていうのが、外の世界でも大丈夫やと両親が認められるほど、錬金術を理解すること。それだけやと抽象的やから、村長さんが具体的な課題も設けてくれたそうや。それは、錬金術で町の困りごとをいくつか解決すること。期限は1ヶ月、短いけどやるっきゃない。

 

  …ご両親だって、フィリスに意地悪がしたいわけやない。外の世界で何かあったらどうしようっていう不安と、フィリスの願いを叶えてやりたい親心の間で揺れとるはず。せやから、無理な条件は課さんはずや。フィリスが1ヶ月、真面目に錬金術を学んだら、達成できるんやないかな。

 

 ウチも応援しとるけど… この課題は、ウチがやったら意味がない。困りごとを聞くのくらいはやってもええかもやけど、この課題はフィリスがやらないかん。そうでないと、フィリスの為にもならんし、ご両親も外に出ることを認めてはくれん。せやから、ウチにできることは… 思う存分に錬金術ができるよう、素材を集めることやな。

 

「…なるほど、事情はわかりました」

「大変やったな、フィリス」

「はい… それで、えっと… わたし、おうちに帰りづらくて…」

「あっ、そうだよね。うーん、どうしようか」

「ここで寝泊まりすればよいのでは? 幸い、ここは広いですし」

「あ、確かに。フィリスちゃんはどう?」

「えっと、ソフィーさんたちがよければ、ぜひ…」

「じゃあ決まり! 今日は疲れただろうから、また明日から頑張ろうね」

「ええ。今日はゆっくりお休みなさい。ベッドはこちらを…」

 

 これからフィリスはアトリエで寝泊まりするんやな… 全部が済んだら、結果はどうあれ家に帰って、ご両親としっかり話してほしいけど… 今はそんなこと、気にしとる場合やないか。錬金術に集中したいもんな。

 

「アカネさんも、お好きに使ってください♪」

「ウチはベッドもソファーも要らんので、気にせんでください」

「ゆ、床で寝るんですか? それは流石に、やめたほうが…」

「ウチ、人やないみたいなんで。寝ないで問題ないんですよ」

「…なるほど。そうだったんですね」

「そうだソフィーさん、よければ図鑑とか見せてもらえませんか? 錬金術の素材、集めてきたくて」

「えっと… 多分、そこにあるので、使ってください」

「ありがとうございます」

 

 軽く、確認してみるか…

 

 

「…どうですか? 載ってましたか?」

「色々と載っとりますけど、エルトナでどれが採れるかは載っとりませんね。 …どうしたもんかな」

「それなら、1度持ってきてください。アカネが採ってきたものが何なのか、この目で照合します」

「そんな、ええんですか?」

「もちろんです。ソフィーの師匠として、孫弟子であるフィリスのことは応援していますし… あなたのことも、応援しています」

「…そんなら頼らせていただきます」

 

 今は恐らく真夜中やけど… 行ってきます。フィリスは明日から困りごとを聞き回って、解決するための道具のレシピを自分で考えて、錬金術をするらしいから… レシピを閃いたときにすぐ試せるように、色んな材料を集めてこんとな♪

 

 

 

 

 

「ふんっふっふふ〜ん♪」

「アカネさん、ご機嫌ですね♪」

「あっ、ソフィーさん。ええ石を見つけたんですよ」

「それは… あぁ、カーエン石ですね! ほんのり暖かくて気持ちいいんですよね〜」

「これは錬金術で使えるんですか?」

「はいっ! 使い方は内緒ですけど… 色々できますよ♪」

「ほんなら、これを狙って集めてみるか…」

 

 プラフタさんから借りた普通のツルハシ片手に、南の採掘場で岩を砕いとったら、ウチに似合う真っ赤な暖かい石が出てきたんや。ソフィーさん曰く、カーエン石って名前らしい。 …火炎ってことやろか。下手に砕くと燃えるんやろうか…

 

