戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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祝100話!

とっくに超えてるけどね!



100時間目 ようこそベルベットルームへ

 

 

……………

 

………

 

 

 

「………?」

 

唐突に意識が覚醒し、ゆっくりと瞼を開く。

 

重厚な音楽が流れる薄暗い空間。高級感を漂わつつ、壁紙から全て群青色で統一された調度品の数々。

 

それに継続的に身体に感じられる細かな振動。…電車の中、か?

 

市内を走るような一般的なやつじゃなく、食堂とかが付いてるようなVIP向けの超高級な"列車"。

 

…なんで俺こんなとこいるんだ?たしか学校の授業中だったはずだけど。

 

窓の外の流れる景色も…霧が深くてよく見えないな。そのせいか現実味が薄い。

もしかして夢かこれ?

 

 

「ようこそ我が『ベルベットルーム』へ」

 

 

いつの間にか目の前数メートル程の位置に座っていた…いや初めから居たのか?混乱してて気づかなかった。

とにかく誰かに話しかけられた。

 

 

「ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場しょッ!?」

 

――バオッッ!!

 

即座に立ち上がって瞬動からの左ストレートを放つ。

が、逃げられた。

 

「い、いきなり何をなさるのですか!?」

「いや怪しかったからつい」

 

最近はとくに衝撃受けたり攻撃受けたりしてたから先手必勝の精神が出てしまった。

 

まあナイフみたいに尖った鼻や零れそうなほど見開いた目をした老人に意味深な様子で話しかけられたんだ。しょうがない許せ。

 

 

「相変わらずなご様子ですなぁ…」

 

飛び跳ねて躱したせいで倒れた椅子を起こし、再び椅子に座る謎の老人。

 

「お掛け下され。戦闘をするにしても、まずは私の話を聞いてからでもよろしいでしょう?」

「…………」

 

怪しさマックスだ。

 

しかし現状、俺はこの場所についてなにも分かってはいない。下手に暴れて永遠にここから出られなくなるとかは勘弁だな…

 

仕方なく元いた位置に腰を下ろすことにした。

 

「ありがとうございます。改めまして…私はイゴールと申します。ようこそ我がベルベットルームへ」

 

そう言って老人――イゴールか――は前屈みになり、両膝に肘付き鼻を支えるように手を組む。

 

「ここは何かの形で『契約』を果たされた方のみが訪れる部屋。私はここの住人と言ったところでしょう」

 

 

契約…そう言われて不意に脳裏にダークオルフェウスの姿が過ぎる。

 

「お心当たりがあるようですな」

「…………」

「私どもは貴方のように、この部屋へ訪れた方の手助けをしております」

「手助け?」思わず口を開いた。

 

それに俺のようにって…エリザベスとかか?あいつもここに来たことあんのか?

 

「具体的な内容を説明する前に…ひとつ瀬能様には謝らねばならない事があります」

 

謝らねばならない事?

この空間に拉致したことか?

 

「実は貴方が力に目覚めるきっかけを与えた者たち…エリザベスとマーガレットもこの部屋の住人でして」

「ああ…」なるほど。

 

つまりこのイゴールはあの二人の主なのか。

 

「とくにエリザベスが大変な粗相をいたしたことを深くお詫び申し上げます」

「随分と個性的な乗務員雇ってんだな」

「耳が痛い…力を司る者の中でもとくに我が強い2人でして」

 

ああ…まあ、そうだろうな。

 

マーガレットはともかくエリザベスはあんな性格だ。実力あってあれじゃあさぞ手を焼いているだろう。

俺もつい最近似たような自由奔放な叔母が(うち)に来たから気持ちはよく分かる。

 

……ちょっと微妙な空気になった気がする。

 

 

「そろそろ私以外のこの部屋の住人を紹介致しましょう」

 

流れを変えるように、イゴールが片手を軽く振る。

すると彼の背後…列車の進行方向考えると前方か、の車両から、ひとつの人影がドアを開けて姿を表す。

 

「ご紹介に預かりました。わたくし、レキとっ!?」

 

――ヴァォンッッ!!

