どちら様にもメギドラオンでございます!
最凶のエレベーターガール エリザベス
VS
究極にして奇行。
オーバーヒート黒歴史 瀬能ナツル
声が聞こえる。
『ちょっと興味あるなぁ…貴方が将来どんな人になるのか』
聞いた事のない台詞だ。
『お前を信じる、俺を、信じろ』
でも知っている。
『悔いはない…君たちに出会い、共に歩んだ時間に何ひとつ』
『冬がきたら…また…いっしょに……』
今までギリギリで道を踏み外さなかったのも、この台詞の主がいたからだろう。
『僕は幸せだ!人生に、キミという友がいたのだから!』
きっとそうだ。
『よかった…今度はちゃんと、役に立てたんだ…』
寄り添ってくれたんだな…こんな俺に。
『瀬能。君は、私の誇りだ』
見捨てることなく。今日まで、ずっと。
『お前のことわりとマジで好きだった』
助けてもらった借りがある。
嫌、それがなくても…俺は身体を、生命を、全身全霊を持って、
『忘れませんよ。…忘れません』
何があっても助ける。だから
『ありがとう…いくつものありがとうを、ありがとう』
『――――ジョバンニ』
"さよなら"は無しだ!
『サア 逆転劇ノ 幕開ケダ 』
ゴゥッッ!!
☆ ★ ☆
〜美鶴Side〜
がちゃっ
「はーい、伊織順平以下多数。ただいま到着――」
「誰が多数だって?」
「いででででっ!ゆかりっち、耳引っぱんなよ!」
戦況がまた新しく変わり始めた中、モニタールームの扉を開けて人が入ってくる。
特別野外活動部――神月学園の中でペルソナが使える者を集めた集団。
それに桐条グループの関係者たち。
先程集めろと言った者たちがようやく来たか。
「どうした美鶴。緊急事態と聞いたが」
「すみませんお父様。直接見たほうがいいと思いまして」
そう言って画面を指し示す。
成人男子程の黒猫が急に青色の炎に包まれたのが最後に見た状況だったが、今は…
『…………』
薄汚れた学生服は、仕立てたばかりの黒いベスト、白いシャツ、パンツスーツに蝶ネクタイ…純白の手袋までして、まるでカジノディーラーのような服装に変わっていた。
そして顔には片目側に金の蝶をあしらった白いアイマスク。
…なぜ仮面を被っているのだ?いつの間に?なんの意図で?
「ちょっ、なんですかこれ、なんかの出し物すか?」
「いや…」
花村の質問に言葉を濁す。
「エリザベス…?見た事ないペルソナを使ってるみたいですけど、模擬戦ですか?」
「んん?でも相手の人は誰ですか?あの仮面の人」
有里と汐見が口を開く。
「模擬戦ではない。エリザベスさんは今あのペルソナに操られているような状況のようで、実戦に近いやり取りをしている。そしてあの仮面の男は…瀬能だ。瀬能ナツル」
「なに!?」
モニターに注目していたお父様が、驚愕の表情で私に顔を向ける。
無理もない。瀬能がペルソナ使いとしての素質が無いと知っているからこそ、今の画面内の状況のあり得なさをよく分かっているのだから。
「あはははははははは!」
置いてきぼりを食らっている者が多い中で、愉快そうな高笑いが響く。
「…何がおかしいんだ。
お父様が不快に顔を歪め、周りの人間に注目される中、名前を呼ばれた幾月さんが反応を返す。
「何がって…当然じゃないですか!新しいペルソナ使いの誕生ですよ?しかも適性無しの!」
「えっ、」「何っ!?」
その場にいるほぼ全ての人間が、画面内の光景の異様さに気づいてモニターに釘付けになる。
「間違ってなかった……やはり彼が鍵…」
幾月さんだけはぶつぶつと呟きながら恍惚としたような表情でモニターを見つめている。
幾月修司。
10年ほど前から桐条グループで研究員として働いているが、私の入学をきっかけに神月学園の最高責任者の一人となった人物。同時に特別野外活動部の顧問でもある。
ペルソナ使いでは無いが、影時間への適性持ち。
聡明だが返事に困る…汐見曰く『面白くないジョークの達人』だが、これといって悪い印象はない。
ただ
複数のペルソナを扱えるワイルドを見つけた時でも、興奮はしていたがまだ余裕があった。
今は狂信者じみた態度を隠すことができないほど興奮している。
「………」
お父様も幾月さんの様子を険しい顔で伺っている。私も注意しておくか…
「オイ、動くみたいだぞっ」
明彦の台詞で現実に戻り、モニターを注視する。
今は戦いに集中しよう。
☆ ★ ☆
〜ナツルSide〜
全身に力が漲る。
さっきダークオルフェウスを召喚した時も力が溢れるのを感じたが、今はそれ以上…いや別次元だ。ボルケーノとスーパーノヴァくらい違う。知らんけど。
自分でも何言ってるか分からなくなってる。この俺が振り回されるだと…!?
