戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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68時間目 信じるか信じないかは貴方次第です。

「あああ…装置が…消化剤だらけに……」

 

火を消し終えた科学部の人間が電気椅子にコードで繋がれたパソコンを前に肩を落とす。

 

幸い爆発は小規模だったようで、被害はそのパソコン一台のみ。

しかし科学部の部長の言葉通り、小火(ぼや)を消すのに使った消化器のせいで現在は真っ白だ。

 

ちょっとした惨事だが騒ぎにならなくてよかった。

 

「せっかくゲイツ先生が手伝ってくれたのに…」

「部長っ!それはナイショにするようにって…!」

「とくに副会長には…」

「おん?」どゆこと?

 

「なんでそこで俺が出てくるんだ。しかもナイショって」

「あ、いや…」

「いっ、今のは別に…」

「あやしいな…ちょおっとばかし詳しくオハナシ聞かせてもらおうかなぁ?」

 

ニッコリと満面の笑みを浮かべて一歩踏み出すと、科学部の奴らが一斉に壁際に後退る。

 

…………

 

さらに一歩前に足を進めると、もう後がないというのに、なんとか俺と距離を取ろうと壁に身体を押し付け合う。

 

失礼な奴らだ。

 

「とっとと吐け」

「ぅう…じっ、実はこの装置…私たちの作品じゃないんです」

「構造を練ったのは自分らですが、あとのプログラミングとかはほとんどゲイツ先生がやってて…」

 

手伝ってもらうって言うのかそれ?

構造を練るって考えただけだろ?委託じゃん。そんなんでよく我が部の〜とか言えたな。

 

「ゲイツって?」

「この前の全校集会で紹介していたな。確か…三年生の教師だったはずだ」

 

この前の全校集会…確か先月だったな。呂布ちゃんに初めて出会った日だ。

 

酷い目にあったなぁ…その翌日。

放課後生徒会に顔出したら修羅のような気迫を放つ美鶴先輩に有無を言わさず処刑された。

 

連絡してたんじゃねーのかよあのメープル(ババア)、嘘ついてたんじゃねーのか?

機会があったら復讐するとしよう。

 

閑話休題。

 

 

「はい…ゲイツ先生は三年Sクラス担当の先生で、複数の部活動のアドバイザーもしてます…」

「そのSクラスの担任が、顧問でもないのにどうして一団体に肩入れするんだよ。しかも俺に知られないようになんて条件付けて」

「そっ、それは………なんでも秘密裏に副会長の戦闘データを取りたいって話でして…」

 

なんかちょっと前に似たようなことされたような気がするなぁ。

 

色んなシチュエーションで不良たちに襲撃されせてその結果を集計して…

パソコンに取り込んだところで今回みたくおじゃんになった、ってほぼ同じ流れじゃねーか。

 

あの時も確か外人二人組だったな。今回も同一犯か?

でも出た名前は一人だったし…うーん。謎だ。

 

 

「あの…」

「ん?」

 

科学部の部長がおずおずと話しかけてくる。

 

「怒ってないんですか?」

「怒る?」ってなにに対して?

 

「勝手にデータ取られそうになって…」

 

ああ、そういうこと。

 

コイツらは『協力』とか言っときながら、実際は俺を利用していた。その事について今から復讐されるんじゃないかと戦々恐々してるワケだ。

 

「たいして親しくもない上に、ろくに喧嘩もしたことない奴相手に拳とか振るえるかよ。俺は理不尽な弱いものいじめはしない主義なんだ」

「そ…そうなんです?」

「うん」

もちろん調子に乗って度を超えた挑発行為してきたら容赦なくぶちのめすけど。

 

俺の言葉に科学部の奴らがあからさまに安堵の表情を見せる。

 

「よかった…骨の1・2本折られるかと思ったから…」

「俺も病院送りにされると…」

「遺書の内容考えたぜ…」

「………」

 

コイツらが俺のことをどう思ってるか、よく分かる感想だ。

 

「これ以上ここにいてもお互いにいいことはないだろうから、次行くぞみんな」

「わかった」

「うん!」

「……(こくり)」

 

呂布ちゃんたちに確認を取って、教室の出入り口まで移動する。

 

そしてドアに手をかけたとき、後ろから科学部部長に声をかけられた。

 

「あのっ!…本当にご迷惑をお掛けしました…」

「いいよ別に。貴重な体験したのは事実だから」

「……自分は副会長のこと、ちょっと誤解してたみたいです。もっと、短絡的な人物だって聞いてたので」

「その認識は間違ってないぞ」口よりも拳の方が早いって思うし。

 

でも善くん玲ちゃん呂布ちゃん(このこら)の前でショッキングな場面はなるべく控えたいかなーって、柄にもなく考えちまっただけだ。

こんなこと言えないけどね。

 

「祭りの最中に必要のない問題起こす気にゃなれねーよ」

「っ、…………」

 

がばっ、と勢いよく風邪を切る音がしたのでチラッと背後を見ると、部長が深々と頭を下げていた。

 

さらに一瞬遅れて、他の部員たちが慌てて頭を下げる。

 

……

 

軽く手を上げて、なにも言わずに部屋をあとにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ報復はするんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

後日、科学部(プログラミング)部の予算が大幅に削減されることになった。

 

その決定の影に青頭の存在があったかどうかは…定かではない。

 




「千紗先輩千紗先輩、南條千紗先輩」
「はいはいなんでしょう瀬能ナツル後輩君」
「ちょっと小耳挟んだんですがね、どうも科学のプログラミング部の方じゃあまり部費使われてないらしいっスよ」
「おや、そうなんですか?」
「なんでもゲイツなる教師が不当に肩入れしてるみたいなんすよ。清涼祭の出し物もほぼほぼその教師が作ったもんって話でさ」
「それはいけませんね…わかりました。見直しておきます(ニコっ)」
「そうした方がいいっすよ(にやり)」

「……瀬能先輩と千紗先輩の笑顔が黒いです…」
「見て見ぬふりをしておきなさい」
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