戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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つまり永劫ってこと。



91時間目 永く遠い日の誓い

 

〜〜〜〜

 

 

ダッダッダッ、バンッッ!

 

 

「状況は!?」

「美鶴様!ええっと…」

「現在戦闘はアリーナで行われており、中でなんらかの火炎攻撃を行ったらしく防火シャッターが降りて介入が困難です」

「あのシャッターもシャドウから取れた素材を使っておりまして…」

「くっ、防犯対策が裏目に出たか…戦っているのは誰だ!」

「二年Fクラスの瀬能ナツルと、保健教員のエリザベスさんです」

「エリザベスだと…!?馬鹿な、彼女がなぜ…」

 

「…美鶴様!監視カメラで中の状況が見れるようです!」

「なに!本当か!?」

「至急モニタールームへ!」

「よし…!引き続きシャッターの破壊を進めろ!私はモニタールームで状況を確認しながら指示を取る!」

『はっ!!』

 

「無事でいてくれ…瀬能」

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

〜ナツルSide〜

 

 

「ホット・リミット」

 

 

静かに力強く、短な単語を口から発する。

 

本来なら"気"が充実している時にのみ使える技…俺が今使える中でもダントツで威力のある最強の切り札。

燃費は最悪だけどそれに見合うパフォーマンスを発揮する。

 

その効果は――

 

 

ゴォオオッッッ!!!

 

 

 

「燃え尽きろ!!」

 

渦巻く業火を纏った拳をエリザベス目掛けて突き出す。

 

が、やはり直前で見えない壁に阻まれる。しかし、

 

 

『むぅっ…!』

 

 

迫り来る炎を、エリザベスは咄嗟に腕でガードした。

 

やった、火炎は通る!

正直コレが効かなかったらどうしようかと思ったぞ。

 

『火炎付与…いや違う。自らを火炎と同化しているのか?』

「オラァッ!」

 

質問に答えず後ろ回し蹴り。

 

蹴り自体は防がれたが、追加の業火がエリザベスを襲う。

 

『クっ』

 

堪らず後退。

しかしそっちの方向には善くんと玲ちゃんがいる。なーのーでっ。

 

球の盾(ラッピング)!」

『むっ!?』

 

俺とエリザベスだけを球状に囲うように、足元から炎の壁が噴き上がる。

 

突然の状況変化に戸惑い一瞬だけ身体を硬直させた隙を突いて、両手の付け根同士を合わせ、広げたトラバサミのような形を作る。

十本の指全てに――否、五体全てに渾身の力を込めて、勢いよく腕を突き出す。

 

炎虎牙(えんこが)、」

 

肩から先の感触が変わり、見た目も大口を開けた虎のような炎と化して一直線に燃え進む。

 

そのまま見えない壁を通過して、エリザベスに迫る――!

 

 

ゴォッ!、

 

 

『…素晴らしい』

「なっ…ほ・本で……!」

 

当たると思った刹那、奴がずっと持っていた何かの事典が攻撃を遮った。

 

びくともしない!燃えるどころか焦げ目もつかないなんて、いったい何でできてるんだ!?

 

 

『見た目だけではなく熱量、そして文字通り火力も本物の炎と遜色ない。ただの人間の身でここまでの技を習得するとは…見事だ』

「そりゃどーも…!」褒められてる気がしねぇ。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

〜美鶴Side〜

 

 

案内されてたどり着いたモニタールームで、体育館のフロアを映すテレビを見つめる。

 

そこで繰り広げられる様子は驚愕ものだ。瀬能が強いことは知っていたが、まさか身一つでペルソナ使いの中でも最上位のエリザベスさんと互角以上に戦うとは…

 

……本当なら私が身体を張って止めるべきなのだが、今だに入り口の防火シャッターは破れていない。

見ていることしか出来ないとは…自分の無力さが恨めしい…

 

 

 

エリザベスさんなどの特殊な存在を除いて、この学園のペルソナ使いは校内でペルソナを使うには『許可』が必要だ。

 

昨日は瀬能の確認のために特別に使用許可が出たが…本来は色々な申請が必要だ。

 

私は生徒会に属しているという理由で少し審査が甘い。…本当は桐城グループの一人娘だからだろうがな。

 

 

 

『しかし、()いのか?』

『…なにが?』

 

 

 

画面の中で二人が会話を始める。

 

瀬能は見えてないのだろうが、体長が10m以上はありそうな巨人の足元で平然と話している姿は…なんとも……

 

 

『貴様のその技は己の命を対価にしているだろう』

 

 

は?

 

 

『発動し続ければ死ぬぞ』

『それで?』

 

 

信じられないことをエリザベスさんが言ったのに、まるで意に返した様子もなく、平然と攻撃―――炎と融合した両腕を相手の本に押し付ける―――を続けながら口を開く。

 

 

『死んで生きれねえ。舐められっぱなしじゃ生きれねぇんだよ』

 

 

意味が分からない。

 

負けず嫌い、と言えばいいのだろうか。それならば知り合いに何人かいる。

 

中でも抜きん出て勝敗に拘る奴がいるが、それと比べても瀬能は行き過ぎている。

 

自らの命よりも"舐められない"ことを優先するのか?

 

 

『…理解できんな』

『出来なくて結構』

 

 

画面の中でより強く、炎が燃え盛る。

 

 

『男の意地っ張りは命がけなんだよ………』

 

 

眼に狂気が見える…!まさかペルソナと無関係な後輩に恐怖を覚える日が来るとは……!

 

私は瀬能が"魔獣"と呼ばれたことがあることを咄嗟に思い出した。

 

 

 

『………ひっ、く……っく…、…ゃだよぉ……』

 

 

 

? なんだ?

 

映像越しに…すすり泣く声が……?

 

 

『やだ…やだよぉ…ナツルくん……生きてよぉ…!』

『玲…』

 

 

画面の端、壁際で佇む二人。

そのうちの一人が顔を手で覆っている。少女の方のだ。

 

 

 

『どうして簡単に命懸けとか言っちゃうの?死んじゃったらおしまいなんだよ……?』

『…………』

『意地とか捨ててよ…!お願いだから………』

 

 

 

モニタールームも含めて静まりかえる室内に少女のすすり泣く声だけが響く。

 

それは少なからず瀬能の心中に影響を与えたようで、燃え盛る炎がだんだんと鳴りを潜め、やがて消える。

 

さらに上げていた両腕を下ろし、佇まいを直す瀬能。

エリザベスさんもそれに倣うように本を構えるのをやめて…二人とも武道の試合再開を待つ選手のように向き合う。

 

 

きっとエリザベスさんも気になるのだろう。止めどなく涙を流す玲に、いったいどんな言葉をかけるのか…

 

 

 

『俺ホントはコーラ嫌いなんだよね』

 

 

 

 

何を言ってるんだこいつは……?

 

 

 






・ホット・リミット

 ナツルが"気"を使うようになってから到達したひとつの極地。自らを業火に変える。
 威力は絶大だがちゃんとした手順で技を解除しないと命に関わる。消火=死。


■球の盾(ラッピング)
 金色のガッシュ。シーズン1(?)に登場する技。
 現在連載中のやつにはウマゴン出るのかな。

■死んで生きれねえ
 実はネタ。バチバチ。
 結末を見たかった…


このやりとり文章にするのに何年もかかってんですよねー…シリアス展開でイップス発動する系の物書きって…
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