でも俺の身体、たまに無意識でおかしな行動取るよな。こないだもゲーセン行こうとしてヤクザの事務所潰したし。
つまりいつも通りということか。
そう思ったらなんか気分が楽になった。戦闘中だけど。
『馬鹿な…これほどの力を持っているなどと…!貴様本当に人間か?』
「それよく言われる」
明らかな人外にまで言われるって相当だな。
だがまあいい。よくないけどいい。全部物理でぶつけるから。
それよりも今なら……出来そうな気がするんだ。
ガキの頃一度だけ、珍しく酒飲んで酔っ払ってた祖父が言っていた、戯言のような技を。現実に。
確か
コォォ…………―――ぉぉおっっ!!」
ボッッッ!!
『!?』
「わっ!」
「なんだ!?」
息吹(空手の呼吸法)の要領で漲る"力"を身体の底から引き出す。
"気"とはまた違った力の奔流が、まるで青色の炎のように立ち上る。
そうだ、これだ。教えてくれた本人ですら使えない幻の技。
名前は――
「
『小癪なっ!!』
明王が再び腕を振るう。
まだまだ元気そうだ。なんかいいことあった?
「オラァッ!!」
ゴッッッ!
迫り来る拳にアッパーをぶつけ、軌道を上にずらす。
『グゥッ!?』
同期してるらしいエリザベスが苦悶の声を上げる。
"その身に焔と地の力を纏い、攻防の質を高める"と聞いたが、そんなレベルじゃねーんじゃねーか?
「すぅ……」
「ガァッッ!!」
ドッッっ!!
『がはっ!!』
大きく深呼吸をし、勢いよく一喝。
槍のような衝撃波がエリザベスを貫いた。
デカイのを狙うべきなんだろうが、体力が心許ない今の状況では寄生されてる主を倒す方がまだ勝つ可能性が高い。
脊髄に慈愛が生えてると評判の身としては少々心が痛むが遠慮せずガンガン攻めさせてもらおう。(※早口)
「
――サウンドアーマー・
ガオッッ!!
「きゃあっ!?」
「玲っ!…!?」
再び召喚した群青のブリキもどきが大声を発すると、善と玲の身体を青色の炎を纏った風が包む。
今即座にできる中で一番の防御手段だ。大概の攻撃なら防げると思うけど…油断は禁物だな。
「悪いな二人とも、窮屈だろうがちょい待っといてくれ。すぐ終わらすからよ」
『…!青二歳が…!!』
そんな憎々しげに睨むなよ…興奮しちゃうじゃないか。
「"ジェットボイス"!」ドン――
「あっ!ナツルくん…」
「瀬能っ……」
(いいなぁ…私も、いっしょに……)
(…なぜ、私には………)
☆ ★ ☆
「ラウンドスリーといこうかァ!?」
『調子に乗るなっっ!』
ダークオルフェウスの能力でデカブツの顔付近まで飛び上がった俺は、勢いそのままに拳を突き出す。
『そんなものが何度も――』
明王がなにか言っているが、そんなものは耳に入ってこなかった。
いや、聞こえてはいるが気にならない。戦闘中なのに不思議とこの瞬間だけ頭の中が静かに凪いでいる。
―――ああきっと、この時のために俺たちは出会い、そして争ったんだな……
「リミットグローブ」
ヴォゴンッ!!
