速攻、意地、火力、思いつき、プライド、武力、気合、仁義。
瀬能ナツル “
憧れを持たなかった。そう言ったら嘘になる
目指したことはない。そんなことはない
それでも
設備がいいってだけで、俺が欲しいものはそこにはなかった
〜ナツルSide〜
『なんだ今のは!?』『反則だろ!』
Sクラス側から非難する声が上がる。
さっきまで余裕そうに嘲笑と侮蔑をしてたのに、いそがしい奴らだ
『正々堂々やれー!』『卑怯者がっ!』
「いかなる手段を用いても勝ちにくるとは、山猿とまことに醜い奴らじゃ!」
「…うるっせーんだよド素人どもがッ!!」
口々に喚き散らしてくる連中に、ありったけの怒号を放ち睨みつける。
何人か気絶したみたいだけど気にしないでおこう
「黙って聞いてりゃピーピーギャーギャー好き勝手騒ぎやがって、調子にのんな三下どもが!」
「なっ…なんじゃと!?」
「あ"ぁ"?」ギロリ
真っ先に反応したにょわ女をより一層の殺気を込めて睨みつける。
途端に「にょわっ…!」と小さく漏らして静かになった。(それ悲鳴?)
「自分らが有利な時や、相手が格下だと思った時だけ余裕ぶりやがって…大したエリート様だなぁ?」
『………っ、』
俺の物言いにカチンときたのか、何人かがキッと目尻を吊り上げる。
「なーに?なんか言いたそうだねー。言ってごらん?聞いてあげるから」
んー?とにこやかに笑顔をつくり、厳しい視線を向けてきた奴らに問い掛ける。
しかしそいつらは、俺と目が合うと(あるいは合いそうになると)慌てて顔を背ける。
………軽く傷ついた
それ以上にイラっときた
「なんだ?なにもないのか?流石はエリート様だな」
上っ面の
「他の奴より高え点持ってるやつが、どの口で卑怯とか抜かしてんだよ。正々堂々?おーいいよ。やってやるよ。その場合はお前らも俺らに点数合せてくれるんだよな?せーせーどーどーの
Sクラスを強調する際、大げさに両腕を広げて尋ねる。
その結果は、一握りを除いたほとんどが気まずそうにあさっての方角へ顔を向ける。というある意味予想通りのものだった。
「できもしねえことを偉そーに語ってんじゃねぇよ金メッキ共が。ハンダで貼り直すぞ」
完全に沈黙した群衆に向かい
ちなみに緑青は銅。または銅合金の表面に生じる緑色の錆びのことだ。
有象無象の中に銅以上の奴がいるかどうかもあやしいがな(あ、シャレじやないよ?)
「さて…」
あらためて今現在対戦中の相手に向き直る。
喋ってる間攻撃してくるかと思ったが、彼女はただ黙って立ってるだけだった。その姿が絵になるのがなんかムカつく
「待たせたみたいで悪いね、生徒会長」
「いいわよ別に。珍しいものも見れたし」
珍しいもの?
「
「思ったことそのまま言っただけなんだけど」
実際
「まあ中にはあんたみたいな例外がいることは認めてやるよ。一握りだけど」ちらりと教室の後ろの方にも目を向ける。
クラス全員がこいつらみたいだったら…やっぱり入らなかったか。つまんなそうだし
「それでも嫌悪感持つことはなかったかな…」
「? なにか言った?」
「いーやなんでも」
それ以上の追求を逃れるため―――そしてさっさと終わらせるために、召喚獣に戦闘体勢を取らせる。
「いくぜ三郷。手加減すんなよ?」
「…そんな余裕はなさそうね」
瞬間、二体の姿が弾けるようにかき消え―――
同時にガギャァン!と鋭い金属音が響いた。
…向こうのは分かるがこっちは番傘だぞ。なんで金属音がするんだ?
「大した傘ね、どこで買ったの?」
「企業秘密だ。俺の傘が防ぐのは雨粒だけじゃねえぞっ!」
鍔迫り合いの形から、無理矢理剣を弾いて若干の隙間を作る。
すかさずそこに突きー!
「ボディががら空きだぜヒャッハー!!」
ズガシュ!
「くっ…!」「チィィッ!」
胴体部。正中線を狙ったそれは、会長の腕をちぎり飛ばすまでに終わった。
文面だけ見るとかなりヤバげだけど召喚獣のことですよもちろん
つか寸前で身体を半身にそらしてよけやがったよコイツ。どんな反射神経してんだ
「ってうおぉっ!?」
息つく間もなく短剣が今まで頭があった場所を通り過ぎていく。
かわし損ねて横顔に紅い筋ができた。リンか俺は
Sクラス 三郷雫
総合科目 5986点
VS
Fクラス “Mr.規格外”瀬能ナツル
総合科目 281点
「やるじゃねぇか…やっぱアンタ本物だよ!」
「あなたも…ねっ!」
微笑みながら素早く駆け寄ってき、残った右腕で鋭く斬撃を放ってくる。
バックステップで射程距離から逃げるが、追撃で追いすがってくるのでバク宙で後ろに跳ぶ。
そこで短剣を飛ばしてきた。
ナッツ(俺の召喚獣)は天地逆さまにこちら側、つまり相手に背を向けてる状態だ。
おまけに絶賛空中浮遊中。もう刺さるしかないね!
