戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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13時間目 独国から来た少女

4月。

 

穏やかな気候。爽やかに吹き抜ける風。

 

そして

 

 

 

 

「ブラヴォーーーー!バック、ブリカーーー!!」

「(ゴキガッッ)ぎゃばああぁぁっ!!?」

 

 

 

 

晴れやかな青空に響き渡る、ヒートアクション。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

〜ナツルSide〜

 

 

 

「4月関係ねーじゃん」

 

担いでいたチンピラCを投げ捨ててつぶやく。

 

 

…なに言ってんだろ俺。まあどうでもいいか

 

軽く周囲を見回して、殺り―――取りこぼしが無いかを確認する。

……うん。これで全部みたいだな

 

 

「しかし最近この手の輩が増えたなぁ」

 

今週入って今回で五度目だぞ。元気だねぇ

 

 

…襲撃自体は前々から少ない方じゃなかったが、近頃はなんか異常に多い気がする。

 

人数も時間帯も、持ってる武器も毎回違いはするんだが……んーなんか引っかかるな

 

 

「ま、いいか」

深く考えてもいいことはないので、頭の片隅に留めておく程度にしておこう

 

そう結論付けて、倒れてる奴らのポケットをあさり始めた。

 

 

「えーっとサイフサイフ…んだよ、3千しか持ってねーじゃんコイツ」

シケてんな近頃の不良は

 

 

 

「待て!」

 

 

 

「んぁ?」

 

一人目の身分証を写真に収め、二人目に移ろうとした瞬間背後から声をかけられた。

 

……俺だよな?他に誰もいないみたいだし…

 

仕方なく物色の手を止めて振り返るとそこには

 

 

 

 

に跨った金髪ツインテールの美少女が鋭い眼差しで睨んでいた。

 

 

「罪のない一般市民を襲い、挙句金品を略奪するなど不届き千万!恥を知れ!」

 

 

 

・不届き

 

1 配慮・注意の足りないこと。不行き届き。

 

2 道や法に背いた行為をすること。また、そのさま。

 

 

 

公道を馬に乗り闊歩してる奴にそう言われても…

頭が残念な娘なんだろうか

 

 

若干生暖かい眼で見ていると、少女が馬上でもぞもぞと動き始める。

 

あの体勢は…もしかして飛ぶ気か?

 

 

「そこを動くなっ、今すぐ自分が正義の鉄槌を下してやる!」

「その格好でジャンプしたらスカートの中身見えるんじゃねーか?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「そっ、そこを動くなっ!」

 

少しの間固まっていたが、また馬上でいそいそと体勢を変え始めた。

 

 

若干顔が赤いのはスルーしておいてやろう

 

 

言われた通り待っていたが、相手はスカートがめくれないように気をつけながら馬から降りようとしてるため、とにかく遅い。

 

 

 

………うん、行くか!

 

 

 

「あっ、コラ待て!逃げる気か卑怯者め!」

「待てと言われて待つ奴はいない」

 

それにいい加減学校に遅れそうだしね

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

・学校

 

 

「よし、間に合った」

 

この時間なら出席確認には間に合うだろう

 

意外に思われるかもしれんが俺は出席率だけを見れば遅刻・欠席が一つもない。いわゆる皆勤だ。

 

まあ教師が出欠席を取ってないものは普通に遅刻したりしてるから紛い物の皆勤なんだけどね

 

 

「今日の一限目はなんだったかなー…げっ英語かよ」

 

初めっから苦手で嫌いな授業とか…朝から最悪な気分だ

 

 

 

…朝といえばさっきの乗馬女、うちの学校の制服着てたな。

 

あそこまで目立った行為してたら噂でくらい知ってそうなもんだが、全く心当たりがない。新入生か?

 

 

 

「…あ?なんだこりゃ」

 

考えながらもいつも通りに昇降口で上履きに履き替えようとしたが、Fクラス用の下駄箱に立て札が設置されていた。

 

見たとこ他クラスのとこには置いてないっぽい。なんなんだろうか

 

 

もしかしてあれか?試召戦争で負けたから、早速ランクを一つ下げたって通達か?

 

なにも入り口で知らせなくても…まさか靴入れもランクダウンの対象になるってんじゃねえだろな!?

