アンケでも取るべきなのだろうか…
リリルカは探していた、その人を。
リリルカは会わないといけなかった、その人と。
リリルカは話さないといけないと思っていた、その人と。
その人は行き場を失くしていた自分を助けてくれた恩人。
普段は飄々としているのに決める時は決める…そんな人。
とても強いけどそれを笠に着る事が無い…自分だったら出来ない事をする人。
眩しかった、その笑顔が…生き方も。
私には出来ない。そんな生き方を彼は呼吸するかのようにこなす。眩しかった。
憧れていた私に彼は言った。
『憧れってさ、あんまり良くないと思うんだ…憧れは眩しいからちゃんと実像を捉えることができない。つまりちゃんとその人が見れてないと思うんだ。だから俺に憧れるのは止めてくれよ?』
彼はどんな生き方をしたらそんな考えになるのだろう…そんな事を言われても憧れる事を止める事は出来ない。
だって彼は私の憧れる…
「リリ‼」
リリルカが振り向くと、彼女にとって憧れの人が居た。
「…リョウスケ様…」
本当は今すぐにでも飛びつきたい…抱きしめて頭を撫でて欲しい…しかしそれをしては何のために自分と彼が喧嘩したのかわからなくなる。
「リリ…ごめん。俺なんて言うか、分かってなかった…お前がどんな気持ちで居たのか…全然理解できてなかった…」
ズルい…と思った。そんな謝られ方したら何も言えなくなる…
それに好きな人にそんな言い方されたら許したくなる…そんな自分の中の女の子の感情が怒るのを妨げようとする。
元々人生丸ごと渡そうと思うほどに好きなのだ。あの路地裏で助けられた時にそこまで考えていた。
ただ、そのまま許すのはいけない…どこか今までの歪な関係が続く気がした。
「許します…」
「リリ…」
「ただし、条件があります」
「ああ、聞くよ」
「リリの修行はちゃんとつけてください…ベル様とか他の人見たいに厳しくしてください」
「ああ、そうする。」
「他のところではリリを甘やかして欲しいです。抱きしめて、頭を撫でて欲しいです」
「俺の方から望むところだ、絶対に甘やかしまくってやる」
「後は…誰かと重ねてるみたいですけど…」
リリルカのその言葉は、やはり来るか…と涼介に思わせるモノだった。
気になるだろう、涼介は過去の女の子に関しては話したがらない。
それは触れて欲しくない傷痕の様でもあり、彼にとって触れてはならない聖域のようなモノだと彼は思っているからだ。
しかし、いつまでも閉じておける秘密は無い…この世には無限に隠せる秘密など存在しないのだ。
もう隠しておいけないな…しかし全部言うのは自分の弱さが邪魔をする…ならばと少しだけ話す…納得してもらえる程度には話すのが筋であり、ちょうどいいだろうと考える。
「それが気になるならホームで話そう。全部を話す事は、今の俺の弱さじゃ出来ない…けど一部なら話す事が出来る。それでいいか?」
「…わかりました、約束ですよ?それじゃ…」
「ホームに帰ろう、色々アイツらにも心配かけたし…お土産でも買ってな」
「はい‼」
リリルカの機嫌はすっかり直っていた、ちゃんと対応したのが功を奏したのだろう。それとずっと拗ねる程大人ではなく、ころころ機嫌が変わる子供であったのが良かったのかもしれない。
しばし、二人は買い物を楽しむのであった。
―――――
ヘスティアファミリアホームにて。
「あの…なんで全員聞こうとするの?」
涼介の疑問はもっともだろう。リリルカだけに話すつもりだったのに、談話室には全員揃っていた。
なんならアイズまでいる始末。
君は帰りなさい、兎(ベル)が逃げたくなってるのを無理やり涼介が引きずるという状況まで出来上がってる始末。
「涼介の過去…気になるから。居たらダメ?」
「居たら兎が逃げるだろ」
「ベルには謝っただけじゃダメだったかな?」
「いや、そういう問題じゃ…ベルは…」
「ベルは?」
流石に本人がグダグダしているとはいえ、ベルがアイズに想いを馳せているとは言わないだけの情けが彼には有った。
