戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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6時間目 クラスメイトが異常だと再確認させられた瞬間

〜〜吉井Side〜〜

 

 

清涼祭当日。

 

この行事の売り上げで教室の設備を向上させる事ができると知った僕たちFクラスは、いつものやる気のなさを忘れさせるくらい張り切って準備を頑張った。

 

さらにはこの期間中に催される『召喚大会』に優勝すれば、Sクラスまでとは言わないけど、Dクラス並に整った教室を用意することをババア…じゃなかった、学園長に約束させた。

 

清涼祭の出し物と召喚大会…どちらか片方でも失敗すると、姫路さんが転校させられてしまう。絶対に成功させないと…!

 

そんな風に決意を固める僕と、気合いを入れるFクラスの面々。

 

 

「………………」

 

そんな中一人だけ、机に突っ伏して死んでいるナツル。

 

 

「ってなんで死んでるの君!?」

「タイガーーーーーー!?」

 

始め…いや、始まる前から前途多難な予感がする。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

様子に気づいた川神さんが慌てて駆け寄る。

 

「うむ?瀬能はどうしたのじゃ?」

「今川神さんの悲鳴が…えっ?瀬能さん?」

 

騒ぎに気付いた秀吉と姫路さんが近づいてくる。

 

「タイガ大丈夫!?しっかりして!」

 

ナツルは肩を掴まれて、ガクガクと勢いよく頭を揺すられる。

すると虚ろだった目に光が戻る。

 

「う……あ…?ここは……うっ、……なんだ…気持ちわりぃ…」

 

それはきっと揺さぶられたからだね。

 

「どうしたんですか瀬能さん、かなり疲れてるみたいですけど…」

「…激務が……」

 

激務って…ああ、そういや君生徒会役員だっけ。どうりで最近見ないと思った。

 

「室内にいれば書類整理、廊下を歩けば厄介が起きたと駆り出される…誰だ、トイレの中だけは安息の地みたいに言った奴…!」

「たっ、大変なんですね…」

 

再び机に突っ伏したナツルから黒いオーラが…!いったいトイレでなにがあったんだろう。

 

「俺このまま休めるなら一生働かなくていいやぁ…」

「タイガそれただの駄目な人だよぅ…」

ごもっとも。

 

普段からやる気がある奴じゃあないけど、今のナツルはいつも以上にやる気が見られない。

ていうかなんか正直抜け殻っぽい。

 

周りがテンション高いからすごい目立つ。どうにかして復活させないと…頼みごともし辛いし。

 

「えっと…そ・それにしてもさ、よくこの教室押さえることできたよね」

とりあえず話題を変えることにする。

 

「うむ?確かにのぅ、わしらFクラスは自前の教室がないから、外でやるものだとばかり思っておったが…どうやって二部屋も確保したのかの?」

 

これは何気に結構気になってたことだ。

 

清涼祭の出し物が決まった次の日にはもう、直江くんが当日使う教室を確保していた。

 

しかも召喚大会を行う体育館や武道場からあまり離れていない、つまり人通りが多い場所に位置している。

飲食店をやるにはなかなかいい立地だ。ホントどうやったんだろう。

 

「この教室ならあれだ。もともと1 - Cが使う予定だったんだが、3年が決闘で勝って使用権を得たんだよ。それを俺が決闘吹っかけてぶん取った」

「なにやってんの君」割と力技だった。

 

「後々問題にならんかのぅ?」

「しかたないんだ…気づいたら直江が決闘申し込んでたから。それにほら、裏方で活躍する的なこと言っちゃったし、頼まれたら断れないじゃん?」

 

いや知らないけど。

 

「タイガ…相手の人全治1ヶ月の怪我したって大和から聞いたけど」

「けしてふだんのイライラがばくはつしたわけではありません」

「棒読みではないか…」

 

ありがたいんだけど素直に喜べないのはなんでだろう…。

 

「そういや聞いてなかったんだが、結局うちのクラスってなにやるんだ?」

「え?瀬能さん、クラスの出し物知らないんですか?」

 

なんで自分が所属してるクラスの出し物知らないの?

 

「仕方ねーだろ、生徒会の業務が忙しかったんだから。裏方仕事も直江に言われるままに物作ってただけだしな」

「この机とイス、全部タイガが作ったのよ?」

「え、」全部?

 

あらためて教室内を見渡す。

 

机:6つ。この他にも別室に2つあり、合計8つ。

椅子:1つの机に4個。別室にも10個ほどあり、合計で34個。

 

「え、…えっ嘘。ホントに?なんか、お店で売ってそうな出来栄えなんだけど!?」

「上に掛けられてるテーブルクロスとかはノータッチだけどな」

「それはわしが演劇部の備品を拝借して仕立てたのじゃ。しかしこのぬいぐるみとかはしらんのぅ」

 

秀吉が机の上に置いてある、垂れ耳で白い毛並みに覆われた…兎?いや、どことなく犬にも似た外見のぬいぐるみを指差す。

 

なんだろう。どこかで見たような気がする。

 

「それは俺が作ったやつだな。ミミガーのトロ子だ」

「言っちゃうの!?」せっかくボカしてたのに!

 

「こっちの木彫りの人形とかも全部そうなんですか?」

「まぁな」

「凄い数じゃな」

 

パッと見たところ50以上はある。

 

「木像は机と椅子作る合間に作成したものだな。気付いたら彫ってた」

「ナツル凄くない!?もうなんかいつ社会に出ても立派にやっていけるレベルだよコレ!?」

「大げさな…木造工作部とかいうとこから直江が材木の切れ端とか貰ってきて、それを加工しただけだぞ」

「ほとんど木屑だった物をな」

 

話の最中に直江くんが割り込んできた。

彼は身近にあった机をコンコンと軽く叩きながら言葉を続ける。

 

「これら全部、元は2〜3cmの木の板だっていうんだからすごいよな。作業風景をこの目で見てたけど、今だに信じられない」

「木の板!?」

「しかもこれら全部ほんの30分ほどで」

「30分!?」嘘でしょ!?

 

「ナツル、君どんな匠!?」

「どんなツッコミだよ」

 

いやだって…えっ!?だって…ええっ!?なんでそんな冷めた目してんの!?

 

「これぐらい木彫り人形作るのと大して変わんねーよ。大げさに騒ぐなうるさい…」

「いや、無理ないだろ。それにお前、作業してるとき1mほどの材木をどこからともなく取り出したりしてただろ。あれとかどうやってたんだ?」

「受け取った木屑をイベントリ内で合成して出した」

 

今なんかおかしな台詞サラっと言わなかった!?

 

「……なんだって?」

「ザ・物質ハジケ融合」

「…………まあいいや」

 

理解するのを諦めた…

 

 

 

「ていうかこれ、クラスの設備とかもナツルに作ってもらった方がいいんじゃ…」

「それはダメだろ流石に…疲れるだけで俺にメリットないし」




■俺このまま休めるなら一生働かなくていいやぁ…
 Dグレイマン。アニメ第2期放送してますね。
「俺このまま寝れるんなら一生目覚めなくていいやぁ…」
 故人の涙モノのセリフなのに溢れ出るマダオ臭…

■ミミガーのトロ子
 洞窟物語の登場人(?)物。決して沖縄の料理ではない。

■物質ハジケ融合
 ボーボボ。パッチボボの特技。
 実際に使えたらきもちよさそうだなぁ。
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