戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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4話めです。

この辺りからちらほらとネタが振り込まれてきます。

念のためネタばらしとかは活動報告のほうでやろうと思ってます。なんか怖いから

無意味だろうけど


SHR ③

観察処分者―――学生生活を送る上で問題のある生徒に課せられる処分。

 

ただし多少素行が悪い程度ではこの処分は科せられない。

 

 

 

~~~~

 

 

 

「つまり観察処分と認められる奴はよほどのバカか手におえないか、あるいはその両方だ」

 

雄二の台詞に教室中の注目が明久に注がれる。わずかだが、場の時間が止まったかのように静まり返った。

『…つまりそこのバカはものすごいバカってことか?』

 

生徒の一人がその沈黙を破る

 

「ち…違うよ!観察処分者ってなってるけど僕はごく普通の「学園の恥」で――ってナツル!途中で割り込むから変な風になっちゃったじゃないかっ!」

「事実だろーが」

 

 

ナツルがちゃぶ台に頬杖をつきながら横槍を入れる。半目でありながら死んだ魚のように無気力だ

 

 

(単語聞いて一番最初にバカとか出るあたり不名誉以外のなにものでもねーよ。しかも二度も言われてるし)

 

 

 

無気力というよりもくさっていた。

 

 

 

「あの…」

そんな中、怖ず怖ずと手が挙がる。

 

「ん、なんだ姫路」

「観察処分者って、なんなんですか?」

 

「ああ…。ま、簡単に言えば教師の雑用係だな。力仕事とかの雑用を特例で物に触れることが出来る召喚獣でこなすんだ」

「へー…それってすごいですねっ」

 

坂本の説明に感嘆の声をもらす姫路。

 

「あははっ、そんなたいしたことないよ」

 

 

一人から注がれる羨望の眼差しに若干照れを見せながらも説明をする明久。

 

「そりゃ僕程度の学力の召喚獣でもかなり重たい荷物は持てるけど、教師の許可は必要だし…その時召喚獣が受ける負担の何割かは僕にフィードバックされるんだ」

「つまり召喚獣が重い物持てば疲れるし、傷つけば痛いって訳だ。ちなみに俺も観察処分者」

 

明久の言葉を受け継ぐようにナツルが補足する。

その後ギロリと目だけを動かして

 

「…吉井(コイツ)が逃げたりするたびに俺に雑用が回ってくるんだよな……毎回毎回疲れるやら痛いやら」

「あ…あはははははは…」

殺意の篭ったそれを、乾いた笑いで返す。されどもその背は冷や汗でびっしょりと濡れている。

 

『(瀬能が観察処分者ってのは妥当じゃないのか?)』

『(最上級危険人物だもんな)』

ひそひそ声で囁かれるが、当然ナツルの耳には届いている。

 

「つまりあれか!冴島おまえすごいバカってことか!」

 

そんな中、唐突に空気を読まず、長身で筋肉質の男―――島津岳人―――が指をさして大笑いする。

 

不用意な発言は身を滅ぼすことになるということを彼はまだ知らないようだ。

 

 

「実力を知ってるくせにそんなこと言う…」

 

ナツルは島津の量襟首をガッ!と掴み、

 

「テメエほどじゃねえヮ!!」

 

 

――古牧流・鉢崩し!

 

ゴッ!!

「ばボゴっ!?」

 

反り返るようにして後ろのちゃぶ台に叩きつける。

 

それだけで島津は天地逆さまの状態で床にめり込んだ。

 

幸い床と机(した)がボロボロだったので命に別状はないようだが、ダメージは相当のようでピクピクと痙攣するだけで動く気配はない。

 

いくら腹が立ったからといって相手の命も取りかねない禁じ手とも呼べる技を級友に使っていいのだろうか?

 

 

ここまでたったの数秒、しかしその数秒でクラス一帯はまるで通夜のようなムードが漂いだす。

 

ぶっちゃけドン引きだった。

 

 

 

「んっんん!とにかく、まずは俺たちの実力を示すために!まずはDクラスを攻めるぞ!!」

 

そんな空気を払拭するように、壇上の雄二が大声を出す。

 

 

「みんなこの設備には大いに不満だろう!」

『当然じゃあ!』

「ならばペンを取れ、戦いの準備だ!」

『オー!!』

「俺たちに必要なのはちゃぶ台ではないっ!Sクラスのシステムデスクだっ!」

『サー、イエッサー!』

 

シャーペンや鉛筆などを高く掲げ一糸乱れず(一部除き)掛け声を合わせるクラス一同。ノリのいい、むしろよすぎる位の集団である。

ここまでの一体感は普通ない。このあたりは見習う価値があるだろう

 

 

「明久、お前にはDクラス宣戦布告のための使者をやってもらう。無事大役をこなせ」

「え?僕?」

 

 

急に名前を呼ばれビクッとして聞き返す明久。

 

 

「…普通下位勢力の使者って酷い目に遭うよね」

「そりゃマンガとかでの話だ。騙されたと思って行ってこい」

 

