戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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80時間目 アクティヴィストの足音

 

「まぁ…根幹なのは演技だけじゃないけどな」

 

思えばあの中学時代を経て、今の俺があるのだろう。

 

性格から価値観から全て、あの出会いから変わったのだ。

 

砂を噛むような色あせた日々が急速に彩られた。

封を開けて抜けていく炭酸のように、あっという間に過ぎていった中学三年間…楽しかったなぁ……

 

 

「……?どういう意味…?」

「え?」

 

 

あれ?もしかして今の声に出てた?

やべえ、今のどこからどこまで喋ってた?めっちゃ恥ずかしい。ポエムみたいなとこが特に。

直さなきゃとは思っちゃいるんだが、無意識だから直しようがないなこの癖。

 

「言わなきゃダメ?」

「………嫌なら…いい」

 

呂布ちゃん…台詞と雰囲気が一致してないよ。超気になってんじゃん。

 

玲ちゃんと善くんもそわそわしてるし、もう語るしかなさそうだ。

 

ただなぁ…

 

「それを説明するには俺の過去を軽くでも説明する必要があるんだが…」チラッとひかりちゃんを見る。

 

俺の過去を語るともれなく彼女の過去も語らなくてはならなくなる。切り離して説明することは困難だ。

 

「…いいよ、別に。言っても」

 

悩んでいるとひかりちゃんがぽつりと呟くように答えた。

 

「いいのか?」

「うん。もう昔のことだし…ちょっと嫌な事ではあるけど、それで瀬能くんが友達と雰囲気悪くなるのも嫌だから」

「ひかりちゃん…」

 

さっき俺には友達いないとか、そう思ってるのはお前だけとか言わなかった?

 

いや、これを言うのはやめよう。そんな空気じゃない。

 

 

「じゃあ言うけど…実は俺中学一年のとき、一時期いじめられてたんだ」

「えっ!?」

「なっ」

「……!!」

 

「机に落書きとか私物を隠されたりとか…靴箱汚されたりとかしたな」

やー懐かしい。

 

「それで机や靴箱綺麗にしてくれたり、捨てられた私物を探してくれたのが彼女です」手でひかりちゃんを示す。

 

「瀬能くん最初は全く動かなくてされるがままだったよね」

「どうでもよかったからな」

 

落書き消すのも失せ物探しもひかりちゃんに勝手にやらせて、そのせいで彼女もいじめのターゲットに―――やめよう。話が長くなる。

 

 

とにかく、中学一年生の時の俺はクラスのほとんどの人間に嫌われ迫害されていたのだ。数ヶ月ほど。

 

当時は他人に興味無かったからなんとも思わなかったが故にやられてばかりだった。

しかし今だったら千倍返しくらいはしてやるだろう。落書きなんてまどろっこしいマネせずに、籍ごと消してやる。

 

………いや、そもそも二学期向かえるまでにみんな退学してたわ!

 

 

「そんなっ…ひどい……!」

 

玲ちゃんがプルプルと小刻みに身体を震わせて、全身で驚きを表現する。

 

やっぱりやりすぎてたかな…鬱になった奴とかいたらしいし。

俺じゃなくて茜やもう一人が徹底的にトラウマ刻みつけたんだけど。映像撮ったり。

 

 

 

うーん、確かに冷静に感えたらひど「ナツルくんいい人なのに!!」…うん?

 

 

 

「何故…きみがその様な…!一体何をしたと言うのだ!!?」

 

善くんが全力で怒ってる。

 

あれ!?予想外の反応が!?

 

 

「いや結構ひとでなしよ?」爽やかなゲスよ俺?

 

「瀬能、適当な事を言って自分を卑下するんじゃない。きみがそんな人間ではないことは分かっている」

「そうだよ!ひとでなしなんて…私だって、怒る時は怒るよ!?」

 

ろくに俺のことも知らないくせに好き勝手言うなと怒られた。俺自身のことなのに…

 

おかしいな…もっとこう…俺がいじめる側じゃなくて?とまではいかないけど、驚いたまま追求されると思ってたんだが。

 

「…………」

 

呂布ちゃんに至っては背後から抱きついて頭を撫でてくる始末。

慰められてる?俺もしかして慰められてる?

 

「順逆自在の術!」

 

咄嗟に玲ちゃんと位置を入れ替えて拘束から脱出。

名残惜しいけど男女がいつまでも密着してるのはまずいだろう。

 

 

「おおっ?」

「……?」

 

 

いきなり見てる風景と密着してる感触が変わってお互いに困惑する二人。

 

しばし硬直していたが――

 

「…………」

「……ぇへへ…」

 

何事もなかったように続きをする呂布ちゃん。されるがままに頭を撫でられる玲ちゃん。

 

……ほっとこう。

それよりもこっちだな。

 

 

「瀬能くん、なんでこの三人こんなに瀬能くんに好意的なの?洗脳でもした?」

「言うわねひかりちゃん…」茜みたいなことを。

 

アイツともう一人、なぜかやたら俺への評価低いってか悪かったからな。

 

物理に訴えて反論してやりたかったが、いかんせん女に手をあげる覚悟がその時は無かった。(今はモモさんのおかげで躊躇せず殴れる)

中学のとき所属してたグループにあえて不満をあげるとすれば、男が俺一人しかいなかったことだな。

 

 

「正直に言っていいよ?レクター博士みたいなことしたでしょ?」

「俺精神医療に関する知識ゼロなんだけど」

「じゃあパラサイト入れた?」

「手に入れてたら真っ先にお前に使ってやるよ」

 

地球外寄生生物見つけるよりも幻朧魔皇拳習得する方が早そうだ。

 

「またそんな厨二病みたいなこと言って…」

「厨二病みたいとか過去みたいに言うなよ…現役だ」

「悪化してるじゃない!」

 

悪化って言うなよ…熟成したんだよ、時間をかけて。

そうまるでグルメピラミッドのサラマンダースフィンクスから取れるメロウコーラのように…

 

 

「やっぱり悪化だよ!昔はそんな例え台詞使わなかったじゃない!」

 

そうなん?

 

……言われてみればそんな気がする。

ひかりちゃんほどじゃないけど俺も結構影響受けてたみたいだな。

 

茜たちはまるで変わってないのに、理不尽。

 

 




■レクター博士
 ハンニバル・レクター。精神科医兼猟奇的殺人犯という設定の架空の人物。

■パラサイト
 1998年製作のアメリカホラー映画。人間に寄生する未知の生命体。

■幻朧魔皇拳
 セイントセイヤ。ジェミニのセイントが使う人の脳を操る伝説の魔拳。

■グルメピラミッドの〜メロウコーラ
 トリコ。サイコとホラーに比べるとネタの落差がひどい…



瀬能ナツルの裏設定②:元いじめられっ子。

アニメとかご覧なさい。あんな派手な髪色の奴いたら絶対いじめられますよ。妄想だけど。

それ以上にnick作のナツルは性格アレだから…ねえ?(知らんがな)


あとひかりちゃんの件は原作とかぶってるのはネタバレ。いつか過去話として書きたいと思ってます。

その前に今やってる清涼祭編どうにかしないと…今年中に山場までは行きたいなぁ…

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