 

 

恐る恐る立て札の内容を確認する。

そこにはこう書かれていた。

 

 

 

『Fクラス生徒は以下の場所でホームルーム、及び授業を受けること。

 

場所:第二グラウンド東隅』

 

 

 

靴入れどころのレベルじゃなかった。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

「ジョーダンじゃねーッスよコラァッ!!」

 

 

4つあるうちの一つ、第二グラウンドの片隅で愛(× 不満)を叫ぶ俺。

 

たちの悪いジョークかと思ったが、本当にFクラス人数分席が置いてある。

 

っていうかこれホントに席か?ただのみかん箱じゃねーか

椅子は1m四方のブルーシートだし…ホームレスか!

 

 

「一回負けただけで屋外とか酷すぎるだろ!上訴してやる!!」

 

「落ち着けナツル」後ろから直江がやってきた。

 

「いくらなんでも教室まで設備低下の対象にはならないよ。Cクラス以下は机と椅子だけだ」

「じゃなんだこの現場は!」

「木造校舎の倒壊が目に見えてるから、リフォームするための一時的な措置じゃないか?同じ校舎に入ってるDクラスとEクラスも他の場所に移動するよう指示があったみたいだし」

「む…」

 

直江の淡々とした説明を聞き、頭が冷めていく。

 

 

軍師を自称するだけあってか、こいつの情報収集能力は伊達じゃない。

 

今までいなかったのも事実の裏付けをしていた…んじゃないかな多分

 

 

「Fクラスは特に損傷が激しいのと、罰の意味合いも兼ねてるらしい。ほら、前にナツルが廊下破壊したから」

「冤罪だっつーに…どのみちしばらくは青空教室かよ。雨降ったらどうすんだ」

「さあな。体育館とかでやるんじゃないか?」

 

地味に嫌だ。避難民じゃねーか

 

つーか

 

 

「お前らさっきからやけに大人しいな。どうした、そんな深刻そうな顔して」

 

もともと廃屋から不満を持って試召戦争始めた奴らだ。

この待遇に文句の大合唱が起こるかと思っていたんだが、Fクラスの面々は誰一人口を開こうとしない。

 

いつも静かになんか食ってる熊飼とかならともかく、無駄に騒がしい…名前なんつったっけかなアイツ。まあいいか、Mっぱげ猿まで静かなのはちょっと不自然だ。

 

 

「なんだよ皆して…なんかあったのか?」

「……………(すっ)」

 

ゴリポンが無言で小雑誌を差し出してくる。

 

「なんだこれ。報道部が出してる学校新聞じゃねぇか」

情報量が多くてファミ○並の厚さを誇るって言う。

 

噂通りの厚さだ。電子媒体にした方がいいんじゃないか?

 

「これがどうしたよ」

「…ランキングのところ見てみろ」

「ランキングって…うわ、裏神月ランキングに俺の名前が入ってる!」

「え、ホント!?」

 

ワン子が横から割り込んできた。

 

「あー、ホントだ!タイガ20位に入ってる!」

「え、いや。ワン子お前今どこから」

「武道を選択してる奴に限定した表のランキングと違って、生徒全員を対象にした裏神月にランク入りするのはかなり難しいのよ。タイガってホントすごいね!」

「いや…」

 

無邪気で純粋無垢な眼差しにどんどん居心地が悪くなっていく。

 

順位には本名が書かれてるけど認識してんならタイガって呼ぶなよとか、気配感じなかったけどどうやって近づいたのとか言いたいんだけど言葉が出てこない。

 

 

ヤメロ……!そんなキラキラした眼で俺を見るのは止めろっ!…自分が薄汚れてるのを再確認しちまうだろうが!!

 

 

 

ちなみに俺がランクインしたのは元の20位の奴(Aクラスのなんとかだっけ)を倒したからだそーだ

 

つーか俺すでに別の名でランクインしてるみたいなんだけどいいのかな。オセロだったらランカー全員ひっくり返るぞ

 

 

 

「最近やたらとからんでくる奴が多い理由はこれか…でも俺がランカーになったのとこの沈みっぷりとどう関係があるんだ?」

「その次のページ…」

「次?」

 

言われるままにページを捲る。次は…

 

「学校で見た目がいい男50位までランク付けした神月イケメンランキングか。たしか上位10人を"十神"、トップ4を"四天王"とか呼んでんだっけ」

 

四天王好きだよなこの地域。武道でもそんなのあっただろ

お国柄か?

