戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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6時間目 好都合な奴

神月学園名物

 

試召戦争特別ルール

 

 

"決闘"システム!

 

 

「…ってなんですか?」

「さあ?」

「なにぃっ!?」

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

〜ナツルSide〜

 

姫路の質問に素直に答えたら、坂本が驚いた。

 

なんで?

 

 

「ちょっとまて、お前三年の川神先輩を倒したことあるんだよな?なら一回くらいは経験してるはずだろ」

「よく分からんがそういう誘いが来たことは一度もないぞ」

 

基本俺目立たないし

ハハっ、哀しくなんてないよ?

 

「…いやそれでも……いや…まあ……好都合か…?」

 

納得いかないながらもうんうんと唸っている。

 

 

結局決闘システムってなんなんだ?いや、だいたい予想はつくけど

 

 

「決闘システムってのはその名の通り、生徒同士が互いに決着方法を決めて争うシステムだ」

 

考えこむ坂本の代わりに直江が説明してくれる。

 

「学校側は認めてるのか?」

「むしろ推奨してるくらいだ。社会人になったらあまりできなくなるってな。生徒手帳にも書いてあるだろ」

 

三日で無くしたよそんなもの

 

「じゃあ特別ルールってのはつまり…」

「代表者による一騎打ちだな」

 

なんと、

 

それはそれは俺たちにとってこれ以上ないありがたい存在だな

 

 

「これを使ってまずAクラスを攻める」

「は?」「え?」「えぇっ?」「Aクラス?」

 

坂本の言葉に、ほとんどの奴が素っ頓狂な声を上げた。

 

「Aクラスを攻めるって…Sクラスじゃないの?」

島田が尋ねる。

 

「ああ。まずはAクラスを倒して、設備入れ替えを盾にSクラスを攻めると言うよう交渉する。向こうもFクラスの最低設備になるのは嫌だろうからこれは大丈夫だろう」

 

床に穴空いた教室なんて、誰だって嫌じゃい

 

「雄二、なんでそんな回りくどい真似するのさ?その特別ルールってのをSクラスに使ったほうが早くない?」

「残念だがそれは無理だろうな。試召戦争のルールの括りに入ってはいるが、これは宣戦布告と違って受け手側が拒否することができる」

 

なんだそりゃ。意味ねーじゃん

 

「Aクラスは承諾するって根拠は?」

「乗せやすそうなのがいるからな」

「……他には?」「ない」

 

「そこ空けろ、いまから坂本が空を飛ぶから」

「まてまてまて話は最後まで聞け俺の胸ぐらを掴むな屋上の端に移動しようとするな!」

 

わりと本気で引きずろうとしたが、坂本の抵抗が強くて無理だった。

 

「チッ」鋭い舌打ちをして手を離す。意外と力がありやがるなコイツ

 

 

「いいか坂本、この前のDクラス戦でうちには姫路という超戦力がいるってことはもうバレてんだ。たとえ相手がどんなに挑発に乗りやすかろーが受けてくれるわけねえだろが」

「それは問題ない。姫路の出番はないからな」

「あ?」

 

出番がない?どういうことだ?

 

「どういうことさ雄二」

「今回の決闘の種目は『武道』にするからな。だから姫路の出番はない」

「なるほど」

 

『武道』は選択科目のひとつだ。その名の通り格闘技や武術の基礎を中心に教えている(らしい)。

このメンバーならたしか…ゴリラとワン子が取ってたな

 

 

「おぉっ、てことは俺様の出番か?」

「いや、島津は止めておいた方がいいだろう。実力が知られてる奴だと警戒されるからな」

「そうなの?それじゃ、ワン子もダメだね」

「む~、残念だわ」

 

モヤシの言葉に、ため息をついて残念がるワン子。頭の上の犬耳も垂れ下がってて、ベリーしょんぼり感がよく出ている。

 

………幻覚?

 

「島津君も川神さんも駄目だとすると…いったい誰が出るの?あ、もしかして島田さん?」

「吉井、歯を食いしばりなさい」

 

言うが早いか、島田は突風のようなスピードで駆け寄り拳を顔面に叩き込んだ。

そして間髪入れずに腕ひしぎ。

 

「いだだだだだだっ!島田さんギブッ、ギブだって!!」

 

 

なんかもう本当に出てもいいんじゃないかって気がする

 

 

「島田が強くなるのは明久にだけだ。もっと確実に勝てる奴じゃないとな」

「うちのクラスにそんな奴いるのかよ」

「いるだろう。実力は折り紙付きのトップクラス、しかし知名度はまるでないっていう好都合な人材が一人」

 

そう言って直江がひとりの人物に指を差すと、つられて全員の視線がそいつに集中する。

 

その好都合な奴とは…

 

 

『……………』

「え、俺?」

 

俺だった~、今フタを開けていたのに~

 

「あー、なるほど」

「確かに、これ以上ないってくらい都合がいいね」

「そうなんですか?」

 

皆言いたい放題言ってくれやがる。

戦う(予定)前からテンションがだだ下がりだ。

 

 

「え、でもちょっとまってよ。タイガってけっこう有名でしょ?」

「冴島タイガはな」

真顔で訊いてきたワン子に即答。

 

 