「っざっけ・ん・な、コラぁ!!」
念心流・
逆さまの状態で、それまで勢いのままに動いていた歌舞伎役者独特の長い髪が、一つの生物のごとく動き出す。
まるで蛇が獲物に食いつくかのように真っ向に短剣に向かい、横からはたくようにしてその軌道を変えた。
うむ、始めて活用出来たな
逆さの状態から綺麗に半回転をして床に着地するナッツを見ながら、感慨深く思う。イメージ通りに動いてくれてよかった
「あなた…本当に何者なの?どうしてあんなことできるの?」
「頭のつま先から足のてっぺんまでずずずいと神経張り巡らしゃあ、動かせねえ部位なんてねえんだよ」
「…デタラメな身体の作りしてるわね」
ため息をつきそうなほど呆れた目を向けてくる三郷。
その後ろにいるモブ達も化け物を見るような目でこちらを見ている。
ツッコんでほしかった
あなたの頭にはつま先があるの?とか、髪の毛にどうやって神経を通しているの?とか
個人的にはどこのサイファーポールだよ、って言われたかった!
「アンタにはがっかりだよ」
「なによいきなり…」
「生徒会長っつってもこの程度か…ウチの学校のだから凄いと思ってたのに、がっかりだよ!」
「ダメ出しをされる意味も、その理由もよく分からないわ」
わかってない。あなた、なにも分かってない(cv.吉野裕行)
「…飛ばしてるなーナツルのやつ。生徒会長相手にも絶好調だ」
「相変わらずわけわかんねーな…」
「タイガ節全開だね」
「ねえねえ、これいけるんじゃない?S組のトップ相手に互角にやり合ってるわよ」
「むしろ圧倒じゃね?ダメージ的にー」
「いける…いけるよきっと!」
「瀬能さんがんばってくださーい!」
「ナツル負けるなー!」
今の今までお通夜みたいなムードで押し黙っていたうちの連中が、水を得た魚のように騒ぎ出す。
現金な奴らだ。やめろよ今さら
「燃えんだろ」
おそらく、いや確実に三郷は勝負を急ぐだろう。
盛り上がり出したFクラス。それとは逆に若干勢いの衰えを見せ始めたSクラス面々。
これ以上調子づかしたら手が付けられない。そう考えてるはずだ。
「…っ!」
予想通り、一度弾き飛ばされた短剣を引き戻し、再び投げつけてきた。
それだけでなく切られた腕からもう片方の剣をもぎ取り、自ら突っ込んでくる始末。
「髪吹雪!」
その三郷に向かい、青く長い髪が横殴り豪雨のごとく突き刺さる。
Sクラス 三郷雫
総合科目 5012点
「…くっ!」
途端に三郷の顔が険しくなる。
しかし焦りはなさそうだ。
俺が取るべきベストな戦法はヒット&アゥエーの持久戦
時間制限はないし与えるダメージ量もこちらが上。ともなれば多少消極的と見られても慎重にチャンスを待つのが賢いやり方だろう
そう考えたところで、俺は持っていた番傘を横に放り捨てた。
「…え?」
困惑の表情をする三郷。
他の奴らも、俺の突然の行動に意味が分からないといった様子。
唖然とする周りをほっといて、ナッツに両手・両足を地面に力強くつけさせ、姿勢を低く構えさせる。
ちょうど四足獣が獲物に飛び掛かる前の、臨戦大勢を取った時みたいな形だ。
「あなた、一体なにを」
「ちまちまやるのは嫌いでね」
現在一勝二敗、引き分けはダメ。負けたら終わりのこの状況。ポリシー捨ててでも確実に勝ちにいくのが
だからこそ打って出る
逆転の兆しを見せたこの状態で派手に勝てば、流れは一気にうちにくる。最高の形で坂本に繋ぐことができる。
「…あなた本気なの?上手くかわしているけど点数は私の方が上なのよ?」
「髪装甲」
目を細め、軽く苛立った様子の三郷を無視し、髪の毛を身体全体に巻き付けて鎧のようにする。
その際ついでだからと、顔の部分だけ化粧をしたかのように髪の毛を配置させる。虎みたいに
「……あまり、調子に乗らないことね…」
三郷の目が一層厳しくなったかと思えば、それに比例するかのごとく、召喚獣から発せられる威圧感が高まる。
触れちまったかな。逆鱗ってやつに
「チョーシこかしてもらうよ。若いからな」
「…残念ね。あなたのこと、少し好きになれそうだったのに」
「そいつはよかった。俺
目指さなかった。わけじゃない
