「リョウスケく〜ん、どうしたんだい?待ってる間に誰かに絡まれたのかい?」
「いや、別に…ちょっとね…んで、そちらがヘスティアの友達の方?」
リョウスケがそう言うと、ヘスティアについてきている赤髪眼帯の美女が一歩前に出て涼介に微笑む。
「初めまして、アナタがヘスティアの子ね。私はヘファイストス、ヘファイストスファミリアの主神をやっているの。ヘスティアとは天界の時からの友神よ。」
「俺、鵲涼介って言います、よろしくお願いします。ヘスティア…」
「ん?どうしたんだい、リョウスケ君?」
「本当に友達居たんだな、ヘスティアの妄想じゃ無かったんだな…」
「にゃにおう‼︎いくらリョウスケ君でもその言葉…聞き捨てならないぞ‼︎」
ツインテールを触覚の様に動かしながら怒るヘスティアを宥める涼介、その二人を見て微笑ましいものを見るかの様にクスリと笑いながらヘファイストスは涼介を見やる。
振る舞いこそふざけている様子を見せているが、多くの冒険者を見てきた彼女の経験が伝えてきていた…彼は強いと。
二刀を腰に差し、その佇まいは余裕のある…間違いなく強者だった。
「リョウスケ…アナタの腰に差している刀、見せてもらって良いかしら?」
「ん?あ〜そう言えばヘファイストス様は鍛治の神様でしたね、見せるだけで良ければ良いですよ。」
「ありがとう、じゃあ店内に入ってちょうだい、私のオフィスでゆっくり見せてもらうわ。」
そう言って店内に入っていくヘファイストスについて行く二人であった。
—————
ヘファイストスは目の前の二振りの刀に夢中になっていた。
それは遊びが徹底的に無く、飾り気の全く無い、切る事に特化した刀だった。
「極限まで切る事しか考えていない、遊びの無さ、合理主義の塊の様な刀ね…ここまでの刀は天界にいる時の私と同等かそれ以上の鍛治師じゃないと鍛え上げれないわ。」
「そいつらは銘すら振られてない実用特化ですからね、俺も多少鍛治に関しては齧りましたが、この刀の様にはいかないっすね。」
「リョウスケ君は刀も作れるのかい?」
「まぁ、元恋人が鍛治師で剣士だったから、暇な時に聞いてた。」
「なぬう‼︎恋人だって⁉︎」
「ヘスティア、今集中したいの、静かにしてくれる?」
「ご、ごめんよヘファイストス。でも天界の時の君と同等かそれ以上の刀だなんて、作れるのかい?」
そう、ヘスティアにとってヘファイストスは自慢の神友である…そして鍛治に関しては彼女を越えるものがいたとして、それが人間であると言うのはにわかに信じがたいものであった。
「魔力を込めたりする事でこの刀を越える物は作れるわ、けれどただの鉄、それをこの呼吸で打つと言うのは私でも出来るかどうか怪しいわ。これを打った鍛治師がオリハルコンで打てば、私は敵わないかもしれないわ…」
「これをどうやって手に入れたの?」
ヘファイストスが涼介に問うと彼はへらりと笑いながら答える。
「さっき言った元恋人の親父の作品なんだけど、俺が良い刀欲しいなってぼやいてたら誕生日に人を殺めない約束させられて、その代わりにもらった。」
「人を切らない…皮肉ね、こんなに切れ味の良い刀を持って人を殺めないなんて今のご時世、どこまで出来るか…」
「ま、俺に出来る限り約束は守るつもりっす、もう人を殺めない…俺は人殺しの人形にはなるつもりは無いんで。」
「そう、頑張りなさい。ヘスティアも人斬りになっては欲しく無いでしょうし。」
「ええ。」
そう答えると、涼介は横に座るヘスティアの頭を撫でる。
それがくすぐったいけど、にへらと破顔するヘスティアに、安心した様子のヘファイストスだった。
「それで、一つ頼みがあるんだけど…」
「天界でヘスティアが世話になってるし、これからもお世話になるでしょうし、無理のない範囲なら良いですよ。良いよな?ヘスティア。」
「うん、ボクも応えてあげて欲しいなって思ってたよ。」
「そう、ありがとう…お願いは…」
「「お願いは?」」
「刀のメンテナンスを私に任せてもらえないかしら?もちろん割引するわ。」
「いや、助かりますけど、わざわざ言わなくても…」
「そうだよ、キミが直接やるなんて、しかもキミからお願いするなんて…」
最初は別に割引などしなくても良いと思っていた涼介とヘスティアの二人だったが、ヘファイストスにとっては未知の技術の塊…それだけのことをする価値はあるらしい。
