「お~、あれを捌くか。悪くないじゃんオッタル」
「き…貴様、なんのつもりだ?もしも今のが当たればフレイヤ様は…‼」
「それがどうした?最低限死なねーようにはしてる。それで文句ないだろ?」
斬撃を捌いたものの、その反動で動けなくなっているオッタルと問題なく動ける涼介。
双方の後ろにはアイズとフレイヤが居る。
フレイヤは不敵な笑みを崩さないで居るが、アイズはこんな彼を見たくない気持ちでいっぱいだった。
「リョウスケ、アナタが誘ってくれないから共同作業が出来なかったじゃない」
「え?俺が悪いの?シルの時は遊んでるじゃん、それで我慢しろよ…なんだよ共同作業って…」
訳の分からない事を言われて一瞬混乱する涼介。
その一瞬を見逃す程オッタルは手緩くなかった、オッタルの斬撃が涼介を襲う。
周囲の建物にひびが入り、煙が舞う。
「やった…とは言えないわね…」
「ええ、かすり傷付けられれば幸いと言った所です…」
「希望的観測は自分を殺すって教えたよな?」
「っ⁉」
涼介が煙の中から飛び出し、オッタルの腹に一撃を入れる。
「かはっ⁉」
「飛んどけ」
彼の言葉の通りにオッタルは吹き飛ぶ…一区画は吹き飛ばしただろうか…
彼はフレイヤの方を見る。
「今のお前は振ったはずだが?どうして今の姿でちょっかいかけてくる…嫌われたいのか?」
「そんなことないわ、アナタを愛したい、アナタに愛されたい。私の心はそれで一杯よ」
「ならこんな事辞めればいいのに…」
「止まれないのよ‼私は‼」
それを聞いた彼はもう話しても無駄だと感じたのかその場から離れようとする…がアイズが肩を掴む。
「アイズ、なんのつもりだ?」
「リョウスケは一回本音で話さないと伝わらないと思う…だから、話して上げて」
少し考える表情を見せる彼にアイズは後押しするかのように肩をトントン、と叩く。
「いつの間にかアイズは大人になってたんだな…お前にそんな事言われるなんて想像つかなかったよ…」
「私も成長してるんだから…リョウスケに好きになって欲しいんだから…」
ベルの恋路どうしよう…もう諦めていいかな…なんて考えてしまう。
俺は悪くないよね… ←誰でもたらすスパダリムーブしてるのが悪いと思います。
うん、悪くない…だからこれからも変わらず女の子と遊びまくろう。 ←護身完了かよ。
アイズの頭を軽く撫でフレイヤと向き合うのだった。
―――――
「だあぁぁ⁉今の危なかったよ⁉」
「グオォォォ‼」
ベルは新しいナイフを貰い、それを振るおうとするも上手くいかない、ズレがあるからだ。
ここ数日ダンジョンに潜らずに鍛錬ばかりやっていたベルにとって実戦のズレが痛い。
これに関しては怪物祭でトラブル起きても何とかなるだろう…という戦いの才能のある涼介と才能の無いベルの違いが出てしまった。
なまじ教えてきたのが才能ある人間ばかり…その為に才能の無いベルとの落差を知り得なかった…そこが唯一の手抜かりだった。
しかし…
「神様は…僕が守るんだ‼」
「グオアァァァ⁉」
斬撃が入る、それはまるでお手本のような一撃…
「ベル…君…」
ヘスティアは唖然としながらも彼を見る、彼女には見えた。
折れそうな心を奮い立たせながら強敵に立ち向かう…神の最も好物とする英雄としての姿が今の彼には有った。
斬撃と打撃の応酬、レベルが高いモノからすれば退屈極まりないであろうその戦いが、何故か目が離せなかった。
民衆も気づけば応援するモノも出てくるほどに、未熟ながらも見届けたくなる戦いとなったのだ。
打撃が左肩を掠める。それにより、彼は呻き声を上げる。
それを切欠に防戦一方となるベル。
何かの切欠が無ければ切り返す事が出来ない状態になってしまう。
涙が溢れる、自分はダメだ…こんな時にすら誰かに助けてもらいたく思ってしまう。
そんな時だった…ふと思い出されるのは師の言葉。
『ベル、お前が選んだ力は活人拳だ、何かを護るのは凄い得意な力だ』
『でもな…気を付けないといけない事がある、それはお前が敗北した時だ』
「もしも負けたら…活人拳が負けたら全てを失う…」
「失いたくなければ…立ち向かえ‼」
少年の呟きは誰にも聞こえない…だが、驚く程少年には染み渡る。
殺人拳ならば最悪相打ちになれば自分の大切な物は護れる、しかし活人拳にはそれが無い…勝つしかないのだ…その道を選んだからには。
「……行くぞ‼」
「グオォォォ‼」
斬撃と打撃が交差する…お互いの一撃…当たったのはベルの一撃だった。
魔物が倒れ、魔石となる。
大喝采、その場に居た者の熱狂は最高潮になった。
少年を褒め称えるものばかり、少年は確かに英雄の卵になったのだ。
「勝ちましたよ…神様…」
「うん、頑張ったよベル君…お疲れ様」
そう言ってヘスティアが頭を撫でるとベルはとても嬉しい気持ちになる…なにか報われる気持ちになるのだった。
―――――
「へぇ…勝つとは思っていたけど、カッコイイじゃない」
「ま、俺が鍛えたから当然だな。むしろ前半の動きが悪いから減点」
「あの子…まだ冒険者になってそんなに経ってないんじゃないの?そうだとしたらすごい…」
「まぁアイツはまだ二週間経ってない位じゃないかな?実際才能は無いよ」
「でも彼は勝った…それが大事じゃなくて?」
「うん、才能は無いけど一番必要なもんは持ってる。だから鍛えることにした」
「一番大事なモノ?」
「ナイショ。ま、教えて欲しけりゃピロートークで聞くんだな。素面じゃ恥ずかしくて言えねぇ」
「私は良いわよ?」 「ピロートークってなに?」
両極端だなぁ…などと考える涼介、と言ってもフレイヤと言う女神とベッドを共にすると言うのは今の涼介にはありえない…つまりフレイヤには元より教えるつもりが無い。
アイズは純真すぎるのでリヴェリアさんには教育頑張って…あ、だめだあっちも割かし純真なタイプじゃん。
「とりあえず、ベルになんかする時は相談してからにしないとガチでそっちと縁切るからな」
「わかったわ。もう、好きな子に意地悪したがるんだから」
「リョウスケはそういうところあるよね」
「…俺はベルの所に行ってくる」
次の瞬間には涼介は消えていた。
二人がベルの方を見るとそちらに現れていた。
「流石ね…剣姫、アナタは行かないの?」
「私はロキ達と合流しないと…だからさよなら」
アイズも立ち去る。
「一応次の相談できる関係にはなったから良しとしましょうか、オッタル…ダメそうね。少し待ちましょう」
二時間後くらいにオッタルが目が覚めて帰宅するフレイヤであった。
クソボケ涼介君のせいでもうヒロインレースぐちゃぐちゃだよぉ…
楽しめてる?
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面白いよ、このまま進め。
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もうちょい精進しても良いんじゃよ?