日常が続くと言ったな。アレは嘘だ。
『戦士たちの非日常的な日々』のガチな非日常がやってまいりました。
一日目 地獄へようこそ
ざわわ
ざわわ
ざわわ…
ひろい…きんぎょそう畑ぇには…
おぎゃあ
おぎゃあ
おぎゃあ…
きもい悲鳴ひびくだけ………
おぎゃあ!
おぎゃあ!
おぎゃあ!
おぎゃあ!
おぎゃあ!
おぎゃあ!
おぎゃあ!
おぎゃあ!
お―――
「ぎゃあああああああああっっ!!?」
びぢゃ"ぁっっ
「はぁ…はぁ"ー……! 人生でワーストスリーに入る悪夢だった…!」
植物の茎に金魚生えてる物体になって延々と悲鳴を上げる生活…
断言しよう。最悪です。
☆ ★ ☆
〜ナツルSide〜
「うげぇ…」
よく分からん液体まみれな身体をブルブルと震えて水気を払う。
多分だけど俺、金魚の口から吐き出されるようにして出てきたんだよな。
その証拠に俺のすぐ後ろにある金魚草?の金魚が一匹カサカサに枯れている。白目をむいて口元から涙を流しながら。
もしかしなくてもこれ唾液?気持ち悪っ。
つーかこの…ペンギンをマスコットのようにデフォルメした姿って…
「プリ●ーじゃん」
まさか前に召喚獣として出てきたものに自分がなる日が来るとは…想像できるわけがない。
「さて…」
ヌメつく液体を(ある程度)ぬぐい落とし、気を取り直してあたりを見回したが…
どこだここ?
どんよりと曇った空。江戸時代の日本のような古風な建築物。寂れてるというか陰気な空気が感じられるこの空間…
もしかして地獄?
「…………」
よし、人を探そう。決めつけるのはよくない。
おぎゃあおぎゃあと鳴き叫ぶ金魚草畑に背を向け歩き出した。
が、
「く…っ」
歩きづれえ!!
普段よりだいぶ小さいってのもあるが、足が完全にペンギンのソレだから可動域が狭い上に足ヒレで上手く進めない。
しかも腕(翼?)やら腰やら、とにかく全身を使って集中しないとまっすぐに進めない!
いや違うか。今の俺の身体普通の生物よりだいぶずんぐりしてるから、関節がほぼ無い!ペンギンをデフォルメしたぬいぐるみボディマジキツイ!!普通の奴なら歩けねぇんじゃねえか!?
つか本家のプ●ニーは足棒状だっただろうがよなんでリアルペンギンフットなんだよ!
とりあえずすぐそばに建っていた屋敷に入ろうと思って来たが、高床式なのでまず階段を昇らなくてはいけない。
一段の高さが今の身体の半分近くあるから、手とか足とか全身を使わなくちゃ移動ができない。登る感覚だ。
「ふぬ…!っ、くっ!」
重心も不安定だから気を抜くとすぐ転がり落ちそうになる。階段ってこんな怖かったか?
「やっとついた…!」
最上段についた時には息が上がっていた。
つ…疲れた…!いつもなら数秒かからず昇りきれる距離に十数分かかっちまった…!肉体が貧弱すぎる!
いや肉ないけど。素材はフェルト生地っぽいし。
とにかく一旦一休みしたい。早く旗を立てよう。
「なにをしてるの」
フラッグを床に突き立てようと大きく振りかぶった瞬間、なんか…座敷童子のような着物姿の幼女に話しかけられた。
…幼女って言ったが向こうの方が頭一個分は高い背丈だ。今の俺ホントにちっせえな。
「怪しいものではありません。モノです」
「意味がわからない」
増えた!白髪の2Pカラーだ!
「ちょっと尋ねたいんですが、ここはいったいどこなんでしょうか」
「ここは閻魔殿…」
「地獄で亡者を裁く場所…」
予想が当たってしまって草。
バカな!俺は…俺は地獄送りにされるような人間じゃないはずなのに!どうして!!