 大変やけど、あと少し集めてからアトリエに帰ることにするわ。まとまった数あったほうが便利やろうし、近くの岩にもありそうやし… ただ、集めるの大変なんよな。岩を砕くのって力いるし、カーエン石を砕かないように気をつけながらやからホンマに大変や。一欠片掘るだけで、2時間くらいかかったんちゃうかな…

 

「…というかソフィーさん、朝早いんですね」

「フィリスちゃんが起きる前に、ちょっと採取しようと思ったんです。教える為にも、あたしがエルトナのことを知らないとですから」

「そうなんですか… ソフィーさんも、ありがとうございます。フィリスのこと、よろしくお願いしますね」

「あたしは、好きでやってるので… アカネさんこそ、フィリスちゃんの為に採取してるんですよね?」

「ウチも好きでやっとるだけですから」

「同じですね♪」

 

 それだけ言って、ソフィーさんは帰って行ってしもうたし… 採掘、頑張るか。

 

 

 

 

 

「ただいま戻りました〜」

「おかえりなさい、アカネ。 …随分と沢山集めてきましたね」

「1日かけて掘ってきましたから。 …それで8欠片だけってのも寂しいですけど」

 

 帰ってきたら、プラフタさんが迎えてくれたんやけど… フィリスはどこやろう。ソフィーさんはアトリエの奥の部屋におる後ろ姿が見えるんやけど…

 

「ただいまー! ソフィー先生! 思いつきました!」

「おかえりなさい、フィリス」「おかえりやな、フィリス」

「フィリスちゃん! 何が思いついたの?」

「爆弾です! 今のわたしなら、作れます!」

 

 爆弾… えらく物騒な物の作り方を閃いとるな… それで困りごとを解決するつもりなんよな? ってことは、採掘用やろうか。 …ウチも欲しいな。無限に使える発破用の爆弾とか、ないんやろか。

 

「おぉー! フィリスちゃん、どんな物を使って作るつもりなの?」

「カーエン石と、燃えそうな火薬と、燃料!」

「うん、良さそうだね。それじゃあ、試してみよー!」

「あっ… でも、カーエン石を集めてこないと…」

「そんなら、これを好きに使い。ウチが掘ってきたカーエン石たちやで」

「いいの…? ありがとう、アカネさんっ!」

 

 早速、カーエン石が役に立ったようやな… 8欠片あれば当分は足りるやろうし、次は何を集めに行こうか…

 

「燃料は紙でよくて、火薬… もカーエン石でいっか。よし、カーエン石3個と紙で… やるぞー!」

 

 えっ、一気に3欠片も使うん? 8欠片なんて一瞬でなくなってまうやん… それやったら、また集めに行かなあかんな。フィリスには集めるのが大変な物を集める、それが1番やろうから。 …まっ、フィリスの爆弾作りを見てからにしようかな。ちょいと疲れたし…

 

 

 

 

 

「よーし、できたー! どうですか、先生」

「うんうん、いい出来だよ。フィリスちゃん、どんどん上手になっていくね」

「…ええ。あなたも、うかうかしていられませんね」

「うっ… それは… あるかも」

 

 これが、フィリスの作った爆弾… ウチには出来とか全くわからへんけど、いい出来なんやな。下手に触って爆発したら嫌やし、見るだけにしとこ…

 

 っと、その時やった。コンコンってアトリエの扉をノックする音が響いたんわ。

 

「あれ、誰だろ? はーい!」

 

 扉を開けて入ってきたんわ… あぁ、リアーネさんか。フィリスに会いに来たんかな? 両手を腰に当てて、乗り込んできた感じでちょっと怖いけど…

 

「すみません、お邪魔します。フィリスちゃん、います?」

「えっと、確か… リアーネさん、ですね」

「リア(ねぇ)!? …なんか、怒ってる?」

「ええ、とーっても。母さんと顔を合わせにくいのはわかるし、家に帰ってこないのは許しましょう」

 

 …それを許すんやったら何に怒っとるや?