 

 

「うちのクラスからも何人か乗ってたよなこれ。確か上の方に……」

 

 

〜〜神月学園☆イケメンランキング〜〜

 

1位 京極彦一

2位 葵冬馬

3位 風間翔一

4位 源忠勝

5位 瀬能ナツル

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

ん?

 

今なんか妙な違和感なかった?

 

 

 

「五位に瀬能ナツルって書いてあるぞ」

「あ、ホントだ。…いるんだなぁ、俺以外に瀬能ナツルっていう奴」

「おめえ以外にそんな名前のヤツいるわけねーだろ!!」

 

ゴリポンが噴火した。

 

それに連鎖するように、一気にあちこちが騒ぎ出す。

 

 

『なぜだぁ!なぜ瀬能なんかが!?』

『こんなヤツただの無神経で乱暴で迷惑な性格ブサイクなのに!!』

『彼女ほしいぃぃぃぃぃっ!!』

 

 

あっという間に火の海だ。

 

各々自分のことは棚に上げて好き勝手にほざきやがる。いっそ清々しいね!

 

 

当然粛清はしといたが

 

 

「みんな席につけー―ってどうしたお前ら」

 

突如校舎の方からやって来た、西村こと鉄人ゴリラ。もうホームルームの時間か

 

鉄人は地面に倒れ伏し、時折弱々しく震える生徒達を一瞥し

 

俺に拳骨を落とした。

 

 

「ぷも"ッ!? な…なんで…?」

「誰が鉄人ゴリラだ。西村先生と呼ばんか」

 

 

そっちかい!口に出してないのになんで分かったんだ?

 

 

「ほらお前ら、いつまでも寝てるんじゃない。ホームルームが始められんだろうが」

 

しかも倒れてることになんの疑問も持たぬかの如く自然に教卓につきやがった!

 

いいの?なんでコイツら瀕死なんだとか気にしなくてもいいの!?

 

「昨日も言ったが、今日からFクラスを受け持つことになった西村だ。俺が担任になったからにはビシバシ!行くからそのつもりで勉学に励むように」

 

ダメだ。完全にこの状況を無視している。

 

これ以上話が展開しそうにないので、諦めて一番近くの席(ブルーシート)に座り込む。

 

 

「さてまずは出席確認だが…その前に新しく転入生を紹介する」

 

転入生?

 

「先生。その転校生は超能力的なものが使えますか」

「使えるわけないだろお前じゃあるまいし」

 

失敬な。俺だってできねえよ

 

「それじゃあ次元を越えたりは…」

「できんできん。いいから黙ってろ、どんなに時間を稼いだところで一限目はなくならんぞ」

ちっ、バレてるか

 

 

「いいかお前ら、今からこのクラスに新しく加わる生徒を呼ぶが…驚くんじゃないぞ」

 

西村教員が厳めしい顔をより深くして、真剣な口調で忠告してくる。

 

…そんなにヤバい奴なのか?それにしても大げさって気が…

でもこんな時期に、しかもFクラスに入る奴だし…どんな人物なんだ?

 

 

「オイ、いいぞ来い!」

 

 

鉄人が大声で校舎に向かい叫ぶ。

見晴らしのいい校庭だから校舎内に入るとかしないと隠れられないってのは分かるけど、ここまでしてサプライズにこだわらなくてもいいんじゃないか?

 

 

 

…学園もので転校生の立ち位置は大概、主人公かヒロインって相場は決まってるよな

 

主人公は俺だからもう無理だとして、あと残ってるのはヒロイン。まぁ相手が女ならだが

 

とくに事前に出会っているとかのフラグを立ててると一番親密な関係になる可能性は極めて高い。

 

 

たとえそれが

 

 

 

かっぽ かっぽ かっぽ かっぽ

 

 

「どうどう…ストップだ。ご苦労、浜千鳥」

 

 

 

馬に乗って登場し馬に乗って挨拶をする。ちょっと頭が残念そうな金髪ツインテールでも

 

 

「本日よりこの寺子屋で世話になる、クリスティアーネ・フリードリヒだ。よろしく…むっ、貴様は!?」

「チェンジで」

 

早く一日終わんないかな

 

 

 





マジ恋のヒロイン、クリス登場。

女の転校生が主人公といい出会い方しないっていうのは、学園ものの基本ですよね
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