憧れなかった。わけじゃない
それでも
所詮てっぺんも変わらないもんだ
一年の後期―――たしか三学期だったと思うが―――俺はS組進級に乗り気だった。
学園一の秀才天才が集まるクラス。設備諸々含めて期待はできる。
幸い特待生制度といった、ズバ抜けた武力さえ証明できればSクラスに行く事ができるという俺にピッタリなものもあるし、狙ってみるのはありだと思ってた。
そして特待生試験当日。早めに帰って明日に備えようとした矢先、
何気なく覗いた路地裏の陰で、
胸に"S"のバッチをつけた二年生が、下級生らしき男を二人がかりでカツアゲしていた。
それを見た瞬間、もうどうでもよくなった
エリート集団だのなんだのと自称しようとも呼ばれようとも腐っていたら価値はない。
どこも一緒なら、どこでも一緒だ。翌日の朝に目撃者に脅しをかけにきた二人組みを半殺しにして、そう思った。
思っていた。
Fクラスに来るまで
「掃き溜めにこそ鶴はいる」
瞬間、極限まで抑えつけられた筋肉を解き放なち、ナッツが矢のように飛んでいく。
しかしすぐに身体が縦に回転し、丸鋸のような形で三郷に向かい突っ込む。
―――絶・天狼抜刀牙!
「食・らえぇぇえええっ!!」
「っ…!?」
勢いよく突っ込んでくる俺の召喚獣を見て、三郷が自分の召喚獣に防御体勢を取らせる。
残った腕で剣を使い、ガードが完成した所でナッツが激突した。
すさまじい音―――チェーンソーが鉄製のものにぶつかった類いの―――が教室に響くと同時に、全身に強烈な激痛が走る。
超いてぇ
なんでこんな目に。疲れた。帰りてえ。もうヤダ。放り投げたい。よくやったじゃん。終わりにしてえ
そんなネガティブな考えが頭に浮かぶ。
心なしか回転も緩んだような気もする。
だけど
「根性見せろよナッツ…っ!」
『………!』
再び回転の速度と勢いが増した。
ボウッ!! さらにはナッツの髪から炎が上がる。
自分で出した炎だからか、熱くはないしダメージもない。が、全身を覆っているから火だるま状態。
「るぁぁぁあああっ!!」
「…くっ!」
数瞬、あるいは数秒だろうか。
その攻防はすぐに終わりを告げた。
ズガゴウッ!!
表現のし辛い音がして、勢いよく埃が舞い上がる。
そのせいで視界が塞がれ、召喚獣二体の姿が消えた。
勝敗は―――?
全員が見守る中、次第に舞っていた埃が収まっていく。
そこには、
Fクラス “Mr.規格外”瀬能ナツル
総合科目 12点
VS
Aクラス 三郷雫
総合科目 0点
真っ二つになり、燃え上がりながらも床に倒れ伏す召喚獣と、衣装や髪など所々汚れて満身創痍に立ちつくすナッツの姿があった。
「勝者…瀬能ナツル」
しばらくして高橋教員が、信じられないといった顔で勝利者コールをした。
長かった四回戦が、ようやく終わったのだ
俺の傘が防ぐのは雨粒だけじゃねえぞっ
ツギハギ漂流作家というジャ○プで連載してた漫画。
僕の傘がはじくのは雨粒だけじゃないぞ
リン
トリコの登場人物。ググりましょう
絶・天狼抜刀牙
銀牙。熊犬が主人公の漫画に出てくるなんかすごい必殺技です。
今の世代はオリオンかなぁ…
・念心流・後髪
頭のつま先から足のてっぺんまでずずずいと神経を張り巡らせることで強引に髪を動かす荒技。
短髪のナツルは今まで髪の毛をセットするぐらいにしか使ってなかった(才能を無駄に使ってない?)
使える使えない以前に技として存在していることがなんかおかしい。念心流怖ッ
・髪吹雪
後髪で動かした髪による乱れ突き。熟練者が使う技の威力はプロボクサーのパンチ並とかなんとか
使える使えない以前に(以下略)
・髪装甲
紙のように脆い装甲…ではなく、髪を巻きつけて守備力を上げる技。強度は防弾チョッキ的なイメージで
つk(略)
自分の髪の毛まで自在に操るなんてこの主人公はいったいどこに向かってるんでしょうか。
クマドリやサニーを目指しても需要はないだろうに…困ったもんだ(←あんたが考えたんだろうが)
今回の話で原作(バカテス)の一巻編終了にしたかったんですが、微妙に長い気がしたのでいったん切りました。申し訳ない。
いやあ、多いんですよ…ネタが