爆発が収まり、どさりという音がする。
土煙が段々と晴れていく、二つの影が露わになる。
片や倒れ地に伏す。片や片膝をついているものの立っている。
全員が息を呑む、土煙が晴れた時、自分達が死ぬのか…それとも生きるのか…それが分からないからだ。
「リョウスケ君…」
「…リョウスケさん…」
「リョウスケ…」
土煙の中から声が聞こえる。
「なんて…面してる、俺は勝ったぞ…」
「ああ…そして…私の負けだ」
土煙が晴れた、その中には片膝をつき、何とか立っている涼介と…指一つ動かせず、倒れ伏す穿彗だった。
しかし誰も言葉を発さない、その資格が無いと解っていたからだ。
「ホント…アンタは強かったよ、俺の全力全開…最後の奥義でようやくとはな…あん時とは差が縮まったな」
「それはこちらのセリフだ…混じりっ気なしの殺人拳の奥義だった…私の全力を奮ったにも関わらず負けた」
「「見事だ」」
二人の言葉が重なる…そして二人は笑い合う。先ほどまでの果し合いが嘘のように…
「一つ聞かせてくれないか…?お前はあの最後の瞬間、二手速くなった…それは何故だ?」
「アイツら、あそこの三人の泣き顔と…アイツを思い出したからだ」
「…フッ…お前は選んだんだな…選ぶのは良い事だ…そうあの娘は言っていたか」
「ああ、人形だった俺に…背負わせる強さを教えてくれた…だから俺は立てる。今もな」
「そうか…私も背負ったつもりだったが…逃げていただけだ。どうして…こんなことになったんだろうな」
「なら今度はきっちり背負えよ、逃げずに…世界は広い、見て回るのも良いかもよ?」
「そうだな…私も…見つかるだろうか?」
「……見つかるさ、アンタなら見つけられる」
そう言ってふらふらになりながらも立ち上がり、穿彗を一瞬見やり、その後に空を向き片手を掲げる。
それは勝者にのみ許される勝者の証。
直後熱狂の喝采が生まれる。
「すげえ…新しい英雄だ、新しい英雄が生まれたぞ‼」
「…俺も…アイツみたいになりてぇ…」
色んな声が生まれては、熱狂の渦をさらに搔き立てる材料とする。
いずれもこの戦いの勝者に対する、賛美の声だった。
その熱狂の中に居ながらも、彼はゆっくりとヘスティア達の元へ歩いていく。
「俺は生きて帰ったぞ、お待たせ」
三人はこれ以上ない笑みを浮かべ、返す。
「「「お帰り‼」」」
―――――
「凄い…凄いじゃないか、彼は‼あれこそが英雄、最後の英雄に相応しい‼」
「あれほどとはなぁ…ホンマウチの子等も教えて欲しいもんやわ。ドチビと仲良くするのは癪やが、あの子とは仲良くしとかな。てかアイズたんに抱き着かれて羨ましいなんてもんちゃうぞ‼」
「最後の技の時、刀が光ったわ。あの仕組み今度聞いてみようかしら。ウチの椿も目をキラキラ輝かせてるし…あの子もこれから大変ね」
テラスで見ていた神が三者三様の姿を見せる中、フレイヤ一人だけは反応が違った。
「…ズルいわ」
「「「何が?」」」
「だってヘスティアとロキの所の剣姫、それに疾風は戦い終わって笑顔でただいま…なんて言ってもらってるのよ⁉私だけこんな所で指くわえて見てるなんて‼今から行ってこようかしら‼」
(((…これをどうにか止めるのが、何よりも彼に対する褒美になりそうだなぁ…)))
三柱の神は今すぐにでも突撃しそうな美の女神を止めるのを三柱で行うのであった。
―――――
「全く、あちらは何をしているのか…しかし、凄まじい戦いだったな」
「ああ、そうだな。しかし事前に聞いていたより凄まじい名刀を持っていたな。手前にも見せてもらわねば‼」
「…刀も凄まじかったが最後の技、あの瞬間武器と一つになっていた気がしたが…」
「私だけでは無かったのですね。彼のスキルか魔法でしょうか?聞けるなら聞いてみたいですが…」
神とは別にその眷属達も思い思いに語る。それはこの戦いを見た冒険者にとっては避けられないだろう。それほどまでに熱く、魂をかけた戦いだったのだから。
「しかし、気になるな…」
「何がだ、リヴェリア」
「彼の扱う武術…それには私の様な後衛でも扱えるものは有るのだろうかと考えてな」
それに関しては生粋の前衛ではないヘディンとアスフィも頷く。
「どれだけの手土産が必要かわかりませんが、私も学びたいものですな。完全にあのように動けなくとも、学べる事は多そうだ」
