封開けたコーラの、炭酸が抜ける音。モノクロ世界を彩る、鮮やかな光。
「これで信じて頂けたかしら?」
「ハイハイ分かったよ信じりゃいーんだろ信じりゃ」
嘘だけど。
ガセ情報とうさんくさいステータス開示しかしてない奴をどうして信じることができようか。
しかし断っても話が進まないだろう。とっとと本題行こう。
「それでは貴方たちの進む道を掲示致しましょう……二年棟の3階の出し物に行くと…良いことがあるかもしれないわよ?」
「二年棟の三階?」
イベントリから学祭のパンフレットを取り出し、パラパラとめくる。
「お菓子屋・射的・アクセサリー手作り体験…あとは映画上映くらいかな」
「映画!?」
玲ちゃんが急に大声を出す。
「映画!映画見たい!です!」
「いやこれ、学生の自作映画だよ?」
しかも一クラスの出し物だし。
映画部みたいな本格的な集まりじゃなくて、完全に素人の作品だろ。絶対いまいちだよ。
そもそもうちの学園に撮影サークルはない。(全部個人だ。土屋とか)
「あまり映画とか見に行くことがないからな。私たちは」
「テレビで放送するけど、他のみんなが見たい番組と時間がかぶってるからいつも途中からしか見れないの…」
集団生活の弊害が…
「だから、一回でいいから、始めから見たくて…」
「分かった、分かったから」
聞いてると悲しくなってくる。今度バイト代入ったら映画にでも誘おう。
貢いでばっかだな俺…
「じゃー次は映画見るってことで」
「分かった」
「わーい!」
「……(こくり)」
正直全く期待してないけど、みんながご所望なら付き合うとしよう。
がっかりしないといいけど。
☆ ★ ☆
・二年Eクラス出し物『おかんぬ映画祭』
名前からもうすでにがっかり感が出てる。
「Eクラスとはどのようなクラスなのだ?」
「主に運動系の部活やってる奴らで構成されてるクラスだな」
一年生はSクラス以外は成績によるクラス分けはないけど、二年からは細かく分けらる。
8教科の総合点数がだいたい1200くらいだとEクラスに編入される…だったはず。
「スポーツにのめり込みすぎて成績落とした部活バカの集まりだな」
そう言った瞬間、周りにいた学生服を着た一部の人間が、キッ!と強くこちらを睨みつける。
多分Eクラスの生徒だろうけど、事実だろ?
「ナツルくん言い方悪いよ…」
「間違ったことは言ってないぞ?ただ…」生徒会に入ったから色々と部活動に接する機会が増えた。
「放課後に汗かいてる姿見ると、多分この学園で一番本気で青春してんのが集まってるんじゃないかなぁって…」
思うんだよね。と続けようとして気づいた。
周りめっちゃ見とる……唖然とした表情で。
「…イヤ違うんです」
「何がだ?」
「待って…待って待って待て、違うんだよマジで!」
「だから何が違うのだ」
「ナツルくん大丈夫?」
おかしい、絶対におかしい!こんなこと言うキャラじゃないのに!
SAN値が上がってるのか!?これは僕じゃない!!
「そうだ、この学園の校風は"文武両道"!賢くもなくバカにもなりきれず強くもないこのクラスは、学園一中途半端なんだよ!!」
『なっ!なんたる暴言!』
『自分は最低クラスのくせに…!』
『ひそかに気にしてることを…』
よし、リカバリーできた。
「そんな半端な奴らの作った映画だ!きっと忘れられないシネマデビューになるだろう!玲ちゃん、覚悟はいいか!?」
「おっす!大丈夫、です!」
「よし、突撃!!」
気合を入れ、拳を振り上げて受付えと向かう。
未成年四人、カードで!
「…結局、何が違ったのだろうか」
「…………」
え?ここカード使えない?クズが!!