他の面々もベルの恋心を知っているだけに何も言えない…そもそもヘスティアファミリアは主神も含めてほぼ全員性格のいい子ばかりなのである。
(性格悪いのは涼介だけだが今は情け発動中だ)
「ええっと…ベル君の事は良いじゃないか‼今はリョウスケ君の話がボクは聞きたいな~‼」
「…?そうだね、リョウスケの話聞きたいな」
兎は助かったがリョウスケは助からない様だ…
諦めて彼は話す事にした…彼にとって大事な人、いまでも想い続けている人…そんな人の話を。
―――――
過去、まだ涼介が幼い時…
闇の修行場の一つ、その丘の上で二人の男女が座っていた。
「また涼介しかめっ面してる…笑った方がカッコイイんだから笑わないと」
涼介の傍らに居る少女は指で自分の口角を上げ、おどける。
彼女の名前はリーナ・ヴァレンタイン。
闇人の一人の弟子であり、零の継承者である涼介とふとしたことから友人になったという経緯の人物である。
「俺が笑って誰が得をする…笑っても何も変わらない」
「変わるよ?周りの人は涼介が元気だって安心する。私は涼介が笑ってて嬉しい、いいことだらけでしょ?」
彼女の言うことが理解できなかった…現在の涼介と違いこの時の彼はまだ感情の薄い…一昔前、まだ涼介に会ってない頃のアイズの様な状態だと言えばわかりやすいだろうか?
そんな彼の琴線にどう触れたのかわからないが、涼介はリーナと一緒に居ようとしていた。
「…俺が笑うとリーナは嬉しいのか?」
「うん、むしろ笑ってないと寂しいかな。絶対に人気出ると思うんだけどな…」
「普通人気出たりしない様にするんじゃないのか?」
「全然、だって私は涼介にハーレム作って欲しいからね‼」
リーナは普段から涼介にハーレムを作れと言う。その中の正妻は譲らないが、他の面子を集めて全員で幸せになりたい…それが彼女の持論だった。
涼介はリーナだけが居ればいい…そう思っていたのだが…
『だって涼介は一人じゃ繋ぎ止めれそうにないんだもん』
そう彼女に言われた…自分には理解が出来なかった。繋ぎ止める?俺を?何のために?
『理解出来ないなら今はいいよ。いつか理解できる時が来ると思う』
過去のリーナの言葉が思い出される、彼女の言葉は彼にとって不思議と染み渡るモノだった。
「…?どうしたの?また前の事思い出してるの?」
「ああ」
「昔の事ばかり考えてないで、今の事…未来の事考えよ?過去の事ばかり考えてたら老けちゃうよ?」
「そうだな…わかったよ」
「よろしい。それじゃ私以外の誰を引き込むか、相談しよ?」
「……」
リーナは才能は有るが殺人拳として生きる事を嫌い…自分が成長したら活人拳の道を行きたい…そう考える少女だった。
そんな彼女の夢を応援する…ささやかな願いが今の涼介にとって何よりも幸せな瞬間だった。
「私はね…強くなりたい。強くなって自由が欲しいの…」
「リーナ…」
「その為に、一緒に頑張ろ?」
「リーナ、お前は強くならなくていい…」
強くなれば危険な事に出会う…そう考えた涼介だが、リーナの考えは違った。
「アナタに守ってもらうのが一番?けどね、アナタは無敵のスーパーヒーローじゃない…だからいつも間に合うとは限らない…」
「なら俺は…」
「無敵のスーパーヒーローになる?でもね、それじゃあ誰が皆を守るスーパーヒーローを守ってあげるの?」
「俺は守ってもらわなくても…」
「アナタがそう思っていても周りの人も守ってあげたいのよ?だから私がアナタを守る手伝いをするのを止めないで」
そう言われてしまっては涼介は何も言えなかった。
そんな事が有ったのだ…今となっては、未練でしかないが…
今は一部を語る事のみでこの場は締めさせてもらおう…
ちょいぶつ切りっぽいけど仕方ないんです…一応全部はいきなり語りません。
楽しめてる?
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面白いよ、このまま進め。
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もうちょい精進しても良いんじゃよ?