一年ぐらい前からずっとその名前を呼ばれ続けたせいで、ついには学園にそういう生徒が本当に実在してるってことになっている。

 

そしてモモさんに初めて黒星を付けた男も冴島ってことになっている。

 

 

「いいのかお前はそれで…」

「ザコを相手にちまちまレベル上げる趣味はないから丁度いいっちゃいいな」

 

それに俺、人傷つけるのってあまり得意じゃないし

ナツルさんか弱い一般人アルヨー

 

なみに冴島タイガの姿形は、岩のようにゴツい身体をしていて常に眼を血走らせてる上に鉈やら斧やらを携帯してる身長5メートルを楽に超える大男だそうだ。

 

俺的要素まるでねえ

 

 

「まあそれならかなりの確率で向こうも乗ってくるだろう。頼んだぞ瀬能」

「気乗りしねえなぁ…」

 

負けたら俺の責任だし、勝ったら勝ったで実力がバレて挑戦してくる奴が出てくるかもしれない。

 

俺にメリットないじゃん。デメリットだけじゃん

 

 

「やるとしてもいつすんだよ」

「今日だ」

「今日!?」

「Aクラスの代表がいない今が一番都合がいい。だから――」

 

坂本がうんたらかんたら説明してくるが、それをすべて左から右へと聞き流す。

 

めんどくさくなってきたな…どうしよう

 

 

 

「そういえば坂本が指名しようとしてる相手って誰なの?」

「言ってなかったか。阿久津(あくつ)(まこと)。柔道部の問題児だ」

「あー、あいつかぁ。あいつけっこう強えーぞ?俺様もてんで歯が立たなかったし」

「ガクトたしか、授業で組手やった時そいつに腕を折られたのよね?」

「………あ?」

 

 

なんつった今?

 

 

 

〜直江Side〜

 

 

「そーそー、あんときはむちゃくちゃ痛かったぜ。…ん?どうした冴島」

「別に。つーか今の話ホントか?」

「ん?あぁ…折られたの左ですぐに治ったけどな」

「…ふうん……」

 

ガクトの腕の話が出た途端、ナツルの雰囲気が変わった。

顔つきこそ変わらないが、さっきまでやる気の欠片もなかったのに、今は抜き身の刃物のような威圧感がある。

 

 

「で、どうだ瀬能。やってくれるか」

「確認取ってるけどこんな策が出る時点で他に手がないんだろ?」

そう言ってナツルは立ち上がる。

 

そしてそのまま、屋上の扉に向かい歩いていく。

 

「おい瀬能、どこに行くんだ?」

「トイレだよ。…なんならこのまま宣戦布告でもするか?」

 

手間が省けていいな。と軽い口調でドアを開けて、普通に去っていった。

 

 

「…ねえ、大丈夫なの?戦う相手ってけっこう危ないんでしょ?」島田さんが口を開く。

 

「まあな…素行が悪くてしょっちゅう騒ぎを起こしてるらしい。それでも大事になってないのは、それだけの実力があるからだ」

「……阿久津は神月ランキングの7位…」

「神月ランキング?」

「選択科目の『武道』を取ってる奴を対象にした強さのランキングだ。20位以内なら他校で即エースになれるな」

「……勝てるの?瀬能」

「…さあな。あいつが強いってのは知ってるが、噂で聞いた程度だからな」

「こう言ったらなんだけど、瀬能ってほら…」

 

 

ひ弱そう

 

 

はっきりと口にした訳じゃないけど、そう思っているのはたしかだろう。

 

ナツルは身長は高いけど、ほっそりとした体格してるからな。

筋肉がまるでついてないってことはないんだが、普段から覇気がないせいでよく誤解される。

実際俺も最初にあいつを見たときおんなじ風な感想を持ったもんだ。

 

 

実力を知らない坂本たちが心配する中、ワン子が自身満々に言いきる。

 

「大丈夫よ。タイガなら」

「でも…」

「だってタイガ、ものすごく強いもの!」

 

その目には、たしかな確信があった。

 

結局のところ。心配するだけ無駄なんだよな。

とくにあんな…姉さんと戦った時みたいな雰囲気を出しているんなら、なおさらに。

 

 

 

「(もぐもぐ)……唐辛子に鷹の爪、わさびカラシ豆板醤デスソース。他にも何種類かのスパイスが入っていてほのかにオリーブオイルのような酸味が……あとで瀬能に作り方を教えてもらわなきゃ」

「しなくていいしなくていい」

 

京の奴さっきから静かだと思ったら、残ったハズレサンドイッチの内容物調べてたのか。

 

思わずシートの端に転がっている人物に目線がいく。

あれって木下が食って即座にぶっ倒れたやつじゃないか。なんで大丈夫なんだ?

 




 俺だった~、今フタを開けていたのに~
  ジョジョ。第三部の最後の方に出てくる敵(小物)の台詞。



川神百代  ※一年生(ナツルと出会う前)の時のデータ

8月31日生まれ 乙女座

血液型:0型
身長:169cm
体重:削り取られてます

属性:誠

攻撃力:100
守備力:79
走力:92
瞬発力:83
体力:89
知力:36

総合武力ランク:A+

以上の者、我が校の生徒であることを認める。
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