それでも渋る明久に、雄二は詐欺士のような微笑みを浮かべて

 

「心配するな。…俺が親友を危ない目に遭わせるわけないだろう?」

 

 

敵陣地に一人で行かせる時点で十分危険な目に遭わせてるのではなかろうか。

 

 

しかし明久はふっ…と軽くため息をついて

 

「…分かった。行ってくるよ」

 

立ち上がり教室の外へ歩いていく。

やがてその姿がドアに隠れて見えなくなるとナツルが

 

「……ボコボコにされて戻ってくる、に缶ジュース一本」

 

そうボソッと呟く。

それに続くように

 

『じゃ俺、痣一つね』

『服の袖くらいじゃねーの?』

『いやいや、帰ってこれないっしょ』

 

誰も心配しない。それ以前に無事に帰ってくるとは微塵も思っていないようだ。

ある意味まとまってはいるが鬼のような集団である。

 

 

「ちょっ…!どういう意味ですかみなさん!?」

 

 

そんな悪鬼の中でも抗議の声を上げた者がいた。

Fクラスの数少ない良心。姫路瑞樹だ。

 

「もしかして危険なのを承知で吉井君を行かせたんですか!?」

「仕方ないんだ姫路。こういうのは誰かが必ず犠牲にならなきゃならん」

「そんな…!いくらなんでも吉井君がかわいそうです!」

「そうです!お姉さんとして見過ごすことはできません!!」

 

周りのノリについていけず、先ほどまでオロオロしっぱなしだった甘粕真与が話に割り込んできた。

 

「私、ちょっと助けに行ってきます!」

 

 

すでに彼女の中では吉井はひどい目にあっているようだ。

 

 

「わっ、わたしも―――」

「待て!二人とも!!」

 

教室から出て行こうとした両者を鋭い一括が止める。

 

「え……せっ、瀬能さん?」

「なんですか……?」

 

二人の視線を浴びながらもナツルは、自分の顔を覆い隠すかのごとく右手を広げ身体は側面だけを見せるようにポージングをして立つ。

 

 

いわゆる『ジョ●ョ立ち』だった。

 

 

「悪いんだけど行くんなら飲み物買ってきてくんね?」

 

 

 

わざわざ●ョジョ立ち状態で呼び止めまでして言うようなことかそれ?

 

 

 

「あっ、なにか買いに行くんならついでに僕も頼んでいい?」

『なら俺もたのむわ』

「ごめんマヨ。アタシもたのんでいい?ノド乾いちゃって」

「ええっ?えっと……」

 

あれよあれよという間にクラスメイトたちに囲まれる甘粕。

 

この後結局、姫路とその他数名と一緒に楽しくおしゃべりしながら自販機までパシ…買い物しに行くこととなる。

吉井のことは完全に忘却の彼方に追いやられてしまったのは言うまでもないだろう。

 

 

閑話休題

 

 

「おい瀬能。ちょっと待て」

「あ?」

 

すでに興味が失せたのか、自分の席に戻りそのまま寝ようとしていたナツルに雄二が声をかけた。

 

 

「大事な話がある。いいからちょっとこい」

「………」

 

眉をひそめながらもナツルは壇上へと歩いていく。

 

「俺普通に可愛い女の子が好きなんだが」

「いきなり何言い出すんだお前は」

「おしとやかで清楚ならば尚のことよし」

グッとサムズアップ。薄く微笑み目に力が篭っていて、それが本心であることを物語っている。

 

 

雄二はため息をついて頭を降る。

 

「Dクラス戦の作戦についてだ。けしてお前への告白じゃない」

「まーもしそうだったら拳ぶち込んだがな。…なんで俺だけなんだ?」

 

「お前は悪名のせいで孤立気味だからな。作戦会議に出席したかったら戦争でクラス貢献するこった」

「…それで、何しろってんだよ」

 

雄二の台詞に面白くなさそうな顔をしながらも納得するナツル。

 

「戦況を引っかき回してくれ。さっきも言ったがうちの主戦力は姫路だ。だが…」

「振り分け直後だから点数は0、時間を稼いで点数を回復させるってわけか」

「その通りだ」

 

 

雄二は一度深く頷き説明する。

 

「無理に相手を倒そうとしなくてもいい、長期戦に持ち込んでできるだけ長く時間を稼いでくれ」

「へいへい、努力はしてみるよ…他の奴らには言わなくていいのか?直江とか」

「実力が分からんからな。まずは戦力の把握からだ。実質、この作戦はお前一人にやってもらうことになるだろう」

「サラッと言ってくれるぜ。きついことを」

「それだけ評価してるってことだ」

そこで会話を打ち切って両者共ににやっと不敵に笑いあう。

 

 

かくして、Fクラスの挑戦は始まりを告げた。




島津 岳人 2年Fクラス

8月1日生まれ

血液型:O型
身長:190cm
体重:91kg


攻撃力:95
守備力:95
走力:78
体力:98
知力:32

総合武力ランク:A

以上の者、我が校の生徒であることを認める。
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