彼が現れた瞬間、空気が変わる。
「リョウスケ、来てくれたのは嬉しい…レフィーヤをどうにか治療出来ないかな?」
「ほれ、エリクサー」
「わっと…ありがとう‼絶対返すから‼」
レフィーヤの治療を行うティオナの元に触手が走る…
一閃…いつ抜刀したのか誰にも見えない斬撃により、近くの触手は切り払われ散った。
「や、やるやんけ…」
「だろ?ロキ、アンタんところちょいと温いぞ。鍛え直してやろうか?」
「か、カササギ氏…街に魔物が…」
「エイナちゃん、大丈夫残りはここだけだ。ここを散らしたら終わり」
信じられない…それがこの場に来たエイナの感想だった。
いくらそこまで強くない魔物達だとは言え、この短時間で…
その時先輩であるローズの言葉を思い出す。
『ロキファミリアに処理を?大丈夫だと思うけどね。アイツ居るだろうし』
『でも、被害が出たら…』
『間に合う男なのよ、アイツは』
『私は行ってきます。ロキファミリアが近いみたいですので‼』
彼女の言う通りだった。
本当に誰も被害を出さずに…彼は『間に合う』人だったのだ
「ま、間に合わないヒーローなんて誰もお呼びじゃないだろ?せめてこれ位はするさ」
呼ばれてない時はこんな事できないけどな。なんて笑う彼。
彼はこちらに笑いかけた後、驚く程底冷えする表情を魔物に見せる。
心なしか魔物が少し引いてる気がする。
「花は花屋で飾られてりゃいいよ。それが出来ねぇならくたばれ」
また一閃、剣先は見えない…その一閃で全ての魔物が魔石を残して消滅した。
「すごい…」
アイズの呟きが街の通りに響く。
この場に居る全員の感想だろう、凄まじい一閃…それですべての片を付けてしまうのだから。
「エイナちゃん、逃げだした魔物の確認なんだけどいいかな?」
「は、はい‼」
そう言って討伐していった魔物を羅列していく…この短時間でありえない程の距離と数。
しかしエイナの顔が強張る…
「カササギ氏…シルバーバックが残っています…」
「ちっ、見逃してたか…被害が出てないと良いが。今から俺は街を見回ってくる。ここはロキファミリアに任せるよ」
「リョウスケ、私も行く」
「アイズも?遅かったら置いてくからな」
「エアリエル使うから大丈夫‼」
そこまで言うなら最高速度で行くのも悪くない…と考える涼介。
「んじゃ、後は任せた」
そう言って彼はその場から消え、アイズも消えるのであった。
―――――
主神とその眷属が街を走る。
後ろには魔物…シルバーバックが追走する。
「なんで、ボク達を追うんだい⁉あの魔物は⁉」
「神様、今は喋らないで走るのに集中して‼」
「グオォォォ‼」
「っ⁉このままじゃ…神様、ダイダロス通りに‼」
「けどあそこはっ⁉」
「このままじゃやられます。せめてあそこに逃げ込んで態勢を整えないと‼」
「わかった、行こう‼」
走る、ダイダロス通りに潜り込む…住人は家のドア、窓を閉めていく。
通りをベルとヘスティアは走る…少しずつシルバーバックとの距離が開いていく。
時間稼ぎには十分な程の距離が開き、裏道を通り、二人は少し話し合う。
「武器があれば…僕も戦えるのに…」
「ベル君、今の君に必要なモノ…ボクは持ってるぜ‼」
「え?」
そう言って彼女が取り出したるは漆黒の刀身を持つナイフ…
それを差し出すヘスティアだが、ベルはいろんな気持ちでいっぱいだった。
どうして僕に…僕はまだなにも皆の為に動けていないのに…
そんな思いが巡るが、ヘスティアは無垢な笑みを向ける。
「ベル君、キミが入ってくれてボク達はメチャクチャ嬉しかったんだよ」
「…」
「リリ君だって後輩に負けたくないって言う一心で頑張ってるし、リュー君だって不器用ながら優しくしようとしてる…リョウスケ君なんか弟子が出来てスゴイ喜んでるんだよ」
「本当ですか?」
「ああ、ボクもベル君が来てくれて嬉しい…だからキミはもっとわがままを言っていいんだよ」
「なら…僕はあの魔物に勝ちたいです」
「その為のボクなりの魔法をかけたげる。背中を出すんだベル君…更新だよ」
「…はい‼」
更新を始めるヘスティア…後ろではドシン…ドシン…と言う音が遠くながら聞こえてくるが、落ち着き払って更新を続ける。
「ベル君、大丈夫…キミなら勝てる。そうなる様にボクも頑張る。だから落ち着いて…そうじゃないと勝てるモノも勝てなくなるよ」
「はい…」
ベルの震えを察したかの如く、ヘスティアは優しく諭す。
(ベル君の気配だけじゃない…ボクにだけわかる様にリョウスケ君が気配を飛ばしてくれている…ならいざと言う時はなんとかなる。今はベル君の試練…だから動かないんだよね…リョウスケ君)
意図を察するヘスティア…付き合いが長いとこんな事もわかるのか…以心伝心と言うヤツである。
(ボクの安全は確保してるんだろうけど、リョウスケ君の事だからベル君の安全までは確保してない可能性がある…ならボクはベル君が戦える様に場を整える事しか出来ない…)
自分の無力が嫌になる…神友のタケミカヅチならば一緒に戦う事が出来るのだろうか…そんな事ばかり考えてしまう。
涼介の時もそうだった。自分は見ている事しか出来ない…そんな無力感ばかり感じていた。
せめて出来る事を…
「ベル君…更新終わったよ‼ステイタス見るかい⁉」
「いえ、見たいけれど…今は目の前の魔物と戦います…」
ベルの目の前には魔物、シルバーバックが居た。
少年は立ち向かう…初めての冒険、命がけの戦いが始まろうとしていた。
―――――
ベルが戦っているそれを見ている神と眷属が居た。
「ああ、いいわぁ。無垢なる少年が立ち上がって背伸びする瞬間…良いと思わない?オッタル」
「俺は、彼奴の仕込みの丁寧さと手早さに改めて驚きを禁じ得ません」
「オッタルから見てもそうなの?ならシルバーバックでは足りなかったかしら?」
「難しい所です。それでも苦戦している辺り今位でちょうどいいのでしょう」
「そう…ならこれで良いわ」
彼女、フレイヤが笑う。
もしも涼介を想っていなければ真っ先に狙うであろう魂の持ち主。
彼との共同作業でベル・クラネルを育てると言うのも悪くない…「フレイヤ様‼」
リィン…と言う音が鳴った気がした。
まだ怪物祭編終わらないんだ、すまないとは思っているけど仕方ないんだ。
ストック切れたので投稿ペース落ちます。
楽しめてる?
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面白いよ、このまま進め。
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もうちょい精進しても良いんじゃよ?