戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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〜3年Cクラス〜

= 笹に吊るされた短冊 =
『瀬能ナツルが雷に撃たれますように』
『瀬能ナツルが雷に撃たれますように』
『瀬能ナツルが雷に撃たれて感電しますように』
担任「………どれだけ恨まれてるんですか瀬能君は…」



73時間目 彼が彼女(たち)に出会ったワケ

 

 

数えるくらいしか居なくなった店内で、思い思いに時を過ごしている。

 

 

ゲンさんは俺と交代するように厨房に向かい、そのまま篭りっぱなし。

 

ナツルたち四人は楽しそうに談笑。あいつのあんな裏表ない笑顔初めてかもしれない。

 

板垣の三姉妹はそんなナツルたちの輪に溶けこんでいる。

 

辰子さんはナツルにべったりで、それに対抗してるのか呂布の主との距離がいつもより近い。

 

エンジェルはナツルがイベントリから取り出したゲーム機で玲たちと遊んでいて、亜美さんはそれを優しく見守っている。

 

 

あれ、もしかして俺今ぼっち?

 

そんなっ、ギャルゲ界でも屈指のイケメンな俺がっ!

 

 

…………

 

 

「おいナツル、ちゃんとつっこんでくれよ」

「なにを?」

 

何をってお前…分かってるんだろ?いちいち言わせるなよ。

知ってるんだぞ、辰子さんに抱きつかれたままでも教室全体の気配を察してるの。

 

「あー?突っ込むとかナニとか、おめーまさかソッチ系か?」

「おや、竜と同類かい。連れて来た方がよかったかね」

「あ、あらぬ誤解!」断じて違いますよお二人さん!

 

ソッチ系ってそう言うことだよな?京が大好きな部類の男同士のとかのあれだよな!?

 

 

「…………」

 

 

…?突然辰子さんが悲しげな表情を……?

 

「……もっと普通の性癖の弟が欲しかった…」

「なんすかいきなり」

「ゲイの弟なんてほしくなかった……!」

「そんなストレートに!」

 

ナツルに抱きついたままいきなりさめざめと泣き始めた。

 

情緒不安定すぎる。さっきまで楽しそうにしていたのに…いったい何が?

 

……ん?あの手に持ってるのは…?

 

 

「川神水?」

「あ、間違えて一緒に出してたのか」

 

ナツル(おまえ)の私物かよ!申請してないのに勝手に販売してたのかと思ったじゃないか!

ていうかなんで持ってんだよ!?

 

「酔鉄山の極み使うには酔ってないといけないから」

「使ったことないだろ一度も!!」

 

そもそも本家である鉄山靠(てつざんこう)を使えるから必要ないんじゃないか?

 

「ナツルくんみたいに、優しくてカッコよくて……普通でっ」

「あ?」

 

あ、まずい。その単語は。

 

 

「普通?普通だと!?この俺がか!!」

「なっナツル、ちょっと落ち着いて」

「これが普通のすることかーーーー!!」

 

叫ぶように大声を上げると同時に、ナツルの体が下方向へ落ちるように沈み込む。

 

 

ごろん………

 

 

そして青色の髪をした男の頭部が床に転がる。

 

落ちるようにっていうか実際に落ちていた。

 

って―――

 

 

「うわああああああああああ!!?」

 

くっ首!ナツルのっ、ナツルが生首が!!

 

頭だけじゃなくて手や足、腕・脚・胴体が次々に床の上へ落ちていく。

 

それらはテーブルから少し離れた場所まで転がっていって……

 

パズルでも組み立てるように繋がり合い、立ち上がったひとりの人間の姿を形作る。

最後に元気よく両手を広げて

 

「はいっ!」

ニヒルな笑顔を見せた。

 

一瞬でも本気でビビって心配した俺が馬鹿だった。

 

 

「これが覚悟ってことだぜ…No.6」

「誰がNo.6だ」ブチャ●ティか

 

 

「な…なんだ今の…何が起きたんだよ?」

 

ゲームをしていたエンジェルがドン引きの表情で質問してくる。

 

「やった!勝った、勝ったよ善!」

「そうか。よかったな」

 

その隣で対戦相手の玲が無邪気に喜び、善が無表情で相槌を打つ。

 

すぐ側で異常な光景が繰り広げられたというのに、少しも動じた様子がない。

 

より近くにいた呂布も気にしてないようだ。抱きついていた辰子さんは…寝てる!?神経太すぎじゃない!?