他にも何か欲しい物はあるか?と聞かれたので涼介は住む場所を探して欲しいと伝える。
オラリオに来たばかりのお上りさんの二人が探す宿よりも、街に詳しいヘファイストスに探してもらった方が良いと考えた為だ。
それならばと、購入したが使い道のなかった廃教会を薦めるヘファイストスであった。
一応生活は出来る為に一旦そこで暫く過ごしてもらい、良い物件が見つかればそこを紹介する…ということで話はついた。
「何かあったらいつでも相談してきなさいな、お金に関して以外なら聞いてあげるわ。」
「ありがとう、ヘファイストス。何かあったらお願いするよ、今度ご飯一緒に行こうね。」
「ありがとうございます、ヘファイストス様…助かります。」
「リョウスケ君、ヘスティアを頼むわよ。この子は頼りないけど悪い神じゃないから。」
「ええ、大丈夫です。ヘスティアは…俺にとって自慢の主神ですから。」
そのリョウスケの言葉を聞いて顔が弛むヘスティアを責めるモノは居ないだろう、精々ストーカーの誰かがリョウスケが欲しいのに邪魔をして…と文句を言いたそうにこちらを見てくる程度だろう。
そして今度こそヘファイストスは手を振りながらちゃっかり横の彼の手を握るヘスティアと…頭をきっちりと下げ、礼を尽くして去るリョウスケを見送るのであった。
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ヘファイストスから廃教会への地図をもらい、その通りに歩く二人は今晩の食事を屋台で買い、廃教会へと向かっていた。
「そう言えば、リョウスケ君は異世界から来たって前教えてくれたけど、そこではどれくらいの強さだったんだい?」
それはヘスティアのちょっとした好奇心だった。
自分の大切な眷属が強いのはわかる、しかし元いた世界でどれだけ強かったのか…と言うのは気になるのは仕方ないだろう。
そんなヘスティアに涼介は少し思案した後答える。
「んー強さかぁ、まず一つの考え方として…強い方が確実に勝つって考えは良くないことだって考えがあるってのを前置きにして良いかい?」
「どうしてだい?この世界だと、レベルが絶対で、下の子は勝てないって考えだと思うんだ。」
「大体の場合はそうなんだけどね、たまにあるんだ…執念とか色んな要素が噛み合って強者が弱者に負けるってのがね。」
「ふむふむ。」
「それを含めて…一国を一人で傾けることが出来る強さの達人が18人がかりで殺しに来てギリギリ俺を倒せる位かな。」
「へ?」
涼介一言は、ヘスティアの理解の範疇を超えていた。
「普段の俺だったら半分の数で足りただろうけど、生きたいって言う執念とかそこら辺の兼ね合いかな。」
「生きたいっていう思いでそこまで出来るのかい?」
「ん〜後は乗り気じゃない師匠達も居たのがデカかったかもね〜。」
そう、武器組の八皇断罪刃は躊躇なく殺しに来たが、一影九拳の面子は半分位はそんなに乗り気ではなかった…というのもデカい。
それでも凄まじいのだが…
彼らが乗り気ではない…程度の力ですら並の達人であれば瞬殺される程だからだ。
「だから実際戦ったのは国十個ちょい位かな、まぁそんなでしょ?」
ヘスティアの背筋に冷たい汗が走る。
国一個を相手にするだけでも凄いことなのに、十個相当の相手をしたと彼は言う。
そしてそれが嘘でも誇張でもなんでもない、ただの事実を伝えてきたのだと彼女は神である自分だからこそ解ってしまった。
「ヘスティア?どした?なんか変なこと言ったか?」
「…ナンデモナイヨ。」
「?まぁいっか、疲れてるみたいだし、今日はさっさと寝るか。」
「ソウダネ…」
早くもヘファイストスに相談したいことが出来たヘスティアであった。
中々話進まなくて申し訳ありません、描写したいこと多くてあんまり話が進まないんですよね…上手いこと書きたい。
ケンイチの読者の方だとあれ?って思うのはあると思うのが、18対1で殺し合いするか?って話なんですが、それだけ重く見たって事で納得して下さると幸いです。
殺人拳と活人拳のバランスが崩れるほどの事だったって言う設定で考えてます。
楽しめてる?
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面白いよ、このまま進め。
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もうちょい精進しても良いんじゃよ?