「数え抜き手、四、三、ニ、一‼︎」
四体の魔物が高速の抜き手により貫かれ散る。
残るのは魔石のみ、それを見た馬車に乗る人々は歓声を上げる。
「さっすが、ボクのリョウスケ君だ、何度見ても気持ちの良い技だね。」
ヘスティアが馬車の中から感想を述べると見ていた人間達がうんうんと頷く。
馬車に乗って目的地に向かう道中、何度か魔物に襲われるも全て涼介の手によって瞬殺…これで恩恵無しなのだから恐ろしい。
家族になってくれない?その問いかけに彼は頷いたものの、恩恵を刻むのは待ったをかけた。
ヘスティアからすれば恩恵の無い状態で魔物と戦うなんて恐ろしい事だ。
しかし彼は腕試しがしたかった、自分の磨いた武術がどこまで通用するか…それが知りたかった為に世界の中心オラリオに着く迄は恩恵無しでやらせてくれ、とヘスティアに頼み込んだ。
『絶対にボクを一人にしないでおくれよ?それが約束出来るなら、ボクも覚悟する。』
ヘスティアはそう言って折れた、そんな彼女に感謝しながらも彼は技を振るう数ヶ月だった。
遺跡を守るファミリアの静止もなんのその、中にいる蠍の魔物が一番強かったなぁ…なんて思い返す涼介。
彼の絶技の前には強大な蠍すらも倒すことはそう難しい事でもなかった。
「リョウスケ君〜戻っておいで〜。」
「了解、ヘスティア、すぐ戻るよ。」
魔石を拾うと馬車に乗る涼介。そんな彼にベッタリとくっつき手を握るヘスティア。
彼らには数ヶ月という期間はお互いを大切に思うのに充分な…そしてリョウスケにとっては自分を助けてくれた事もあり、守るべき大切な存在にもなっていた。
「えへへ〜、リョウスケ君の横は誰にも渡さないぜ。」
「ま、今のところはヘスティア以外は居ないからな、俺が守るよ。」
「嬉しい事言ってくれるじゃないか…って‼︎今のところってどういう事だい⁉︎」
「これからオラリオに着いたら新しい眷族が増えるかもしれないだろう?そしたらそいつも守ってやんないとダメだろ?」
「あ〜そっか…ボクにもリョウスケ君以外の眷族できるかな?」
「出来るさ、ヘスティアは良い神だからな。」
そう言って不安そうに顔を俯かせるヘスティアの頭を撫でると彼女は喜ぶ表情を見せ、太陽の様に笑う彼女に釣られる様に笑う涼介だった。
馬車に乗る全ての人々はそれを見て、気持ちの良いものを見た事に顔を綻ばせるのであった。
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「オラリオも最近はマシになったとは言え、物騒だ…兄ちゃんたちも気をつけるんだよ?」
「ありがとなおっちゃん、気をつけるよ。」
「ありがとね馬車のオーナー君、ここまで乗せてくれて。」
「良いさ、良いもん見せてもらったし、護衛もしてくれた…兄ちゃん程の護衛は中々居ないだろうが、ここで新しい護衛を探すさ。」
それとこれ、と言って馬車のオーナーは少なく無い金を涼介に渡す。
「にいちゃんのおかげでこっちは荷物にも傷一つ無かった、ボーナスだと思って受け取ってくれ。」
「助かる、この恩はいつか。」
「恩だと思うんならのし上がってみせてくれよ、アンタらの先行きが良いものでありますように。」
気持ちの良い事を言ってくれるオーナーに頭を下げる二人。
笑いながら去っていく彼にヘスティアは手を振り続けていた。
「良い人だったな。」
「うん、彼に言われた通り、ボクらも頑張ろうよ、ね?」
「そうだな、まぁ俺らなりのペースで歩いていこうぜ。」
そう言って門番の所に向かっていく二人だった。
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「そう言えば、これからどこ行くんだ?」
屋台で購入した串焼きを口にくわえながら歩く涼介はヘスティアに聞く。
「ボクの天界の時の友達が結構前にオラリオに来ててね、彼女にお願いして色々聞こうかなって思ってね。」
「なるほどね、さっき聞いてたファミリアの所に行くんだな?」
「そうそう、ボクの友達ヘファイストスの所さ。」
そう言ったと同時にバベル…世界で最も大きな塔に着く。
「ココがバベル…遠目で見た時でもでかいのに、近くだと壮観だな。」
「だね、リョウスケ君はちょっとだけ待っててくれるかい?今ヘファイストスに声かけてくるから。」
「わかった、待ってるよ。」
ヘスティアはツインテールをぴょこぴょこ動かしながら店舗に入っていく。
涼介は先ほどから感じる視線の方を見やる。
それはバベルの頂上から感じるものだった。
「不躾な視線だなぁ…ガイダル師匠ならブチ切れて速攻殺しにかかるんだろうけど、俺はあそこまで沸点低く無いからなぁ…」
粘っこい視線を感じる、執着するかの様なそれを、出来る限り気にしない様にすることしか今の彼に出来ることは無かった。
事を荒立てる、それは自分の主神が望む事ではないだろうと考えて…
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「素晴らしい…あそこまで綺麗な魂、見たことないわ。」
バベルの頂点に、その女神はいた。
その視線は地上に居る彼に向けられていた。
美の女神、フレイヤ…美しさの具現とも言える彼女は彼、リョウスケを見ながら悦に浸る。
漆黒の彼の魂、全てを飲み込む黒はその中に光を宿し、そのバランスがとても調和の取れた美しさ。
それがリョウスケの魂の色だった。
人の魂を見ることのできるフレイヤにとって彼は…とても欲しくなる、恋焦がれるものであった。
彼女は傍らに居る猪人(ボアズ)に問いかける。
「オッタル、彼に勝てるかしら?」
「計りきれない…というのが事実です、実力の底が見えない、それが私の私見です。」
「そう、なら試してもらえるかしら?」
「御心のままに。」
「ふふ、私は欲しいものを我慢なんてしないわ、だから…あなたを手に入れたいわ。」
そう言った彼女の笑みはどこまでも美しく、万人を惹きつけるものだった。
時系列に関しては前もって言っておくと四年前ですね、一応理由は有りますが、まぁ楽しみにしてて下さい。
実は今作の没案として、アークナイツとダンまちクロスも考えてました…と言ってもエリオペのオリ主が暴れ回りながら、ダンまち世界に飛んできたドゥカレと戦う…なんてのも考えてましたが、アーツを使える原理とか色々設定考えてパンクしたんで書きませんでした、誰か書いてください。
楽しめてる?
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面白いよ、このまま進め。
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もうちょい精進しても良いんじゃよ?