 

亜美さんだって若干顔を青くさせてるのに…平常運転な方が多いのなんで?

 

「今の見てなかったのか?」

「瀬能がバラバラになったことか?彼ならばあれぐらい容易いだろう」

「私、テレビでおんなじようなことしてる人、見たことあります!」

 

多分それは手品だよ。

 

「………?」

「『なにかおかしいですか?』みたいな顔するなよ、おかしいのはお前の主だから!人間の皮被った化け物だから!」

 

「善くん玲ちゃん。コイツ(直江)に敬語使わなくていいから」

「はーい!」「分かった」

 

「さらっとなに言ってるのお前!?」

 

敬語云々とか…もしかしてこの二人って下級生?

 

 

「……明らかに今人知を超えた行為が行われたはずなんだがねぇ…あまり驚いてるように見えないのはなんでなのかね…」

 

亜美さんが呆れたように呟く。

 

「俺は本気で驚いたんですけど」

「師匠が手も足も出ねーて負けたってのもナットクなんだぜ」

 

あの、お願いだから無視しないでくれません…?

 

 

「師匠?」

「一月ほど前にアンタに挑んで返り討ちにあったって言ってたんだけど…覚えてないのかい?」

「全然」

 

少しは考えろよ。興味なさげに席に戻りやがって。

 

あと、年上相手に馴れ馴れしくないか?敬語とか使わないの?

 

「本当かい?ざんばら髪で無精髭で、だらしない服装した胡散臭いおっさんなんだけど」

「あぁ、アレかな」

 

心当たりあるんかい。

その説明で分かる方もあれだけど、師匠とか読んでる人を胡散臭いおっさんとか言っていいのか?

 

「あーん?やっぱり師匠ボコったのテメーなのか?」

「ボコった…そうなのかな。あの時結構上の空だったから…」

 

顎に手を当てて天井を見つめるナツル。

そのポーズしょっちゅうしてるけど考えごとするときの癖なのかな。

 

「まあそういう訳で、先月私らは師匠の敵討ちのためにアンタに挑んだのさ」

「あのおっさん死んだのか」

「死んでねーよ!勝手に殺すな!」

「雨降ってる中一晩中放置されたから、高熱出して生死の境をさ迷ったみたいだけどね」

 

挑んで返り討ちにあったって言ってるから、倒した後ほっといても問題はないんだろうけど…雨の日くらい相手を気づかってやれよ。

 

「仕方ないんだ…あの時は肉丼買った帰りだったから」

「どんな言い訳だよ」人命を優先しろ人命を。

 

 

「それならしょうがないね」

「ウチにはコイツを責められねーぜ…」

「ウソぉ!?」

 

まさかの共感!?

いいの!?自分らの師匠でしょ!?

 

「ものが必死に頼みこんで持ち帰りにしてもらった愛屋のスペシャル肉丼だったからな。早く家に行って食わねばって考えてた時に絡まれたからつい…」

 

「ナツルくんは悪くないよ!」

「……(こくこく)」

「よく分からないがそうだな」

 

「分からないなら納得するな!!」

「直江うるさい。静かにしろ」

 

おっ、俺が悪いのか?俺がおかしいのか!?

 

まったく釈然としない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ていうかイベントリに入れとけばいいだろ。持ち運びのとき」

「なんか入らなかった」

「えぇ…なにそれ怖い。どういうこと?」

 

 




■酔鉄山の極み
 龍がごとく。桐生さんの持ち技のアレ。正直酔ってない方が威力とか技の精度とか高い気がする。

■ブチャ●ティ
 ジョジョ。第6部の主要人物。
 身体をバラバラにするのも含めて完全再現(どうやって分解したんだ)


辰子さんたちが路上でナツルに襲いかかってきた理由、判明。釈迦堂さんは慕われてないようで慕われてるんじゃないかなーと思う。

ちなみに66話で『胡散臭い中年汚ヤジ』と名付けられてるのが釈迦堂さんです。ひでえ
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