☆ 〜鑑賞中〜 ☆
数十分後。再びFクラス教室前の廊下へ戻ってきた。
「面白かったね、映画!」
「そうかな」
覚悟はしていたつもりだったけど想像以上にガッカリだったぞ。
内容は近代ニューヨークのような外国の街を根城にする、ひと昔前のスーパーマンを題材にしたものだった。
自らを絶対正義と主張して好き放題するスーパーマンと、それを良しとしない怪盗とのバトルアクション…バ●トマンなんかのダークヒーローが好きな俺としては胸熱な作品だったよ。シナリオは。
ただ役者の演技が酷い。
台詞はしょっちゅう噛む。
バトルシーンでは距離感を間違えて、分かりやすく空振りしてるのに相手が吹っ飛ぶ。
ガヤの声まで本編に入ってるってなんなの?ギャグ?
文句の付け所しかない三流映画だったよ。
「でもみんな楽しそうだったよ?」
「それが唯一の救いでしょ」
じゃなかったら三流にも入れねーよ。
多分企画立ち上げから製作まで時間なかったんだろーな。リハーサルはほぼ無し。
変にあれこれ注文つけて演者の気分を悪くするより、全部肯定して明るい雰囲気を維持することを選んだんだろう。
生き生きとした表情なら色々失敗してもコメディとして見れるからな。
クラスに少なくとも一人、やたら映画に詳しい奴がいるな?しかも無茶苦茶技術力高いの。
シナリオ作成からカメラワーク、編集まで上手く纏められてる。おかげでストレスなく見れた。
「でもやっぱり演技がダメすぎるぞ。出演者全員ヘッタクソ」
「うちの劇団員を悪く言わないで!!」
「あーん?」
背後から急に怒鳴られた。
なぜ俺に話しかける奴はみんな後ろからなんだろうと思いながら振り返る。
「…!お、お前は――――――誰だ!!」
…………
……?
いや、本当に誰?
「えっ何そのリアクション。私が誰か本当に分からないの!?」
「玲ちゃんたちの知り合い?」
「知らないですけど…」
「私も記憶にない」
「……(ふるふる)…ない…」
「ア・ナ・タ!の知り合いよ!!」
怒り心頭な表情で俺に指を差して怒鳴る白髪おかっぱ赤目女子。
俺も記憶にございません。誰かと勘違いしてない?
「そ…そんなっ、中学校で三年間一緒だったのにっ!」
「三年間…」
「あんなに仲良しだったじゃない!思い出してよ!!」
中学三年間一緒って言われてパッと思い出すのは茜のことだ。
しかし他には…一人はいたようないなかったような……
「そんな………本当に忘れちゃったの……?」
少女は先ほどとは打って変わって、しおらしく、泣きそうな顔を見せる。
その顔を見ると…なんか……心がざわつく。
なぜだ?なんでこんなに落ち着かない?誰なんだこの女は?
うぅ……頭に靄がかかったみたいだ…………
シュワ……ワワワ…………
…忘れられない人だった。
忘れたくない人だった。
忘れてはいけない人だった――――
「君の名は!」
「なにしてんだお前」
女がいきなり感極まった表情で祈るように両手を組む。
頭おかしいんじゃねぇかこいつ。
ブチリッ
「
「ゴブアァゥッッ!!?」
ドグシャアッ
目にも止まらぬ速さで繰り出された肘鉄は正確に俺の脇腹を捉え、深々と臓腑を抉る。
その際に衝撃と共に、電流のようなエネルギーが打たれた箇所を中心に身体全体に迸った。
こ…コレは……波紋っ!?
"気"とはまた違ったこの力、覚えがある。やはり俺はこの女を知っている!
正確にはこの女に流れる"波紋"を知っている!!
俺が教えたから。
「お前は…っ……ひ…ひかり……ちゃん」
ドシャっ
「ナツルくーん!!?」
「主っ」
「遅いよバーカ!」
「見事な一撃だな」
激しい痛み。痙攣する身体。薄れゆく意識。
どこか懐かしい体験とともに、
俺は、かつての知り合いと再会した。
PQ2よりひかりちゃん参上。映画の詳細が知りたい方はゲームをやろう。(CM?)
原作ではちょっと暗めなトラウマ持ちの臆病で人見知りな映画好きな彼女ですが、nickの作品の設定では中学三年間ナツルや茜とずっと一緒のクラスメイト。当然影響受けまくり。
故に彼女はここでは立派な波紋の戦士。
アトラスさん、魔改造してごめんなさい。
Q.なんで波紋なの?
A.鬼滅がブームって聞いて…
Q.吸血鬼退治違いでんがな。