戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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お盆期間だけどどこにも行けないきみっ、ぼくと契約してナツルに天誅をかまそう!


71時間目 ノロイノシュレッダー

 

「許せねえ……!!」

 

「ん?」

なんか今聞こえたぞ?

 

 

「人前で美人なお姉さんと平気でイチャイチャしやがって!うらやま――うらやまねたましいぞキサマァッッ!!」

 

 

黒装束に身を包んだ人物が、同じ格好をした集団から外れてナツルたちと対峙する。

 

姿はわからないけどその声は…須川!

 

その身には血涙を流さんばかりの気迫を纏って――ってよく見たら頭巾の目の辺りから赤い液体が流れている。実際に泣いてるのか。言い直したけど本音だだ漏れだしな。

 

 

「お前のような不埒なヤツはたとえ神が許しても俺が許さねえ!!くたばれマゾ野郎!!」

 

台詞が終わると同時に素早い動きでナツルに近づき、拳を振り上げる。

 

普段の体育とかで見せる動きとは段違いだ!嫉妬パワーか?

前回は呂布が攻撃を防いでいたけど、今回は反応出来ていないみたいだ。これは…当たる!?

 

 

 

「ギャラクティカイリュージョン!!」

「ギャアアアア!!?」

 

 

 

ナツルが腕を振るうと、黒煙のような闇が太い鞭のように広がりカウンターで決まった。

正直、失敗する予感はしてた。

 

「私、いたずらに人を傷つける人にはときめかないから」

 

お前自身が『人をいたずらに傷つける奴』だろうが。なんだその悲しげな表情。

 

「あー!あーー!!!」

 

今度はなんだ!?

 

闇の攻撃で吹っ飛ばされた須川が、尻餅をつくような形で床に座り込んで喚き出す。

 

 

 

「くっ、クモが…クモがぁーーーー!あそこに……あぁー!!あっちにも!ぁあーーこっちにも!ここはクモが住うところだぁぁーー!!!」

 

 

 

「なるほど。これがギャラクティカイリュージョンの効果か。相手を恐慌状態にするみたいだな」

「人を技の実験台にするな!」それもクラスメイトを!

 

「いやダミー人形にやっても効果ないから実際に人に使って確かめるしかないだろ」

「悪びれろよ少しは!」

「先に手を出したの向こうだぞ」

 

そうだけどだ!

 

頭を抱え、怯えて取り乱してる姿を見て何か思うことはないのか!?

 

 

「うーむ…そう言われるとちと心が痛むぜ」

「だろう!?」

「確かにこうまで乱心してるヤツにどーこうしようとするのはとても男らしくない事だ。とても後味の悪い呪いのローラー!!」

「ぎゃあああああ!!?」

 

台詞の途中で必殺技(フェイバリット)決めやがった!

 

どこからか(多分イベントリ)取り出した白く四角い物体を頭から須川に押し付けて、反対側から天突きで押し出されるところてんのように――ってあれローラーじゃねえ!シュレッダーだ!!

 

 

「うわぁぁぁ須川ぁぁぁっっ!!!」

 

 

多くの人間が見守る教室内で、あっという間に人ひとりが棊子麺のように細長く細断される。

 

それらは重力に従い地面へと――落ちる前に引き寄せられるように空中を漂う。

 

 

 あらよっと!

 

 

「お前はコックカぁビィ!?」

 

浮かんでいた棊子麺(須川)が行き着いた先には、コック帽を被りお玉とフライパンを持った木彫りの人形がいた。

 

カぁビィシリーズは初日にあらかた壊されたが、アレはなぜか厨房に配置されていたために破壊を免れた。

後で厨房を担当している土屋に聞いてみたところ、ちょいちょい手伝ってくれて大変助かったそうだ。昔話とかに出てくる妖精か。

 

 

そんな人形のすぐ側には人ひとりが入りそうな大きな鍋が置いてあり、そこに須川が吸い込まれていく。

 

全てが鍋の中に収まると―――手に持っていたお玉で鍋をかき混ぜる。

時おり調味料らしき小瓶を振るってはまた混ぜるを繰り返して、中身をお椀によそう。

 

 

 おあがりよ!

 

 

「え、俺?」

 

コックカぁビィがたっぷりと汁と麺が入ったお椀を勢いよく俺に差し出した。

 

…………これ全部須川なんだよな…

 

血が一滴も流れてないせいか、いまいちスプラッタな雰囲気が沸いてこないが、中身がクラスメイトなのは間違いない。

召し上がりたくないなぁ。

 

 

 おあがりよ……?

 

 

躊躇っているとカぁビィが無言で近づいてきて、圧力をかけてくる。

わかった、分かったよ…!

 

このまま拒否し続けるとどうなるか、どう考えてもろくな結果にならないので大人しく従っとこう。

 

おずおずとお椀を受け取り、意を決して口につけた……

 

 

ズズー ぶっ!!

 

 

「げほっ、ごほっ!マズっ!!」

 

口に含んだ瞬間、なにか感想を思い浮かべる暇なく反射的に口の中のものを吐き出す。

 

「ペッペッ!不味い!須川汁、超マっッッズイ!!」

 

今日この時この場所にいたことを後悔するほどのマズさだ!

ハラ立つマズさ!

 

「そこまで言うことないじゃないか………」

 

コックカぁビィがくれた水(500mlペットボトル)で念入りに口を濯いでいると、鍋の中から全身ずぶ濡れになりながら須川が現る。

 

そういう復活の仕方?

 

「なんか言ったか?」←ナツル

「いえっ、なにも言ってません!」

「いや言っただろ。俺のことマゾとかなんとか――」

「滅相もない!瀬能さんはとても素晴らしく、尊敬できる偉大な人物であります!!」

「どうも」

 

血を吐きそうなくらい必死な台詞を素っ気なく…興味くらい持ってやれ。

 

 

 

「須川!なんだよ今の言い方!?らしくないぞ!!」

「そうだそうだ!」

「異端審問会の会長なんだからもっと毅然とした態度を取れよ!全力で媚びんな!」

 

「うるせーーー!!!ならお前らが行けよ!!もう麺料理の材料になるのはイヤだ!」

 

よっぽど怖かったんだな、顔面蒼白で今にも死にそうなまさに必死な形相だ。

 

ナツルに暴力で意思を通そうとするのはやめよう。




■ 私、いたずらに人を傷つける人にはときめかないから
 鬼滅のヤイバ。恋柱さんの台詞デス。
 微妙に違うぞとツッコミ入れたアナタ。鬼滅マニア認定です。

■呪いのローラー
 筋肉マン悪魔超人・サンシャインの必殺技。
 今さらだが、身体に埋め込むように装着されてるけどサンシャインの肉体構造どうなってるんだろう。飲み食いする描写がたまに出てるけど口に入れたものがどうやって吸収されてるのか地味に気になる(純粋な人間型以外の超人なんてみんなそうだろ)
 1/4の確率で相手を麺状からサイコロステーキ状に変える

「呪いのローラー!!」ギュイイイイイイ!!
「ぎゃあああああああああ!!!」
「うわあああ!須川が、須川が小さくて細かい木材のように――ってそれはローラーじゃなくてウッドチッパーだーーーーーー!!」




続・主人公が強すぎてざまぁできない件。

壊すも直すも思いのままって手に負えねェ……

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