『グァっ!?』
魔力が凝縮された右拳でアッパーを放つと、鋼鉄のハンマーで鉄壁を叩いたような音と共に、相手が顔ごとあさっての方向へ吹き飛ばされる。
『ぐっ、マハジオ!』
バヂヂッ「ぐぉぁっ!?」
吹っ飛びながらもカウンターで電撃を撃ってきた。
今まで撃ってきていたものよりかは威力は低い。
が、広範囲に広がり躱すのは不可能だった。
―――黒の衝撃!!
ドガンッ!
『グァッ!?』
雷を浴びながらも魔力を込めた睨みつけで反撃をする。
お互いの攻撃により強制的に離され、数メートルほど距離が開く。
それとともにできた僅かな時間で自分の状態を確認、
(くっ、上手く魔力が練れぬ……!)
(盛り返したとはいえダメージがヤバい…!となれば――)
((狙うは短期決戦!!))
意図した訳では無いが、この時お互いに全く同じ結論に達した。
別に嬉しくはないし、相手が自分も"そう"考えてるだなんて思ってもいなかったけど。
先に動いたのは明王だった。
『フン!』
右腕を天井に届くほどまっすぐに伸ばし――即座に形状を剣のようなランスのように変化させ、勢いよく振り下ろす。
『雷鳴剣!』
青白くバヂバヂと光り輝く刀身。
前にも後書きで書いたかもですが、この作品『けんぷファーt!』の終盤あたりから書き始めたんですよね。なので色々リンクしている部分とかあるんですよ。冒頭のセリフ群とか。
でも当時から時間経って、色々設定プラスされて…完全に読者置き去りですね。本当にゴメンナサイ…
以下、解説。
■ナツルの格好
自らの運命に逆らった、反逆者の証。外国のカジノディーラーみたいな服装。
仮面は鼻から上、額から下を隠すアイマスク。白をベースに左目の部分だけ金色の蝶のようなデザインになっている。元ネタはペルソナ2のフィレモン。
反逆者でありながらペルソナの召喚はカードを砕くスタイルなので、顔が晒されることはない。
■赤甲(しゃっこう)
ペルソナ(あるいは悪魔)の力を借りて扱う技。成功すると炎のようなオーラが使用者全身を覆う。
自身に"火炎""地変"属性を付与。さらにステータス『力』『耐』を一時的に高上させる。
ペルソナの力が強いナツルが使うと青色になる。本来は赤色。
※地変はペルソナ2に出てくる属性。
※分かりづらい人は龍が如くのヒート状態をイメージして貰えれば(身も蓋もねえ)
■臥煙(がえん)
赤甲状態で使える技。火炎属性を纏った大声を衝撃波として放ち、対象一体を攻撃する。
■サウンドアーマー・赤(あかばね)
赤甲状態で、尚且つダークオルフェウスと協力して使える技。つまりナツル専用。
指定した対象(複数選択可能)に"火炎""地変"属性、さらにステータス『耐』を高上させる音の膜を纏わせ、様々な攻撃を弾く。
■リミットグローブ
67時間目にて解説
■黒の衝撃
明確な意思を持って睨みつける事で相手に衝撃を与える技。ダメージはほとんど無いが食らうと強制的にノックバックされる。
■雷鳴剣
ペルソナQのスキル。電撃属性の斬撃で対象一体を斬りつける近接技。