 

「でも、私にすら会いに来てくれないのはどうして!? 心配して、夜も眠れなかったんだから!」

 

 なるほど… 確かに、ウチも葵にそれされたら怒るかもしれん。 …あ、言っとらんかったけど、葵っていうのはウチの妹の名前やで。ホンマに可愛くってな……… また、会いたいなぁ。

 

「え? あー… ごめん、忘れてた…」

「わ、忘れてた!? ひどいわ!! 私はずっと、フィリスちゃんのことを考えてたのに!」

「え… ずっと?」「優しいなぁ…」

「ちょ、ちょっと! アカネさんに先生に、プラフタさんもいるんだから! 落ち着いて!」

「無理よ! 落ち着いてなんかいられないわ! フィリスちゃんと会えないなんて、人生の楽しみの九割を奪われたようなものだもの!」

 

 リアーネさんとは旨い酒が飲めそうやなぁ!

 

「わ、わかった! わかったから! これからは小まめに会いに行くようにするから!」

「本当に?」

「うん、本当、約束するよ」

「そう、ならいいわ。 …約束破ったらお姉ちゃん、泣いちゃうからね? …ソフィーさんとプラフタさん、それとアカネさん。フィリスちゃんのこと、よろしく頼みます。では…」

 

 嵐のように突如として現れたけど、去る時も一瞬やな…

 

「あ、あれぇ…? リアーネさん、前に会った時と印象が違うような…」

「あはは… わたしのことになると、時々あぁなっちゃって… でも、普段はすごいかっこいいんですよ? 真面目で、しっかりしてて!」

「ふふ。フィリスも、リアーネのことが好きなのですね」

「もちろん! リア(ねぇ)は、自慢のお姉ちゃんですから!」

 

 …やっぱり、ウチと葵に似とるな。まぁ、ウチらの場合は葵の方がしっかり者やったけど。ウチは勢いとボケとノリ担当やから!

 

「…そうだ! わたし、リア(ねぇ)に聞きたいことあったんだった… 行ってきますね!」

「いってらっしゃーい!」「いってらっしゃい」「おぅ、いってら」

 

 結構休んだし、ウチも採取行くかー。

 

「ほんならウチも…」

「待ってください。アカネに質問があります」

「ウチに? なんでっしゃろ…」

「アカネは武器、持っていますか?」

「持っとりません、そもそも戦えませんし…」

「それなら、採取に行く前に私が教えます。すぐにはマスターできないでしょうが… 最低限、戦えたほうが良いはずです」

 

 戦闘… 魔物の恐ろしさは、ウチもよく知っとる。既に一回、帰路を絶たれて困った経験があるからな。そんな時に戦う選択肢があれば、助かることもあるやろうし… 何より、フィリスを守れるかもしれん。せやから、返事は一択や。

 

「ええんですか? ありがとうございます」

「ソフィー、余ってる武器は何がありますか」

「えっとね… 杖と腕輪と、細い剣とスコップ!」

「アカネ、細剣(さいけん)をどうぞ」

「それしか武器がなかった気が…」

 

 杖はソフィーさんの武器なんやろうけど、腕輪とスコップは絶対に武器やないやろ。 …武器って聞かれてソフィーさんが答えたくらいやし、実は錬金術パワーの凄い武器なんやろうか。でも… スコップを強い武器にするくらいなら、剣を強くした方がより強くなる… やろ。錬金術には常識を当てはめたらあかんのやろうか…

 

「それでは採掘場に行きますよ。魔物を相手に、鍛えてあげます」

「よろしくお願いします、プラフタさん」

「アカネさん、プラフタ先生って言ったら喜びますよ♪」

「そこ、何をコソコソと…」

「何でもあらへんですよ。行きましょう、プラフタ先生」

「…そうですね。行きましょう」

 

 …心なしか、嬉しそうな気がするわ。

 




やることメモ
 →0.エルトナ
   1.来訪者
   2.錬金術を知ろう
  →3.お外に出る為に
   →1.硬い岩を壊したい

 硬い岩を壊すには、時間をかけるしかないんやろうか。
(アカネ)

 簡単に岩を壊せる爆弾があれば、楽になるよね。
(フィリス)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。