 

即座に縮地からのサモアンフックを放った。

が、またしても躱される。

 

「なっ、なにをするんだいきなり!?」

「いやなんかノリで」

「ノリ!?」

 

お約束かなぁと。

 

「非常識すぎる!こんなのがわたくしの担当だなんてあんまりだよ!」

「こんなのて」

 

エリザベスよりはまともじゃないかな。

 

アレの非常識さは国宝級よ?人類史の黒歴史として教科書に載せてもいいと俺は思うね。

 

ていうか、

 

「…………」

「なっ、……なんですのジッと見つめて…」

 

レキとやらの格好を注視する。

 

白髪…と見紛う(みまごう)銀色の髪。それをツインテール、しかもドリルみたいにくるくる巻いている。

 

眼は金色。…エリザベスやマーガレットと同じだな、血縁かなんかか?

服は青色。フリルが沢山の…ゴスロリ?ファッションだ。

 

それは別に問題無い。格好の趣味なんて個人の自由だ。俺が所属してる生徒会にも似たような奴いるしな。

だが…

 

「お前…本当に女か?」

「!!?」

「なんか違和感あるんだけど」

 

さっき殴りかかった時も口調がいきなり変わったし。

それになんか…声の質?が少女にしては若干低い気がする。微妙すぎて自信ないけど。

 

 

ム"ーーー

 

 

メールだ。

 

 

『■レキ

   HP:???

   SP:???

   スキル:???

 

物理:???

火炎:???

氷結:???

電撃:???

疾風:???

念動:???

核熱:???

祝福:???

呪怨:???

 

力:???

魔:???

耐:???

速:???

運:???

 

備考:性別・男』

 

 

「やっぱ男じゃねーか」

女装趣味の秘書とか俺こそ"あんまり"だ。

 

「ノルン!勝手にわたくしの秘密をばらすんじゃない!!」

 

レキとやらは俺のデバイスに掴み掛かり大声で文句を言う。ただの液晶に向けてなにしてんの?

 

「誰よノルンって」

「は?お前自分の所持しているペルソナのことも知らないの?馬鹿じゃない?」

「…………」

 

 

  リーブラっ、

 

  ぎゃああああああっ

 

 

「ああああああああああわれるっ!!?頭が、砕けるっ!?」

「キ…レ……イ…」

 

ワンフレーム・ヘッドロックでくっそ生意気なガキの頭を両腕で抱え込み、自分の胸骨に押し付け締め上げる。

あたまーがーピョンとなーるー。

 

「瀬能様、おやめくだされ。最終的に力を司る者と戦う契約者はおりますが、それにしても早すぎます」

「俺すでにエリザベスと死合()ってんだけど」

 

しかもKOしたし。

……その前に死にかけたけど。

 

 

「つーかお前、そんな格好してるんならきちんとやりきれよ。そのナリで男言葉使うと強制的に女装されてるみたいじゃねえか」

 

ヘッドロックを緩めてレキに話しかける。

 

「当たり前だ!この格好はわたくしの意思でやってるんじゃない!」

「じゃなんでそんな服と一人称してんの?」

「………姉上には…絶対だから……」

 

…………

 

なんかすごい悲しくなった。

思わず拘束を解いて顔を背けるほどに。

 

「苦労…されてるんですね…」

「やめてくれ、涙が溢れる」

やべえ。レキくん泣きそう。

 

しかしなんか言葉が出ない。しょうがないからそっとしといて元いた席に戻ろう。

人智を超越した力を持っていても弟は姉に勝てないって言う人間ルールからは逃げられないんだな…





ワイルド名物ベルベットルーム回。訳がわからずともとりあえず暴力を振るう、それがナツルクオリティ。

オリキャラレキくんはペルソナ5のラヴェンツァをゴスロリファッション&ツインドリルヘアーにした感じ。
ちなみに『戦士』世界ではラヴェンツェ出てきません。
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