「すごい自分勝手なこと考えてる」
「地獄送りにされる資格十分だね」
床に手膝ついてガチで凹んでるヤツ相手に容赦ねーなコイツら。
膝が無いせいで
「この子、どうする?」
「鬼灯様のところに連れていこう」
「そうだね。そうしよう」
ぎゅむっ
「!?」
急に両足首を掴まれた!
ズリズリズリズリズリズリズリズリ
そのまま後ろに引っ張られて、腹ばいに引きずられる。
「ぎゃああぁやめろ!腹が擦れる!」
汚れが肌につく!雑巾か俺は!?
☆ ★ ☆
クチバシの下から足の上側(下腹部)。とにかく身体の前面を床に擦られながら運ばれること数分。強い気配が感じられた。
そっちの方に双子が近づいていく。おそらくこの気配の主が"鬼灯様"なんだろう。
「おや一子さん二子さん、どうしました?」
「変なの拾った」
落とし物扱い。
「ヌメヌメしてる」
それは俺も気にしてる。
「ヌメヌメした変なの?そのペンギンみたいな物ですか?」
「ペンギンじゃねーよ」
両足が自由になったタイミングで床に手をつき、一回転して立ち上がる。きちんと鬼灯様とやらに顔が向くように。
額に角生えてる!まんま鬼!
すごいつり目!今までで一番!
ぶっちゃけちょっと怖い!
「おやあなた…」
手に持った書類を脇に抱え、目線を合わせるようにしゃがみ込んで俺を見つめてくる。
蛇に睨まれた蛙のようで居心地がたいへんよろしくない。変な汗出てきた。
「亡者…?ではないみたいですね。魂だけが
「え、幽体離脱してるってこと?」
「はい。なにか強烈なショックを受けるような出来事がありませんでしたか?文字通り魂が抜け出るような」
「…………」
ある。
めっちゃある。むしろ心当たりしか無い。
そうか…姫路の料理はその域にまで達したのか……
だからアイツらと一緒に移動したくなかったんだ。電車に乗り込んできたの見た時点で降りればよかった。
そもそも最初からペルソナで合宿所まで行けば運賃も浮いたのに…美鶴先輩からなるべく使わないように言われてたからなぁ。もう無視しよう。
元に戻ったら早速、ペルソナ使って姫路の口に奴の料理ねじ込んでやる。
「しかし困りましたね。今はちょっと地獄自体が忙しくて…」
「忙しいって」
「お盆に向けて死者の現世一時帰還の申請と審査の手続きで、どこもてんてこ舞いなんですよ」
お盆帰りってそんなビザみたいなもんだったの?
「なので現世に戻すにも少々お時間をいただきます。あなたお名前は?」
「瀬能ナツル」
「では瀬能さん。準備ができるまでこの閻魔殿で……」
鬼灯様が喋ってる途中で急に口を閉ざした。
そして…無表情だから分かりづらいが何やら思案している様子。
「ふむ…ちょうどいい……か…?」
「?」
「いえ、こちらの話です」
なんなんだ。なんか嫌な予感。
「先程も言いましたが私も何かと忙しいんですよ。かと言ってあなたを野放しにもできません」
「まぁそうだろうな」
「生者の魂が好物な妖怪とかもいますし」
急にRPG要素出てきたな。
倒しまくってレベル上げる修行パート?
「ですので瀬能さんの面倒は他の方にお願いします。移動しましょう」
言うが早いか鬼灯様は俺の胴体をむんずと掴み。小脇に抱えて歩き出す。拒否権は無いようだ。
「……ヌメヌメしてる…」
一旦シャワー浴びさせてくんない?
鬼灯の冷徹より、主人公鬼灯と座敷童子二人が登場。
ちなみにプリ●ーはディスガイアです。