「そうですね。力の一端だけでも凄まじいものになりそうです。そう考える人間や神も多くなるでしょう、これからは」
三人の会話を聞いていた椿は思いついたように言う。
「あの御仁は真っすぐちゃんと礼を尽くせば教えてくれそうな気がするがな」
「それはどうしてだ?単眼の巨師(キュクロプス)」
「その呼び方は止めてくれ、白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)その呼び方は好かんのだ」
「実際どういう理由だ、椿」
「うむ‼手前の勘だ‼」
「「「……ハァ…」」」
溜息をつく三人だったが、椿の勘は正しかった…しかしそれを指摘する者が居ないまま、会話は続いていくのだった。
―――――
「リョウスケぐ~ん‼」
「おいおい泣くなよ、さっきは笑顔で迎えてくれたろ?」
「だって…だって、すっごくボロボロで‼」
「重要器官は外している。見た目ほど酷くないさ」
「リョウスケさん、見事でした。私は見届ける事しか出来ませんでしたが…」
「それでいいんだよ。俺はお前達が見届けてくれたから戦えたんだ…笑って迎えてくれてありがとう」
「リョウスケ…凄かった‼とってもカッコよかったよ‼」
「ふふん、そうだろ?」
「これほどの戦いが見れるとは思わなかったぞ」
「封鎖してたけど、戦いは見れたよ。参考に出来ないけど、凄まじかったね」
「オッタル、フィン…ありがとな、二人とも」
皆が思い思いの丈をぶつける。その中には至高の果し合いを見た事による、あらゆる感情が込められていた。
そんな彼らの元に、走って向かってくる少女が居た。
ディアンケヒトファミリアの聖女、アミッドだ。
「こ…これを飲んでください。傷が治るはずです。」
恐る恐る渡されるのはエリクサー、万能回復薬だった。
予め、フィンが頼んでいてくれていた物。ニコリと彼女に笑いながら、涼介は瓶を受け取る。
「ありがとな、アミッドちゃん。悪いけど、もう一本あるかい?」
「え?ええ、ありますが」
戸惑いながらも彼女はもう一本の瓶を差し出す。
それを受け取った彼は穿彗の元へ歩いていく。
全員、呆気にとられている。
「ほれ穿彗、口開けろ」
そう言って彼はエリクサーを飲ませる。如雨露で花に水をやるかの如く。
『え⁉』
その場の全員の言葉が重なる。
直後むくりと穿彗が上半身を起こす。それを見届けた涼介もエリクサーを煽る。
「…これが噂のエリクサーか、それでも身体機能は30%減か…」
「もう続けるつもりはねぇんだ。それにアンタは闇派閥の連中と手を組んだって言っても悪さはしてねぇ…ま、これ位はいいだろ。」
(((((良くないんですけどぉ⁉))))))
全員の心の叫びが重なるも今度は誰も声を出せない。
「どうした?皆なんか言いたそうだけど…?」
「お前が私の治療なんかするからだろう。」
「…そっか、今のアンタでも5秒有ったら全員死んじゃうからね。多少は怖いか」
(((((多少なんてもんじゃないんですが…大丈夫なの⁉)))))
「だけど、アンタはもうやんないだろ?」
「…フッ、武人として勝者には従わなければならん。勝者の誰も死なせない…というのには従おう」
「じゃ、またな」
「ああ、さらばだ」
二人は笑い合い、次の瞬間には穿彗は居なくなっていた。
広場の空気が凍る、先程の戦勝ムードが嘘のように。
その空気を作った張本人は…
(あ~誰でもいいとは言わんが、抱きたいな…生存本能ってのは恐ろしいね。)
呑気にピンクな事を考えているのであった。
そのIQが下がった考えを振り払い、空を見…
「勝ったぜ、今度は護れたよな」
『大丈夫、カッコよかったよ』
そんな声が聞こえた気がした。
蒼い空はどこまでも奇麗だった。
Q 剣姫はヒロインじゃないっていったじゃないの⁉ 通りすがりの美の女神
A 調整中です。 というのは半分嘘で、書いてるうちに筆が乗ったので、涼介君にはロリコンになってもらいます、ヘスティアもロリ神って言われてるしええやろ。
まぁ原作開始してみてからですね、ホントにヒロインになるかは。
楽しめてる?
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面白いよ、このまま進め。
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もうちょい精進しても良いんじゃよ?